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Red13のブログ一覧

2021年01月30日 イイね!

1月の読書

1月の読書この2ヶ月弱の一連の足回り修理の間乗っていた30プリウスから、
久しぶりに自分のクルマ乗ったら、もーメチャクチャ機敏でシャープで情報量多くて、スッゲェなこのクルマ!( ゚д゚)て思ったw
誰が作ったんやww

2月は久しぶりにツインのGコース走りにいきたいなと思ってます。
ケンダやけどw
ケンダで6年前のネオバの時のタイムに並ぶのが目標。(。-∀-)















 ナンシー・マドア 『大人ためのエロティック童話 13篇』 (2006)

原題『Enchanted: Erotic Bedtime Stories for Women』


新年早々何読んどんねん、ってw
普段ミステリだサスペンスだノワールだアクションだとシリアスなのばっか読んでると、たまにネタに走りたくなるワケでw
ま、古本で見つけただけなんですけどね。

日本的に言うと、“同人系 官能小説” ?(笑)
日本で官能小説っつーと、「オッサンの為の」ってイメージやけど、海外では「女性作家による女性向けの」が多いっぽい(原題参照)。
翻訳されて入ってくるのがそういうのだけなのかもしれんけど?

ぶっちゃけ、中身はペラいですw
大してページ数無い薄い本に13もの短編。
盛り上がりに欠け、アッサリ終わるw
し、日本人には馴染みの無い童話も結構入っていて、
“元ネタありき” の作なのでそういう意味でもペラい。
他に官能小説なんか読んだこと無いけど、たぶん描写的にもペラいwww

まー、あくまでネタですわね。( ̄▽ ̄;)















 R・D・ウィングフィールド 『フロスト気質』 (1995)

原題『HARD FROST』


シリーズ4作目。
相変わらずの同時多発大騒ぎ。
このシリーズ、元々ページ数かなり多いけど、
作を重ねる毎にどんどん長く分厚くなり、遂に上下巻に。
しかも1冊だけでも充分分厚いw
本国では「長過ぎて出版してもらえなかった」なんていう逸話もあるw


ハロウィンの夜、7歳の少年の失踪事件に始まり、15歳少女の身代金誘拐事件、中年男性の腐乱死体が発見され、乳幼児3人を含む一家4人の殺人事件、連続窃盗事件、幼児への傷害事件、etc…


…イギリスって、殺人事件と窃盗みたいなショボい事件も一人の刑事で担当同じなの?( ̄▽ ̄;)

某・特命係の刑事ドラマのように、本シリーズでは毎回、フロストから “坊や” と呼ばれる新人の相方が登場しますが、
今回は “張り切り嬢ちゃん” と呼ばれる女性刑事。
序盤では、上昇志向強めで気が強いお洒落っ気の無いツンツン女という印象ですが、
今回、それとは比にならないほど出世欲の権化であり、フロストと因縁のあるキャシディ刑事が臨時赴任。
コイツの嫌らしさは一級品w
人の手柄は自分の手柄、上司へのアピール最優先w
これまた保身と出世しか考えない(フロストの天敵)マレット署長との相性抜群で、読んでて最高にイライラさせる人物w
そのキャシディに上手いこと使われて雑用係になってしまう “張り切り嬢ちゃん” 。

シリーズ当初は “デントン警察署の嫌われもの” みたいな描かれ方だったフロストが、
気付けば下っ端職員から慕われ、味方が増え、“坊や” との関係性も少し丸くなってきた?
ま、捜査は相変わらず “あてにならない直感” 頼りの行き当たりばったり。それに振り回される部下達。
が、なんか今回は、それでも皆からのリスペクトを失わず「アンタだから付き合ってやるよ」みたいな雰囲気がある。

…イイカンジになってきたんじゃない?フロストのおっちゃん(笑)。




Posted at 2021/01/30 18:00:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2020年12月29日 イイね!

12月の読書

12月の読書赤ターボ、
肝心の部品(ボールジョイント)がメーカー欠品してた分で、結局丸々1ヶ月入院してました。( ̄▽ ̄;)
明日引き取りに行きます。



2020はもう、ただただCOVID-19一色でしたね…
(もう1年経ってんだからいい加減 “新型コロナ” って言うのアホみたいやからやめようよ?(・´ω`・))
まだ当分続きそう、ってか終わりなんかあるのか?
なんつーかもうね…政府首脳陣は揃いも揃って老害の様相。
自己防衛オジサンが総理になってくれ←





















 サマンサ・ヘイズ 『ユー・アー・マイン』 (2014)

原題『Until You're Mine』


邦題と原題ではビミョーに、しかし結構意味が違うw

本当は先月に読み終わってたんですが、
終わった瞬間二度読みしだしたのでこうなりました。

すんごいどんでん返しw
最初から徹底して読者のミスリードを誘う作りw
途中小さな違和感箇所は幾つか出てくるものの、
タイトルとプロローグから連想される筋書きを追って読んでいくと、「はい!?(; Д)゚ ゚」ってなるw

しかし、種がわかってそこを読み解こうと再読しても、イマイチ納得いかない。
隠蔽・カモフラージュに力を入れすぎて、
いつ・どこで、“そう” なっていたのかが再読しても見えない。
これはちと残念。
しかし、ま、こういう作品はまんまと騙された方が楽しめるので、これで良いんかもせんけど。

3人の女性の視点から、“子供を持つこと” 、“母になること” を抉る。
そしてそれは、“他人の子でも母になれるのか” というような所へ進む。


再婚相手の連れ子の継母として幸せを感じながらも、本人は子供を望みながらも流産、死産を繰り返してきたソーシャルワーカー。
子宮を摘出した同性婚パートナーの代わりに体外受精を試みるベビーシッター。
突然家を出て彼氏と結婚すると言い出したティーンエイジャーの娘に戸惑う刑事。
そして、妊婦が腹を切り裂さかれ胎児ごと殺される事件。



正に今の時代を感じながらも、
或いは人間の、女性の、根底にずっと流れているテーマ。
そして、どこか “少し狂っている” 登場人物が多いのも時代を反映している気がする。

しかし、
共依存の渦に堕ち、妊娠への強迫観念に囚われていたあるキャラクターが、
最後にスッキリと呪縛から解かれて視野が晴れる様が良い。















 カーステン・ストラウド 『ブラックウォーター・トランジット』 (2001)


大手運輸会社ブラックウォーター・トランジットの社長、ジャック・ヴァーミリオン。
貧しいイタリア系移民の家庭に育ち、海兵隊員としてベトナムに出征、復員後に起こした会社を20年掛けて大企業へ成長させた。
ある日ジャックは、アール・パイクという男から、代々受け継ぐ秘蔵の武器コレクションをメキシコへ運んで欲しいと頼まれる。
パイクは元陸軍大佐で、特殊作戦部隊の狙撃兵として戦功をあげてきた男だった。
彼の依頼を受けたことでジャックの人生は一変し、大切な会社を失う事になる。



何者かに嵌められた男が会社を取り戻すために闘う物語…といえばそうなのだが、それほど単純ではない。
日本人には馴染みが無いが、アメリカではよく出てくる “司法取引” というフレーズ。
逮捕された犯罪者が、他者の犯罪の有力情報や捜査協力を行う事で自身の減刑(場合によっては不問)を得、更に “証人保護プログラム” の下で安全が保証されるシステム。
本作にはこの司法取引が幾つも出てくる。

また、元警察官の著者ならではの視点か、
法施行機関(この表現もアメリカ的)の管轄権争いが色濃く描かれる。
ニューヨーク市内で起きた事件の捜査にあたるのは、ニューヨーク市警。
同じ州内でもハイウェイで発生した事件を担当するのはニューヨーク州警察。
ジャックの会社の貨物船がニューヨーク港に接岸すれば、港湾管理局。
その港で武器・麻薬の密輸を取り締まるのはアルコール・タバコ・火器局(ATF)。
逮捕した容疑者を他州の刑務所へ護送するのは連邦保安局。
当然、その容疑者の起訴手続きは、地区検察局や連邦検察局。
(本作では出てこないが、ここに更に連邦捜査局=FBIが絡んでくる事もある)
もーややこしいややこしい。
しかもこれら複数の機関は基本的に仲が悪いw
協力してやればいいものを、それぞれが手柄を独り占めしようとする。

で、これらの機関の幾つかが悪い方向に結託すると、狙いをつけた会社にあれやこれや口実を付けて捜査に入り、財産没収からの企業買収ビジネスに繋がる、という事が有るという。
本作のメインテーマはこれです。

それと、アメリカが今までもこれからも抱え続けていくであろう人種問題。
そんなテーマを主軸に、他にも正にアメリカが抱える様々な問題をカタログのように見せてくれます。




Posted at 2020/12/29 19:00:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2020年11月28日 イイね!

11月の読書

11月の読書最近、自分でもビックリするくらい、
新しいクルマに興味が無い…(-公- ;)
BRZもシビックも「あ、出るのね」くらい。

BRZ(とZ)は今の時代益々貴重なFR+MTとして一定の需要(というのか価値というのか)はあるだろうけど、
どっちも大して売れなさそうだよなー…

ワタクシはというと、最近、服と某ソシャゲに入れ込んでいてクルマへの課金が滞り気味…(爆)
これではいかんと、来週、かんなり久しぶりに “弄り” ます。
お山のお友達が久しぶりにサーキット行きたいとも言ってくれたので、いっちょヤラカシますか。
あ、たぶんツインのフリーです(笑)。















 ロバート・J・ソウヤー『フラッシュフォワード』 (1999)


全世界の人々が自分の未来を垣間見たら、何が起こるのか?

ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)の科学者ロイドとテオは、ヒッグス粒子を発見すべく大規模な実験を行った。
ところが、その実験は失敗し、全人類の意識が2分間だけ21年後の未来に飛んでしまった。
人々は自らが見た未来を元に行動を起こすが、果たして未来は変更可能なのか?



アメリカで大ヒットしたTVドラマの原作。
ドラマでは垣間見る未来は6ヶ月後だそうですが、本家のこちらではなんと21年後。
物語の舞台は2009。そしてこれが書かれたのは1999。
作中に出てくる世界情勢ニュースは全て想像で書かれている事になり、結構良い線突いてる所が多いが、
「ドナルド・トランプはネバダ砂漠に自身のピラミッドを建設する」ってのは笑ったw

ワタクシ前後世代でCERN(セルン)という単語を聞くと、
『シュタインズゲート』を思い起こす人が多いかと思われる。
CERN=ハドロン衝突型加速器(LHC)。これによるヒッグス粒子実験というと、この手の時間系SFではある意味ポピュラーな題材。
実験の副産物効果で世界が崩壊する、的なお約束展開。
最後はまさかの『2001年』スターチャイルドで噴いたけどw

そしてこれもまたお約束の、世界は(未来は)固定されているのか、変更可能なのかの議論。
平行宇宙、多世界解釈、ブロック宇宙云々かんぬん。
正直「あー、またコレか…」感もナキニシモアラズw

ま、そこに上手いこと、各登場人物達の視点でそれぞれが直面する問題をドラマ的要素に盛り上げてあるので、確かに娯楽小説として良くできてる。

これから結婚しようと思っている婚約者と、違う相手とベッドインしている未来を垣間見た博士。
思いもよらない相手と研究室で情事に及んでいた未来を見た研究助手。
未来が何も見えず、自分はその時点で死んでいるとわかった博士。

それぞれが21年後を「回避したい未来」として恐れるか、「歓迎する未来」として安心するか、そしてまた、その未来は “確定” しているのか否かで悩む。















 クライブ・カッスラー『タイタニックを引き揚げろ』 (1976)

原題『RAISE THE TITANIC!』


カッスラーの代表作。
著者が今年の2月に亡くなった事を受けての新装版。

やっぱね…カッスラーは面白いね。
カッスラーはよく「海洋冒険小説」と称され、本作もタイトルからするとただのサルベージ深海ロマンかと思いきや…
ベースにあるのは東西冷戦の防諜合戦で、画期的なミサイル防衛システムの開発に必要な稀少元素がタイタニックの金庫室に保管されている、という筋書き。
ささやかながらタクティカルコンバット要素も有り、密室ミステリーも有り、もちろん深海探査の宝探し要素も。
しかしハイライトの “タイタニック引き揚げ” は決してクライマックスではなく、一つの山場ではあっても場面に過ぎない。
その船を巡って繰り広げられる人物ドラマが一番の読みどころ。

21世紀の我々が読むと気付かずに流してしまいそうになるが、
作中の舞台は1988年。しかしこの作品が書かれたのは76年。
実は「遠い未来を舞台にした夢物語」なのである。
実現した技術もあるし、しかし勿論タイタニックは未だ海の底に在る。
所々、(特に深海サルベージの場面で)「技術的に有り得へんくない?」なツッコミ所はあるが、そこは今も “遠い未来の夢物語” という面で楽しむべきか(笑)。

また、冷戦真っ只中の作品とあってか、かなーりアメリカ贔屓で楽観的(笑)。
もうちょっとソ連側が頑張ってくれた方が面白かったのに、とは思う。

魅力的なキャラクター群による人間模様も深みがある。
主人公?ダーク・ピットのニヒルなヒーロー像も、派手さは無いが逆にいい味が出ていると思う。
ミサイル防衛計画の立案責任者が責務のプレッシャーに負けて夫婦関係が破綻していく様、その妻が新たな人生に飛び出して行く様が特に印象的。
冒頭で描かれるタイタニック乗組員の若者の物語がエピローグで帰結する繋がりも、ベタながらもこれぞ様式美か。




Posted at 2020/11/28 12:00:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2020年10月30日 イイね!

10月の読書

10月の読書気付けば早いもので今年もあと2ヶ月。
今シーズンは久しぶりにちょいと気張ってサーキット活動復活したいな、
と言い続け、思い続け、結局何も段取りしてないナウ。( ̄▽ ̄;)

距離というか車齢というかがえー加減アレなんで、
走る前にミッションマウント交換しときたいし、車高調もゴニョゴニョ…
タイヤもゴニョゴニョ… ワンオフディフューザーもゴニョゴニョ…
そんなんゆーてたらいつまで経っても走れんww
マウントとディフューザーは部品は揃ってるんでいつでもイケるんですけどね。















 神林 長平『戦闘妖精・雪風〈改〉』 (1984 , 2002)


珍しく国産モノです(笑)。
戦闘機好きなもんでw
アニメ化もされている有名なタイトルなので読んでおこうと。( ̄▽ ̄)

タイトルの〈改〉は改訂版の改ですが、「語句を見直したり、ごく一部を修正した程度」とのことで、シナリオや構成には変更も追加も無し。


南極に突如出現した超空間〈通路〉を通って地球に侵攻してきた異星体 “ジャム”。人類はジャムを阻止するため〈通路〉の向こうの異世界 “フェアリィ” に前線基地を築いた。
フェアリィ空軍の中に、冷酷非情と味方からも敬遠されるエリート部隊がある。
特殊戦第五飛行戦隊。同戦隊の任務は、直接戦闘には加わらずひたすら戦闘情報を収集し、味方を見殺しにしてでも必ず帰還すること。
その為に、彼らには高性能コンピュータと大出力エンジン、自機を守るための強力な兵装を搭載した、フェアリィ空軍最強の戦闘機〈スーパーシルフ〉が与えられている。
エースパイロット 深井零中尉は、愛機〈雪風〉と共に、自分が生き延びる為に今日もフェアリィの空を飛ぶ。



そんな都合よく地球と同じ大気の惑星?異世界?があるかよwという野暮なツッコミは置いておいてw
そういう “隔離された環境” の中での思考実験小説…と言うと堅苦しいが、まぁそんな感じ。

正体不明どころか人間に感知できるのかすら不明な “ジャム” 。
誰もジャムの姿を見たことはない。
ジャムの戦闘機は存在するが、それを操縦しているのがどういう存在なのかわからない。
話が進むと、どうやらジャムは機械生物のようなモノで、地球の機械に反応しているが、人間を感知してはいないようだ、とわかってくる。
そうなるとジャムに墜とされて戦死した兵士たちは何なのだ。

戦況は一進一退で、フェアリィ空軍が新兵器を投入してアドバンテージを取っても、短期間でジャムが同等以上の兵器を投入してくるイタチごっこ。
学習能力を備えたスーパーシルフも、基本設計は古いながらハード面でもソフト面でもバージョンアップを重ね、次第にパイロットの存在を不要にしていく。
人間が操縦するより(ヤワな有機体を乗せているより)〈雪風〉が自動操縦で飛ぶ方が強いのでは?と感じだした深井中尉と上官のブッカー少佐。
しかし2人は同時に「この戦いに人間は必要なのか、我々の存在意義はあるのか」と苦悩する。

もはや自分は〈雪風〉の足を引っ張るだけだと認めざるを得ない一方で、言霊のように「戦いには人間が必要だ」と何度も呟く深井。


“人間的” とはどういうことか、を考えさせられる一冊。
…というか、この著者の作品はそのテーマが多いらしい。
続編があるのでそれも読んでみたい。















 ニコラス・ブレイク『野獣死すべし』 (1938)

原題『The Beast Must Die』


これもよく耳にする有名な古典。
80年前ですよ。( ̄▽ ̄;)
でも、こういうアナログなミステリの方が安心するような気もするし、
やっぱりちょっと物足りない感じもする。


交通事故で一人息子を亡くした小説家フィリクス・レイン。
警察の捜査では犯人は見つからず、自分で独自に犯人を探して復讐しようとする。
探偵小説家らしい推理で犯人と思われる人物を見つけ出し、手管を弄して懐に潜り込み、事故に見せ掛けて殺害する計画を立てる。



第一章はフィリクスの日記の形をとり、犯人を見つけ出して殺害計画の準備途中までが語られる。
この “日記” は作中作であると同時に、読者に対するトリックにもなる。
読者自身がフィリクスのトリックに組み込まれていく構成は素晴らしいし、ある意味こういう所がアナログな時代の推理小説の醍醐味かもしれない。
人がやりがちな思い込みを巧みに突いてくる見事な心理トリック。

そしてイギリス小説らしい、どこか耽美的で儚くヒロイックな哲学エッセンス。
作中で語られる「周囲の人間に害悪をもたらす人間を殺しても罪にはあたらない」という一文、実際そうだと思うんやけどね。←

…というテーマがたまたま次の一冊にも通ずる。















 サイモン・カーニック『殺す警官』 (2002)

原題『The BUSINESS of DYING』


邦題の勝ち。
“副業で殺しを請け負う刑事” って、もうそれだけで面白そうでしょ。
一風変わった警察小説…? クライムノベル…?
そしてこれもイギリスっぽさをあちこちに感じる作品。


ロンドン警視庁刑事デニス・ミルンには、ときおり、闇社会に通じる実業家の依頼を請けて人殺しのアルバイトをする裏の顔があった。
警官という仕事、法の正義に対してすっかり幻滅しきっていたが、しかし悪をのさばらせておくのも癪に障る。
そこで、ターゲットが悪人である場合に限り、暗殺を買ってでるようになった。ついでに金を稼げるなら言うことはない。

今回依頼された仕事は、三人の麻薬ディーラーを始末する事。小さなトラブルはあったもののデニスは相棒と一緒にやり遂げる。
ところが翌日、その三人は一般人であったことがわかる。
依頼主にハメられたのでは?と疑いながら、一方で “本職” に没頭して考えないようにする。
過ちを犯した償いの意識から、同日に発生した街娼の少女の惨殺事件を捜査にのめり込んでいく。
だが、新聞に自分に酷似した “人相書き” が載り、警察の捜査の手と、依頼人からの “始末の手” 両方が迫る。



“街娼惨殺事件” というあたり、やっぱりイギリス・ロンドンの深層意識には “Jack The Ripper” が深く刻まれているのだろうか?

ロンドンの街の、どこかジメッとした猥雑さをプンプンに感じさせてくれる巧みな文筆。
『フロスト警部』シリーズにも通じる、警察組織・法執行機関に漂う倦怠感。
主人公デニスも “堕落した警官” ではあるが、本人の正義を追い求め、結果的には悪を滅ぼす。
中年のロマンスも1つの見どころだが、これもデニスの高校生のような初々しい逡巡と、大人の女の余裕の駆け引きが面白い。
しかし、甘い展開は逆に劇的効果で全体を引き締める為にあるようなもの。
そこはしっかりとノワールでクライム。




Posted at 2020/10/30 23:00:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記
2020年09月29日 イイね!

9月の読書

9月の読書ガンプラにスマホゲームに読書にクルマ。
遊ぶ時間が足りませぬ。←
仕事なんかしてる場合ちゃうで。
こんなことしてる内にジジイになるんやろーなぁ…










 ハラルト・ギルバース『ゲルマニア』 (2013)


こういう事を大声で言うとアレなのかもしれませんが、
どうもワタクシ、ナチスドイツ物が好きなようです。
厨二病にはドイツ語の響きがカッチョイイィィ!←
(というかナチス自体が “集団的厨二病症候群”)


今思えば、大学で社会心理学をあーだこーだやったのも、ナチス時代の集団心理(群衆煽動・結束意識・恐怖支配・選民思考≒自己正当化 等々)に色々と興味・疑問を覚えたのが根底にあったかも?当時は自覚してませんでしたが。


本作は、1944年5~6月のベルリンが舞台。
既に首都ベルリンにも空襲の手が伸び、ノルマンディーのニュースが噂で聞こえてくるも、ナチ党検閲の新聞&ラジオ放送は殆ど伝えず。
「報復兵器1号」(V1ロケット)をイギリスに撃ったニュースでナチ党員は活気付き、“最終勝利” への士気を新たにするも、一般市民レベルでは早く連合軍に勝って欲しいという暗黙の共通認識。

…というような “当時のリアル” を、膨大な資料を漁って裏を取っているのが凄い。


リヒャルト・オッペンハイマーはWW1への従軍経験もある元殺人課刑事。
ユダヤ人なので警察をお払い箱になったが、“アーリア人” の妻と結婚していたお陰で収容所送りにはならずに細々と暮らしている。
そんな彼の所に、深夜突然 親衛隊(SS) の人間が訪れ、猟奇殺人の極秘捜査協力を “頼まれ” る。
協力を断れば即、死。しかし捜査が成功しても命の保証は無い。
仕方なくついていく一方、久しぶりに捜査活動ができるとあって憘びも感じていた。



とにかく、“当時のベルリン” の描写に掛けている手間が凄い。
そうした資料から得た「客観的事実」の磐石の土台があってこそ、空想の部分がより活きてくる。

オッペンハイマーは40代。彼が組んで捜査をするSS大尉フォーグラーは20代。
この2人の世代差はそのままナチ前・ナチ後の世代にもなり、これを活かした描写も出てくる。
ナチが “退廃芸術” に指定した作曲家のレコードを、何も知らないフォーグラーが気に入って口ずさむシーンは印象的。

ユダヤ人は「ユダヤの星」を服に縫い付ける事が義務化されていたが、捜査の支障になる(行く先々で説明するのが面倒だ)として、フォーグラーがオッペンハイマーに星を外させるシーンや、更に話が進むと報道検閲の責任者・国民啓蒙宣伝相ゲッベルスから「捜査に携わっている間、お前はユダヤ人ではない」とまで言われる。
“SSの特権庇護を受けるユダヤ人” という奇妙な存在になったオッペンハイマー。
本音と建前のナチズム。

フォーグラーは元からユダヤ人に対する偏見が殆ど無く、オッペンハイマーと対等な相棒のようなスタンスで接し、むしろ捜査技術等を学ぼうとする。
一方、純粋培養された “ナチ的思想” の権化とも言えるヒトラー・ユーゲントの少年団は、ユダヤ人というだけでオッペンハイマーをリンチしようとする。
このような対比が鮮やかに描かれる。

また、親衛隊(SS)と突撃隊(SA)、更に元々のドイツ国防軍との三竦みの確執も一つのエッセンスとして取り入れられている。

タイトルにあるゲルマニアは、当時ヒトラーが夢想していた、ベルリンを『世界首都ゲルマニア』として改造する計画。
理想と現実を象徴する皮肉に富んだこのタイトルに、英軍爆撃機の写真を合わせたカバーデザインも秀逸。










 『オーディンの末裔』 (2015)


↑から半年後の45年1~3月が舞台の続編。

まぁ…ぶっちゃけ、1作目に比べるとちょっとアレですわw(何)
シナリオ展開のテンポがいまいち乗らないというか、ミステリとしての面白さはやや落ちる。
1が良すぎた。

しかしこのシリーズの魅力・真骨頂は膨大な資料に基づく「当時のベルリンの一般市民の生活描写」にある。
本作では、益々敗色濃厚になってきた中、様々な立場の人々の “戦後” を見据えた行動が色々と見られる。
“SSの刺青” を消す将校、偽造通行許可証を売る者、“ユダヤ人を匿った実績” を作ろうとする者。
一方で、そんな状況でも “民族裁判所” は政治犯の死刑を行い、プロパガンダを続ける。もはや逆効果なのだが。

驚くのは、連日連夜の空襲に晒されながらも、公共交通(路面電車・地下鉄)がまだ一応機能している事。
ガソリンはほぼ手に入らず、電気も一般家庭には日中しか供給されず、水道も止まり人々は井戸を掘る。
そんな中でも “有る所” には食料も水も酒もたっぷりあり、宴の中で終戦を待とうかという者も居る。


次の3作目はいよいよベルリン陥落。










 『終焉』 (2017)


1945年4月、ベルリン防衛軍降伏2週間前から始まる第3作。
東から迫るソ連軍の砲声が日に日に近付く中、多くのベルリン市民は「ナチからの解放」と「新たな支配」の両方を意味するその現実に複雑な心境だった。
前作『オーディンの末裔』もそうだったが、 “戦後” を見据えて画策する者と、新たな環境に順応するしたたかな者が象徴的だ。
主人公オッペンハイマーはそのどちらでもなく、時代に、国家に、完全に翻弄される側。
ユダヤ人としてはナチス崩壊は歓迎だが、ソ連の占領軍はまた新たな問題を持ち込んでくる。
ソ連軍内部にも様々な思惑の者たちがおり、懲罰部隊(犯罪者や軍規違反者で構成された捨て駒部隊)の隊員達が軍に戻らずベルリンでギャング化する。
また、ドイツの原爆研究者がソ連への亡命を計画するが潜伏中に物盗りに襲われ死亡、隠された開発資料を巡ってギャングとソ連正規軍、更に西側エージェントとの間で争奪戦が繰り広げられ、しっかり巻き込まれるオッペンハイマー。

おそらく、著者はこの戦後混乱期を一番書きたかったんではないか。
“ミステリ小説” として完成度が高いのは1作目『ゲルマニア』で、これは広くオススメできるが、
2、3作目、特に本作はドキュメント資料的な側面が強く、世界史的な興味が無いとちょっと退屈かもしれない。“警察モノ” とも “戦争モノ” とも少し違う。
後味こそそう悪くは無いが、最初から最後まで “混沌” の状況である。

しかし、少し評論めいた事を言えば、
『帰ってきたヒトラー』以後、それまでタブーのように萎縮して触れられなかった “ドイツ人作家によるナチス小説” というモノが一気に芽吹いて、ギルバースの本シリーズはその中でも重要な位置を占めるのではないかと思う。

ナチスもソ連も、狙う相手が違うだけで中身は同じ恐怖政治。
今の中華も同じでは。




Posted at 2020/09/29 22:22:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記

プロフィール

「@あすきー 別に昨今のインバウンドに始まった話ではなく、私がチビッコの頃でも珍しく光景ではなかったです。伊丹空港&新大阪が近い土地柄もあったかもですけど?」
何シテル?   09/25 19:16
派手な赤い車なんで、どこ行ってもすぐバレますw 死ぬまでMT宣言。 _/_/自分で運転した事あるクルマ_/_/ スバル インプレッサ...

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Geminiで3D画像を創る方法に関するプチ考察www 
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2025/09/14 08:47:12
ヴァイザッハ流 ナラシとは 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/11/08 16:29:26
Challenge to 1 minute wall...〜1分の壁への挑戦〜 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/12/07 20:24:32

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