
日本に対する中国人の評価として、伝統の文化や技術をしっかりと守っていることがしばしば取り上げられる。しかし、日本の伝統文化も決して順風満帆な道のりを歩んできたわけではない。中国メディア・国際在線は18日「日本人は伝統工芸をどうやって残しているのか」とする記事を掲載した。
記事は、日本を訪れる中国人観光客の多くが日本の伝統工芸品をお土産に選ぶとしたうえで、「日本はどうやって伝統工芸を途絶えさせずに保ってきたのか。また、その発展に向けてどんな努力をしているのか」と問題提起した。
そして、具体的な事例として京都の象嵌職人について紹介。約550年の歴史を持つとされる象嵌細工は、金箔や銀箔といった貴重な原料を用いるうえに複雑な技術を必要とするために市場価格が非常に高くなり、一般市民の手の届かない工芸品になっていると説明。それゆえ生計を立てるのが難しく、代々世襲してきた職人の家には後継者がいなくなってしまったとし、現在は企業で象嵌技術を学んだ後で従事する「社員職人」10人ほどに技術の継承を委ねざるを得ない状況となっていることを伝えた。
また、「比較的順調に伝承が進んでいる」例として、同じく京都の和ロウソク職人の状況についても言及。工業化の時代、ロウソクの利用がますます少なくなる中、現状を打破すべく絵を描き付けた和ロウソクの工芸品を考案、和ロウソクに新たなチャンスを生み出したと紹介した。さらに、伝承が途絶える危機に直面した和ロウソク職人たちが伝承制度の改革に乗り出し、一子相伝を改めて広く継承者を集める姿勢にシフトしたことでピンチを乗り越えつつあることを説明している。
記事は、和ロウソク職人が「近年頻発する自然災害によって、若い人たちが自らの伝統文化の貴重さを再認識するようになっている」と語り、若者の多くが日本の伝統に興味を持ち始めているとの感触を示したことを併せて伝えた。
伝統的な文化や工芸を継承するうえで大きな要素となるのは、子どもや若い世代にいかにして興味を持ってもらうかだろう。そのためには、核となる部分は守りつつも、時代や社会の流れに合わせられる部分は変えていくという柔軟な姿勢、勇気ある決断が必要となる。それが上手く行く伝統文化・技術は長きにわたって受け継がれるし、そうでないものは廃れることになるのだ。
急成長が一段落した中国では近ごろ、伝統文化や技術を見直す動きが進んでいる。ソフトパワーを世界に発信するという狙いもあるのだが、政府や共産党による一大キャンペーンに加えて、若者世代を振り向かせる努力や工夫が必要だ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ 2016-06-21 14:49
Posted at 2017/01/17 21:56:11 | |
トラックバック(0) | 趣味