
中国の、習近平国家主席は9月3日、「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合で、アフリカの発展支援のために、今後3年間をめどに、600億ドル(約6兆6000億円)を拠出すると発表したが、中国では2000年から2016年までに、アフリカ諸国に1250億ドルの借款を行っており、これで計1850億ドル(約20兆3500億円)に達する。このため、中国内では「血税を、アフリカにばらまくな。中国内の貧困家庭に使え」などとの批判が巻き起こっている。
これに対して、習氏は「アフリカ諸国を支援するために必要な資金だ。無駄に使うのではない。ましてや、中国が見栄を張るためではない」などと述べて、居直りとみえるような姿勢を示しており、これに対しても、習氏への批判が高まっている。米政府系メディア、「ボイス・オブ・アメリカ」が報じた。
フォーラムは、アフリカとの投資や、貿易の促進を目指して2000年に発足し、首脳会合は2015年以来、3年ぶり。習氏は2015年の南アフリカ・ヨハネスブルクで、開催された首脳会合でも、3年間で600億ドルをアフリカに拠出する方針を表明していた。
中国は中国内陸部から、アフリカ大陸に達する巨大経済圏構想、「一帯一路」プロジェクトを推進しており、今回の対アフリカ支援は資源の主要輸入先で、潜在的な巨大市場でもあるアフリカへの影響力拡大の狙いもある。
600億ドルの内訳は、無償援助や無利息借款、特別融資が150億ドル、中国企業によるアフリカへの投資が100億ドルなど。アフリカ諸国の一部で、政府債務が膨張していることを受けて、今年末までに償還期限を迎えながら、返済不能の無利息借款については、債務免除を認めている。
しかし、このようなアフリカ諸国への、莫大な資金援助に対しては、中国内外から批判が多いのも事実だ。
米ジョンズ・ホプキンス大学による、「中国アフリカ研究プロジェクト」によると、中国は2000年から2016年まで、すでに1250億ドルもの資金を拠出している。これによって、アフリカ北東部に位置するジブチに、中国軍の初の海外軍事拠点である、海軍基地を建設しているが、「コストの割には、中国にとって本国から遠く離れた基地が、役に立つかどうかは極めて疑問」との声も出ている。
さらに、最近では米国との貿易摩擦が激化し、中国経済に影響が出始めており、対外援助拡大を疑問視する声も表面化しつつある。
習氏の母校、清華大の許章潤教授は7月、「無原則にアジアや、アフリカを支援していけば、中国国民の生活を締め付けることになる」と指摘。山東大の孫文広・元教授も8月、「中国国内にも貧しい国民が多いのに、外国に金をばらまく必要があるのか」などと批判し、当局に一時拘束された。こうしたこともあり、習近平指導部の強権発動に反発が強まりつつある。

2018/09/20 07:00
Posted at 2018/09/21 06:52:37 | |
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