S60レビューの第2回目です。
前回はエンジンとミッションについて書きました。
ボルボS60のレビュー その1
今回は、予告どおりにサスペンションとブレーキについて書いてみたいと思います。
きっと今回も長文になることでしょう...(^^;)
■サスペンション
サスペンションの形式としては、フロントがストラット、リアがマルチリンクです。
これは、偶然にもアクセラとまったく同じです。
しかし、両者のキャラクターはかなり異なります。
アクセラが、フロントが重いのをロールさせながら曲げることでうまくいなしている感じなのに対し、S60は足回りを固めることで軽快なフットワークを演出しています。
アクセラもガソリンエンジン搭載車は軽快なフットワークなのですが、フロントヘビーなディーゼルはまったく味付けが異なります。
それがなんとなく重厚な乗り味となって街のりでは高級感がある乗り心地に結びついています。
それに対してS60は街乗りでは堅めた足回りが災いし、路面のごつごつを拾ってしまうシーンが目立ちます。
しかし、このごつごつ感はタイヤの違いというのも大きいかもしれません。
アクセラが215/45R18なのに対し、S60は235/40R19です。
ばね下加重も重くなっていますし、路面の影響も受けやすいですから。
しかし、ペースをあげると状況は逆転、アクセラはロール量が大きくなり、速度が速いことをいやがおうにも認識することになるのに対して、S60はかなりのペースでコーナーに入っても、そのままスーッと曲がっていってしまいます。
これは足回りのセッティングだけでなく、電子制御デバイスのなせる業という感じがします。
ハイペースのコーナリングにおいては、330kgの重量増などものともせず、軽快感は断然S60に軍配が上がります。
峠を思い切り攻めれば話は別ですが、そこそこのペースで流すには、非常に気持ちが良いです。
アクセラもS60もクローズドのカートコースを走ったことがありますが、さすがにどちらも重量的にきついです。
その中でも、330kgの重量差はやはり大きく、S60ではブレーキが特に厳しいです。
さらに、S60の方が電子デバイスの介入が頻繁で、我慢して走行する必要があるので、こういうところを走るにはアクセラの方が向いています。
S60はオーバースピードぎみにコーナーに進入すると、アクセルを踏んでもまったく反応がなくなります。
また、パーキングブレーキがスイッチなので、サイドターンは絶対に回れませんので、ジムカーナごっこも出来ません。
アクセラはハンドレバーのサイドブレーキなので、がんばればサイドターンもなんとか出来ます。
そういうアクセラもロールする特性があるので、タイトコーナーの進入ではイン側のリアタイヤが浮き上がり3輪状態になったりします。
あまりかっこよい姿ではないので、やはりサーキットを走るには足回りは換えたくなります。
■ブレーキ
フットブレーキ
S60のブレーキは、前後ともベンチレーテッドディスクで、アクセラは、前がベンチレーテッドディスク、後ろがディスクです。
どちらもスライディングキャリパー方式で、16インチホイールが履けますから、ローターもそんなに大きくはありません。
グレードによる違いもありませんから、絶対的なストッピングパワーをうたう様なものでは無いですね。
でも、よく昔の国産車にありがちだった初期制動だけがやたら強く、踏み込んでいっても全然制動力が増えないようなそんな安っぽい感覚は一切無く、適度な初期制動と、踏み込んでいけば踏んだなりの制動力が得られるコントロール性を持った良いブレーキだと思います。
S60、アクセラともに同じような感触だと思います。
ただ、S60の場合は、完全停止するときに、停止のショックがどうしても発生します。
アクセラを含む今まで乗ってきた車は止まる寸前にブレーキを抜けば、停止のショックをほぼ感じずに止まることが出来ましたが、S60ではそれが出来ません。
車重のせいなんでしょうかねぇ...?
また、クローズドのカートコースを走ったときには、アクセラはノーマルのブレーキでも十分な制動力を発揮してくれますが、S60はやはり車重がネックになって、もうちょっと効きの強いブレーキが欲しくなります。
どちらの車でも、峠のくだりを攻めたことは無いので、対フェード性と言うことではどうなのかはわかりません。
クローズドのカートコースもジムカーナレベルの走行なので、フェードするような領域までブレーキを酷使していません。
ABSはS60はまだ効かせた事はありません。
アクセラは、雪道と雨のジムカーナ練習会で効かせましたが、まぁ普通のABSです。効かせてしまえば、ちょっとした空走感があり普通に制動距離は伸びます。
パーキングブレーキ
S60のパーキングブレーキは、電気式のスイッチです。
基本的にはスイッチを押すとブレーキがかかり、引くと解除されます。
しかし、走行中は押してもかかりませんし、フットブレーキを踏んでいなければ、引いても解除されません。
したがって、このブレーキを使ってドリフトのきっかけにしたり、サイドターンをすることは出来ません。
また、シフトレバーをニュートラルにしてパーキングブレーキをONにすると、シフトレバーをDレンジに入れられなくなります。
はじめこのことに気が付かず、信号で停止したときにパーキングブレーキをONにして、シフトレバーをニュートラルに入れていたら、発進のときにシフトレバーをDレンジに入れられずに軽くパニックになりました。
アクセラはサイドレバー式のパーキングブレーキですので、走行中であろうとサイドブレーキをかけることが出来ます。
なので、その気になればサイドターンも出来ます。
でも、純正のブレーキパッドでは、グリップの高いところでサイドターンを行うのは至難の技でした。逆に雨なら簡単に出来ますが、オープンデフなので180度までしか回れませんし、アクセル踏んでも内輪が空転するばかりで前に進みません。
エンジンブレーキ
ミッションのところでちょっとふれましたし、はたしてこれはブレーキのくくりなのかという感じもしますが、一応文字としてはブレーキが入っていますので...
まず、S60はほとんどエンジンブレーキが効きません。
たとえば5速で走っていて前走車に追いつきそうになって、マニュアルシフトででギアを4速に落としてもほとんど減速Gは発生しません、数秒後に若干の減速Gがありますが、制動力としては全然小さいです。もう一段シフトダウンし3速にしても状況はあまり変らず、ほとんどの場合フットブレーキを踏むことになります。2速まで落としたとしてもエンジン音がうるさくなるだけで、それに見合う制動力は得られません。
もうそういうもんだと割り切って、前走車に追いついたらクルーズコントロールをONにして、自動でついていって貰うことにしました。
一方アクセラは、アクセルを離せば、エンジンブレーキだけでなく回生ブレーキも効きます。そして、回生ブレーキで発電した電気をキャパシターにためて、加速時などに使います。
でも、キャパシターの電気なんてマックスになっていても、あっという間に使い切ってしまうので、なんかほんとに効果があるの?って感じです。
その割には結構な抵抗になるので、峠のくだりでは、よくニュートラルで走っていました。ニュートラルにすると回生ブレーキも効かなくなるようで充電しなくなります。
で、アクセラのエンジンブレーキですが、効くことは効くのですが、どうも減速Gが一定ではなく状況によって変動するので、感覚的にはあまり好きではありませんでした。なので、マニュアルシフトで自分の好きなタイミングで大き目の制動力が得られるような操作をしていました。
今回はここまでにいたします。
さて、次回は、安全装備あたりにしましょうかね。
安全装備、ボルボの得意分野ですが、アクセラもほぼ同等の装備を持っていました。
良い勝負になるのか?こうご期待...って大したこと書きませんけどね...(^^;)