過日9/11、
大阪南部で路線バス事業を行っている
金剛自動車(金剛バス)が今年の12/20を以て全路線を廃止するという、なかなかのインパクトのニュースが出ました。
同じ業界の端くれとして、関西圏のバス事業者の企業体力的なモノは何となくは把握しているので、
「まぁ金剛はそうだろうな…」という感覚で個人的には衝撃は無かったのですが、
ここにきて多くの同業他社が同様の
「運転手の確保が困難な為、減便・廃止」という発表が続いています。
ワタクシの古巣、京阪京都交通も…
期間限定、あくまで一時的な処置という体裁にはなっていますが、事実上このまま減便になる可能性大でしょう。
一応、わかる範囲で解説すると、
2系統(亀岡駅~京都駅)の16時台と18時台の上りに関しては、成彰高校と(市立)芸大の下校需要が主だったんですが、この10月に芸大が移転してその通学需要が丸ごと無くなった。それを除けば夕方の京都行きはそれほど乗らないので削っても影響は少ないし、その区間は別系統もある。
ならば乗務員拘束時間の長い亀岡系統よりも、運行距離の短い西京系統で賄った方が効率が良い。
20、20B系統(桂駅西口~桂坂中央)は、市バスとヤサカバスも同エリアを運行する為、(絶妙に路線ルートは住み分けしているとはいえ)やや供給過剰地域。桂坂でアタマ張ってるのは市バスなので、京都交通が減便しても顧客利便性はそこまで落ちないのでは。
ただ、ここは深夜時間帯でも結構な乗車率なので勿体無いとは思う。
20:03桂坂中央→京都駅20:48の26は亀岡車両?
それが20:59京都駅→亀岡駅22:04の折り返しになる感じ?
30系統(亀岡駅~つつじヶ丘循環)、桂坂と同じような山の上の住宅地。
夜はJRの全ての下り列車を受けて3台体制で走っていたが、それを一部の列車の受けを外すという事。
ここも深夜でもまずまずの乗車率だが、正直ワタクシが走ってた時でも「全列車受けはそこまでせんでも良くないか?」とは思っていた。
まぁ、京都交通も慢性人不足の厳しい環境&補助金貰ってギリギリ採算取れてるレベルなのでしゃーない話やね、とは思う。
が。
個人的に衝撃だったのが
阪急バス。
趣味性の高い(爆)路線ばかりとはいえ、宝塚~伊丹空港なんかは一定数需要があるハズの路線。
そもそも、何が衝撃なのかというと
阪急バスは全国的にも数少ない、単独黒字の路線バス会社なんです。
事業エリアも阪神地域の人口過密地帯が主。
路線バス屋としてはかなり優良企業。
そこが「人不足」と言う。
これはそーとーヤバいで?という話。(´゚ω゚`)
阪急は一昔前は求人倍率がなかなかの競争率で、入っても5年間は契約社員という完全買い手市場だったんですが、それが数年前に「即 正社員採用」と言い出した辺りから暗雲はチラ見えしてはいた。
元々バス事業というのは利益が出しにくい。
新車車両価格はざっくり1,500~2,500万(路線タイプ)。
それをだいたい10年で償却。
ちょっとした修理でも100万は当たり前。
燃費は、大型車(10.5m)で2~3km/L、中型車(7m)で3~4km/L。
(奈良交通の十津川急行が如何に採算無視した路線かお分かり頂けるかと)
労働環境としても厳しい。
12時間勤務は普通。一般的なサラリーマンの出勤と帰宅を両方お世話するw
それでいて年収は税引き前で400万前後が平均水準。
(阪急バスは一応500以上あるっぽい)
ついでに言うと、
空港リムジン系は空港から補助金貰っているのでほぼ潰れない&厚待遇。
ただし、空港自体の経営が厳しい関空はちょっと話が違う…
後は関西で楽出来るバス事業というと京都市バスと高槻市営くらい?
市営は市営で中の人間関係ギスギスしとるっぽいけど。
つまり、
この国の交通インフラは既に崖っぷちの所でギリギリ踏みとどまってる状態。いや、もう崖から落ちてる所も多い。
比較的都会と言える京阪神ですらこうなんです。
地方はもっと酷いし、バスだけに限らず、鉄道も酷い。
維持できないから本数を減らす→利便性が下がって余計乗らなくなる→採算低下→廃止。
なんというか、
我々は日本の “良かった時代” の終焉に立っているんだな、としみじみ思う。ヒトゴトカヨ
ぶっちゃけ、
ここから回復して持ち直す事は
無いと思うので、如何に上手く延命して細く長く繋ぐかってだけの事だと思うし、それは結局もうバス事業者自身ではどうしようも無いレベルなので、上手な税金の投入をしてもらうしか無いでしょうね。キタイシトランケド
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Posted at
2023/10/15 17:17:11