最初に:
本記事(群)は興味を持ったら詳しく調べて頂く…ための前口上と思って頂ければ幸いです。
(かくいう私だって、基本的には右から左に書き写す…状況で、勉強途中でこれを書くという大バカ者です…から、質問には答えられないかもしれません。予めご了承ください。)
もう一つ、本記事(群)では機能の紹介を目的に特定メーカー・製品のイラスト等を用いて紹介することがありますが、特定メーカーや製品を肯定・否定するものではありません。
また、本記事にコメント等を頂く場合についても、特定メーカーや製品を肯定・否定されませんようお願いいたします。
(ご理解いただけない場合、当方の独断においてコメント等を削除させて頂く場合があります。予めご了承ください。)
タイヤのお話、第1テーマは
「空気圧は大事」から入ります。
本題に入る前に、タイヤにはどのような機能が求められるのでしょうか?
大きく4つの分類をしてみると、以下のように区切ることができると考えられます。
・車両の重量を負担する機能
・乗っている人や荷物を揺さぶらないようにする、ばねの機能
・クルマを前や後ろに進む力を路面とやり取りする機能
・クルマを操縦し(=右へ左へ進み)やすくする機能
これら、いずれの機能を満たそうとするために必要な最低限の物質が「空気」なのです。
では空気がどういう役割を果たすのか?を簡単に、そして上記4つの機能に分けて紹介します。
・車両の重量を負担する機能
クルマというのは、4つの車輪で自動車の重さと、人や荷物を乗せた状態の重さを分散して受け持っています。ではどのようにして受け持っているのか?
タイヤを簡単な空気袋に例えてみると、下記の単純な式に表すことができます。
(タイヤ1本が受け持つ重さ:荷重)=(タイヤの接地面積)×(タイヤの空気圧)
この式からは、タイヤの一つの性能は
・タイヤの接地面積を増やす
⇒タイヤのたわみ量を増やす or タイヤの外径や接地幅を大きくする
・タイヤの空気圧を増やす
ことで向上することができる、と言えます。
…現実的には、上記の式は厳密な式とは言えず、またどういう定義なのかが曖昧ではあります。しかし非常に簡単に関係性を紹介できるため、これを引用します。
・ばねの機能
自動車に乗っていて、路面の継ぎ目や段差を乗り越えても、人間が揺さぶられないようにタイヤそのものが衝撃吸収する能力もあります。
これは式で紹介するのが難しいため、参考文献よりタイヤの空気圧とバネ定数の関係性をグラフ化したものを紹介します。

これより、タイヤの空気圧を上げるとバネ定数も上がることが分かります。
この資料は古いのでラジアルタイヤとバイアスタイヤの両方が記載されていますが、
ラジアルタイヤの方がバネ定数は低い(=よく撓むので、バネとして衝撃を吸収できる)ことが分かります。
・力を路面とやり取りする機能
タイヤは、クルマと路面をつなげている唯一の部品です。タイヤは路面をつかむことで車軸の回る力を路面に伝え、クルマが走ったり止まったり曲がったりできるようにできる機能です。
主な機能はゴムの物質とタイヤの構造で議論することができますが、ここでも一つ空気圧が関連することがあります。-それはハイドロプレーニング現象です。
ハイドロプレーニング現象は、タイヤが水たまりの上で滑走する状態になってハンドル操作もブレーキ操作も、もちろんアクセル操作も一切できなくなることです。(浮いているから路面に力が伝わらない。)
このハイドロプレーニング現象の「臨界速度(=ハイドロプレーニングに陥る限界速度)」を求める式に、なんと空気圧が入っているのです。式は
(ハイドロプレーニング臨界速度)=(定数)×√(空気圧)
という極めて単純な式です。この式でもいろんな条件で試したグラフを載せておきます。

これより、ハイドロプレーニング現象を回避するためには
単純に「空気圧を高くすること」ことが有効だ、と言えます。
・クルマを操縦しやすくする機能
自動車がタイヤを用いて旋回するとき、タイヤの力はどっちに働いているのか?
…答えはタイヤの横方向です。この力を「コーナリングフォース」と呼びます。

ではコーナリングフォースと空気圧との関係性は?というと、下記のグラフで紹介します。
コーナリングフォースが、タイヤが進行方向に対して1度傾いた時にどれだけ力が増すか?という比率で考えます。この時の比率を「コーナリングパワー」と呼びます。
ある空気圧まではコーナリングパワーが増えますが、空気圧も高くし過ぎるとタイヤの接地面積が減ることなどから徐々に減ってしまうことが、このグラフから読めるかと思います。
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つまり、どういうことなのか?
空気圧を適正に保つということは…
・タイヤにかかる重さを程よく分散して負担することで、タイヤが長持ちする
・コーナリングに差し掛かった時、より多くの力を発揮することができる
=ちょっとオーバースピードでコーナーに入ってしまっても、何とか曲がることができる
・雨の日でも安心して運転することができる
・(車両との相性問題ではあるものの)バネがポヨンポヨン跳ねる印象がなくなる
事につながるということです。本当は乗る前に確認するのが一番でしょうが、せめて月に1度、ガソリンスタンドに行ったときでも構いませんから空気圧を確認してみてはいかがでしょうか。
余談:なぜ月一回なのか?
水は、沸騰すると水蒸気になって体積が膨張する…ことはご存知かと思います。
実は空気も、その時の気温によって体積が変わってしまうのです。(本当は空気に限らず、どんな物体でも温度と体積には関係性があります。)
日本には四季があり、ひと月経つと肌寒く感じたり、温かく感じるようにタイヤの空気もわずかではあるものの体積(=空気圧)によって季節を感じるのです。
ですので、ひと月に1度は空気圧の点検をしてみてください。
追記:'15/ 1/31
コメントに頂いた「空気圧と操縦感覚への影響」ですが、手持ち資料から少しは役に立ちそうなものをご紹介します。
内容は空気圧と横バネ定数の関係です。横バネ定数については下記グラフ内に「どういうものか」をイラストで紹介いたします。

この関係性より、空気圧が高くなると横へたわむ力も大きくなることが分かります。
*****ここから下、個人的推測に基づきます。また少し専門用語を使います。*****
タイヤのグリップというのは後述しますが、大きくはゴムの柔らかさとタイヤの構造に依存します。
空気圧を高くするということは、タイヤのサイドウォール剛性が高くなるということにもなりますので、横バネ定数が高くこととも符合することになります。
よって、空気圧が高い事はコーナリング時において、「タイヤのゴム質に依存する走り方」と言い換えることができそう…に思います。
この欠点は「ゴムの限界を超えると路面と自動車が切り離される=制御できなくなる」ことです。
(ちょうどいい空気圧ならば、タイヤの構造でもグリップする力が生まれる…とも言えます。)
現実には、車両のサスペンション関係(アライメント、アーム類の長さや配置、アーム支持部分の構造など)にもよりますが、タイヤ単品では上のように言えるのではないか…と思います。
*****ここまで、個人的推測に基づきます。また少し専門用語を使います。*****
Posted at 2015/01/28 20:34:10 | |
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