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トヨタ~のブログ一覧

2018年06月29日 イイね!

トヨタ・クラウンを見てきた。

これはクラウンではないね。

しばらく、みんカラから遠ざかっておりました。もう少しこの状況は続くかと思いますが、気になる新車が3台発表され、うち2台は現物を診てくることが叶ったので紹介したい次第です。


写真は2.5HV RSグレード。ボディカラーはプレシャスシルバー。メーカーオプション装着車。
そのうちの1台が、今回のお題になっているトヨタ・クラウンです。
新型クラウンは1955年の初代から数えて15世代目、これまでのショートボディ「ロイヤル」「アスリート」、ロングボディの「マジェスタ」を統合し1ボディ化されたことは各メディアでも報道の通りです。
新型クラウンの外観印象を見て「今度のはクラウンじゃない」とか「いや、まがいなくクラウンだ」などと、賛否両論が生まれているようです。

写真は2.5HV Sグレード。ボディカラーはシルバーメタリック。

写真は2.0ターボ RSグレード。ボディカラーはプレシャスガラナ。
標準車系とRS系の2設定に集約。フロントグリル形状が異なり、標準車系は旧ロイヤル系やアルファードに近い意匠、RS系はハニカムメッシュグリル。


私がクルマとしてではなく、「クラウン」として判断をする為に2つの視点から新型クラウンを眺めてみます。

その1:オーナーズカーとしてのクラウン
クラウンは1967年の3世代目から「オーナーデラックス」を設定している、自ら所有し運転する国産高級乗用車として、かなり早い時期から取り組んできた車種の一つです。
その最たるものは7代目クラウン('83-'87)のキャッチコピーにもなった「いつかはクラウン」かと思います。その次の8代目クラウン('87-'91(一部-'99))ではバブル景気に乗っかってクラウン史上最多のモデルとなりましたが、販売の主力は4ドアハードトップ型でオーナーカーが多いクルマとなりました。
そんな「オーナーカーとしてのクラウン」を判断すると、必要十分以上の性能を有していると考えます。
(1)ボディサイズとパッケージ:
    〇車両サイズは4910(+15)×1800(±0)×1455(-5)(カッコ内先代比)
    〇ボディサイズはわずかに拡大。初代マジェスタ('91-'95)に近いサイズ。
    〇最小回転半径は17インチタイヤ装着のFR車で5.3m(旧型アスリート5.2m、+0.1m)
     18インチタイヤ装着車のFR車が5.5m(旧型アスリート5.2m、+0.3m)
     4WD車はタイヤサイズを問わず5.7m(旧型HV 4WDが5.4m、+0.3m)
    〇ホイールベースは2920mm(旧型比+70mm)、トレッドは17インチ車で前後共1560mm
     (旧型は前後共1545mm、+15mm)
    〇室内長は1980mm(旧型1975mm、+5mm)、室内幅1500mm(-10mm)、室内高1185mm
     (-5mm)
  ボディサイズは全幅が同等に対し、全長がわずかに拡大、ホイールベースは大幅拡大。
  一方で、室内長はほぼ据え置きと取れる寸法が示されています。
  これが示唆するパッケージングは、

    ☆タイヤをボディの四隅に置いて走行安定性と取り回しを確保
    ☆室内長は拡大せずボンネット長さを伸ばしてエンジンを車両中心に近づけて
     車両運動性能を向上(フロントミッドシップ)
    ☆エンジンが車両中心に食い込んだのでフロントサスペンション構造物をよけて低重心化、
     ボンネット位置を低くできます。
    ☆ボンネット位置が低くなったのでサイドウィンドウ下端の位置も同時に下がって開放感は
     向上します。

    ☆一方で割を食ったトランクはショートデッキになりトランク開口面積は減少。
    ☆サイドシルエットはロングノーズショートデッキになった。
    ☆またホイールベースが伸びたことによって、車両の梁(ビーム)や柱(ピラー)は太く
     しなければならない。
  ということが推測できます。(巻き尺片手にボディを仔細に眺めたわけではないので、悪しからず。)
個人的に、今回のうまみがあるエンジンは直列4気筒エンジンシリーズである可能性が高いです。
V型エンジンに比べてカムシャフト・カム駆動系の部品点数が半分になるため重量は少なく、エンジン重心もその分低く抑えられ、当然フロントが受け持つ荷重も抑えられるのでサスペンションを柔らかくしても運動性能は良くなり、パッケージングが持つメリットを十分に享受できると思います。
一方で、最小回転半径が18インチタイヤ装着車で+0.3mというのは、旧型クラウンを乗ってきた人からすれば「小回りが利かない」と感じるはずです。おそらく、フロントバンパーの旋回軌跡に大幅な変化はないと考えられますが(バンパーは擦りにくい、ということ)、路上でUターンをするときには違和感を覚えるポイントになることと思います。
  …そういうお客さんのために17インチホイール装着車もあるわけですがね。
(2)インテリアの意匠と操作性・装備

  フロントインパネの意匠です。クラウンが2画面の操作系を持つことは先代から変わらないわけ
  ですが、今回はナビ画面が運転者から遠くなり、操作するパネルを特等席に持ってきています。
  これは運転中も見る機会が増えるナビを遠くにすることで視点切り替え(遠視点⇔近視点)を
  少なくして運転者の疲労軽減、操作系を大型かつ見やすく操作しやすい位置に持ってくることで
  操作性の向上を目的としたものであると考えられます。この点は高齢ユーザーにもやさしい
  (視点切り替えは年齢によって衰えるため)扱いかと思います。

  今度はインパネにもシート・ドアパネル表皮と同じ生地が貼られていますが、このやり方は
  ジャガーXJっぽいです。

  細かい装備ですが、トランクオープナーキャンセラーがグローブボックス内にあります。
  これはヴァレイパーキング(駐車係員がクルマを預かって駐車するサービス)向けにあると嬉しい
  装備(盗難防止対策)で、この辺は高級乗用車らしい装備でもあります。
  運転席に座ってあちこちどついてみると、ステアリングの剛性感は十二分(先代より明確な向上)
  ですがシートの背もたれがグラグラ、メーターの日よけ(メーターナセル)はカムリと変わりません。
  この辺の建付け剛性感は同時発表のカローラ・スポーツの方がはるかに上でした。

その2)後席乗員にとってのクラウン
この視点は初代から連綿と続く「カンパニーカー」、「ショーファーカー」としての性能という意味です。先ほどは「オーナーカー」の視点で見てきましたが、クラウンはその価格や内容から、後席に大事なお客様を乗せることが多いクルマでもありました。
それは企業の社長や役員、あるいはタクシーのお客様、時には接待ゴルフの接待相手かもしれません。
または、年を召した両親や長年連れ添って歩いてきた奥様、大事に育ててきた子供であったりその子供が選んだ伴侶かもしれません。
後席に乗る人が誰であっても良いのです。又はタイトルと反して、後席でなくても良いのです。
クルマを一人で乗るものとしてではなく、人生を共にする大切な人と乗るクルマ、それこそクラウンがクラウンたる所以であり、クラウンが信頼を得てきた理由であると私は考えます。
そんな視点から眺めてみると、今度のクラウンはその視点が欠けていることに気づくのです。
(1)後席乗降性能とリヤシートの掛け心地

  パッケージング論でも述べたとおり、後席に座った時の開放感は高いです。それはサイド
  ウィンドウが大きく、視界が大きいことも一役買っていると思います。写真はRS系でルーフまで
  真っ黒ですが、洞窟に収まっている感じは薄かったです。

  しかし、後席への乗り込み性能はわずかではなく、ある程度気づく程度に悪化しています。
  ドアの開口角度が、先代に比べて浅くなっています。また、ピラーやビームが太くなって靴の先を
  ピラーやドア内張りに引っ掛けやすくなったように感じます。
  加えて、着座位置も下げたことが予想できるのですが、フロアに対して座面の高さが足りず、ひざ
  裏が少し浮いてしまいます。乗った時の足元スペースは変わらないのですが、側頭部が天井
  トリムにぶつかりそうになります。車両の骨格を太くしっかり作り、室内幅も変わらないので
  ひじ掛けの幅をなるべく大きくとると乗員はドア側に近づく(追い出される)のですが、これで干渉
  するわけです。
(2)後席周りの装備品

  とうとう、フロントシート後ろのグリップは最上級グレードのみの装備になってしまいました。
  これ一つで、高齢で足腰の弱った人には掴むところがあって乗り降りがしやすい利点があった
  わけですが、先代はロイヤルサルーン・同Gグレードには装備がありました。
  加えて、助手席脇のパワーシートスイッチもSグレード、RSグレードは革シートとのセットOPに
  なりました。先代はロイヤルサルーン・同Gグレードに装備があり、アスリートはありません。
  先代ロイヤルは助手席が手動シートだったので装着不可だったのですが、新型は全車で
  運転席・助手席パワーシートが装備されています。アスリート系の後継であるRS系には拡大装着
  されたわけですが、標準系のSグレードは戦略的に外されています。もっとも、Cパッケージを
  選べば装着可能ですが、価格的には新型2.5HV Sグレードと旧型2.5HV ロイヤルサルーンで
  15万円UPしています。その分、運転支援システムは増えているわけですが装備は落ちて
  います。果たして誰のためのグレードでしょうか。

このほか、トヨタが今回の目玉に置いたコネクテット装備についても疑問点があります。
まずは国土交通省が推進するITS Connectは全車メーカーオプション扱いであることです。これは信号の待ち時間表示や緊急車両の接近お知らせ機能、交差点を右折するときの対向車・歩行者横断警告機能があるわけですが、わざわざ、460万円ものお金を出すお客様にさらに2万7000円もふんだくるわけです。しかも「つながるクルマ」を標榜しておきながら、です。
2つ目に、このほかの機能は既存のT-Connectで実現している、ないしはレクサスのG-Linkと同等機能であることです。通話アプリLINEを通じて設定ができる点は新しいと言えば新しいですが、LINEそのものがアップデートしたり、あるいはサービスの中止をしたときにはどうなるのでしょうか。
1台の新車が日本国内で平均して約13年使われる、と言われていますがそれだけの時間耐久力がこのアプリにあるのでしょうか。私にはないと思います。

まとめます。このクルマが目指したクラウンは、オーナーカーとしてのクラウンという性能は多分満たしていると思います。しかし、オーナーの人生と共にする人と楽しむクルマ、その人たちが求めるクラウンという視点は、残念ながら私が期待していた水準には達していません。
これではマークXであってもアリストであっても、はたまた全然違う名前の新型車であっても良かったのです。ドライバーズカーとして性能水準が高いセダン、サルーンなんてそれこそたくさんあるのですから。

”クラウンに乗っている人は信頼できる人”という都市伝説があるらしいのですが、それはこれまでのクラウンが「オーナーだけの」クラウンではなかったからこそ出てきた伝説なのです。
これまでは、一緒に行動する、人生を共にする人にも抜け目なくきめ細やかな配慮が、おもてなしが、気配りがあるクルマだったから、それを選ぶ人も同じ価値観を持っていると信頼されていたのだと、新型クラウン…もっとも、クラウンではないと個人的には思いますが…を見て、触って気が付きました。
Posted at 2018/06/29 00:51:09 | コメント(3) | 新車紹介 | 日記

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