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2005年05月16日 イイね!

フロントサスセッティングとは 3

フロントサスセッティングとは 3フロントサスは、アームの取付部分の強度や、耐久性の点からも完全剛体とする事は不可能です。

そのため、外力によってブッシュやアームが変形する事は避けられず、それを積極的に姿勢安定に利用しようと言う考えになっています。

そこで、フロントサスセッティングとは 2で書いた、サスの弾性たわみによる、挙動の乱れを抑えるために、ブッシュのチューニングや、サスのメンバーマウントの位置決めを行っています。

車のサスを見ると、アームの取付点は、位置決め角:αを持って取り付けられています。

また、アームの捻れや、ブッシュの変形を軸方向と半径方向のバネ定数として、弾性変化をシミュレーションして決定します。

さらに、コンピュータの進んだ現在では、ゴムブッシュに挫繰りを入れて、縦方向、横方向など力の方向によって、バネ定数をシミュレーションして、そうしたブッシュを採用する車種も増えてきました。

そのため、知識の無い整備工場で足回りをいじったり、ブッシュ交換をすると、差し込む方向や向きを確認しないで圧入されることがあるので注意が必要です。

また、自分でやる際は最後の締め付けは、サスに荷重をかけた状態で行うのはお約束です。

実際は、こうしたサスジオメトリはバネやダンパーも含めて決定したものなので、ホイール一つ変えてもバネ、ダンパーなどとのバランスがあるように、バネやダンパーの交換は、ブッシュや弾性補正を見直すのが本来です。

そこまで行わなくても、見た目のためにホイールスぺーサーを入れると言う行為でも、キングピンオフセットを狂わせ、弾性補正の計算点を狂わせて、トレッドのワイド化以上に運動特性の害が大きいので、新しい設計の足回りほど行わないのが吉です。


サスを見るとわかるように、トーとキャンバーは、サスペンションジオメトリーの運動特性、およびスプリング圧縮に伴う運動特性の変化に影響されます。さらに、サスに働く力(加減速、上下の力、転がり抵抗)も、マウントや構成部品の弾性によって、動的なホイールポジションに影響を与えます。

一般に、運動学と弾性運動学を用いて、適切なホイールポジションが決定されて、アクスルの運動学と弾性運動学特性については、力の影響とスプリングの運動が互いに補い合うように設計します。

ベンツなどの懐の深いサスは、古くからの設計思想で、タイヤに頼らずメンバーマウントの位置を決定し、スプリングの動きに伴ってカルダン角が生じます。それを、ゴム製ブッシュの設計を工夫して、弾性運動の補正を行っているようです。
Posted at 2005/05/16 12:16:58 | コメント(2) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年05月16日 イイね!

フロントサスセッティングとは 2

フロントサスセッティングとは 2どこかのHPで、車の走行時のホイールベースなどの変化を計測している物がありましたが、ブレーキング、加速時など数ミリではなく、20ミリ近く変化しています。

特に、マルチリンクサスのようにパッシブにコントロールするものは、前後の動きをトーインに変化させるので、ホイールベースが変化するのは当然の事と言えます。

また、アーム剛性やサス取付点強度からも、完全剛体にすることは不可能で、ブッシュなどを介すため、どうしても弾性変化が発生します。

フロントサスも同様で、最近流行の仮想転舵軸を持ったダブルジョイントのものは、どうしても外力によってサスジオメトリが変化してしまいます。

写真は、フレーキング時など前方からの入力があった場合の、弾性ホイールポジションです。

このようにブレーキング時は、トーアウトになります。

また、FF車が加速する場合は、この図と反対の状態・・・すなわち、トーインの方向に弾性変化するので、トーアウトでセッティングします。

そのため、弾性たわみを補正したセッティングが必要になります。

フロント(操舵輪)を駆動する場合、どうしてもFR車には無いトルクステアが出てしまうので、何とか減らそうと努力するわけですが、そのためには、デフレクションフォースレバーアーム:rstと、キングピンオフセット:rsが効いてきます。

写真は、フロントサスセッティング 1のものを参考にして下さい。

◎デフレクションフォースレバーアーム:rst
ホイール中心とキングピン中心線との最短距離です。この長さは駆動力に対する反力・・・すなわち転がり抵抗の尺度になりますが、巾の広いタイヤを履くために大きくなる傾向があります。

◎キングピンオフセット:rs
前面から見たタイヤの接地点と、キングピン中心線と路面の交点との距離になります。
キングピンオフセットがあると、タイヤに前後の力が加わった時に、タイヤを捻る力になるので、ステアリングへの反力やステアリングホイールの直進位置への復元モーメントを発生させます。

スバルがff1では、インボードディスクを採用してキングピンオフセットを0にしたり、トヨタがレビンなどのスーパーストラットでキングピンオフセットを0にしましたが、これはステアリングへの反力によるフィールの悪化を嫌ったための策でした。

キングピンオフセットが、タイヤ接地点よりも外側にくるものを、ネガティブキングピンオフセットと言って、ステアリングアングルの自己安定性を持つように出来ます。

次回 弾性たわみ補正につづく予定
Posted at 2005/05/16 10:50:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ

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年齢と共に、車に求めるものも速さから快適性に変わってきたような気がします。 冬は、おいしいお酒を求めて、スキーなどに飛び回っていますがアウトバックでなく、...
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