
やさしく雪を包む淡い日差し
目に見えているものだけがすべてじゃない
「愛とやさしさの境界線」
「トントントトン♪」
“ん...”
寒い朝、1DKの狭い部屋に響き渡る軽快で子気味良い包丁の音。朝にふさわしいその音で俺は目が覚めた。
俺には付き合って2年になる彼女がいる。「料理は苦手なの」って言ってた彼女。それでも一緒に暮らすようになってからは、毎日朝ごはんを作ってくれてる。あ、時々朝寝坊して食パン一枚の日もあるけど。...ふふ。あー、この心地いい音を聞いてたらまた眠くなってきた。今日はバイト休みだし...ん...むにゃむにゃ。
「トントントトトッ!トトントンットンットントントタタタタッ!!」
“荒ぶってる!”
どうした急に!なんて激しい包丁さばき!心地良さは微塵も感じられん!
...なんなんだ...いったい何を切ってんだ?!まさかまな板の上で謎リズムを刻んでるだけとか...?それとも俺を起こそうとあえて荒ぶってみせてるのか...?...わからん。どっちにしても今起きるのはまずい、そう俺の本能が教えてくれた。
「じゅーじゅー」
“あーおなかすいてきたぁ”
何かを焼き始めたようだ。実は毎朝この音を聞くのを楽しみにしてて。
目玉焼きかな?玉子焼きかな?ベーコンかな?ソーセージかな?なんてじゅーっていう音を聞きながら想像を膨らませてると、さっきまでの不安な気持ちが静まり返ってくのが分かる。今の俺にはもうワクワクしかない。そろそろ起きようかな?
「えぃやっ!はーッ!!」
“気合がすごい!”
謎!朝ごはんだよね?!朝ごはんにその気合必要?!何してんの俺の彼女?!
俺は起こしかけた体をまたふとんの中にもぐらせた。寒いってのもあるけど、体が少しだけ震えてる。気合のこもった掛け声のあとには「バンッ」って音も聞こえて...。不安を通り越して、俺は起きるのが怖くなってきた。
「あっ!!...やっちゃった...」
“聞こえたぞ!!”
聞こえた!確実に聞こえた!聞き逃すものか!今やっちゃったって言ったよね絶対!
いったい何をやっちゃったんだ...?!玉子焼き作ろうとしたけどうまくいかなくてスクランブルエッグになっちゃった的なやつか?いやそんなかわいいやつじゃないぞって訴える俺の直感!さっきの掛け声もだけど俺はもうパニックだよ!
「...ま、いっか...」
“いいんかい!!”
ま、いっかって小声で言った!ま、いっかってだいたいダメなやつだから経験上!!
彼女の性格を俺はよく知ってる。真面目で、しゃんとしてて、でもちょこっとだけすっとこどっこいで。つまり、今日の朝ごはんは期待しちゃだめってこと。きっと、すっとこどっこい全開だと思うから。今、そう確信してる俺。
「じゅわわわわわわわーッ!!!!」
“うわーッ!!”
朝からステーキでも焼いてんの?!でももう何を聞いても驚かない俺の強メンタル!
俺の彼女さん!いつもごはん作ってくれてありがとうだけどさ!でもでもでもさ!いいのよ朝は目玉焼きとベーコンとトーストくらいで!軽くいこうよ軽く!なんかとんでもない朝ごはんが出てくる予感しかしないから今のうちに言っとく!
「できたー...ちゃんと焼けてるかな?」
“終わった...か”
部屋に静けさが戻ってきた。小鳥の鳴く声が俺をなぐさめているように感じた。
聞こえてきた彼女のひとり言から、やっぱり何かを焼いていたってことが分かった。そして、何かは分からないけどちゃんと焼けていない可能性があるらしい。まあもうそんなことはどうでもいいさ。
自分に言い聞かせる訳じゃないけど、すっとこどっこいなところも全部ひっくるめて彼女のことを好きになった俺。だから今の俺にできること...いや、俺がしなくちゃいけないのは、彼女に笑顔で「おはよう」って言うことなんだと思う。
そうさ、逆に考えれば最高の朝の目覚めだったんだよ!朝早くから俺なんかのために手抜きしない気合全開の手料理を作ってくれてたんだから!もうマジ感謝だよ!かかってこい朝ごはん!どんなだって驚かない!そう!どんなことがあっても絶対に君を傷つけたりしない!さあ起き上がるんだ俺!勇気GOGO俺!
「お、おはよう」
「ぁ!おはよー!」
「うん、おはよ...寒いね」
「あ、ごめん、今ストーブつけるね」
「うん、ありがと...あ...もしかして...朝ごはん作ってた...?」
「うん!...あ、うるさかったかな?ごめんね」
「いやいやううん大丈夫大丈夫おはよう」
「おはようってさっき聞いた~」
「え、そうだっけ?あははおはよう」
「また言ってる~ねえ朝ごはん食べるでしょ?」
「ふぇ?!あっ、あ、うんうん朝ご...はん食べ...よっかな~?」
「なんかさっきから変だよ~?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!あはは!朝ごはん食べる食べる!勇気すごいから俺!」
「勇気?ま、いっか♪今日の朝ごはんはね~...じゃーん!」
「これ...お、おこの...」
「そう!お好み焼き!でもただのお好み焼きじゃないよ~もやしお好み焼きでーす!細かめに刻んだもやしが2袋分入ってるからもやしたっぷりお好み焼きかな!でもひっくり返すときに失敗しちゃってぐちゃってなってしかも火加減間違えて片面だけ焦げ焦げになっちゃったけどたぶん中まで火は通ってると思うしソースたっぷりかけたし...でもでもこのお好み焼きってもやし料理研究家の城実先生の料理本に載ってたやつでそのレシピ通りに作ったから味は絶対間違いないはずだから~どうぞ召し上がれ♪」
...点と点が線でつながったその時、俺の視界に入ってきた置時計の針は朝の5:30を指していた。クロノスタシスの余韻に浸りながらも、俺は彼女にやさしく声を掛けた。
「ちょっとコンビニ行ってくるね」
...あ、ロンパメです。
もやし料理研究家の城実先生の料理本が気になってしょうがない料理好きのほぼ全員が料理本を買い漁った結果全国書店で次々にベストセラー1位を獲得しちゃってさらに高まるもやし需要についていけない全国スーパーマーケットが売り控えを決行して全国的にもやし難民で溢れかえりそうですが、先日は雪と道路としろデミちゃんが織りなす素晴らしきグレースケールの世界に行ってきました。
まあ端的に言うと道端に行ってきたわけですが、いつもの道端も雪効果でまるで別世界にいるかのようでした。で、そんな別世界にいたしろデミちゃんも雪効果でまるでかわいい城実ちゃんのようでした。
それってこんな感じかも!

(それってこんな感じだったのか!)
あらやだ城実ちゃんじゃないこんなところで偶然ね。

(どちらさまでしょうか)
わたしよわたし!忘れたのー?城実ちゃん。

(知りませんよ!あなたみたいなひと!)
立ち話もなんだからちょっとそこのお店入ろっか。

(ちょっと触らないでよ!馴れ馴れしい!)
さて、しろデミちゃんのボディーの色は白色です。以前最強の森へ出掛けた際にも思ったことですが、この日雪の中でクル活をしていて「あぁ、白色っていいな」ってあらためて思いました。
なんていうか...その...一体感っていうか...違和感の無さっていうか...映えるっていうか...うん、すっごくかわいく映えるってことですね。
こんな風にね!

(わかるよその気持ち!)
雪の中で映えるかわいくて白い車部門で優勝。

(うんうんそうかもね!)
如何にも、その通りじゃ。

(武士にも映えるが伝わったみたい!)
かような褒美を頂き、痛み入りましてございます。

(武士が何か褒美をもらったみたい!)
☆以前のクロミちゃんのかわいさが映えるブログはこちら
スノーフレイクそのままに、どこまでもしろデミちゃん
冬を走る、しろデミちゃんと一緒に。
“いつ叶うかも分からない願い
そんな不確かな願いでもふたりを繋ぎとめるには十分で”
ね、やっぱり城実ちゃんはかわいいです。
あ、違った。やっぱりしろデミちゃんはかわいいです。
ロンパメバーグ
Posted at 2024/01/01 08:38:02 | |
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