
パステルタッチの折り紙財布
春の色めき持ち歩く明里橋通り
「ウィーンのいたずらフリューシュテュック」
「ねえ、せっかくだから連絡先交換しない?」
「うんいいよ」
「名前教えてよ」
「名前?わたしはしろみ」
「えっ...?!うそでしょ?!」
「え?なになになんでなんで?」
「あたしもおんなじなの、シロミっていうの」
「うっそー?!」
......
あたしと同じ名前の彼女との出会いは、そんなだったんだ。偶然なんだ。うん...確かに偶然なんだけど。なんて言うか...恥ずかしい言い方だけど、今じゃ、あれって運命だったのかもなんて思ったりしてて。
あれ以来、だいたい2か月に一回くらいは、あの時の休憩所で彼女と会えてる感じかな。『会えてる』っていう言い方、うん別に約束してるわけじゃないからね。二人の休みが一緒だった時に、やっぱり偶然会えてるってこと。
会って何してるって訳じゃないんだ。お互いに朝ごはんを車の中で食べて、その後ちょっと挨拶したりしてそれでおしまい。その挨拶だって『いい天気だね』なんて、どうでもいい系まっしぐらのやつ。
仕事が忙し過ぎるのもあって...って、こんなの言い訳だけど、正直なところほかに友達っていなくって。あ、彼女のことを友達って思ってるのはあたしだけかも知れないけど。でもなんかさ...伝わるかな...この気持ち。
あたしって見た目はキャピキャピしててサバサバした性格に見えるかも知れないけど、ね、実は結構ナイーブで、いろいろ考えちゃう方なんだよねー。一人で勝手に悩んじゃう。この性格直したいって思うわー。
そんなセンチメンタルなあたしだけど、これでいいのだ。だってこれがあたしだもんね!いつもの休憩所に行ったからといって、彼女に会えるかどうかは分からない。だとしても、あたしはいつもドリンクホルダーにアイスコーヒー、ベーコン&ポテトサラダサンドとロールケーキを助手席に置く。だってこれは、おまじないみたいなものなのよ。
海へと続く、片側2車線の広い道。最近休みの度に通ってる道。目的地に用はないけど、会いたい人に会える...かも知れない。あたしはそう期待して、アクセルをさらに踏み込む。
「あっ!やだ信号赤?!」
キキ―ッ!
初めて彼女を見かけたこの交差点で、いっつも急ブレーキ。後ろばかり気にしちゃって、つい目の前の信号を見逃しがちなあたし。いけないね、集中しなきゃ。
ブゥオオーン!ブゥオオオォーーン!
「この音...」
右側のサイドミラーに映るあたしと同じ車。最近はもう音で分かる、彼女だ...。ステアを握る手がちょっと震えてる。もしかしてあたし緊張してる?えっえっ?!何何なんで?!
右側の車線を走ってきた彼女の車も、同じ赤信号で止まった。彼女がこっちを見て手を振ってる。やだ、なんか恥ずかしいって思ってすぐにうつむくあたし。あーだめ、こういうところがだめなあたし。素直になりなさい!
ブォンブォン!!ブゥオオオォーーン!
信号が青に変わると同時に、彼女の車はターボならではの鋭い加速を見せる。あたしは、ワンテンポ遅れて彼女の後をついていく。うそみたいだけど、8連勤の疲れなんてどっか飛んでっちゃったみたいな気分。今。
「そろそろ...かな」
いつもの休憩所を目前に、彼女の車の左ウインカーが灯る。あたしも同じく左ウインカー。どうしよう、なんて声かけよう...彼女に会うのほんとに2か月ぶりくらいかも...。うーん、やばい。
なんとなくなんだけど、まだ彼女の車のすぐ隣には止められない。どうしても一台分空けて止めちゃう。それも左側にね。車を止めて、パーキングブレーキをかけ、深呼吸して、アイスコーヒーをぐっとひと口。...よし!
コンコンコン
「えっ?」
音のする方に顔を向けて見てみたら、彼女があたしの車の窓をたたいてる。
ゴホッ!ゴッ...ゴホッ!
コーヒーが変なところに入って、思わずむせちゃった。だって彼女から声をかけてくれるなんて初めてで驚きがすごくって...。むせながら、あたしが運転席側の窓を開けたら、笑顔の彼女が声をかけてくれた。
ウィーン
「おはよ」
「あ、ごほっ...おは...うぃっ」
「あはは、何うぃって」
「ごめんごめん、ん...おはよー」
「大丈夫?」
「うん、コーヒーがちょっといたずらしただけ」
「そっか......」
「ん?」
「...あっはははは♪」
「え?」
「ごめんごめ...あはははっ♪」
「なになにあたし顔になんかついてる?」
「ううんううんごめんごめんね」
「人の顔見て笑ったりしてーもう」
「ほんとごめん楽しくってつい、あはは」
「笑いすぎー」
「ふふ、あっ、ねえ、ちょっと時間ある?」
「時間?」
「朝ごはんこれからでしょ?」
「うん」
「これ...一緒に食べようよ」
「あ!サンドイッチ!...ふたつ?」
「シロミさんの分、今日会えそうな気がして」
「...やっぱりあたしたち似てる...ほら」
「あ!ロールケーキ!ふたつ!」
「しろみさんの分、今日会えるかもって」
「考えることは同じね」
「そうだね」
「...ねえ」
「なに?」
「となり、座っていい?」
...あ、ロンパメです。
前回放送の連続テレビ小説的ドラマの第二話で一発逆転主人公交代策に打って出てからというもの地味に第三話への期待が高まってきているのをいち早く察知した放送元のローカルテレビ局が主人公ふたりのスケジュール調整を無理矢理に断行して第三話で登場させた結果しろみシロミ渋滞が発生しちゃってそれを見たほぼ全員が『え?どっちがどっちだっけ?』って困惑する事態になって第三話の放送直後から局へのクレームの電話が鳴り止まなくなっててんやわんやしたのちに番組総責任者のプロデューサーが雲隠れしてこのドラマは打ち切りになって伝説のドラマとしてこの先語り継がれていきそうでしたが、先日は春を見つけに行ってきました。
春ってこんな感じかも!

(いやまたセピア感強めだしこれはほぼ冬)
この春感強めな場所がどこかというと、近畿地方整備局福井河川国道事務所九頭竜川鳴鹿大堰管理署が支配する(言い方)九頭竜川地域防災センターと九頭竜川資料館わくわくRivewCANのすぐ近くです。どういう場所かというと、その言葉の通りの場所です。
それってこういうこと!

(どういうこと?!)
ほらね。

(これが わくわくRivewCAN ?!)
わくわくしてきました。

(伝わらん! 伝わらんぞ!)
テンションがチョベリグでもうバリバリです。

(ははぁ!!なんかすごいってことだけは伝わった)
もう夕方なんだから諦めなさい。

(え?)
二度は言わないよ!!

(ははぁ!!承知しました!)
まあ、つまりは九頭竜川に架かる鳴鹿大橋のダム的な素敵な場所ってことです。詳細については次回のブログでお伝えできるかも知れません。
さて、テンションが上がりすぎたしろデミちゃんですが、定番のかくれんぼをまたし始めました。なのでわたしは「もうしろデミちゃんてばさっきまで怒ってたと思ったらまたかくれんぼ?好きだね~でもそのツンデレ感というかあざと詐欺的な感じがかわいいしかないぞ」って感じのうわーっというような感動を覚えたのでそのかくれんぼに付き合うことにしました。「もういーかい?」ってね。
こんな風にね!

(こ、これは?!)
しろデミちゃんかくれるの上手すぎ~。

(ま、まさか...?!)
やだ~見つけられる気がしな~い。

(なっ...?!)
もう無理~出てきてしろデミちゃん!

(来る...来るぞ...!)
いた~!

(なんとぉーっ!!)
“きらめくリポジトリ
それはいっぱいの君との思い出”
季節なんか越えていけ。
ね、やっぱりしろデミちゃんはかわいいです。
ロンパメバーグ
Posted at 2024/03/09 11:51:26 | |
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