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Red13のブログ一覧

2017年09月30日 イイね!

9月の読書

9月の読書筑波行きに向けての整備部品があらかた到着し、後はメンテの日取りだけという状態。
来月末、10/29ですよっ!( ゚д゚)クワッ



んで、
今月はちょっとサボり気味の2冊のみ。
時間的には4冊くらい読めるくらいの余裕はあったんですが、
少しペースダウンしてのんびりボケーっとしようかな的なテンション。
消費ペースが早くて仕入れが面倒になってきた面もあったりなかったりw















 バリントン・J・ベイリー 『ゴッド・ガン』 (2016)

『The GOD-GUN』


2016年となっていますが、よくあるパターンの「日本オリジナル編纂の短編集」というアレ。
著者ベイリーの全盛期は70年代です。
「形而上学的」な切り口で "時空" をテーマにした作風を得意とする作家。
要は「世界の物理法則がこんなんだったらオモロいやん」な小話の詰め合わせです。
まさにサイエンスフィクション。
ただ、それは時に「子供の屁理屈」みたいなものに感じられることもあり、そこに如何に説得力を加味できるかという所がキモ。
そういう意味ではこの著者の作品群は少し物足りない感がある。
発想は凄く面白いのに、もうちょっと掘り下げて作り込んで欲しいなという作品が多い。

とあるアクシデントから浮上できなくなって、地球の奥深くに潜行して裏側の地表を目指そうとする "潜艦" の閉塞感に満ちた旅を描いた『地底潜艦<インタースティス>』の結末や、
"空間に溺れる" という、物理法則の全く違う世界から太陽系に迷い込んだ異星生命体の船との遭遇を描いた『空間の海に帆をかける船』、
エルフの王族の船が迷いこんだ五里霧中の不気味な海域から、捕虜として乗っていた人類の男一人だけが脱出する『災厄の船』、
不死の異星人と、その秘密を暴こうとする男の永きに渡る、どこか皮肉めいた追跡劇『邪悪の種子』など、
面白いなと思うテーマは多いのだが、なにかもう一息が欲しいなというのも正直なところ。

『ブレインレース』の強烈な読後感はある意味では必読。















 L・S・ヒルトン 『真紅のマエストラ』 (2016)

『Maestra』


「悪女小説」、というジャンルが有るのか知りませんが、
サスペンスとエロスが入り混じった、読み応えのある一冊。

美術品のオークション会社に勤める主人公ジュディスは、憧れの業界に入ったものの、
美術品を只の金儲けの道具としか見ていない上司から雑用ばかり押し付けられる日々にウンザリしていた。
安月給を埋めるためにホステスのバイトをしていた店で、客に旅行に誘われた事から彼女の運命が変わり始める。


意図しない大きな流れに押し流されながらも、その中で出会う男を次々と(時には敵対的に時には友好的に、時には偶然に時には故意に)利用し、局面を切り抜け自らの立ち位置を高めていくジュディス。
“男社会に屈しない、したたかな強い女” のイメージは、シングルマザーである著者自身の投影であろうか。

また女性目線でのエロティック描写も濃い(笑)。
「セックスは趣味でありストレス発散」というジュディスの過激な性癖描写は、果たしてどこまでがフィクションなのか…(シランガナw)

美術品(絵画)に関するウンチクも面白く、日本人には馴染みの無いマイナーな題材かもしれませんが実際に検索すると件の絵を見れます。
またキーとなるその絵画もこれまた “女が男を征する” もので、著者の並々ならぬ信念が感じられる。
…のか、単にジュディスの役作りの為に選んだものなのかもしれないけども。
後者だとしたら、それもまた “したたか” である(笑)。




Posted at 2017/09/30 19:00:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2017年08月30日 イイね!

8月の読書

8月の読書秋冬のサーキットシーズンに向けて、アレヤコレヤナンヤカンヤ維持りまくりの算段をしている真っ最中です。
お金無いのに更に無くなりますwww
今まで安いローターしか使った事なかったけど、今回そこそこ良いヤツを選んだりもしてます。
どこ走りに行くかはまだ秘密ですww
日程が決まったら発表するかも。















 ハーラン・エリスン 『死の鳥』 (2016)

『Death Bird』


エリスンの短編集、その2。
「喧嘩屋エリスン」「幻想作家」「哀しみと表裏一体の怒り」。エリスンを表現する言葉は過激でエネルギッシュだ。
6月に読んだ短編集『ヒトラーの描いた薔薇』は特にそういう傾向の作品が多かったが、
この短編集では "神" (及び、それに準ずる存在) に対する否定や反抗の姿勢の作品が多い。
そもそもエリスンは無神論者で宗教嫌いのようで、キリスト教の概念を皮肉る作品や、一般的にいうところの "悪者" 側を再評価する視点の作品が度々あるが(根本的に、ひねくれた天邪鬼な性格をしているようでもあるw)、
本作のタイトル作品『死の鳥』は "創世記" を真っ向から引っくり返す挑戦的な内容でありながら、芸術的な構成で非常に美しい作品。エリスンの最高傑作の呼び声も納得。
同じような感覚はワタクシ個人も持っていたので、この物語は読んでいて痛快でもあった。
(どこかアーサー・クラークの『幼年期の終り』に重なるような部分もある物語)

エリスンの作品は、一編一編が非常に鋭い印象を放ち記憶に残りやすい。
誰もが心の内に持っている "怒り" を代理でブチまけてくれるカタルシスがある。
が、そこにハッピーエンドは少なく、一時の解放を得た精神も結局また不条理・理不尽の檻の中に押し込められる。
この "現実感" こそ、"ファンタジー作家エリスン" の表現したい事なのではないかなとも思った。















 クリスティー・ゴールデン 『アサシンクリード』 (2017)

『Assassin's Creed』


大人気ステルスアクションゲーム、『アサシンクリード』シリーズの映画化、のノベライズ。
ワタクシ自身、このゲームシリーズは大好きで1〜3までの5作はドップリやり込みました。
とりあえず、イメージ的にこんなんです↓(1のオープニングムービー)





人々の自由意思を尊重するアサシン教団と、人々を統制しようとするテンプル騎士団との何世紀にも渡る戦いを描いたシリーズですが、
"2" 以降は実在の歴史上の人物を物語の重要なポジションで登場させる手法が取り入れられ、
「あの革命の裏にはアサシンの活躍があった」とか「あの人物は実はアサシン教団に協力していた」とか、
フィクションながらけっこうリアルに頷ける設定の作り込みが魅力です。
作り込みといえば、実在の都市(のかつての姿)を緻密に作り込んだそのビジュアルも素晴らしい。
プラス、ゲームシステム自体もユニークで "街中のあらゆる地形を自由に移動できる" というシステムが話題になり、
要は、歴史的建造物の壁をよじ登ったり、屋根から屋根へ飛び移ったり、高い塔のてっぺんから街を眺めたり、そこから華麗に飛び降りたり、絶景と爽快感を味わえるという部分も人気の一端です。



で、ゲームとして結構な本数が出ているシリーズですが、基本的に作品ごとに主人公が違い、描かれる時代の範囲も違います。
ルネサンス期のヨーロッパあり、南北戦争のアメリカあり、フランス革命、産業革命など。
そんな中でこの『映画版アサシンクリード』は、過去作の焼き直し映画化ではなく、
アサシンクリードサーガの中の独立した一つの物語となっています。

…なので、ゲームを知らずに映画だけ見た人は ( ゚д゚)ポカーン する可能性大ww



…というわけで、そのノベライズである本書も当然 "シリーズファン" を主な対象としたものであり、
悪く言えばマニア向けコレクターズアイテムww
ですが、映画よりも主人公の内面や脇役たちのバックボーンなども多く語られるため、映画を観る前に読むとかなり理解の助けになるもよう。
が、極力CGを使わずに実写に拘ったアクションシーンの完成度は非常に高く、
ストーリーは置いておいてそこを楽しむのもアリかもしれない。
でもまぁ…やっぱりアサシンクリードはゲームで遊ぶのが一番良い触れ方でしょうな♪


















 エメリー・シェップ 『Ker 死神の刻印』 (2013)

(原題はスウェーデン語なので割愛)


「スウェーデンを舞台にしたミステリー」というと、なんだか色んな意味で寒そうな陰鬱な話かなとか思いますが、
意外や本作はアクション要素もあったりして、以前読んだ北欧スパイ物の陰鬱さとは程遠い。
次から次へと謎が出てきてそれをどんどん追いかける展開で、テンポ良くトントン読み進める一方、途中で出てきた脇役の顛末が未回収のままだったりする所もあり、著者の小説家としての経験の少なさは見える。
が、各登場人物の何でもない日常の風景、それぞれが抱える悩み、などのキャラ設定が細かくて感情移入しやすいので、タネが割れても楽しんで読めるかなとは思う。
人物名も馴染みの薄い北欧系なので新鮮。
主人公の女検事がただのキャリアウーマンかと思いきや実は強キャラだとか、イマドキのツボを押さえてる感じがするw

去年の8月に読んだ『夏を殺す少女』と、メインテーマが重なる部分もあり、地続きの国境が多いヨーロッパならでは(…というワケでもないのだろうけど)の難民問題と(スウェーデンはどっちかというと海洋国家ですが)、
これまた世界的な問題の “子供兵士” を掛け合わせたテーマ。
兵士というより暗殺者的な内容です。

スウェーデンという馴染みのない土地の物語なのに、ウプサラやらアルコスンドやら幾つかの地名に聞き覚えがあるなと思ったのは、
元々のメタル知識もあるけど、以前読んだ北欧スパイ物で出てきたんだったと思い出した。
こういう感じでポロッと自分の中から蓄積のカケラが出てきた時に、読書って良いなと思いますよ(笑)。
こないだ読んだベドウィンの話もそうだったし。
エリスンの作品も著名作からの引用がちょこちょこあったりしたし。



Posted at 2017/08/30 15:00:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2017年07月27日 イイね!

7月の読書

7月の読書暑いっす…(;´Д`)
7/9の軽耐久2戦目の時に豪快に日焼けした跡がようやく皮剥き完了した感じです。
肩甲骨周りがパンダ状態w



ひと月ほど前から、左前輪で段差を踏んだ時にゴトッ!という結構激しい音がしており、
車高調はOHしたてだから違うよなぁと思い、Dr.hに言ったら
「あ〜、たぶんロールセンターアダプターですよ♪ こないだ見た時にガタ出かかってました」と。

で、ローター替えてもパッド替えてもキィキィ鳴き止まないフロントブレーキも、
ピストンが動いてないのを確認したのでOHの段取り。

この2つのメンテは同時にやったほうが工賃浮く。
というわけで、ただいまAVOのロールセンターアジャスターの納品待ちなう。
伊吹山の後に入庫予定で御座る。



あと、前に替えてからまだ4000kmくらいしか走ってないけど、
なーんか気になったんでミッションオイルを抜いてみたら、やっぱり鉄粉たっぷりだった。
案外、人の感覚って鋭いね。































 ジャック・コグリン & ドナルド・デイヴィス 『狙撃手の使命』 (2010)

原題『CLEAN KILL』


カイル・スワンソンシリーズ第3弾。
今作は益々 "戦略" 規模の話になり、伝家の宝刀「エクスカリバー」も少し影が薄い。
しかし、個人的にこのシナリオはとても楽しめた。
世界情勢の if を描くフィクション、と言えば一言で片付けられるが…

世界有数の産油国であり王政の国であるサウジアラビアが、密かに核を保有しており
そこに軍事クーデターが起こって強硬派宗教指導者が国を乗っ取ったら…?


さて、世界情勢はどうなる?

プーチンを失脚させた若いロシア首相が裏でそのクーデターの糸を引き、
油田を狙う中国も空挺部隊での強襲を計画。
サウジの残された王族は秘密裏にCIAに事態の打開を依頼。


という展開。これはなかなか知的好奇心や想像力をくすぐられる。
しかし、一方、「実は生きてました」の敵キャラが上手く活かされてないし、
そこまで無理やり展開で復活させたキャラを、そんな終わらせ方する??みたいなw
テーマのスケールが大きすぎて、少し尺(ページ数)が足りてない感じで展開がハショリ気味な印象もある。
…まぁ、あんまり丁寧に描写されすぎても読むのしんどくなるけどねw
あくまでスカッと楽しく読めるエンターテインメント小説を目指しているのだと思う。

…グレイマンの新作まだかな〜w















 テッド・チャン 『あなたの人生の物語』 (2002)

『Stories of your life and others』


『メッセージ』というタイトルで今年映画化されたSFの原作を含んだ短編集。
というか、この作家は短編しか書いておらず、邦訳されているものはこの短編集1冊のみ。

ワタクシその映画『メッセージ』は見ていませんが、評判を聞くと「難解」という声が多いですね。
でも、たぶんそれは映画の演出等の問題ではなく、このテッド・チャンの作風自体が高度の理解力を要求することにあると思います。
ある意味、非常にSF的。サイエンス・フィクション。科学的・空想。
全てのシナリオに科学的要素が色濃く入っています。
物理学、力学、脳科学、数学、心理学。一方で錬金術や神学といったファンタジー要素をリアルに描く作品もあり、
確かに「難解」で、読み進むのに多少時間がかかる。

『メッセージ』の原作にあたる『あなたの人生の物語』は、
「我々地球人類が当たり前と思っている知覚・認知は、実は見方を変えたら全く違った世界の捉え方ができるのではないか?」という思考実験のような一面。
「発話」と「記述」を同一の言語に充てている事は、チャンネルの無駄遣い?という発想はとても面白い。
更にこの物語の向かう先は、"未来を思い出す" という認知
さぁ、それはどういうことなのか。気になる方は、本作を読むか映画をご覧ください(笑)。

個人的には、
キリスト教的世界観の "天使降臨" が局地的自然災害となって顕現する現代社会、を描いた『地獄は神の不在』や、
天の "丸天井" までそびえる塔を、数ヶ月かけて登る職人達を描いた『バビロンの塔』が面白かった。















 ハリー・クレッシング 『料理人』 (1965)

『The Cook』


Red13指定 必読図書!(`・ω・´)

小高い丘の上にそびえるプロミネンス城。その麓の田舎町コブに、ある日異様な男が現れた。
餓えた黒鷲のごとき長身のその男コンラッドは名門ヒル家にコックとして雇われ、悪魔的な腕を振るい始める。
肥った者は痩せ、痩せた者は肥る奇跡の美食に人々の舌と心はとろけていき…
いつしか町を支配していく料理人の望みとは?


これはひとつのおとぎ話。

主人公であるコンラッドは、超人的な能力を持つ謎の料理人。
料理の腕前のみならず、身体能力、知識教養、人脈、所作、纏った風格に至るまで全てが超一流。
傍若無人な態度で町の住人達の反感を買うかと思いきや、圧倒的な実力で以って周りを魅了していくコンラッド。
彼の料理によって人々は時に不気味な運命に絡め取られもするが、それを気にする者が居ないのも不思議。
こりゃ絶対何か悪魔的な力があるのだろう、と思うし、実際そうなのだろうが、
コンラッドの正体も、彼の真の目的も、最後まで謎のまま。物語の終わり方もいろんな解釈ができそう。
面倒見が良くユーモアも口にする愛されキャラという一面も見せるが、それも結局は自身の目的に向かって淡々と冷酷に計画を進めている計算ずくの行動なのか、果たして?

近現代を舞台にしつつ、全くの架空の土地で繰り広げられる不可思議な物語。
読者に考察の余地を与えるという意味でも
小説というより、"活字の絵本" という感じ。

しかし、とりあえず、あれですわ、
"実力伴った俺様キャラ" はカッコイイという話ですよ!(°∀°)www


Posted at 2017/07/27 21:00:16 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2017年06月30日 イイね!

6月の読書

6月の読書いっきにジメジメしてきて暑いですぬ。

6/4にツインで燃やしたキャリパーですが、
ローター替えてもパッド替えてもキィキィ哭きまくるので、
…うーん、ピストン動いてない系??(; -´ω`-)
と思って、オーバーホールの段取りをしている今日この頃。
相変わらず、一度走れば無事では済まない、手のかかる子だことwww



今回のBGMは2冊目のイメージ(笑)。
































 ディック・レイア ジェラード・オニール 『ブラック・スキャンダル』 (2000, 2012)

原題『BLACK MASS』


1975年から97年まで20年以上に渡って、ボストンの裏社会に君臨し続けたギャング、“ホワイティ”・バルジャー。
同じ町角で育ったFBI捜査官、ジョン・コノリー。
共にアイルランド系の血を引くこの二人の間で交わされた密約は、やがて私利私欲の為に乱用されFBIボストン支局全体を腐敗させていく。
FBI至上最悪の汚職を暴くノンフィクション。



『密告者のゲーム』というタイトルで2000年に出版された内容に、文庫化に際し、出版当時はまだ逃亡中であった “ホワイティ”・バルジャー の逮捕、その後の捜査・裁判の結末をエピローグとして加えた、いわば “完全版”。
このタイトルで映画化もされています。

アメリカの法執行機関は、まずそれぞれの州に州警察があり、これは日本の県警と同じ。州を跨ぐ捜査には色々と制約がある。
FBIは、その州の線引きに囚われずに米国国内全域で活動する上位組織。
(だが、州警とFBIは伝統的にあまり仲が良くないらしい?)
ちなみに、CIAは米国国外の国際案件を取り扱う組織。基本的に国内の事案には不介入。

そのFBIボストン支局を舞台に、20年以上に渡って繰り広げられた汚職の実態。
同郷の連帯感を下地にした持ちつ持たれつの相互関係が次第に暴走し、支配関係が逆転し、FBIエージェントが犯罪者のようになり、ギャングのボスが警察のようなしたたかさを見せる。

ノンフィクションなので、やや展開に中弛み感はあるものの、先が気になる内容で一気に読めます。
バルジャーは敵対マフィアを潰すための情報をFBIへリークし、コノリーは警察の捜査情報をリークしてバルジャーの安全を図る。
お互いが個人的に親密になり、FBI職員とギャングがホームパーティーで贈り物をし合う。
遂にはコノリーの口からは「殺人さえしなければ何をしても捜査から守る」などという言葉まで飛び出す。

どこの映画の中の話だよ、と。
正に “The fact is stranger made than fiction”、
“事実は小説よりも奇なり” 。















 エリザベス・マシー 『ヴェルサイユ』 (2015)


フランスの歴史のみならず、世界史全体で見ても最も華やかな歴史上人物の一人であろう ルイ14世
72年間にも及ぶ在位期間を誇り、"太陽王" と称された。
その青年期を描いた、フランス・カナダ・イギリスが共同制作したドラマのノベライズ。
"The 中世" 、ヨーロッパの最も華やかな時代、17世紀の王族の生活を描いた物語が華やかでないハズが無い(二重否定w)。

本作で描かれるのは1667年〜1670年、ルイが28歳〜31歳の頃。
かのヴェルサイユ宮殿の建築(というか、厳密には増築)の初期。
元のドラマはシーズン2、シーズン3と続いているので、そちらも続いてノベライズされる可能性大。
本作の終わり方も全然話続いているので、むしろ続刊しないとブーイングw

完成したヴェルサイユ宮殿の姿しか知らない我々現代人からすれば「昔の人は凄かったのねー」程度のもんですが、重機も何も無い時代にあれだけ広大な建造物を、あれだけ(景観的にも設計的にも)美しく仕上げる事がどれだけ途方もない事なのか。

中世貴族の生活ってこんなんなのねー、とカルチャーショック(文字通り、文化的面での価値観の差)も色々あり。
その例の一つ。物語の中で重要なポジションにもある人物が「ルイの弟 フィリップの、同性の愛人」。つまりゲイ。
この愛人が公の立場で堂々とフィリップと共に居ること。
もちろんフィリップには別に正妻も居る。
江戸時代の日本でも男が男の愛人を持つことは一種のステータスとして、むしろ社会的評価が高いことであったとも言われますが、中世ヨーロッパに於いても同じだったのでしょうね。
知識として知ってはいても、そういう関係が公認されている社会というのは、やはりちょっと現代の感覚から見るとイメージしにくい。
…まぁ、たぶん当時もごく一部のマニア嗜好だったんでしょうけど。

華やかな宮廷暮らしの中にも不和や陰謀は日常茶飯事。
最も危険な敵は最も近くに居る。
72年間の在位期間は決して安穏無事ではなかったという事の一部を描いた本作。
映像の方も見てみたくなりました。















 ハーラン・エリスン 『ヒトラーの描いた薔薇』 (2017)


アメリカSFを代表する作家(脚本家としての方が有名かも?)、エリスンの短編集。
2017となっていますが、日本で独自に企画した短編集で、収録されている作品群は1957~1988の13篇。

解説にもあるようにエリスンの特徴は一言で言うと「怒り」。
世の中に溢れる、自分の周りに溢れる、理不尽・不条理への絶望と怒り。これが大多数の作品に見られる。
人間一人では太刀打ちできない大きなモノに対しての怒りと暴力。全てをブッ壊してやる、とでも言うかのような。ある種の悟りのようなものも見える。
展開もスピーディーなものが多く、エリスン自身が非常にエネルギッシュな人間であることを物語る。
とはいえ、晩年の作品では怒り成分は薄まり、哲学的で崇高なテーマのものも。
「SF」に分類されてはいるものの、その作風はどちらかというとファンタジーに近く、どこか不気味でもあり、神秘的でもある。現代社会をベースにした「奇想小説」とも言える。

サクサク読める話が多く、大抵どこかに “力の発散によるカタルシス” のような部分があるので、ある種の爽快感も味わえる。が、
ありきたりな “勧善懲悪” “ハッピーエンド” な話は殆どありませんw
斜めに立っているひねくれ者を自負する方には強くお勧め致しますw



Posted at 2017/06/30 19:59:58 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2017年05月30日 イイね!

5月の読書

5月の読書まいどです。
最近、度々洗車する機会が重なってクルマが綺麗な状態が続いており
「らしくない!」とかいう苦情(?)を頂いておりますw シランガナw


クルマは只今、車高調OHの真っ最中。
一時期、新規車高調の導入も検討しましたが、
予算面の都合と、「別に現状に大きな不満があるわけでもないし…」という判断。
今週半ばにはセッティングも完了して帰って来る予定です。

…が、な〜んかミッションやらクラッチやらがユルくなってきてる気がする…(; -´ω`-)
硬めのオイル入れてとりあえず誤魔化しとこうかって段階ですが、
あの積み替えたミッション、最初からイマイチ釈然としないのよね…キャッシュバックして欲しいわ。


月の前半は読書モチベが上がらず、ダラダラと無駄に時間かけて1冊読みましたが、
後半から今現在にかけてまたちょっとノッてきて、2冊目は3日で読んだと思う。
…が、結局今月は2冊だけ。(;´∀`)















 グレッグ・イーガン 『ゼンデギ』 (2010)


グレッグ・イーガンは去年の6月に短編集を読んで面白かったので、今回長編に手を出してみた。
タイトルの『ZENDEGI』は、ペルシア語で "life" を意味する単語(の発音を英語表記したもの)。

癌で余命短い男が、幼い息子を見守る存在として、
ヴァーチャルリアリティシステム 「ゼンデギ」内部に自分のコピーを作り…


というと、なんかもう "よくあるアレ系" かと思いますが、
本作のソレは 「コンピュータ上に人間をコピーする」というアレとはちょっと違います。
焦点となるのは "そのデータ" に "意思" があるのかどうか。
本作での人間のデータ化は、あくまで
「入力に対する反応のパターンをデータベース化するだけ」で、
人格を持って自律思考するAIというものでは無いです。
「こう言われたらこう反応する」という個人の特性を再現する。
"その人らしさ" をサンプリングして、コンピュータ内のデータにモノマネさせる。

「その範囲であれば、そのデータはあくまでモノであってヒトではない」というメッセージも読み取れる。
人格はともかく、音楽でも何でもデータ化して保存するという現代の流れについて、
立ち止まって考えてみる、というテーマを内包している…のかな?
情報やデータの重要さ、便利さは勿論あるのだけれど、結局、やっぱり "生" あってのこと。

ただ、以前読んだ短編集の手応えから、もっと切れ味鋭い独創的なSFを期待していただけに
少し(この著者にしては)こぢんまり纏まっているような気もした。















 D・J・ニコ 『十人目の聖人』 (2012)

原題『The Tenth Saint』


タイトルからすると、キリスト教に絡む歴史ミステリ物かと思いますが、
開けてビックリ、なんと時間SF物。 …あ、言っちゃったw
謎追い〜謎解きは面白いし、話のテンポも早めで飽きない。
SF要素があるから刺激的で、ふつーの歴史ものとは一線を画す面白さがあるのは確かなんですが、
そのSF要素で自分の首を絞めてる面もあるかなぁ。
終盤、伏線回収の為だけに辻褄合わせしてるような印象があって、ちょっと盛り下がる。

主に舞台となる時代・土地は、日本人にはあまり馴染みの無い領域で知的好奇心が刺激されます。
アクスム王国
現在のエチオピア北部〜サウジアラビア西部に栄えた国家で、4世紀にコプト派キリスト教が伝来。
この「コプト教」が物語の中で一つの鍵になります。
言語学的側面からアクスム王国の当時に迫る描写もあり、
ちょっとした観光気分でちょっとだけエチオピアに詳しくなった気になれますw




Posted at 2017/05/30 16:00:04 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記

プロフィール

「今日は珍しく電車移動でお出掛け。
しかし家出て5分で汗ばむ…
こんなん無理ゲーやん…」
何シテル?   08/28 09:58
派手な赤い車なんで、どこ行ってもすぐバレますw 死ぬまでMT宣言。 _/_/自分で運転した事あるクルマ_/_/ スバル インプレッサ...

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ヴァイザッハ流 ナラシとは 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/11/08 16:29:26
Challenge to 1 minute wall...〜1分の壁への挑戦〜 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/12/07 20:24:32
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カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
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