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KENEA187Aのブログ一覧

2019年06月10日 イイね!

新作

新作随分と久しぶりの投稿になります。

ここ1年位は、自分の所有車両にはそれほど大きなトラブルもなく、車検整備以外に大きな整備をした記録も無かった為、専ら知人が所有する不動の農機具なんかを整備しながら過ごしていた感じです。

そんなある日、近所の方から呼び止められ、こんなポスターを渡されました。先月静岡で行われたホビーショウにお子さんを連れて見に行ったそうなのですが、アオシマのブースで私の車両の事を思い出し、是非渡したいという事で一枚頂いてきてくれたんだそうです。

1987年の全日本ツーリングカー選手権仕様のGr.Aスタリオン。スポンサーデカールの配置が少し異なりますが、三菱オートギャラリーの所蔵車両と同じものです。まさか30年以上も経って新作のプラモデルが出るなんて・・・。

この80年代中期のJTC仕様のスタリオンは、三菱のモータスポーツだけではなく、日本車の歴史や技術水準を語る上でも、とても重要な一里塚となっている車両の一つと思います。

個人的には、日本車の歴史は車の歴史、モータースポーツの歴史だけ見ていても十分に理解が出来ないものと常日頃から感じています。最低でも陸の軍事政策や、鉄道などの輸送政策も併せて見ていかないと、どうしてこの時代にこんな車両が出てきたのかという事すら理解が出来ない程複雑で、だからこそ面白いものと思います。

第一次大戦後の産業振興や軍需産業の一環として、トラックを主体に産声を上げた1920年代。
GM、フォード、クライスラーのノックダウンを横目に見ながら、悪路を駆ける軍用車としての発展を模索した30年代。
敗戦による壊滅から平和産業として再起を図るも、劣悪な道路事情故に性能向上の道が断たれるという、2つの挫折に直面した40年代。
鉄道政策との衝突の中、欧米車のノックダウン、国民車としての軽自動車、両輪の妥協策が模索された50年代。
道路事情の改善と共に欧州車の本格的な模倣を始め、ハイウェイ時代の到来で悲願の高性能化を果たした60年代。
高度成長の波に乗り、更なる高性能化を目指して米国車を模倣するも、排ガス規制という難関に直面した70年代。
ハイテク化による排ガス規制の克服と、ターボ、ツインカムの導入による高性能化で独自路線を確立した80年代。

そんな日本車の歴史の中、このスタリオンは80年代半ばのインターTECで、それまで性能では全く勝ち目がなかった欧米のロードスポーツ車の背中に、漸く指先が届きかけたという重要な足跡を残したクルマ。スタリオンが活躍し、他メーカーも更なる技術開発を行った事で、日本車は90年代には名実共に欧米車と肩を並べ、追い抜く処まで到達する事になります。

若い世代の方々には、そんな歴史の一石として、このプラモデルでスタリオンの事を知って貰えれば幸いと思います。アオシマ文化社様、マカオのBeeMax社様には感謝の限りです。
Posted at 2019/06/10 22:09:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | スタリオン | 日記
2018年01月08日 イイね!

ブレーキマスター3&パワステポンプ

明(以下略)
このシリーズ、まだしつこく続きますが、お許し下さい。。

年明け前、A183A乗りの知り合いから「パワステポンプから漏れがあるのですが、シールキットがYカンリのようですorz 軸のオイルシールだけでもなんんとかならんでしょうか?」と連絡を受けました。

https://www.megazip.net/zapchasti-dlya/mitsubishi/seal-kit-p-s-oil-pump-MB350395?q=MB350395
翌日、Dラーで確認したところ、MB350395が確かにYカンリでした・・・orz これ、基本的にはスタリオンなら83年までのA182Aと、同時期のA183A以降はほぼ全車共通で、コンクエストも同じです。183はタンクとポンプが一体、187はタンクとポンプが別体というだけで、中身は同じもの使っているんです。ちなみに、E1x系のギャラン・エテルナΣ、L042系の輸出パジェロとも共通だったりします。

A182Aと83年までのA183AはMB166165で、L042系の輸出パジェロの一部とも共通なんですが、これは何故かまだ在庫が普通にあるようです。残念ながら互換部品は無いようなんですが・・・。

MB350395、まぁコンクエストで使ってるなら何かしらの部品が出るだろうと思って調べてみたところ・・・。


案の定、北米では普通に互換部品がありました。eBayでGATESというメーカーの348850という部番と、EdelmannまたはAutoZoneというメーカーの8722という部番で、普通に購入が可能です。

ポンプの軸のシールは、本来純正では単体で出ないようなのですが、一応北米ではNational Oil Sealの221830か、SKFの7005という部番で出るようです。国内では武蔵オイルシールのN2233(サイズ:17.5×32×7)で代用が可能なようです。

ブレーキマスター関係では、数年前に私自身も銀VR号で交換したリザーバータンク(MB193104)が、とうとうYカンリになってしまったようですorz インナーキットは北米のマスターAssyの新品買って、中身を抜くか、最悪ブースターごと北米化してしまえばどうにかなるとは思うのですが・・・。


ただ、これにも一つ抜け道があります。A187Aなど後期のスタリオンはMB534700(15/16")という部番(一部1"のものもある)なのですが、83年までのA182AとA183AはMB193250(15/16")という部番で、何と後者は海外で普通に互換部品が出るんです。電子PL上ではスタリオンでしか使っていない事になっているんですが、電子PL収録外のA16x系ギャランΛのリアディスク車と共通部品で、その関係で英国ではFirstline のFBM4371という互換部品で供給が続いているようです。外見上は何が違うのか分からない位同じ形(フルード残量警告のコネクタが違うのかな・・・?)で、インナーキット自体は最終的にどの部番のブレーキマスターも共通部番に統合されてしまう事は、過去の記事で書いたとおりです。一応、こいつを使う事でまだリザーバータンクが破損した場合の補修も可能なようです。

電子PLは便利なんですが、こればかりに目を向けているとペーパーバック時代のPLの部番との共通性をつい見落としがちになるので、注意したいところですね。。
Posted at 2018/01/08 17:59:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | スタリオン | 日記
2017年11月06日 イイね!

クランクプーリー2

クランクプーリー22年程前の話になるのですが、ディーラーに銀VR号を点検に出したところ、クランクプーリーに振れが出てきているので交換が必要だとの指摘がありました。その時に、初めてスタリオンのG54Bのプーリーがゴムダンパー入りという事に気付き、その後1年程掛けて代替部品を探した末に、先頃ようやく修理が終わったので、概要を記していきます。



銀VR号のVベルトは、パワステが13x750オルタが13x975エアコンが13x1375。銘柄により多少長さに違いはあるんですが、国内仕様のG54Bは基本は13mm幅のVベルトが使われてます。

インチで換算すると、それぞれ0.53"x29.5"とか、1/2"x38 3/4"とか、15/32"x54 3/8"とかになります。インチ表記のVベルトは0コンマで表す場合と分数で表す場合が混在したり、何故か12mmサイズに相当する物が混じってきたりして、米国人の皆さま頭こんがらがらないんでしょうか?と、他人事ながら心配になったりもするのですが。

プーリー流用する場合って、こういう情報から類推するのも結構参考になります。英文漁っていると、どうもG54B積んでる北米のモンテーロやダッジ・レイダー、ダッジ・ラム50(D50、プリムス・アロー)、マツダのB2600とかのダンパー無しプーリーが使えるようなのですが、はっきりした品番が分からない場合も多いので、その場合はベルトのサイズが明らかに違ってないかどうかも判断材料になります。

国内仕様と88年以降の北米車(正確にはクライスラーの87-89年モデル)はMD116406で同じプーリー。当然使ってるベルトも3本とも13mm幅で同じです。



86/87年北米(正確にはダッジ/プリムスの85-86年クライスラーの87-88年モデル)はMD094106でちょっと違う部番。エアコンとパワステは同じ幅のベルトなのですが、オルタだけベルトの幅が13/32"とか0.44"などの11mm幅になるようです。87年北米のオーナーさんからは、87年もダンパー入りプーリーだったと聞いているので、恐らく2.0時代と同じ65Aのオルタ使ってる関係でこういう事になってるんだと思います。パーツリスト上はインタークーラー無しが65A、インタークーラー有りが75Aとなっているようで、クーラー搭載車はMB272703というプーリーを更にMD094106の上に重ねて装着する仕様となっているようです。パワステ・クーラー周りのブラケットは88年以降と同じなのですが、オルタとウォーターポンプのプーリーが異なっています。オルタはMD611373、ウォーターポンプはMD021496というものが使われており、88年以降のMD611265・MD075187とは違うようなので、流用にはオルタ・ウォーターポンプのプーリーも含めて交換が必要そうです。


なお、米eBayで売られているアルミのクランク・オルタ・ウォーターポンプのプーリーは全て13mmベルト仕様で、87年以前のものはこの3つを同時交換する建前になっているようです。

85年北米(ダッジの84-86年)はMD020842。ベルトの内訳は86/87年北米と同じなので、もしかしたらこれもテッチンプーリーなのかも。同時期のダッジ/プリムス・コルト、ラム50でも使われていたようです。

84年北米MD021169。85/86年のダッジ・ラム50と共通の様子。ベルトの内訳はやはり86/87年北米と同じなので、もしかしたらこれもテッチンプーリーなのかも。というか、対応車種自体はMD020842とほぼ同じみたいです。



87-89年のダッジ・ラム50や三菱・マイティマックスMD109011。ベルトの内訳が86/87年北米と変わらないのですが、形から見ても時期的にも、ダンパー入りプーリーであった可能性が高そうなものでした。同時期のダッジ・コルトやラム50でも共通だったようです。


87-89年のダッジ・レイダー、三菱・モンテロMD074403。ベルトの内訳が国内仕様と同じく3本とも13mm幅、結論から言うと、これがMD116406のテッチン版でした。なんか中国でも生産してるらしく、partssouqによると現在でも新品が出るようです。1年以上前の情報なのでちょっと曖昧で申し訳ないのですが、ディーラーからは1万円位でまだ新品出ると聞いた覚えがあります。


×G54Bは84年から87年にかけて、クライスラー・レバロンやダッジ・ボイジャー、ダッジ・キャラバンなどでオプションエンジンとして使われていた時期があったようで、MD074096という品番のものもあります。3本グルーブですが、ベルト幅はウォーターポンプ10mm、パワステとオルタが11mmみたいです。


86-88年の北米マツダ・B2600もG54Bを積んでいて、このようなプーリーが使われています。今回、私はこれを購入して確実にテッチンプーリーである事を確認しています。使っているベルトが国内仕様と同じサイズの13mm3本という構成で、サイズもMD116406と全く同じだったので、MD074403の可能性が高そうです。なお、マツダ系のPLサイトでは87年北米仕様B2600がAM1511401なる部番を使っている(G54Bなのは間違いないけど、三菱とは全く違う部番が振られているみたい)事までは分かっています。

社外プーリーが売られているオーストラリアの4G54車に目を向けると、シグマやスコーピオン(ラムダ)等が2.0(4G52)、2.6共に
オルタのみ・・・HB1045-N 1グルーブ
パワステ付き・・・HB1047-N 2グルーブ
P/S A/C付き・・・HB1213-N 3グルーブ

といった割と分かりやすい分類がされてるんですが、オルタとエアコンのベルトが11mmだったり、エアコンとオルタの溝の径が違ってたり(狭すぎて正確な数値が分かりませんでしたが、スタリオンの国内仕様は実測ではエアコン・オルタとも同径で145mm前後、P/Sが多分95mm前後でした。)で、なかなかうまい事見つからんなーといった感じでした。

横置きのマグナもHB1088-Nというプーリー売られてますが、Vリブドでサーペンタインなベルトを使ってるので、流用はムリそうです。

ebayでは色々な年式や車種のプーリーが出品されてますが、参考までにー。
Posted at 2017/11/06 23:47:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | スタリオン | 日記
2017年06月04日 イイね!

ステアリングギアボックス

について少しばかり相談を受けたので調べてみました。

スタリオンのステアリングは、83年ごろまでの初期型のGSR-I(A183A)やGX(A182A)のみに装備されていた重ステと、それ以降におおむね標準化されるパワステの2種類あります。形式は現在でもトラックなどで使われていることの多いボール・ナット(リサーキュレーション・ボール)というもので、ステアリングギア比は重ステが16.4パワステが14.3。以上です。

・・・何が言いたいかといいますと、要するにパワステであればギアボックスは全部同じ部品だということです。北米も欧州も、右ハンも左ハンも関係なしみたいっス。。。



色々と調べてみたんですが、部品番号は重ステがMB266990で、これは本当にスタリオンでしか使われていなかったみたいです。日本以外では欧州のスタリオンEXでも使われていたようです。構造は単純ですが、今現在リビルドなどができるかどうかは残念ながらよくわかりません・・・。


一方パワステはMB315480で、A183AからA187Aまで一貫してこの部番が使われていたようなので、国内でも解体車からの部品取りや、リビルドの対応は今現在も十分できると思います。銀VR号は10年位前にギアボックスからのフルード漏れで現物を車体から下ろしてリビルドしてもらっているのですが、当時確か7万円前後かかった覚えがあります。シールキットはMB553348で、まだ廃盤にはなっていないようです。

で、北米の部品供給はどうなっているかというと・・・。



普通に新品が250ドルくらいで買えます。コア取りリビルドではなく、新品です。。。。これ、eBayで初めて見かけたのが確か10年位前だったんですが、まだ部品出るので安心しますた。。。

RockautoでもACデルコ、A1CARDONEなどのものが売られているのですが、そのうちの一つであるA-1 CARDONE 278450のインフォメーションを見ると、なかなか面白いことが書いてあります。この部品、MB315480の互換でもあるのですが、ほかにもいくつもの部品番号と互換がある事が謳われているのです。

列記してみると、
MB166063 1982-84 ダッジ・ラムD50(三菱・フォルテ)
MB192981 1982 プリムス・サッポロ(ギャランΛ)、1984-86 ダッジ/プリムス・コンクエスト
MB266510 1984-86 三菱・マイティマックス(ストラーダ)、モンテロ(パジェロ)
MB266610 1987-89 ダッジ/クライスラー・コンクエスト
MB266612 1984-86 ダッジ・ラムD50(三菱・フォルテ)、ダッジ・パワーラムD50(三菱・トライトン)
MB315481 (北米における)上記すべての統合部番

・・・といった具合です。こんだけ共通部品がたくさんあれば、当分はギアボックスについては供給は心配なさそうで、ピットマンアームやステアリングリンケージの供給のほうが不安が大きいです。確か、ステアリングリンケージの中央部にあたる「ステアリングリレーロッド(MB489447)」って部品がガチで手に入らなかったはずなので・・・。
Posted at 2017/06/04 15:53:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | スタリオン | 日記
2017年05月19日 イイね!

インジェクターあれこれ

インジェクターあれこれ(今回も画像はほぼ全て拝借です)
スタリオンを維持する上で課題になる事が多いのがインジェクター、私の周辺でもインジェクターがダメで公道復帰に苦慮されている方を何名も見てきました。私自身の車体には今のところ問題は起きていないのですが、周囲でトラブルが起きる度に調べてきた情報がある程度溜まってきたので、備忘録として残しておきます。

スタリオンのスロットルボディに2本のインジェクターが付いており、日本では85年式以降はスロットルボディの外側に付くタイプ、それ以前はスロットルボディの内部に埋め込まれているタイプが使われており、両方とも「シングルポイントインジェクション(SPI)」として区分されています。欧州は概ね日本と同じで、北米は最初から2.6なので全て外付け型です。


北米仕様2.6Lのスタリオンは、インジェクターの容量がかなり以前より欧米の有志によって実測されており、2009年頃にはStarquestclub.comでも話題に挙がっていました。インジェクターの容量は測定時に掛ける燃圧で結構増減が出るため、紹介される数値にはオーナーさんごとにばらつきがあるのですが、Komeuppance氏の投稿によると、
Part # ID Description
MD614102 L 580cc, Primary, black, Driver Side of TB
MD614036 M 1080cc, Secondary, Green/blue, Pass
MD614114 K 850cc (2 Required)
MD614004 J 850cc (2 Required)
MD608909 H 850cc (2 Required)
MD608869 ? 850cc (2 Required)

となっており、平たく言えば国内VRは580-650ccの小と、950-1080ccの大の2種類が使われており、北米87MY以前は850ccの同じ容量のもの2本が使われているという感じのようです。

北米経由で手に入る社外の補修部品として話題に上がるのは、主にこの北米2.6向けの外付け型。形状は「トップフィード」という、現在使われているマルチポイントインジェクション(MPI)とほとんど同じ形のもので、eBayでもFuel Injector ClinicやTrilogy Turboといったブランドでインジェクターが売られています。以前は87MY以前向けのものも売られていたのですが、現在は国内VRと同じ部品番号が使われている87-89MYの対応のもののみが売られています。みんカラ内では私のみん友さんがFICを使っておられるのですが、FICは他車種のMPIでもインジェクターのファインチューンでよく使われている多孔式のようで、燃費や燃焼効率の向上に役立ちそうな感じです。なお、この一連の社外インジェクターはフューエルレールのボルトを長いものに交換して装着するのですが、これ自体は2009年頃には既にStarquestclub.comでも話題に挙がっており、brianpaul98氏がルーカスやボッシュ、デルファイのものを容量別に紹介しています。恐らくFICやTrilogyのものはこれらのメーカーのものを元にしているのではないかと思います。各社ごとの大まかな形状はここら辺りが参考になります。表題画像の引用元である事でも分かるとおり、A187Aのラージ側インジェクターがある種の特異点的な扱いで取り上げられています。


なお、近年では社外品が売られなくなってしまった87MY以前の方々は、どうやって補修部品を確保しているかというと・・・。GB REMANUFACTURING inc.というメーカーが三菱純正インジェクターのオーバーホールを請け負っているらしく、インジェクター本体からの漏れの場合はこれを用いて対処しているようです。GB RemanにはRockauto経由でも1本40ドル前後でオーダーする事ができるようです。


欧米のインジェクターに関連したDIYは日本よりもかなり進んでいて、「injector disassembled」で検索すると、豪州のZ32オーナーズクラブでは純正インジェクターを分解して内部のOリングを交換している強者がいたり、「fuel injector cleaning」で検索すると市販のパーツクリーナーを用いてDIYでクリーニングできるキット(恐らくトップフィード限定でしょうけど)が売られていたり、日本でクルマを維持する上で参考になる情報も多いです。

国内仕様のA183Aは、84年後半から87年までが2.6VRと同じ外付けトップフィード型で、MD608938というものが2本使われています。私は現時点ではこのインジェクターの正確な容量は把握できていないのですが、フューエルレールなど周辺のパーツはA187Aと同じという事は分かっており、過去にはA187Aのインジェクターで応急補修できた例もログに残っているので、ひょっとしたらGB Remanufacturingでもオーバーホールが可能なのかもしれません。

このように、スタリオンのインジェクターは85年以降の外付けトップフィード型なら色々と補修の上での逃げ道があるのですが、問題は85年以前のA183AやシリウスDASHのスロットルボディ内蔵型のインジェクター、インジェクションミキサの蓋に大きく「ECI」の刻印がされているタイプのものです。


A183Aの1982年から1984年中盤までがこのリード線付きのタイプ・・・、ボンネットにエアスクープがついている時期のものですね。GSR-Iなどがこの時期に相当しており、図を見る限りではECIマークの蓋自体がフューエルレールを兼ねており、インジェクター自体はトップフィードの様に見えます。このタイプはインタークーラーの有無で部品番号に違いがあり、IC無しがMD608868×2本、IC有りがMD608900×2本です。現物を見た事がないのでなんとも言えないのですが、86年以降の外付け型インジェクターはこのリード線付き内蔵インジェクターと形が似ている気がします。

スタリオンの無印G63Bはどの年式も必ず同容量のインジェクターを2本セットで使っているので、たとえ片方が動かなくなったとしても、もう片方を外して容量を測定する事で、他からインジェクターを流用する検討を行える余地が残っています。内蔵インジェクターの初期型でも、最後まで諦めない事が肝心だと思います。


歴代で一番変わった形をしているのがシリウスDASH。「サイドフィード」という形状のものが2本埋め込まれており、A187Aで使われた容量が異なる2本インジェクターを使うというやり方は、84年に登場したこのエンジンで既に使われていたものです。ラージ側がMD614164スモール側がMD614163で、容量については以前みんカラにいらっしゃったGSR-Vの方の整備情報のコメントで次のような情報を見かけ、容量を推定した事があります。

84'-5のスタリオン新型車解説書
流量特性
大:47.5mm3/2.5m・sec
小:16.5mm3/1.8m・sec
駆動方式:電流制御式(レジスタなし)
燃圧:2.55kg/cm2


このように、スタリオンの新型車解説書では「流量特性」という聞き慣れない概念でインジェクターの容量が表されていた様です。これをより一般的なcc/minの数値に変換してみると、スモールが約550cc/minラージが約1140cc/minとなり、なんとシリウスDASHの方がG54Bターボよりインジェクターの容量が大きいという驚愕の事実が分かります。

こうした情報は2.6VR登場時の88'-4の新型車解説書には書かれていないのですがorz ひょっとすると82年のリード線付き初期型や、84年の外付け型についても新型車解説書には同様の書かれ方がされているのかもしれませんので、該当年度の新型車解説書をお持ちの方は一度インジェクターの項目を確認してみて下さい。

・・・最後に、私個人の意見になるのですが、スタリオンに限らずSPIというものは「噴射式キャブレター」という理解がされる事もあったりして、スタリオンの維持やチューンに当たって豪州のマグナのMPIへの換装といった話は、仲間内でも度々話題に挙がります。しかし、私個人はSPIもそう捨てたもんじゃないという感じもしています。というのも、ダウンドラフトのV8キャブ車が1980年代まで存在していたアメ車では、SPIは古くて新しい技術的な立ち位置で、現在でも技術が存続し続けているからです。


アメ車のSPIはGMとクライスラーが「Throttle Body Injection」、フォードが「Central Fuel Injection」という名称で1980年代に自社のV8を燃料噴射化する目的で使っており、この頃のものはスタリオンの初期型やシリウスDASHとよく似た、内蔵式インジェクターを用いた2バレルキャブレターに似た構成なのですが・・・。

V8のダウンドラフトキャブでは定番中の定番、ホーリー社のキットでは、現在ではSPIがこんな感じの進化を遂げています。


これは4バレルダウンドラフトを直接置き換える用途向けのインジェクター内蔵型。


スタリオンの後期型に似た外付けタイプもあります。インジェクターは4本ですが、分類上はこれもTBI=SPIです。


流石にNASCARのカップ・カーではMPIになっていますが・・・。

このように、アメ車のレストアではSPIは決して過去の技術ではなく、近年になってにわかにアツくなってきた分野のようなのです。アメ車のV8チューンの最高峰たるNASCARが、2011年以降燃料噴射を解禁した事も大きいのかもしれませんね。豪州などでは80年代のGMやフォード純正のTBIを、キャブレターの豪州車にコンバートする改造なども盛んなようです。

こう考えると、スタリオンのECIシステムはアメ車のマッスルカーと比べればだいぶ未来を走っているような気分になれるんじゃないかと思います。。。

170529追記:2.6VRの88'-4新型車解説書を探してみたところ・・・、インジェクターについての情報がほんの少しだけですが書かれていました。
噴射ノズル径
大:1.43mm
小:1.07mm
燃圧:2.00kg/cm2


・・・これだけですorz
これで噴射量求めようなんて、本来なら半分無理ゲーに近いと思うのですが、スプレーノズルの計算を行えるサイトがありましたので、半ば無理矢理気味に計算してみます。
「オリフィス径、液体流量」という項目で、流量Qを求める事にしておいて、オリフィス径は上記の数値、圧力は2kg/cm2≒0.196MPa、液体の密度はガソリンなので783kg/m3として入力してみると・・・。
補正係数を0.5と仮定した時、小は約600ml/min大は約1080ml/minと、欧米の有志の測定値とまあ当たらずと雖も遠からずな値が算出されます♪

・・・ただ、これはある程度元のインジェクターの実測値が推定できているようなケースで、噴射口の大きさを替えた場合にどうなるか? 程度の状況でしか活用できない(例えば上記と同一の条件と仮定すると、850ccの北米87MY以前は噴出口が約1.27mmなのかな? みたいな推定とかです)とは思いますので、やはり基本は規定燃圧を整備書などで確かめた上で、測定装置で実測するのが一番かと思います。

あと、昔何かの本で見かけた覚えがあるのですが、82年当時のスタリオン初期のECIの説明で、「ECIシステムのインジェクターは単なる単孔式ではなく、噴射された燃料が螺旋を描く様に噴出される構造になっている」みたいな記述があった事を記憶しています。三菱はエアフロもカルマン渦式ですし、スワール渦のMCAジェットバルブといい、本当に渦巻を作るのが好きなメーカーの様な気がします。
Posted at 2017/05/19 22:47:45 | コメント(2) | トラックバック(0) | スタリオン | 日記

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「なお、最近は投稿する暇がなかなかないですが、3台とも大過なく維持できています。プラグのネタは書きたいですけどね。」
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