
先日、再び業務出張で沖縄へ行ってきました。
仕事先が繁華街から外れていることからレンタカーをいつものトヨタレンタリース(クラス指定)で手配したら出てきたクルマ…というのが、今回のお題の「トヨタ・ルーミー」です。
ルーミーは昨年11月に発表・発売されたトヨタの小型背高2ボックス車で、ダイハツが製造を担当し、また設計もダイハツが主体で行われたクルマです。基本的なベースは昨年モデルチェンジしたトヨタ・パッソ、ダイハツ・ブーンをベースとしています。昨今のトヨタグループ編成に伴い、トヨタではルーミーとタンク、本家ダイハツではトール、またスバルでもジャスティの名前で取り扱いがあるという、OEMの数が相当多いクルマでもあります。
今回借り受けたルーミーは、その中の一車種ということになります。
借りたルーミーのグレードはX”S”グレードで、スペアタイヤがオプション装着された車両となっていました。借り受けた時点で960kmしか走っていない車だったことも先に断りが必要です。装着タイヤはダンロップ・エナセーブEC300+、製造年週は16年46週生産、車両そのものも11月末~12月初旬に製造された車と推定します。
パッケージングから印象を述べると、大きなダイハツ・タントという印象です。車内は前後・左右・上下方向とも広く、タントに比べると幅が広い分の安定感を感じます。
運転席シートの着座位置が高く、フロントガラスが上下に高く、また遠くにある印象です。
加えて、本車両にはハイトアジャスターが装着されていなかったのですがそれでもインパネの位置が割合に低く、それも座った時の開放感がある印象に一役買っていると思います。

ただしリヤシートはやや安普請な造りで、シートアレンジのために座面のクッション厚さ、長さ、座面角度、それから背もたれの大きさや厚みが犠牲になっている印象を受けます。
一人での出張だったのでリヤシートの乗り心地は割愛します。ただし、駐車場で座ってみた印象ではスモークガラスが相当濃く感じ、昼間でも結構狭く暗い印象を受けました。

ラゲッジスペースも、長さを短く、室内を広く作ったクルマというわけで割り切りが見られます。リヤシートを広く使えば40cm弱の荷室長しかありません。旅行用に使っているカバンを長手方向に収めようとするとリヤシートを少し前に出す必要がありました。
パワートレインですが、本車両は1.0Lガソリン3気筒・自然吸気エンジンにトランスミッションがCVT(無段変速機)を組み合わせ、最大出力は51kW(69ps)/6,000rpm、最大トルクは92Nm(9.4kgm)/4,400rpmという自然吸気としてごく平均的なものを使っています。

沖縄県内の市街地走行、それから高速道路(80km/h規制)の範囲内で乗る分には大きな痛痒を感じませんでした。またアイドリングストップ付のため、音・振動レベルも10万km近く走破したヴィッツに比べて雲泥の差です。これはアイドリングストップが作動しない条件でも十分快適でした。ただし走行1,000km弱の車を相手にしているので、経年変化でどうなるかは未知数です。
少しばかりパワートレインの印象で気になるところがあるとすれば、渋滞走行のような少しアクセルを踏んで20km/h以内まで加速、すぐ減速しまた加速するような走行シーンの場合、CVTの制御に若干の迷いが見られます。現象としてはギクシャクする動き(恐らくエンジンがスナッチしている…専門風に言えば)があります。ギヤ変速を管理するコンピュータの制御系が問題と考えられます。
もう一つ、これは車両の性格上やパワートレイン上仕方ありませんが、高速道路の合流では結構エンジンが頑張る音がします。その割に速度上昇が追い付かない、やや鈍重な加速感になります。1.0Lエンジンとしては十分ですが、日常的に1.5L車を使っているとそう感じる…くらいに捉えてください。
乗り心地ですが、これは明らかにパッケージ…特に全高の高さからくる重心の高さに起因する無理が見られる乗り味でした。
60km/h以下の条件で、普通に使う分には至って快適な乗り心地です。パワーステアリングも軽め、切ったら切った分だけそれなりにリニアに(クイックさはありません)反応します。もっと言えば「車が勝手に指令を処理する」感じです。
問題は80km/h以上になると、特にフロントサスペンションが硬く感じます。高架の継ぎ目などでフロントが跳ねるような乗り心地です。その揺り戻しが一度だけ感じられます。ずっとフワンフワン続くわけではないのですが、市街地から高速に道路が移るとそれが真っ先に気になりました。
それが解決したのは周囲に車両がいない状況で、やや早めのレーンチェンジをしたときのことです。フロントタイヤから限界の音が、想像以上に早くするのです。主にサイドウォールで無理やり支えているような「ゴロゴロゴロッ」という音が、外輪側からするのです。
この時のステアリング・フィールも通常状態と変わらず、またサスペンションが砕ける・よろける印象はありませんがこれ以上柔らかいと条件次第で簡単に横転しそうな印象を受けました。まとめると「車が危険状態であることを感覚から知ることが難しい」ということです。そうさせるためにあえてフロントサスペンションを固め、特に急ブレーキ中の旋回動作(つまりは緊急回避)で横転しない、させないことを目的とした味付けになっています。
こういう乗り心地、車両との対話を拒否する姿勢には個人の印象として感心できません。
細かいところ(主に装備面)では、スライドドアの近くにはグリップが必ずあること、後席シートベルト着用警告灯が用意されていることはファミリーカーとして印象が良いところです。

また、助手席側ドアミラーに補助ミラーがついていて、左側下方の確認がしやすいこともいいところです。

さらに、ナビゲーションの画面も反射しづらい位置に設けられていてそこも良かったです。
この車をまとめると、自宅から買い物やちょっとしたレジャーに、2~3名で高速道路を使わずに普通に使うための車であると考えます。他にも、老齢の家族を送迎する、あるいは福祉車両のような使い方をするにはこれ以上うってつけの車はないと思います。
ただし明確に運転を愉しむ類のクルマではないこと、加えて車側が無理をしていてもドライバーに感じさせにくい操作系にしているということは運転する側にもある程度のスキルやマナーをある種に要求するものであり、無茶な運転をする人が何も考えずに運転すると非常に危険な車であると感じます。それを良しとするかどうかはここでの判断ではないのですが、個人的には「否」であると考えます。
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新車紹介 | 日記
Posted at
2017/01/14 18:37:51