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2024年04月07日 イイね!

レーシングドライバーの減速区間走り方分析(シビックタイプR)

最近仕事が暇です。
今の会社に入って今年で27年くらい経つのですが、ここ2か月くらいは未だかつてないくらい暇で、それはそれで心配ですが、おかげさまでサーキット走行理論について考える時間がたくさんとれるようになりました。

そんなわけで、まだまだ続くサーキット走行理論です。

今日は、前回の疑問「なぜレーシングドライバーは速度変化に折れ点があるような速度変化で走るのか?」について考えます。

早速ですが、僕の推定です。
1、折れ点付近をサーキットシミュレーションのように走れない。
2、最低速度付近をサーキットシミュレーションのように走れない。
3、サーキットシミュレーションの計算結果がそもそも間違っている。

実は3かもしれませんが、それは自分ではわからないので1または2ということにして考えます。

まず1の折れ点付近をサーキットシミュレーションのように走れないについてです。

欧州式の説明で”コーナ中にブレーキを踏むと減速にタイヤのグリップを使ってしまうのでタイヤのグリップを100%使えない”というのを聞いたことがあると思います。

減速時の折れ点付近というのは、減速Gが高い(荷重が前に移動している)状態で横Gが増加する領域なのでリアタイヤが滑りやすく不安定な状態になっているのは間違いありません。(僕もこの領域でよくスピンします。)

そのため、サーキットシミュレーションで想定している摩擦円の通りに実際は走ることができないというのが1番目の推定原因です。

しかし、日本式の場合はその領域を使って走っているということになるので、違う気もします。

次に2の最低速度付近をサーキットシミュレーションのように走れないですが、その意味はエンジンブレーキ(+走行抵抗)による減速Gよりも低い減速Gで走行することができない、または非常に難しいという意味です。

この説が正しいとすれば、エンジンブレーキによる減速Gよりも低い減速Gで減速している区間がないはずなので、今日はその確認をします。

確認をするのはジェンソン・バトン選手がハンガロリンクをシビックタイプRで走行したときの走行データです。

FK8シビックタイプRのエンジブレーキ減速Gについては実測結果がないので、代用として僕のS2000の実測結果と比較することにしました。

グラフに書いてある右下がりの斜め線がS2000のエンジンブレーキ時の速度変化で、エンジンブレーキの速度変化はコーナの最低速度付近で一致するように重ねています。

余談ですが、グラフ見てわかるようにエンジンブレーキ時の速度変化は距離に対して線形で減少する変化をするということを今回初めて知りました。
見た目が直線っぽいことは以前からわかっていましたが、実際に近似線書いたら、ほぼ距離の1次に比例して減少していました。

1コーナ~2コーナ


4コーナ~6コーナ


8コーナ~11コーナ


12コーナ~14コーナ


13コーナを除いて全てのコーナで最低速度までの減速Gがエンジンブレーキの減速Gよりも高いことが確認できました。

車載映像で13コーナを確認したところ、最低速度になるまでアクセル踏んでいなそうなので、なぜ減速Gが低いのか理由はわかりませんでした。

今回の確認結果から、少なくともエンジンブレーキの減速Gよりも低い減速Gで減速する区間はほぼないということがわかったので、この事実をもとにさらに考えます。

まずは下図をご覧ください。
これは、以前サーキットシミュレーションで考えた最速ラインの速度変化と実測に近似した速度変化を重ねて、さらにそれぞれの半径変形を重ねたものです。

最速ラインが速度sim、実測に近似したラインが速度sim近似です。


この図のaの区間は最速ラインよりも実測近似の方が半径が小さく、bの区間は最速ラインよりも実測近似の方が半径が大きくなっています。

bの区間の半径が大きい理由は、実測近似はbの区間の速度変化がほぼエンジブレーキの速度変化と等しく最速ラインの速度よりも高い速度で走る必要があるためです。

一方、aの区間の半径が小さい理由は、bの区間の半径が大きいためその分aの区間の半径が小さくないと向きが変わらないためです。

(走行距離がL(m)で、半径がr(m)のときの向き変化ΔθはΔθ=L/r(rad)なので、同じ走行距離Lでより多く向きを変える(Δθを大きくする)ためには半径rを小さくする必要があります。)

以上から減速の速度変化に折れ点がある理由を以下のように推測しました。

①最低速度直前の減速Gはエンジンブレーキの減速Gよりも低く走れない。
        ↓
②最低速度直前の半径が最速ラインよりも大きくなる。
        ↓
③最低速度直前の向き変化が少なくなるため、コーナ入り口の半径を小さくする必要がある。
        ↓
④フルブレーキ区間の後に急に半径を小さくする必要があるので、速度変化に折れ点ができる。

実際のところは1の折れ点付近をサーキットシミュレーションのように走れないという理由もある気もしますが、F1ドライバーでも最低速度直前の減速Gをエンジンブレーキ任せにしていることから、最低速度直前の減速Gをエンジンブレーキよりも低くアクセルコントロールすることができないということなのだろうと思いました。

したがって、減速の速度変化に折れ点がある理由は最低速度直線の減速Gをエンジンブレーキよりも低くアクセルコントロールすることができないという車輛特性上の都合ではないか?というのが本日の結論です。

次回は今回と同じことをスーパーフォーミュラで確認してみます。
Posted at 2024/04/07 22:33:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記

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サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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