7.2012年 JR貨物・広島車両所公開 その⑦ EF66電気機関車
投稿日 : 2012年11月21日
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旧国鉄が作った在来線用車両、代表的なものでは103系、113・115系、485系電車、EF65電気機関車などがありますが、
これらのモーター出力は1067mmの狭軌でスペースの点で不利とはいえ、それでも決して大きい容量とはいえず、後年スピードアップしようにも余力がない状態でした。登場したときの情勢に合わせたギリギリ設計といえました。
そんななか、これからご紹介するEF66型機関車だけは、独特なスピード感あふれる外観とともに動力機構も例外的存在で、数の上で最大だったEF65電気機関車の総出力2550kwに対し、同じ6軸でありながら1.5倍の3900kwの出力を持たせました。
試作車EF90の試験結果を踏まえて、1968年(昭和43年)から1974年(昭和49年)まで55両製作され、JR貨物となってからも1989年(平成元年)から1991年(平成3年)まで増備のため33両作られました。
しかも車両価格もEF65とあまり変わらなかったようですよ。
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EF66のトップバッター1号機を斜めから撮影。来客が多くて人が写らないようにするのが大変でした。
で、メカ的には、ギヤー比を低めにしてEF65に対し出力増大分をほぼ高速域の性能の向上=出力の増大に当てたのが特徴で、
EF65のギヤー比3.83 全定格出力時の速度45キロに対し、
EF66ではギヤー比3.55として85%界磁での速度72.2キロを実現、70キロ弱まで一定出力を出せるようになりました。
電車でもやっとチョッパー制御が採用された国鉄201系にて、モーター容量の増大が図られて150kwとなりました(103系は110kw、113・115系や485系は120kw)。
そして201系も出力増大分は高速性能の向上に向けられた設計となり、103系より低いギヤー比が採用されたが、それでも起動加速も103系より少しよくなって、60キロ以上の加速性能は悪すぎた103系に比べ大幅に向上しまして、中央快速線や京阪神緩行線ではやっとまともな走行ができるようになりましたね。
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このトップバッターであるEF66 1号機は、老朽化のためすでに戦線を離脱していますが、ここ広島車両所にて最近人気の国鉄色に復元され、きれいな車体塗装となって静態保存?されているようです。
残念ながら今回はEF66の運転席内部は公開されていませんでしたが、JR西日本の山陰線にある京都市内の嵯峨嵐山駅のそばにあるらしい鉄道模型の巨大ジオラマには、廃車機関車から切り取ったと思われる本物のEF66の運転台で模型電車が運転できるとか。
ここへ行く機会があればまたレポートしたいと思います。
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EF66の中間台車を撮影。
普通、電気機関車のモーターは動力伝達構造が歯車だけで済む簡単な構造の吊りかけ式といって、車輪の車軸に直接モーターを固定することが多いのですが、
これではモーターの重い荷重が直接線路にかかることになるため走行安定性は悪く、もちろん線路にも良くないです。俗にいうバネ下重量になります。
そこで貨物列車の高速運転が目的だった(登場当時は鮮魚輸送)EF66では、写真ではちと分かりにくいものの車輪の中に緩衝用のゴムを入れ半吊りかけ方式として、車輪・線路の振動が極力モーターに伝わらない構造にしました。
これは当時の160キロの速度にも耐えうる485系の台車や0系新幹線の台車技術も取り入れられたようで、運転上の許容速度は110キロなるも、単機なら十分160キロまで出せる実力があるそうですよ。
ただし設計速度が160キロだった485系はモーター出力が全く足らず、3.5という低いギヤー比にもかかわらず、6M3Tの最強編成でも10‰の登り勾配上で130キロ前後しか出せないので、どだい160キロ運転など無理ですが。
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ここから以下4枚の写真はウィキペディアからの掲載ですが、先ほど触れた国鉄が設計・製作した国鉄初のチョッパー制御の201系電車。ここの写真はJR塚本駅で撮影された京都行の緩行電車のようです。
201系電車は、旧国鉄時代に中央快速・中央緩行線と京阪神緩行線だけに投入されました。
その後、チョッパー制御の本領発揮が望まれた駅間の短い山手線にも投入される予定でしたが、投入直前になって製造コストの安い205系に変更されました。
京阪神緩行線は各駅停車にもかかわらず駅間距離が長いのと、新快速・快速と緩急接続をすることもあって100キロを連続して出す区間もあり、60キロ以上の加速性能が極端に悪い103系と比べ、やっとまともな走行ができるように。
いい台車も使っているし、性能的には110キロ程度までいけると思われるが、201系の独壇場だった中央快速線は今も最高速度が95キロのままだし、国鉄本社は通勤電車は100キロまでという観念があったのでしょうか。そしてようやくJRになって通勤電車たる新快速も130キロ運転が実現しました。
ちなみにその後、東京の営団地下鉄に乗り入れの際、軽量のアルミ車体の203系が作られたが、起動加速力を上げるためギヤー比を大きく取って高加速にしました。これが本来のチョッパー制御車の使われ方ですね。
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こちらはEF66の本来の姿といえる、高速コンテナ車をけん引している写真です。
山陽本線の岡山駅のすぐ西にあたる中庄-庭瀬間にての撮影だそうです。ここを381系のやくもは120キロで走り抜けて行きます。
岡山~倉敷間での381系等は、駅のポイントの直線側通過速度は減速なしの120キロです。ただし重量のある貨物列車は100キロ制限です。
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こちらは後年、貨物列車の本数も減りまたEF66の性能を買われてブルートレインもけん引するようになったEF66型機関車です。2009.3.12 東海道本線 根府川~早川間での撮影だと記載がありました。
手元にある資料を調べると
ひと昔前には、このブルートレインの臨時列車のダイヤのスジ(臨時のあさかぜ)を使った臨時貨物列車が設定されていたことがありまして、下りの東京ターミナル発→幡生操車場行きが8051列車、上りの幡生操車場発→東京ターミナル行きが8050列車、でした。
ブルトレの筋を使ったダイヤのため、けん引定数は65両=650トンに制限されていて貨物列車としては相当な軽量設定でした。
最高速度は110キロ、速度種別は一部区間を除いて貨物列車としてはまさに異例の通貨110 A3という非常に高い設定がなされていました。
そしてこれより高い設定は現在は佐川急便用に運転されている、東京ターミナル~安治川口間で運転される51列車と50列車で、M250形式という貨物電車!を使い、台車と動力機構は130キロ運転対応のJR西日本の223系電車に準じたものとなっています。空荷の時には死重のコンテナを積んで積載バランスをとっています。
JR東日本区間は資料がなく分かりませんが、熱海から西の東海道本線区間は速度種別 通貨130 A5となっています。ただし130キロ運転するのは米原から西の東海道本線区間のみです。
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こちらはめずらしい写真ですが、これもウィキペディアにアップされていました。
昔NHKでもTV放送されていましたが、本州の岡山と四国の高松とか松山を結ぶ瀬戸大橋線の開業前の試験列車で、いちばん重い100.8トンあるEF66を筆頭に、EF65を10両?だったかをつないで、瀬戸大橋の荷重試験をしていた様子の写真です。
この荷重試験はNHK特集?だったと思うけど放送もされ、後日再放送もされたので自宅のS-VHSビデオテープに撮っておきました。
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