2013年01月27日
今回は、ケチをつける第4弾です。(5弾かな?)
今月のレブスピードにケチをつけたいと思います。(でも購入しました)
雑誌というのは、その筋の専門家が書いているわけではなく雑誌社の記者が書いています。
その結果、ウソだらけの内容になっていてビックリすることがあります。
雑誌を書いている人は、専門家ではないものの、それを売ってご飯を食べているのですから、みんカラを書くのと同じような取り組み姿勢で書かれてもらっては困ります。
さて、今回ケチを付ける内容は「コーナリング再考」というところです。
内容的にはロガーデータを示してわかりやすく説明してあり、従来にないとてもいい内容だと思います。
なので購入してみました。
いろいろとツッコミどころはあるものの、一番気になった記述は
「ターンインでブレーキを残すと挙動が乱れるから怖い」という声がある。
それについて澤プロは「ブレーキングで重心を下げて、複合Gを使って走るのがカギ」という
僕なりに解釈すると「ターンインではブレーキングで重心を下げると挙動が乱れにくい」ってことのようです。
なんだそりゃあ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ってくらいビックリしました。
以前の荷重移動のところで書いたようにターンインでブレーキを残す理由は、最速ラインを最も速く走る(=タイヤの摩擦円の縁を使って走る)ためにはコーナリング中も減速し続ける必要があるからなのであって、荷重移動のためでもなく、ましてや重心を下げるためでもありません。
F1や最近のGTカーのように車体姿勢変化に伴う空力影響が大きい車の場合は、減速時もほとんど姿勢変化がありません。ほとんど重心高も変化しません。
ブレーキ=減速なので、重心高を下げることがコーナリング中に減速する理由であればF1やスーパーGTは、コーナリング中に減速をする必要がなくなってしまいます。
でも、車載映像やロガーデータを見ると、F1もスーパーGTも必ずコーナリング中に減速しています。
こういうレーシングカーの実態を無視して
ブレーキングでノーズダイブする⇒重心高下がる⇒車輌挙動が安定する⇒ターンインではブレーキを残すべし
みたいな素人的な発想をそのまま雑誌記事として掲載するのは止めて欲しいです。
たかが雑誌ごときいいではないか!と思わなくもないのですが、こういう内容を真に受ける人が世の中にはたくさんいるんです。
そしてそれが正しいと思い込むようになってしまいます。
その辺対する責任感みたいなものが感じられません。
100%正しいことを書くのは無理だし、何が真実か?なんて本当のところはわからないこともあります。
でも、この記述はヒドイです。
最低でもF1、スーパーGTの実測データや車載映像を見て実態と合っているか?合っていないとすれば、その理由は何か?くらいの確認をしてから記事にして欲しいです。
それから、ドライバーに物理現象を説明させるのは無理があるので、ドライバーには運転のことを聞き、その結果、クルマに起きている物理現象についてはエンジニアに聞くべきだと思います。
ちょっと内容は違いますが、同様なことを言っている人がいます。(最後のところ)
http://www.topnews.jp/2013/01/04/news/f1/teams/renault/79570.html
僕も同感です。
Posted at 2013/01/27 21:31:20 | |
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クルマ | 日記
2013年01月27日
というガレージK氏の質問に答えるべく、今日はストロークセンサとは反対側のタイヤを持ち上げてみました。
ジャッキアップはボディのサイドシル下面にある後ろ側のジャッキアップポイントで行いました。
ストロークセンサは左側につけているので、反対側である右側の後輪を持ち上げてみると、センサ出力は-13mmと表示されました。
このとき持ち上がった右側後輪のダンパーは伸び切っているので-26mmです。
この状態ではスプリングは6mmくらい遊んでいます。
右側後輪を持ち上げると、同時に少しだけ左側後輪も持ち上がるので左右のストローク差は
26-13=13mm
となっていることがわかりました。
タイヤのところに換算すると、20mmくらいの差です。
こんなに差があってスタビが効かないなら、捨てちゃった方がいいのではないか?
と思いましたが、効いているのは運転している感覚から間違いないので、もう少し考えてみました。
伸び側のスプリングは全く効いていないので、ダンパーを伸ばしているのは地球の引力か、その他の何かによらなければなりません。
ニュートンによれば引力はバネ下の質量に比例するので、約20kgfです。
(バネ下質量からタイヤとホイールを引いた値)
さらに誰か下向きにダンパーを押している人はいないのか?と考えてみました。
いました!
ダンパー内部のガスです。(多分窒素ガス君です)
KYBのSpecTRとザックスではガス圧に違いはあると思いますが、こちらのグラフから読み取るとガス圧による反発力は25kgfくらいあるようです。
http://autobacs-asm.com/blog/asm/index.php?mode=res_view&no=2082
ダンパーを単品状態で手で縮めようとすると、確かに10~20kgfくらいの力をかけないと動き始めないので、とりあえず25kgfとして計算してみます。
ダンパーを下向きに押して(引っ張って)いる力は
地球の引力:20kgf
ダンパガス圧:25kgf
合計で45kgf
一方
スタビライザーの効きは以前計算したこちら
https://minkara.carview.co.jp/userid/1494795/blog/28296958/
の結果から、ホイール端(タイヤのところ)では、4.6kgf/mm相当です。
従って、ダンパーを上向きに動かすために必要な左右のタイヤ位置差を計算すると
45/4.6=9.8mm
この値は片側の値なので、左右ではこの倍である19.6mm差がないとダンパーは上向き(縮み方向)に動きません。
ジャッキアップ時のタイヤ位置左右差は20mmくらいなので、微妙にダンパーを持ち上げている(縮んでいる)状態のようです。
結論としては、スタビは効いているが、バネ下重量およびガス圧による反発力の方が大きいため、ダンパーは、ほぼ伸び切っている。ということになりそうです。
今度ダンパー交換をする機会があるので、その時にどのくらい左右差がつくと伸び側も縮み始めるか確認したいと思います。
追伸
ガス圧による反発力にレバー比を考慮するのを忘れてました。
レバー比を考慮するとガス圧反発力は20/1.4=18kgf
合計で38kgfなので
38/4.6×2=16.5mm
バネ下質量が予測値なので、次回測定してみたいと思います。
Posted at 2013/01/27 16:34:54 | |
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いろいろ計算 | 日記