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イイね!
2012年09月01日

これまでどんなところを走って来たのだろう

これまでどんなところを走って来たのだろう 雨の朝に9月を迎えた。
この洗い流す水で、気持ちが落ち着きそうだ。
昨夜から、きちんと食事をとり、夜は早めに寝ることが出来た。
お酒は抜こうかと思ったが、行きつけのお店のマスターと
薄い酒を飲みながら、軽く話をした。
これなら大丈夫だろう。

さて、クルマのブログも休もうかと思ったが、面白いと思って
読んでくれている人がいるのであるからやめられまい。
べつに負担には思っていないので、きょうも日記を書く。
最初の小さな一枚は、カーセンサー関西版の2001年頃の
記事である。
ここにオペルカデットで登場しているのが私。
横にいるのが盟友の紺の豚氏である。

このオペルカデットというのも、「後から発見した」妙に気になるヘンなクルマの1台である。
ただの大衆車ハッチバックだから、ものすごくシンプルで、エンジンは平凡、
室内も飾り気無し、いったいどこが良いの?と尋ねられたら「なんとなく惚れた」としか
言いようが無い。
ただ「最後の西ドイツ車」(1989年モデル)とか、質素で室内に何にも付いていない
昔のヨーロッパ車、特に「ジャーマンアメリカンの良さ」と説明していた。
カメラ好きの私たちはあの頃、ドイツコダックの1950ー60年代の名機
レチナをお互いコレクションしており、GMオペルやドイツフォードって、レチナみたい
な存在だねと、よく酒のネタ話にしていた。

少し説明すると、米国経済と言うのは、今ほど露骨な金融経済主義をとる前は
欧州進出などは、地元のメーカーに出資し取り込んだり(GM系のオペル、ヴォクスホール)
ドイツとイギリスフォードのように別々の地元の国の1企業であった。
昨年破綻した世界を制したイーストマン・コダックでさえ、昔はドイツで良心的な
純ドイツ的なカメラを作っていたのである。そこにあるのは伝統的な技術であり
歴史への尊敬と一定の評価があったのである。

戦後の西ドイツカメラを駆逐したのは、日本製である。いま、日本製品が
中国、韓国、台湾らに追いやられてしまい、見る影も無い。やがて歴史は同じことを
繰り返すであろうが、日の丸やナショナリズムに訴えて、国内政治にまで
自説言論を主張する者たちはVAKKAじゃなかろうかと思うのだが、この国は幼い。
アメリカに日本車が溢れた70ー80年頃の、デトロイトのことを思い出して欲しい。

ところで消えた西ドイツカメラの中にエディクサという会社がある。ここの
1眼レフのうち最もシンプルなスタンダード機の名前が「Kadett」なのである。
嬉しいだろ。当然私もコレクションしながら、カデットで出かける時はKadettを
積んでいた。
リコーのハーフに初期にキャディというカメラがあるが、これはC綴りで始まるが
コンパクトで性能の良い、などいう語感があるのであろう。

さて、紺の豚氏は銀色のリトモアバルト130に乗ってきた。この車も2002年に
ポンテペルレを「追っ掛け」した時に、瀬戸大橋与島まで乗せてもらい、帰りは
運転した。ヤフオクで5万くらいで買ったクルマだったのでは、ないだろうか。
ちなみに私のカデットも、廃業同然の自動車店の草むらから出してきて、5万円を
払った記憶がある。



紺の豚氏というと、ランチアテーマのスペシャリストで、中古の832を2代乗り、
マセラッティビトルボ系のジゴロのような空間でない、古いお城の中の革製
チェアーのような座り心地がたまらなかった。実際新御堂で加速されると、
「高速責め道具だ」と思ったものである。
この人は他にフィアット系の2Lターボ5MTとノンターボの「ただの4発」というのも
一時乗っていた。
挟んだ写真はごく初期のPRV系でないかと思われる、V6で神戸のイタリア
領事館の車を80年代中頃に、見掛けたものである。この頃はランチアテーマは
とても珍しかった。

しかし彼は、こんな恥ずかしい過去も、バラしてイイノダロウカと思うが、ある。



俗に言うテーマタクシーと近隣で言われた、ジアッロに塗られた前期型の1台。
私もカーセンサーに出ている広告で、「いつまでも売れないなあ」とチェック
していたのであるが、後にこれを2足3文で買ったのが彼であったことを知り
噴き出してしまった。
ニコイチ、サンコイチをやりながら、テーマ生活を楽しまれていたのである。

90年代から2000年代前半は、世界が大きくカーブを切った頃である。
日本はまだ、雇用や経済に余裕が有った。車好きたちは爛熟した文化の
裏で、こういった誰も乗らない車を見つけては、面白がっていた。
それを何と言うのか、いま、一定の評価を付けても良いのではないかと思う。



この写真のローバーは、800シリーズでも珍しい、5ドアハッチのVITTESSである。
こういう車が走って来ると、ときめきを覚え、アナログカメラを向けた頃が懐かしい。
名車P6の後釜で、評価の低かったSDー1を引き継いだボディ構成のモデルであろう。

ローバーがホンダからBMWにパートナーを代えて、75シリーズを出した頃は
まだ自動車雑誌の絶頂期であった。
英国風生活を引き合いに出して、英国車をもってくるというパラダイムは
まだ続いている。自動車は外国生活に対する幻想なのだろうか。



私はブルジョワジーの時代は終わりを告げて、各国の普通の人が
普通の暮らしの中で、どうライフスタイルを楽しんでいるかという方が
今のクルマ文化を語る時に、説得力があるように思える。
大矢アキオさんの新著も、停滞する欧州の中で特に「見えにくい」
イタリアの今を伝えてきているようである。
日本が不景気なのは、円高の側面ともう一つは、輸出型企業の凋落である。
日本の自動車メーカーも、英国のようになる前に、カメラメーカーのように
減って行くのかもしれない。
ただ、個人生活は続く。英国であれ、イタリアであれ、僕らはどこに主眼を置いて
生きて行けばよいのか。
80年代の江坂とMGの映った写真を眺めながら、考えて行くことにしよう。


ブログ一覧 | クルマ與太話千夜一夜 | クルマ
Posted at 2012/09/01 07:49:16

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この記事へのコメント

2012年9月1日 10:13
最後の画像
女性のファッションが古臭いなと
(苦笑)
思っていたら、

古い画像だったのですね
納得です。
コメントへの返答
2012年9月1日 13:12
僕らの世代(60年代生れ)が20代であった、
1980年代の一コマでしょう。
江坂は大阪の原宿(古い!)と呼ばれていました。

自分の愛車(850クーペ)内からの
パチリ!です。
2012年9月1日 11:05
先日、早くもレインジローバーのイヴォークが走っていましたが、
名古屋近辺では最新鋭の「ブルジョア」なクルマもじきに見慣れてしまい、
個人的には「景色の一部」に感じてしまいますが、
たまに見かけるチョット古めの、
「多数派マニアに評価されていない」クルマにはハッとしますね。

古い写真、クルマ以上に背景に写っているものが時代を感じて面白いですね。
銀行や消火栓の看板なんか。

ミスドの前のMG、当時の幸せ感が伝わってきます。
コメントへの返答
2012年9月1日 13:20
ありがとうございます。
ブルジョアな車も60ー80年代くらいまでは、
超越しつつも風景の一部であったと思います。
乗っているのが、プロ野球のスターとか
石原裕次郎のような車好きの映画スターとか、
「正当性」が当時はありました。

今は「カオナシ」の人がすごい車に乗っていても何の感動も無く、それがクルマ離れに繋がっていると思うのです。

背景まで見ていただいて、本当に嬉しいです。

若いカップルのおそらく彼が、電話を掛けに行っているのか、帰って来るのを近くで待つ彼女。当時のMG乗りは、中古でも車好きのお洒落な人たちでした。

そういった幸せ感は、今の街角が失った、大切な風景だったと思います。


2012年9月1日 11:53
このカデット、私が英国に渡った当時現役でよく運転しました。
ものすごく基本が良くできた車で、当時の日本車よりハンドリングや高速安定性は優れていました。
メーター読み100mphでも安定して走る車。ブランド名はヴォクソール・アストラでしたが。

現在の円高は現在の政権によって意図的に導入されたのは間違いないところです。
私の職業柄、為替は豆腐屋さんの豆乳の濃さや水温と同じような日常の物ですから、政治的偏見など入る余地はないのですね。日本のマスゴミだけ見ていると分からないことかもしれません。
コメントへの返答
2012年9月1日 13:28
Eカデットお誉めに預かり、児玉英雄さんに代わり、厚く御礼申し上げます。

「質素な西ドイツ車」、友人とよく議論しました。
初代と2代目のゴルフ。3シリーズの最初と2002時代、そしてオペルという選択。
イギリスでは先にアストラの名を使い、これが最後のカデットになりました。

ヨーロッパ車は89年から91年の欧州のうねりを受けて、フランスもドイツも、顕著な個性を無くしました。

フランス車の柔らかいシートと共に思い出すのが、何も室内に余計なボタンは付いていないが、質実だった頃のドイツ車の機能美です。

2012年9月1日 12:19
私も色々ありまして、仕事量を絞って
車の量も減らして・・・(笑)

今更いろいろ思うこともありまして・・・

今、良いなあ、欲しいなあと思うのは、
『アンダルシア 女神の報復』だか
『アマルフィ』だか
で織田雄二が乗ってた白い(多分)カッパ。
ええんすよ。

環境や精神状態や価値観の成熟などの変化で
良いと思うものがこれほど変わるとは(笑)
もう、こっぱずかしくてヘラリなんて無理だす(笑)

832も当時は気に入って乗りましたが、
今更康夫ちゃん気取りも恥ずかしいし(笑)

レストア仕掛かりのエスパーダが残ってるけど
都合よくこれは恥ずかしくないのであった(笑)

写真のローバーは渋いすね、色も良いし。


元禄・旧車、わかりやすいものが全てじゃないっつうことでw


ラテンでゴメン、楽しみにしている1人ですw

コメントへの返答
2012年9月1日 13:44
ウェイン兄に、こう言っていただけると、本当に冥利と思います。

カッパは当然2ドアのクーペの方でしょう。
織田裕二も体育会系俳優の衣を着ていますが、実際に細かい所を見て行くと、演じる所を演じられるノリの良い男ということが判ります。
スポーツカーの似合う男、ほんとうに減りました。

価値観の成熟は、サルがホモサピエンスになった時からの原罪でして、別に中2病じゃ、ありません。
私は30代から40代に掛かる頃に、ローバーとタルボサンバを揃え、最良のカーライフを過ごせたと思います。

でもその後、フェラーリでもなかったし、ベンツでも無かった。年収のピークを越えて、少しずつ撤退する覚悟をしたのが2007年頃だったかな。リトモ125と昨年の850スパイダーは、私に諦めを教えてくれました。

エスパーダは渋さの交じった華やかさがあるから、置かれておいた方が良いでしょう。

こういうローバービッテスに喜んでいただけるなら、行く道はまだあると思います。シトロエンCXやXMの美しさとか、C6ですね。

本当に勇気を頂いたので、私もグッときました。書いて行きます。


2012年9月1日 16:27
↑訂正!カッパじゃないって。

デルタのFF、古いヤツの白ですって。
カッパみたいなグリルなんです。


燃えても嫌だしやっぱ買えないですwww
コメントへの返答
2012年9月1日 18:29
大矢アキオさんが、イタリアに行って最初に乗ったデルタですね。

角目2灯のやつですね。
2012年9月1日 21:05
現在の出来上がった世の中では無理が有りすぎですね
後、一〇年はこんな世の中でしょうね  多分。
新しい価値観の世の中に変化して行く事でしょね。
だから自分の価値観を大切に生きて行きたいです
吾輩です。(ちょと難しいお話ですね)
コメントへの返答
2012年9月2日 6:00
私の文のファンの人は、そういうことがよく分かっておられるなあと、感心します。
しかし、私の家には明治から大正、昭和の戦前、戦後の100年以上のいろんな本があり、特に趣味に関する本などは、価値観は聖域のように思えます。
その時代で可能な遊び方を追求していく。
それが人間の品というものだと考えております。
2012年9月1日 21:29
いやー黄テーマ、懐かしいです。若気の至り(爆)
当時のランチアクラブジャパンの宮沢会長(日本のランチスタの草分け)に
「いいよ!これ!最高だよ!」
と激賞されて、
「関東にも大阪の自爆ギャグが通じる人が居たんだ」
と感銘を受けました(爆)

カデットもリトモももう10年前ですか。今更そこには戻れないですね。あと10年後、お互い何に乗っているんでしょうか。

ブルース・ウェインさんのような人が楽しみにして下さってるのは、励みになりますね。良かったよかった。
コメントへの返答
2012年9月2日 6:07
ご出演感謝いたします。
僕らは点で生きているのでなく、面で生きております。
こういう記事を読んでそれぞれがどう思われるか。
私は新聞社の仕事の中で、検証という仕事がすきでした。
振り返りを、単なる過去へのノスタルジーと捉えるな。これが私の銘です。
その中に上品な笑いを持ってくるのは、プロの仕事です。
車の趣味からこれだけの考えや考察を引き出していく。
それがライター書き手の本領と思い、頑張る事にいたします。
友情出演感謝!
2012年9月2日 20:05
おじゃまいたします。

イッキに読ませていただきました。

90年代なかばころまでは、欧州車も、各車各様の伝統を引きずりながら近代化を続けて、まだまだ個性を保っていた観がありますねぇ。

今は何というか、よく調べてみると基本となる車台が一緒、というのも多くなったようです。

では失礼いたしました。
コメントへの返答
2012年9月3日 4:51
最近、よく読みに来ていただいている
赤影さん、よろしくお願いいたします。

車歴のアプローズが嬉しい!それも5MTというのが。

そうなんです、私は90年代論は大事なテーマで、今のいろんな雑誌や、自動車雑誌もなぜ90年代論をやらないのかと。

車台の共通化は、80年代にイタリアの三社とサーブが行ったことがあり、その時は慎重に持ち味を失わないよう配慮しました。
90年代、米国のビッグ3が世界中の資本を買い漁って、特に2強は台風のように爪痕を多く残した。それが今日です。

またコメントください。出来ればお友達もお願いいたします。
よろしくお願いいたします。



プロフィール

「50cc原付の廃止と元新潟鉄工の破綻 http://cvw.jp/b/176891/48701621/
何シテル?   10/09 14:35
車は殆ど処分して、1971年登録のフィアット850クーペに 1987年以来、乗り続けています。 住居は昭和4年築の、古い日本家屋に、現状で住んでいます。
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