
8日の米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏。選挙期間中の過激な発言は、日本を含む関係諸国に少なからぬ憂慮を抱かせた。トランプ氏の当選が現実のものとなった今、憂慮も現実のものになるのか、逆に、自国にとってどんなメリットがあるのかといった議論が盛んに繰り広げられている。中国メディア・第一財経は16日、「トランプ勝利後、アジアのどの国が慌てているか考えてみよう」と題した記事を掲載した。
日本と韓国については、米国と長期にわたる盟友であり、選挙期間中にトランプ氏が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対を示したこと、安全保障上において駐留米軍経費の負担を求めたことについて衝撃を受けていると紹介。日本は17日に安倍首相とトランプ氏との会談をセッティングするなど素早い動きを見せたが、韓国は朴槿恵(パク・クネ)大統領が政治的危機に追いやられている国内事情ゆえ、「速やかな行動に出られない」状況であるとした。このほかにも、日韓両国は核兵器保有や対北朝鮮政策についてトランプ氏の意向を知りたがっていると解説した。
中国については、トランプ氏が選挙期間中に中国を「通貨操縦国」と非難し、中国製品に対して45%の関税をかける、中国人観光客のビザ発給を削減するといった「脅し」をかけてきたと紹介。その一方で、14日には習近平国家主席がトランプ氏と電話会談を行い、祝辞とともに両国の協力強化を望むメッセージを発したところ、トランプ氏もこれに賛同したことを伝えた。そして、中国が抱える憂慮として、「トランプ大統領」誕生によって、米国がグローバル化や自由貿易といった「中国経済にとって少なからぬメリットを持つ流れ」に力を注がなくなる可能性がある点を挙げた専門家の意見を紹介している。
東南アジアでは、まずフィリピンについて言及。オバマ大統領との関係を悪化させたドゥテルテ大統領はトランプ氏当選直後に「もうケンカはしない」と発言したことを挙げ、両国関係は改善に向かうとの見方が出ているとした。また、カンボジアのフン・セン首相もトランプ氏の支持者であるとする一方、マレーシアやインドネシアなどムスリムが多数居住する国では、「トランプ氏は極めて歓迎されないだろう」と論じた。そして、トランプ氏の対中政策への姿勢が明らかになっていない状況の中、もし、現在米国政府が進めるアジア太平洋戦略が放棄されれば、地域のパワーバランスが崩れるのではないかということを東南アジア各国政府は懸念しているとした。
このほか、対外貿易に大きく依存しTPPを積極的に推進してきたシンガポールは、TPPが破談になり米国が太平洋から身を引くことを心配していると説明。インドについては選挙期間中に関係強化を進める発言をしたものの「インド系米国人の票集め」だった可能性があり、実際どうなるかは不透明であると伝えている。
とにかく未知数なことだらけの「トランプ政権」。選挙期間中の発言が果たして「本気」のものなのかは分からない。日本を含めたアジア諸国は、トランプ氏との関係づくりの中で、その真意を探っていかなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)Evgeny Gromov/123RF)
:サーチナ 2016/11/17
Posted at 2017/01/12 03:43:30 | |
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