[CBR250Four] マウンティングラバーの交換・その2(新品と39年経過品の比較)
| 目的 |
修理・故障・メンテナンス |
| 作業 |
DIY |
| 難易度 |
 初級 |
| 作業時間 |
3時間以内 |
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既報の整備手帳: 「マウンティングラバーの交換・その1(EGオイル漏れ箇所の特定)」(→
https://minkara.carview.co.jp/userid/132018/car/28623/8430347/note.aspx )からの続きです。
エンジンオイルの漏れ部位が、シリンダーヘッドカバーのカバーボルト部(パッキンの劣化)だと判明したことから、ヘッドカバーそのものは取り外さずに、カバーボルトのパッキン(ホンダ呼称: マウンティングラバー)の交換で対処(※)することにします。
(※)理由
経年劣化でヘタった(=高さが潰れて薄くなった)マウンティングラバーを新品化(=厚みが復活)することにより、シリンダーヘッドカバー全体をヘッド側へと押し付ける緊迫力が復活すると見込まれることから、他のガスケットのシール性も副次的に向上すると考えられるため。
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あらかじめ手配済みのマウンティングラバー。
CBR250Four用のオリジナル部番は、当初は「90543-ML4-610」でしたが、2025年10月時点ではすでに統廃合されて「90543-MV9-670」に切り替わっていました。
なおヘッドカバーボルト自体は金属製であり、(締め付けトルク的に)ねじ部の伸び変形は考えにくいことから、新品化せずに既存品を再使用することにしました。
再利用時の懸念点としては、「古いボルトと新しいマウンティングラバーとの組み合わせ」でのシール性になりますが、メーカーが品番を統廃合している時点で「互換性あり」を保証しているでしょうから、その点は問題ないと考えました。
3
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ヘッドカバーボルトの頭部や、周辺のヘッドカバーをブラシ清掃しているところ。
# ヒマがあれば、さらにシリンダーヘッドカバーを
# 磨いて青色(か赤色)に塗装してみたいところ。
# (今回はオイル漏れ修理が目的なので、
# そこまではしませんが。)
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念のため、ヘッドカバーボルトを緩める前に、ペイントマーカーで「合いマーク」を付けておきます。
通常、この手のシール構造は「段付きボルトを突き当てまで締める+ラバーマウントによるフローティング」となっていることが一般的だと思っています。少なくとも、スバルのEJ20系エンジンのロッカーカバーは、そのような構造を採っています。
なので、緩めたあとの再締結時には「ボルトをドン突きまで(=閉まるまで)閉めればOK」となることが多いのですが、今回はマウンティングラバーの新品化により締め付け時の反発力が増える(締め切りが分かりにくくなる)ことから、「オリジナルのねじ噛み合い長さ」を可視化する意味でマーキングを付加しました(≒トルク管理の代用として)。
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こちらは、ヘッドカバーボルト(#1番気筒のフロント側)を取り外した例です。
ボルトは再利用するため、ねじ部だけでなく、特に首下部分(シールライン、右下の画像)をしっかり清掃しておきます。
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こちらは、経過39年品(劣化品)と新品とを並べたところです。
新品は天面の内周側に(O-リングのような)膨らみがあるのですが、経過39年品はその膨らみが潰れ切っており、まるで平板化してしまっています。
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貼り付いている経年39年のマウンティングラバーを、マイナスドライバーの先端でつついて取り外します。
取り外したあと、マウンティングラバーから千切(ちぎ)れて分離した糸状のゴム片をすくい取るとともに、シール面を清掃します。その際、シリンダーヘッドとヘッドカバーの隙間に、ラバーのカス(ゴム片、切れ端)を落とさないように注意します。
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ホンダ純正のマウンティングラバーについて、「取り外し品(経年39年)」と「新品」との外観比較。画像は、天面側(Upper Side、ボルトの首下と接する側)です。
取り外し品(経年劣化品)は明らかにシールラインが潰れており、その一部は取り外しの際に千切れてしまっている様子も伺えます。
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こちらはマウンティングラバーの下面側(Lower Side、ヘッドカバーと接する側)です。
取り外し品(経年劣化品、画像の左側)にもシールラインが残存しているのですが、部番統合後の現行流動品(新品、画像の右側)に対して、シールラインが内周寄りになっています。
私見ですが、シールラインが内周寄りの場合、相手側のヘッドカバーが接する部位は「なだらかなR形状」となるため(前述の8枚目の画像を参照)、「線圧でシールする構造」となるように思います。
その一方、現行流動品のシールラインは円環の中央部に設定されているため、相手側のヘッドカバーが接する部位は「平坦部」になります。つまり、線圧ではなく面圧でシールする形となるため、現行品の方がシール性は向上(改善)する方向になるように思います。
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次に、厚み(マウンティングラバーの高さ)の比較です。
新品と取り外し品では、こんなに高さ(厚み)が異なります。経年39年間での「ヘタリ」は、相当なものだったと思われます。
マウンティングラバーがこのような状態でヘタってしまうと、カバーボルトは「緩んでいない」にも関わらず、シリンダーヘッドカバーを押し付ける力が減少する(∵フローティング構造の)ため、シールに必要な線圧(または面圧)が低下していまい、今回のオイル漏れに至ったのだと推定します。
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それでは実際に、両者のフローティングラバーの高さ(厚み)を簡易計測してみます。
まずは新品から。高さ(厚み)は、シールラインの膨らみ(凸部分)を含んだ全体の寸法で計測しています。
結果は次の通り。
◎新品: H= 4.95mm
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こちらは取り外し品(経年39年)です。高さ(厚み)は、全体で4.63mmとなりました。
◎経年39年の劣化品: H= 4.63mm
両者は部番こそ異なりますが、適用部位は同一であるため、単純に引き算をすると 「経年39年間で、高さ(厚み)が 0.32mm 縮んだ」 ことになります。
わずか 0.32mm… のように見えますが、両者の新品時の高さ(厚み)が同一寸法だったと仮定すると、減少率は約 6.5%に相当します。なお、ゴム硬度は(硬度計を持ち合わせていないため)計測できていませんが、相応に硬化していると考えられます。
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首下を清掃したカバーボルト(再利用品)に、新品のマウンティングラバーを当てがってみたところ。
ボルトの内周側もややタイトであり、(首下だけでなく)内周側のタイトさもシールに寄与していると考えられます。
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