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『早くしなさい』



親なら、一度は子供に言ったことがある言葉ではないでしょうか？




今回は、この言葉が発端となった、

「親の言葉」と「こどもの心」

を考えさせられた、切ないお話です。












昨夜、帰宅後、同居の義理の母から

「話があるから、ちょっと座って」

と、妻と共に呼ばれました。







小学2年生の娘、
今は夏休みなので毎日義母が見てくれています。


そんな娘に、お昼何食べる？と聞くと、

「……何でもいい」

と娘は答えます。



何かを選ぶとき、

「……どっちでもいいかな」


どこ行く？と聞くと

「……どこでもいいよ」



娘は、
自分の意見をあまり言わないみたいです。
※普段、私が何か聞くときには、
特にそんなことはないのですが……。



これを不思議に思った義母は、
仕事で帰りが遅かった私と妻がいない隙に、
夕食時にその理由を聞いたそうです。



「○○（娘の名前）は、
よく、何でもいいとか、
どっちでもいいっていうでしよ？
なんで？
自分の言いたいことは言っていいんだよ」



すると、娘はしばらく黙りこんだ後に、



「私は決めるのが遅いでしょ？
聞かれたことに答えようと考えるんだけど、
ママがいつも『早くしなさい』って怒るから……」



と、言いながらポロポロと涙を流して
話し始めたそうです。


「ママに嫌われたくないし、
怒られたくないし、
ママには笑っててほしいから、
だから『何でもいい』って答えるの」

「本当は、あれが食べたいなとか、
こっちの服がいいなとかあるけど」

「学校の準備とか、着替えとか、
いつも『早くしなさい』って言われるから、
嫌だなって思った」

「私は一生懸命やってるけど、
早くできないんだもん……」


と、言い終えて泣き崩れたそうです。







この話を聞き、
私も泣きました……。


8年前に我が家に生まれてきてくれた、
あんなに小さかった子が、
ここまで自分の意見と考えを持ってたことの喜びと、
辛い思いを汲んであげられなかった情けなさ、
妻の暴走を止められなかった自分への腹立たしさ

色々入り交じった複雑な涙です。







広い意味ではこれも娘にとっては
『虐待』になっていたのかもしれませんね……。





「○○ちゃんっていつも笑顔で元気だね」

と、周囲からはよく言われます。

笑顔の絶えない家庭を目指してる私に取っては、
この上ないありがたいお言葉ですが、
その裏で実はこんな悩みというか、
辛さを持っていたなんて、
それに気付けなかった不甲斐なさに腹がたちます。








妻は、父親に似てせっかちで、
「まずは自分本位」な面が多々ある人。
自分の思い通りにできないことに腹が立つ性分で、
完璧主義者。
ここも父親そっくりです。

妻の両親もかつては共働きで、
妻とすぐ下の妹は、
小さい頃から何でも自分たちでやってきたそうです。
それもあって、娘にもよく言います。

「ママが○○くらいの時には全部自分でやってたよ」
「なんでそれくらいできないの？」







対して私は基本的には楽天家。
せかせかするのは嫌いですし、
良くも悪くもマイペース。
時には失敗もありますが、
それはそれでいい経験だ、
と思って生きてます。

なので、娘に何か聞くときも
「あとで答え聞くね」
と時間に余裕を持たせますし、
出てきた答えに対しても否定せず、
まずやらせます。
私の親がそうでした。
まず問い掛け、そして考えさせる。


それぞれの家庭の事情や方針があるので、
どちらが正解なのかはわかりません。




そんな妻ですから、
子供たちがのんびりやってると怒りだします。


妻も正社員として働いていますので、
時間と仕事に追われ、
子供たちのゆるさに我慢ができない、
その気持ちは理解できます。


ただ、まだ8歳と5歳。
急がなきゃと思うには経験値が足りません。
それをフォローするのが親だと私は思うんです。


なので、常々妻には

「子供たちに対して急ぎすぎ」

と言ってきました。



しかし、私の言葉では
妻の心には何も響かなかったのが
残念でなりません。







娘と息子には、のびのびと、自由に、
色んなことに挑戦してほしいと願って、
その思いを込めた字を入れた名前を
二人の子供にプレゼントしました。




が、それを阻害していたのが、
その名前をつけた親という、
何とも皮肉な話……。



もっとも、
事の発端は妻の言動かもしれませんが、
それを止められなかったのは、
私の責任です。

私ももっと強くならねば……。














今朝、娘は
ラジオ体操に行くために、
起きてくるなりすぐに着替え、
髪を縛り、
コップを二つ用意しそれぞれに麦茶を入れ、
弟の着替えを手伝った後、
仲良く麦茶を飲み、
スタンプカードを首から下げて

「いってきま～す」

と、二人で元気よく出ていきました。

いつもの光景ですが、
今朝はそれがすごく健気に思えた。





「いつもママが怒る」
から、急いで準備して、
弟が怒られないように手伝い、
「早くしなさい」
と言われないうちに、出ていった。

彼女なりに考えて、
ママを怒らせないように、
やれることをやって……

私にはそう見えました。

もちろん、考えすぎかもしれませんが、
昨夜の話を聞いた後だけに……。







ただ、やはり親の言葉は子供にとって、
非常にありがたい反面、重さもあるってことを
改めて思い知らされました。





娘が今後、
自分の思いを自分の言葉で素直に言えるよう、
家庭環境改善に取り組みます。




もちろん、妻には

『早くしなさい』

厳禁令を出しました。

今回はさすがに妻も堪えたようで、
「あまり寝れなかった……」
そうです。




少しは変わってくれるといいのですが……。









以上、最後までお読み頂きありがとうございます。