
私には,安全運転のための座右の銘が三つある。
ひとつ
「ヒヤッとした あの瞬間を 忘れるな」
という交通標語がある。蓋(けだ)し名言だと思う。
小学生のとき,自転車に乗り降り出した雨から逃れるように四つ角を通過したとき,トラックに撥ねられた。
幸い,かすり傷で済んだが,救急車が呼ばれる騒ぎになってしまった。
「なんとも無いんで,大丈夫です」と救急隊員に申し出たが,
「せっかく来たんだから乗っていけ」と有無を言わさず乗せられた。
車内でかすり傷の手当てくらいしてくれるのかと思ったが,住所や名前を訊くだけで,なにもしてくれなかった。
救急隊員は医者じゃないので,医療行為は禁止されていたことをそのときは知らなかった。
撥ねられた瞬間のことは今でもはっきり覚えている。
時間が止まったように思える,「パノラマ視現象」を体験した。
まず,ぶつかる瞬間のトラックが良く見えた。
はっきり覚えている,クリーム色のトヨエース(写真は北陸にある日本自動車博物館の展示物)だ。
運転席を見たら,引きつった顔のドライバーが見えたろうが,傾斜したフロントノーズを凝視していた。
撥ねられ,雨に濡れた路面を滑走していく時間がとても長く,「はやく止まらないかな」と感じたことを覚えている。
その道路には幅1.5メートルほどの側溝があった。
農業用水路だった筈だが,一部ドブと化していて「落ちるのは嫌だな」と思った。
幸か不幸か,滑っていく先に電信柱があった。
ドブに落ちるのと,電柱にぶつかるのと,どちらがマシかな?と思っていると,自転車側から電柱にぶつかり,たいしたこともなく,ドブに落ちることは免れた。
虚脱感に襲われ,何もする気にならなかったが,ドブに落ちた靴を機械的に拾い上げたのを憶えている。
結果的に大事に至らなかったので言えることだが,この経験はその後の自分にとってとても良い教訓になった。
ヒヤッとした,という表現を超えてしまっているが,前述の交通標語の言わんとするところが痛いほど分かる。
「見えないところには何か居る」という考え方をするようになり,交差点の通過は慎重になったし,バイクでワインディングを楽しんでいるときも,ブラインドコーナーでは速度を落としたため,渋滞の最後尾に突っ込まなくて済んだこともあった。
パノラマ視現象というのは,「生死にかかわる何かが起こっているが,何も出来ない」ときに見るらしい。
投身自殺をした人が,地面に激突するまでに見ることが知られている。
つまり,なんとかしようという努力を放棄した場合に見るし,なんとかしようと努力した場合,時間はあっという間に過ぎる。
誰かが運転する車に乗り,危うく事故に遭いかけた,あるいは遭ってしまったとき,運転者に訊くといい。
「時間が長く感じた」と答えたら,そいつは「事故回避の努力を怠っていた」ことになる。
ふたつ
「百里の道を行く者は,九十九里をもって半ばとせよ」
中国の諺と聞いた。
油断するな,という意味だと理解している。
「あと少しで家にたどり着く」そんな気の緩みが事故を呼ぶ危険を孕む。
経験的にも,長い距離を走ったあとは,集中力がなくなり,こすり傷を愛車に刻むことが間々あった。
みっつ
「無理するな。豆腐に見えても車は硬い」
でしょ?
Posted at 2006/01/09 19:55:49 | |
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