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2014年08月12日 イイね!

ゼロカウンター

今日はゼロカウンターについて考えてみたいと思います。

ゼロカウンターとは、コーナリング中において、前輪の向きと車体の向きがほぼ一致した状態、すなわち舵角がゼロのカウンタステアを当てた状態を言います。

見た目がカッコいいのと、プロドライバーが”舵角を少なく”と繰り返し発言するので、ゼロカウンターで走行することが最速の走り方なのではないか?と思っている人もいるのではないかと思います。

実際に最速ラップをたたき出す人達の走りを見ると、ゼロカウンター状態になっていないので、ゼロカウンターが最速の走り方でないことは明らかなのですが、その理由を考えてみることにします。

まず、タイヤの横方向グリップ力を決める要素を挙げてみましょう。

1、タイヤと路面の摩擦係数
2、垂直荷重
3、タイヤ横滑り角(=スリップアングル、スリップ角)
 ※横滑り角とはタイヤの転がる方向とタイヤが実際に進行する方向との角度のこと

ゼロカウンターと関係あるのは3のタイヤ横滑り角です。
タイヤは横滑り角がないと横方向のグリップ力を発生することができません
これ大事です。

正しくは、「横方向の力がタイヤの接地面に加わると、タイヤが変形するため、タイヤの転がる方向とタイヤの進行方向に角度差が生じる。」ですが、事象としてはどちらも同じです。

タイヤは横滑り角がないと横方向のグリップ力を発生できないという事実を踏まえて、ゼロカウンターについて考えます。

具体的な数値で説明した方がわかりやすいので、具体的な数値で考えます。
ただし、計算が面倒なので荷重移動と内輪と外輪のハンドル切れ角の差は無いものとします。

例えば、僕のS2000(車重m:1350kg)が横加速度a:1.2Gで旋回していたとします。

このときに必用な1輪あたりのタイヤの横方向グリップ力Fy(N)は

Fy=m×a/4
 =1350×9,806×1.2/4
 =3971(N)

垂直荷重は車輌に働く地球の引力に等しいので、重力加速度を9.806m/sec2とすれば、1輪当たりの垂直荷重Fz(N)は

Fz=1350×9.806/4
  =3309(N)

次に、タイヤの横方向グリップ力(=コーナリングフォース)と垂直荷重、横滑り角の関係を表したグラフから、3971Nのコーナリングフォースを発生するために必用な横滑り角を求めます。

これは実測結果を用いるしかないので、以下の文献から引用しました。
タイヤの力学と操縦安定性
フラットベルト式 サスペンションタイヤ試験機

①と②に出てくる実測結果はタイヤサイズも試験設備も異なるのですが、重ねてみるとそこそこ同じ結果になっていました。
僕のS2000で使っている255/40R17の場合はもう少しグリップが高いと思うので、今回は②のグラフを1.1倍したもので考えることにしました。(1.1倍にしたのは後々都合がいいからです)



グラフから3971Nのコーナリングフォースを発生させるためには、約8°のスリップアングルが必用だということがわかります。

つまり、普通のグリップ走行かゼロカウンター状態かに関係なく、S2000が1.2Gで旋回しているときは、4輪のタイヤ横滑り角は8°以上になっているということです。

この状態を絵で表してみます。
旋回半径は23mです。

1、前後タイヤの横滑り角が等しいとき


2、ゼロカウンター状態のとき


ゼロカウンター状態では、前輪横滑り角よりも後輪横滑り角の方が大きくなります。
前輪の横滑り角が最大のコーナリングフォースを得られる角度だとした場合、後輪の横滑り角は必要以上に大きな横滑り角になるということです。

仮にタイヤの特性上、横滑り角が過大でもコーナリングフォースの低下がないとすれば、過大な横滑り角でも問題がないように思います。
しかし、実際は転がり抵抗が増えるので、加速が悪くなったり、滑り角が大きいだけに磨耗が多くなり、いいことはありません。


今回の内容については、実測結果を基にしているわけではないので、本当のところはわかりませんが、前後に同じタイヤもしくは同じような特性を持ったタイヤを使う場合には、ゼロカウンター状態で走ってもいいことはないので、実際にはゼロカウンターで走る人がいないのだろうと思います。
Posted at 2014/08/12 23:51:35 | コメント(2) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2014年08月03日 イイね!

岡山国際サーキット

暑い、暑い、暑い~~!!
にもかかわらず、朝起きたら空調機が不調です。
数年前から不調なのですが、ごまかしながら使っています。

今日はしばらくガマンしていましたが、暑さでどうにもならなくなってきたので、昨年発見した”エアコン洗浄スプレーをセンサに吹き付けると復活する”という技で今回もごまかしました。

さて、今日のお題ですが、岡山国際サーキットです。
mistbahnさんが岡山国際サーキットを走行されたというブログがあっていたので、以前の日光サーキットのシミュレーション条件を用いてシミュレーションしてみました。

まずは、岡山国際サーキットのコーナ名をおぼえなければなりません。
コース図はこちらから入手してください。

次は僕の手持ちのデータで走行ラインの作成と合わせ込みを行います。
クルマはスリックタイヤのFD2シビックです。

合わせ込みの結果
赤がシミュレーションで青が実測です。


岡山国際は高低差影響が大きいので、今回はグラフにロガーのhight(標高)を緑の線で表示しています。(岡山国際のコース図に記載してあるものと比較してもそこそこ合ってます)

アトウッド~ヘアピンの直線部に差がある原因は、コースが上りになっていることだということがわかります。

コーナの最小半径は、実測ではなく推奨値を使いました。


推奨値の計算表の中にS字係数という意味深な言葉がでてくるのですが、このS字係数は、文字通りS字状のコーナでの半径減少量計算で使います。
過去の実測データから、S字の場合は半径減少をしない場合が多いので、入り口だけなら半径減少を半分にして、入り口と出口の両方の場合は半径減少量を0にします。

しかしながら、S字の事例が少ないのでいまいちまだよくわかっておらず、今回はヘアピン~リバルバのリボルバだけに適用しました。

そこそこ実測とシミュレーションが合ったので、ビートでシミュレーションしました。
ラップタイムは2分11秒14です。
赤がシミュレーションで青がmistbahnさんの実測です。


岡山は全体的にコーナにバンク角がついているので横Gは前回の1.0Gから1.1Gにしています。
また、前回と同じ条件では直線加速部がいまいち合わないので、出力補正係数を0.75から0.7に変更しています。

しかし、アトウッド~ヘアピンの直線加速がまるっきり合いません。
そこで、コースの勾配を考慮した計算に修正しました。

修正方法は、重力加速度×勾配をエンジン出力による加速度から引くだけです。

たとえば、5m進んで0.1m上るような勾配の場合は
9.806×0.1/(5^2+0.1^2)^0.5=0.196(m/sec2)を引きます。

この修正を行った計算でシミュレーションした結果がこちらです。
ラップタイムは2分12秒43です。


アトウッド~ヘアピンの上り区間はおおよそ合いました。
その代わり、ウィリアムズ~アトウッドの下り区間が合わなくなりました。
しかし、ウィリアムズコーナの速度を見ると、ここの差が直線に影響しているだけなので、シミュレーション結果としては問題なさそうです。

同様にFD2シビックでも勾配を考慮してシミュレーションしました。


全体的に合うようになりました。
ホブス~マイクナイトがいまいち合わないのですが、原因不明です。


シミュレーションもそこそこうまくできていると思うので、mistbahnさんの走行データとの比較をしてみましょう。

まずはコーナ中の最低速度を比較します。

ファースト、ウィリアムズ、リボルバの3つの差が大きいのでここの原因を確認しましょう。
ちなみにマイクナイトも差が大きいのですが、マイクナイトはビートの場合、タイヤの限界で決まるコーナリング速度よりも実際に到達できる速度の方が低いので、その分だけ横Gが低くなっています。

コーナ中の最低速度は、最小旋回半径と最大横Gの2つのみで決まるのでこの2つを確認します。

最小旋回半径


ファーストはややシミュレーションより旋回半径が小さくなっています。
ウィリアムズはほぼ同じ。
リボルバはシミュレーションより少し大きいです。

最大横G
参考にFD2の実測も載せました。


ファーストはやや最大横Gが小さいです。
ウィリアムズは最大横Gが0.85Gしかでておらず、シミュレーションの1.1Gと比較すると大幅に低いです。
リボルバは0.75Gしか出ていません。
ついでにその次のパイパも0.85Gです。

路面的横Gが出にくいのかと言うと、FD2の実測結果を見てわかるように、ウィリアムズもリボルバもパイパも他のコーナと同等の横Gが出ているので路面の問題は考えにくいです。

横Gの低い3つのコーナの共通点を考えます。
1、直角コーナ
2、手前の減速区間が短い

特にウィリアムズとリボルバは、シミュレーション見るとわかるように、強い減速が不要です。
アクセルをパーシャルか、ややアクセルオフにして、とりゃあ~ってハンドル切れば曲がれるはずです。
しかし、減速をしてから曲がっているためにその分だけ横Gが減少していると考えられます。

減速しないと荷重移動がないので、その分曲がりずらいとは思うのですが、ビートの場合は僕の推奨値は無視して、コーナで取れる最大の先回半径で曲がった方が、最大Gも高くなって速く走れると思われます。


その他のコーナではアトウッドが気になります。
FD2のシミュレーションと実測の比較を見ると、実測の方が10km/h程度最低速度が高くなっています。
この原因は、アトウッドのバンク角が大きいためだと考えられ、横Gは1.4Gも出ています。
他のコーナは1.25G前後ですから、12%も高い横Gが発生しています。

しかし、mistbahnさんの実測を見ると、アトウッドの横Gが1.05Gと他と比べて高くありません。
恐らく1.15~1.2Gは出るはずです。

ヘアピンも同様なのですが、恐らく自分の中で横Gの最大を決めてしまい、それ以上の横Gが発生するような速度で走っていないだけだと思うので、もっと速度を上げる必要があると思います。

それと、前回の日光でも書いたのですが、減速Gが低すぎるのが気になります。
今回のシミュレーションも0.63Gを最大減速Gとしていますが、明らかに低いです。

走行データを見ると、減速開始からほぼ最大減速Gが発生できていて運転に問題は見られないのですが、0.63Gではどうにもならないので、まずは減速Gが低い問題について対策が必要と思われます。

ということで、岡山国際のシミュレーションでした。
残る国内の大きいサーキットはSUGOとオートポリスだけになりました。
そのうち取り組みたいと思います。


追記
S耐のAMG SLS GT3もシミュレーションしてみました。
条件は富士、もてぎと同じです。


シミュレーションのラップタイム:1分32秒70
2013年のS耐予選タイム   :1分31秒087

ということで、そこそこ合ってることが確認できました。

プロフィール

サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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