間違いだらけの自動車評論

　確か、この写真を撮ったツーリングは散々だった。ツーリング数日前には参加者一人が駐車場でオイルリークを起こして離脱、当日は雨で東名へ合流予定のところで参加者一人が単独事故で離脱。いざ箱根へ到着、高速道路出口にはクラッシュして引き上げるところのZ33が。

　登ったターンパイクは霧の中、視界も全くダメ。それに下って行ったら今度は麗しのZのシートベルトキャッチが外れ、この時はまだ友人のクルマだった狂おしのZは運転席側のドアが開かなくなる、という。呪われたツーリング、と仲間内では勝手に呼んでたりするが、幸いに怪我人、人様への迷惑、そして当然、死者もなく戻ってくることができた。が、どうもなにか箱根では何かに憑かれるのかもしれない。

　そんな事を、自動車評論家、森野氏の駆るクルマがターンパイクでクラッシュし絶命された、という一報を知った時に思い出した。ターンパイクでスピードという何かに憑かれてしまって、あちら側に曳かれてしまったのか。どんな運転をしていようとも、ターンパイクで亡くなられたという事実は悲劇であることに違いは無い。謹んでご冥福をお祈りします。

　さて、本題。当時すれ違った方のツイートや、"く"の字に折れ曲がった事故車両を見てみても、どうもこの当時、相当なスピードを出して走行を行っていたという事は事実であることはほとんど確定と言ってよいだろう。

　運転してた時の状況、何を目的にこうした速度での走行を行っていたかはあくまでも推測ではあるのだが、以下の文は
1.精神/身体的に欠陥が無く正常な判断が行える状況で(心神喪失とかではなく)
2.当該車両の性能を評価することを目的として(自ら意図して)
走っていたものと仮定して、考えたいと思う。つまり、こんな暴走行為で走り回った評価は、果たして正しい自動車評論なのだろうか、と思ってしまうのだ。

　"正しい"というのはちょっと語弊がある。どちらかといえば、自動車評論として触れている物はほとんどが間違いだらけの評論といった方が、それこそ正しいのかもしれない。少なくとも、タイヤからスキール音ならしたり、コーナーで1Gかかるような旋回をしたり、200km/hを超えるようなストレートスピードしたり、走行中にサイドブレーキ引いてみたり、というのは日本では極一部の例外を除いて評論にはなりえない。極一部の例外というのは、サーキットで使用することを前提として、サーキットで走行をした場合の挙動、性能だ。

　それ以外、ごく普通に一般公道を走る、普段使いをする、それこそサーキットからの行帰りもいい。そんな状況だったら、下道は60km/h、高速道路は110km/h(今後は130km/hもあるかもしれない)を上限とするのが正しい第一条件だろう。

　もし、こんな低速じゃ違いなんか分からないし、あるわけがないとか発言する自動車評論家なんかいたら、それは三流以下、流すらも付かないだろう。さすがに、そんなことをいう自動車評論家やジャーナリストはいないだろうが。

　充分にそれで乗り心地/使い方の評価というのはできるし、むしろそういった条件で使ってどういう使い勝手なのか、どこが足りていてどこが不足しているのか、A社と比べてB社はどうなのか、価格帯には見合っているのか、そんな評価を下すことというのが、本来の自動車評論のあるべき姿ではないのか、と思う。そういう意味だと、新車速報シリーズとかはあるべき姿に近いと思う。

　けれども、そういう評価って、硬いしつまらないし、読まれないし、と。そうなってしまうとちょっと本分から外れだしてしまうわけで…そこが今のモータージャーナリズム屈指の難問題なんではないのかな、とも思うわけで。

　ここまで書いてちょいと疲れた。シリーズものにする気はなかったのだが、続きはまた今度。