ツイッターで松浦晋也氏が
油断するなここは戦場だ
野尻美保子
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所
『化学 掲載の記事を転載しました。』
を紹介されていて、内容は非常に面白かった。
記事は読んで頂くとして、タイトルが今の状況に合っている。
野尻氏は昨年5月にブログを立ち上げているので今回の震災とは無関係なネーミングと思うが。
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普段接する10代の学生たちを見ていると、震災があったとは思えないぐらいごく普通にしている。生徒会が被災地のことを取り上げる活動をしていたりするものの、緊迫感みたいなものは感じない。
おそらく浦安市近辺で液状化によって不便した学生もいる(私が舞浜から新浦安を歩き撮ったパワーポイントのスライドを見て『自分の家だ』と叫んだものもいた)が、ほとんどの学生は以前とほとんど変わりない。
彼らに対し私は『3/11以前とそれ以降の世界は違っている。君たちは別の世界にいる。もう以前のようには戻れない』と言っている。彼らはそれに対して「?」という顔をしている。同じようなことを教育系MLの重鎮も書いていた。みな同じ想いのようだ。
時間をかけて東北地方は復興するかも知れない。多くのアナリストが書いているように、震災の影響で一時的に経済は低迷するかも知れないが復興需要でむしろGDPは上昇するのかも知れない。
しかし、地震災害は今回だけにとどまる保証はない。むしろ周辺の連動地震の可能性は高まっている。東海・東南海・南海地震の可能性も高まっている。火山の噴火も相次ぐ恐れがある。過去にそのような時期があったように、今後10年20年のスケールで自然災害が相次ぐ可能性がある。原発事故も福島だけではすまない可能性がある。
今回の原発事故の影響はかなり長引くだろうと考えられる。かなり広範囲にわたって放射性物質の規制値を超える農産物が出てきており、水産資源への影響も未知数だ。
日本の農産物・水産物は安全だということで海外でも高値で取引されており、そちらに力を入れようとしていた矢先のことでもあり、日本の農業・水産業へのダメージは大きい。
安全と見なせる地域からのものの流通量は急には増えず、当然価格が高くなる。
原発が止まるほど発電に余計なコストがかかり、電力会社が事故補償をおこなっていることも考えるとどこかで電気代の値上げもせざるを得なくなるだろう。
国際的な商品価格は高い水準。それも合わせて家計へのダメージが大きくなるかも知れない。
日本が世界中から注文を受け生産してきたものも、度重なる自然災害がおこれば他へシフトされてしまうだろう。あるいは、他で補完できないものは企業そのものが海外へ移転してしまうだろう。
原発が動かせなくなり、火力発電による確保はするにしろ、CO2排出問題との絡みで火力にばかり頼ることもできない。資源価格高騰の問題もある。電力消費自体を抑えねばならない。
日本がダメだとなれば、円安が進む可能性もある。産業がダメージを受け輸出が伸ばせず、輸入価格が高くなっていけば極めて厳しい。
株安で株を保有している企業や個人も痛む。債券も安くなるとトリプル安。
株安・債券安で円安が加速。
そして少子高齢化。年金問題。雇用の喪失問題。
要領のいい人間ばかりを育て真の人材を育ててこなかった教育と、人材を育てず買うことでコストをカットしてきた企業がもたらす人材不足の影響はどうなるのだろう。
さまざまな問題が重なる。
一方で、中国、韓国その他はますます存在感を大きくしていく。
経済大国だった日本はどんな道で生き残っていけるのだろうか。
日本はすでに安楽な地ではない。
いかに生き残るか。
そういう意味では油断できない戦場へと変わったと思っている。
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Posted at
2011/05/15 15:27:41