オートスポーツの4月25日号(No1379)の46、47ページにLSDの記事がありました。(No1378にもあります)
僕としてはLSDってサーキット走行において重要な部品だと思うわけです。
ところが、いまいちLSDが表に出てくることは少なく、ダンパーなどと比べるとマイナーな存在です。
とくに、レーシングカーのLSDについてはギアボックスの中に隠れていて、ほとんど見ることができません。
なので、そもそも僕らが使っているような多板機械式を使っているのか、それとも全く違う構造の(例えば電子制御の)ものを使っているのか、全くわかっていませんでした。
ところが、オートスポーツには、今年のスーパーフォーミュラSF14に使われるヒューランド製LSDの写真が掲載されているではありませんか!
白黒ではあるものの、中身も分解されていてわかりやすいです。
わかったこと
1、構造は普通の多板機械式
2、フリクションプレートの表面がザラザラになっている(材質は不明)
3、コーンプレート等のスプリング機能付きのプレートは入っていない
4、イニシャルトルクはプレート厚さかシムで調整
5、ランプ角が5種類もある
そして
ロック率は、なんと2.5%~68.5%まで15種類も設定できるんだそうです。
(ロック率については僕もちゃんと理解できていないので理解できたらまた書きたいと思います。
ただ、親切なことにプレート配置とランプ角ごとのロック率表が記載されているので、あとは適当な摩擦等価直径と摩擦係数を設定すればロック率を計算で求めることができそうです。)
掲載されている写真と記事を読んだ限りでは、僕らが使っている多板機械式とほぼ同じものだということがわかりました。
ほぼ同じということは、イニシャルトルクが0だと片輪が浮くと、空転しまうのでイニシャルトルクは0ではないってことだと思います。
ただサーキットにスパフォーを見に行っても、内輪がカクカク動くことはないのと、メカニックが手で押すときに苦労していないので、イニシャルトルクは低いと思われます。
ところで、
とあるLSDの宣伝文句にこんなのがあります。
”独自の構造により、低いイニシャルトルクでも素速いレスポンス&ダイレクトな効きが、○○L.S.D.最大の特徴です。また、機械式L.S.D.特有の「バキバキ」といったチャタリング音はなく、低いトルクにより耐久性にも優れています。”
でも、このLSDの構造を見ても普通の多板機械式なので、スーパーフォーミュラ用と同様に構造としては特殊なところはなにもないのだろうと思いました。
しかしチャタリングしない(しにくい)のとレスポンスがいいってところは本当だと仮定して、普通のLSDとの差を考えてみました。
1、フリクションプレートの表面および材質がチャタリングしにくい仕様になっている
チャタリング=スティックスリップ現象なので、静摩擦係数と動摩擦係数の差が小さいと思われる
2、コーンプレート等のスプリング機構がない
スプリング機構でイニシャルトルクをかけると、スプリングが伸び縮みするときにチャタリングが発生したり、レスポンスが低下するので、プレートの厚みでイニシャルトルクを発生させていると思われる
3、フリクションプレートの摩擦係数が高く、かつ磨耗しにくいものになっている
ランプ角やプレート枚数に違いはなさそうなので、差動制限トルクを大きくするために摩擦係数の高い表面状態にしていると思われる
また、磨耗すると効きがどんどん変わってしまうので、磨耗しにくいものになっているはず
4、プレートやプレッシャリングとケースの摩擦力が小さい
ここがスムースに動かないとレスポンスが悪くなるなるので、しゅう動部の摩擦低減がされていると思われる
つまり、構造が特殊なのではなく、プレート同士の摩擦面やケースとのしゅう動面が特殊だってことだと思います。
とあるLSDは値段が40マソ以上というアホみたいな値付けがされており、到底購入できそうにありません。
しかし、きっとフリクションプレートだけでもいいものにしたら、バキバキ音がせず、かつ効きのいいLSDができると思うので、そんなプレートをOPTIONでクスコから発売して欲しいなぁとも思いました。
(オーバーホールキットで4~5マソ円で売って欲しいです※普通の仕様は2.5マソ円)
来年のオートサロンで話してみようっと!
の前に
FFDを試すのが先かも
今回の記事のように、一般の人では普通見ることができないものの写真を掲載してくれると、とても参考になります。
今後もこういう記事を増やして欲しいです!
Posted at 2014/04/20 00:12:49 | |
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LSD | 日記