※注:新年早々いきなりかなりの長文で濃い内容のブログになりますが、好きな方が暇なときに読んでもらえれば良いので、ご了承ください・・・。
警察庁のHPの調達情報のページに、
警察庁会計業務検討会議というものがあります。
これは『外部有識者の方々に調達改善の取組などに対して意見を頂く機会』というものだそうです。
その会議でのやり取りがHPに記載されているのですが、平成27年7月31日の会議で、無線警ら車(パトカー)についてのやり取りが記載されています。
~以下抜粋~
〔案件5〕無線警ら車外2点(会計課)
【委員】自動車業界にとって、パトカーは一般的なものだと思われるが、これだけの台数(382台)なのに入札説明書を受領したのが1者のみ、応札も1者のみであるが、どうしてか。
【回答】本案件の主な仕様は2,500cc級以上であるので、C社のD車、E社のF車、トヨタのG車等が基本的に警察庁の無線警ら車の仕様を満たす車両である。H社のI車については、モデルチェンジ後、最高出力の部分で仕様から外れた。その仕様を満たすベース車両を警察仕様にしなければならず、製造する技術的な問題や製造可能台数の問題がある。応札可能な業者には、入札の実施について個別に連絡したが、各社の経営判断等により、結果的にトヨタのみの1者応札となったものと思われる。
⇒なかなかのやり取りが交わされていますが、芸能リポーターのイニシャルトークみたいなので(笑)参考までに・・・
C社のD車⇒日産・フーガ
E社のF車⇒三菱・プラウディア(なぜこのクルマなのかはあとでわかります。)
トヨタのG車⇒もちろんクラウン
H社のI車⇒スバル・レガシィ
と思われます。
以前雑誌にはターボエンジンが不可になったためレガシィのパトカーは出なくなったという話でしたが、単にパワーが仕様にあってないだけのようです。
【委員】C社のD車(※日産・フーガ)は、今までに入ってきたことはなかったのか。
【回答】実績はない。
⇒まぁトヨタに勝てるわけないので無理でしょうね(笑)
【委員】今回、13件の車両を同時に入札公告しているが、1者のみに入札説明書を交付し、1者のみの応札案件が6件であった。これらは、例えば「交通取締用四輪車ならこの車両」といったように、車両が限られる仕様になっているのか。
【回答】特定の車種に限られる仕様にはなっていない。
【委員】しかし、13件中の6件が1者応札である。実際に競争が働いている件数が少ない。
【回答】各自動車メーカーの考え方もあると思うが、対応できる車種があっても、モデルチェンジのタイミング、架装メーカーの空き具合、台数の不足等で対応ができないことがあるのではないか。また、パトカー等の場合は非常に架装が多く、それを積載することにより車にどのような影響を与えるかなどの検証も必要となる。さらに、モデルチェンジをすると、警察用車両の過酷な運用に支障がないようにするための研究も必要となる。それらのタイミングで仕様に沿った車を製造できるかどうかは、各自動車メーカーの判断であり、対応できる車種があるからといって、必ずしも応札してもら
えるものではないと思われる。
【委員】13件中、不落随契になっているものがかなりあるが、予定価格がかなり厳しいのか。
【回答】一部そういったこともあると思う。本案件のベース車両になっているG車(※クラウン)は比較的高価な車だが、警察装備を加えた上でも一般の方が購入するよりも安価である。
【委員】車両にあっては、最低価格まできているのではないか。
【回答】その辺りは当方でも計りかねるが、かなり安価にはなっていると思う。
【委員】現状において、J社とK社(※おそらくホンダとマツダ)では本案件である無線警ら車の仕様を満たすベース車両を持っていないということか。
【回答】ご指摘のJ社及びK社にはない。
⇒早くアテンザにスカイG-2.5Tを搭載してください(笑)
【委員】現実の問題として、そもそも2,500ccクラスであれば応札できるのはトヨタのG車しかないということか。
【回答】応札可能な車両については、C社のD車、E社のF車、トヨタのG車(※フーガ・プラウディア・クラウン)の3車種等がある。架装した上で見合いの金額であれば十分応札してもらえるものと思われる。
【委員】もう少し排気量が少ない2,000cc以下であれば、ほかのメーカーも入ってくるのか。
【回答】1,800ccクラスなどであれば、ほかのメーカーにもベース車両はあると思われる。
【委員】仕様等を変えていく必要があるのではないか。
【回答】パトカーについては、C社は平成13年頃までL車及びM車を、E社は平成8年までN車をベースに製造していた。無線警ら車は、ルーフ上に30㎏の昇降機構を有する警光灯を搭載している上、出動の際には複数の警察官が乗車するとともに、防弾盾、防弾衣等の装備資機材を約50kg積載している。このような状態で逃走車両の追跡、急訴事案における現場臨場等のための緊急走行が必要となることから、一般の車両よりも高いスペックが必要であり、排気量、出力については、現行より下げることはできないものと考えている。
⇒ここで新たにL車及びM車が登場しましたが、おそらくセドリックとクルー。そしてE社のN車は平成8年まで製造という事で三菱のシグマの事だと思われます。(ここでE社が三菱と確定。)
【委員】パトカーは何年くらいで更新するのか。
【回答】6年で更新している。
【委員】走行距離は関係しないのか。
【回答】年間平均すると約3万㎞走行し、6年で約18万㎞走行する。その辺が限界であろうと考える。
【委員】過去に審議した白バイのときもそうであったが、どんどん間口が狭くなっているのではと感じる。結局ベース車両を持っているところは、価格的に競争すると有利であり、新規参入業者は価格競争で勝てない。今後どう競争性を持たせていくか検討してほしい。
【委員】経済性を持たせるために競争性を確保することが必要である。ただ、それが仕様を満たさなければどうにもならない。先述のとおり、価格面において「一般車両よりも安価だ。」ということであればわかりやすい。
【委員】その点に関連して、予定価格決定のための調査方法に「特殊仕様部分を警察庁基準等により算出」と記載があるが、この警察庁基準というのはどういうものか。
【回答】例えば、無線機を格納するブラケットについては、どの警察用車両でも共通部品であるので、事前に見積もりを徴取し予定価格の積算資料としている。また、一般管理費等の利益の部分を算定し、積算に反映している。
【委員】現状においてI車の参入が難しいのであれば、C社とE社に応札を呼びかけていくことが現実的なところであろう。
【回答】これまで入札説明会は実施していないが、公告の都度、応札可能な各業者に声かけをしているところであり、今後も継続してまいりたい。
という事で、このやり取りを読んでいると、生産コストを考えてもそれなりに儲けられる力を持っているトヨタ、そして日本仕様のEセグメントクラスのセダンのクラウンが必然的にパトカーになるというのがよくわかります。