
2日前の半徹夜活動が響いたのか、
昨日の朝からなんか喉が痛くなり(ワタクシ、いつも喉風邪)、
休憩時間に病院行ってきたらしっかり扁桃腺腫れて熱出てましたww
上司にゴニョゴニョ言って昼で早退してきましたです。( ̄ε ̄;)
とりあえず薬飲んで素直に寝てましたが、
…なんでこう、体調不良で寝てる時って、
全然時間進まないんでしょうかね。
「あれ?まだ2時間しか経ってないやん」的な。
浅い眠りでずっと寝てるのも逆にしんどいじゃないですか(;´∀`)←
という言い訳をしておいて(笑)、
ちょっと早いですが
「9月に読んだ本」 、
今月はちょっと少なくて3冊だけです…
といっても、内2冊が600頁超え(しかも1冊は、元々上下2巻だったのを纏めた版)です。(;´∀`)
マーク・グリーニー 『暗殺者の復讐』 (2013)
活字部第1回で紹介したグレイマンシリーズの4作目。
相変わらず、この著者の(或いは、この訳者の)文章は読み易い。結構内容詰まってるのにスイスイ読める。
が…毎回…この…ダサい邦題はなんとかならんのか…ww
当然と言えば当然ですが、毎回テーマが異なってマンネリな展開は無く飽きません。
CIAの特殊工作員だったが、
本人にも不明の理由でCIAから「発見次第射殺」対象とされ、闇に生きているコート・ジェントリー。
初作「The Grayman」では、彼の首にかけられた賞金を狙う数々の抹殺チームを撃退しながらヨーロッパを横断し、敵の拠点に乗り込んで人質のロリータ姉妹を救出する、という王道のストーリー。
2作目「On Target」では、雇い主から与えられた不本意な任務で、アフリカのとある国家元首を誘拐しての一大市街地戦。
3作目「Ballistic」では、南米のとある家族をギャングの抗争から守る為に奮闘し、その中で背中を預けて戦った女性とぎこちないロマンスを見せたりも。
後半の、狡猾なギャング親玉をジワジワと追いつめて行く様にワクワクします。
※サラッと書きましたが、ジェントリーはほぼ常に満身創痍ですw
また全てに於いて、非常にリアルな検証や取材に基づいて描かれているので、
決してスーパーマンではない人間臭い“コート・ジェントリー”が実在するように感じられるのも魅力。
3作目で初めてハッキリと“そう描かれ”ましたが、一応全作それぞれに“ボンドガール”的な存在も居ます。
そしてこの4作目「Dead Eye」。
今度は
影武者が現れます。
大物なんだか小物なんだかよくわからない
“デッドアイ”と名乗る男。味方のようだけど胡散臭さがプンプン。
「いやいやまてまてジェントリー、そいつ絶対怪しいやろw」と、思わず読みながら呟いてしまう(笑)。
疑い、欺きながらも部分的に共闘し、取引し、利用しながら利用され、徐々にボロが出て化けの皮が剥がれていくデッドアイ。
ジェントリーとはまた違った意味で非常に人間臭いデッドアイ。この対比も一つの見所ではないかと。
そして今回、ジェントリーが今まで一貫してきた「悪いヤツしか殺さない」の信条が遂に実って、最後に、小さいけれども強力な味方を得ます。
それが次の第5作へ繋がるわけで。
このグレイマンシリーズ。
メタルギアや、コールオブデューティー等のミリタリー系ゲームをやったことの有る方なら
絶対のめり込みます。オヌヌメ。(*´∀`)b
クレイグ・トーマス 『ファイアフォックス』 (1977)
「最高速度マッハ5、レーダーを無力化し、ミサイルを脳波で操作するソ連の新型戦闘機
Mig-31 コードネーム FireFox」
東西のパワーバランスを一気に崩すこの存在を、
「奪取せよ!」という、至極シンプルな話(笑)。
と、ここで先に解説を。
作中でも大きく扱われる「レーダーに探知されない」、つまり今で言う「ステルス性能」については、
世界初のステルス機と言われる
F-117が、正式にその存在を公開されたのが1988年。(初飛行が83年)
また、作中では架空の機体として描かれる「Mig-31」、同じ名前の現実の
Mig-31が実戦配備されたのが1980年頃。
作中の架空のMig-31は「FireFox」というコードネームですが、現実のMig-31は「FoxHound」。
また現実のMig-31にステルス性能は無く、最高速度もFireFoxの半分程のマッハ2.8とされます。
この作品が世に出たのは1977年。
F-117もMig-31もまだ存在していない時代。(軍内部の極秘計画としては動いていましたが)
その時代に描かれた“近未来”であり、
しかし「マッハ5」や「脳波コントロール」といったモノは21世紀の今に於いても充分に“近未来”の要素です。
なので。
この小説は今の時代に読んでも充分に面白いしワクワクします。
「レーダー波は無力化できるけど排気の熱を赤外線探知されたらモロバレ」という作中の描写が、
F-117を既に知る身としては微笑ましい部分です。( ̄▽ ̄;)
(まぁ…ジェットエンジンである限りは、マッハ5なんか出そうもんならどーやってもドエライ排熱になるでしょうから、どのみち完全なステルス性は得られない?)
前半の「潜入」、後半の「脱出」に綺麗に別れているのがわかり易くていいです。
前半は前述のグレイマンシリーズの様な、スリリングな“スパイの潜入過程”が続きますが、
主人公はあくまでパイロットなので、潜入工作的な部分は素人同然。この辺りがなかなか面白い。
そして、この唯一人のパイロットを潜入させる為に協力する…というか、
ストレートに表現すると「捨て石になる人々」の割り切り、ドライさ、プロフェッショナルさ(ソ連体制へのやりきれない怒りの裏返しでもある)。これぞハードボイルド。
またソ連組織の体質も入念に調べられていて、KGBとGRUの縄張り争い的な描写もあり、ミリタリーを齧ってる人ならニヤリとするはず。
(このあたりは、後述する『プロテウス・オペレーション』でのゲシュタポとSSの描写も近いものがある)
コレが、東西冷戦まっただ中の77年に、イギリスで書かれた本だというのが凄い。
エースコンバット等のフライトシューティングゲームをやってる人にもオヌヌメ。(*´∀`)b
あ、ちなみに、
こないだの「プロの素人RedXIII vs Mercedes-Benz R230 SL」は、この『ファイアフォックス』からのオマージュですwww
…どーでも良いけど、もひとつついでに言えば…
Mig(ミコヤン・グレーヴィチ設計局)と言いながら、表紙イラストの機体はどう見てもSu(スホーイ設計局)系デザイン…(笑)
ジェイムズ・P・ホーガン 『プロテウス・オペレーション』 (1985)
これが元々は上下2巻だった本。の新装版です。
J・P・ホーガン嵌ってます(笑)。
この人の本は論理性と意外性に満ちていてひじょーに面白い。
で、
先月読んだ『リッパー』の項で「ホーガンがタイムスリップ物書いたら面白いだろうに」とか言いましたが、
コレがソレです。実はあの時既にこの本は入手していました(笑)。
『リッパー』のタイムスリップがただのファンタジー、論理的根拠一切無しのご都合主義で、それが凄く不満だったのですが、
この『プロテウス・オペレーション』のソレは「そう!そう!そうだよね!そうなるよね!!」と、心中で手を叩きながら読んでました。
物語は、1974年、二次大戦でナチスドイツが圧倒的勝利を収めた世界から始まる。
ヨーロッパ全土はナチス支配下にあり、連合国は北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3国のみ。
それが全て飲み干されるのももはや時間の問題。
アメリカはJFKの指揮下、過去の世界へ精鋭部隊を送り込み、歴史の流れを捩じ曲げんとする“プロテウス作戦”を発動。
1975年から1939年へ、12名の部隊が“跳んだ”。
…75年のアメリカにそんな技術あったのかよ?結局コレもファンタジーやんw
と思われるかもしれませんが…そこはちゃんと仕掛けがありますので大丈夫。(;´∀`)
以下ややネタバレになりますが、
作中の世界には実はもう一つ、2025年の世界があります。
1974年の世界のナチスは、実はそれ以前から、2025年の世界からの援助を受けていた結果世界支配を掴んだ。
そして、遡った1939年の世界の時点で既に、ナチスには2025年からの“門”があった。
プロテウス部隊の最大目標は、そのナチスの“門”の破壊です。
ただ、ナチスと2025年との“門”は、既に
双方向の移動が可能ですが、
プロテウス部隊(=アメリカ)の装置は1974年にしか無いため、双方向化するには、跳んだ先の1939年で同じ装置を作らねばなりません。
装置の部品自体は1974年から持ち込むので、組み立ては問題なかったのですが…どうにも1974年と接続できない。
ここで、ホーガン印の科学的・論理的な仕掛けが入ります。
それをバラすと致命的なのでそれについては触れませんが…
この部分の究明に、作中で登場するのがアインシュタイン。
本作には多くの実在人物が登場しますが、特にアインシュタインの立場は大きい。
タイムスリップをトンネルに例えた場合。
入口と出口は同じ世界なのか?
同じ次元なのか?
同じ宇宙なのか?
いわゆる
タイムパラドックスについてどう考えるか、という所ですね。
『リッパー』のタイムパラドックスは「変えた所だけ変わる」ものでした。
誰かが未来から過去へ入り込んで何かしら過去に干渉しても、“世界”そのものは変わらず、基本的に“同じ未来”へ繋がって行き、戻ってきても以前と同じ環境がそこにある、という形でした。『リッパー』は。
ホーガンがそんなヌルい話を書くわけが無い(笑)。
未来から過去に“本来存在しない要素”が混入した時点で、その世界は既に別の世界(宇宙)に変容している。
その“混入した要素”が例え何もしなくても。“混入”しただけで既に世界は変わっている。
(量子力学に依る多元世界解釈)
つまり、プロテウス作戦は、過去に介入して歴史を曲げるけれども、
その曲げた先の未来は、最初にいた1974年には繋がらない。
1939年で何をしようが、1974年のJFKがナチスの脅威に怯える世界は何も変わらない。
プロテウス部隊にとってそれは想定外だった。
作戦が進行するにつれ、“懸念”が徐々に輪郭を持っていく中で、それでもなぜプロテウス部隊のメンバーは作戦を続行したのか。
“戻るべき場所”とは何なのか?
自分の居場所とは?
この作品のテーマはそれに集約されると思う。
ある意味、哲学的な物語です。
700頁近い大作ですが、なぜ元々2冊だったのをわざわざ1冊に再編したのかよくわかる。
物語が非常に入り組んでいて情報量が多く、更に技術面の科学的解説等も入り、頭の中での処理がなかなか大変。
“面白くなる”下巻に入る前に、上巻で挫折してしまう人が多発すると思われwwwww
読解難易度は高いと言わざるを得ません。
これに比べると『星を継ぐもの』シリーズのなんとスラスラ読める事か(笑)。
が、深くて面白い。
とてつもないスケールの大きな仕事をやろう、という時なのに
いやむしろ、そういう時だからこそ、個人的な小さい部分がより重要なのかな、と。
で、今読み始めた次の本は
コレまたホーガンの時間SF『未来からのホットライン』。です。(*´∀`)
…が、
『プロテウス』よりも5年前に書かれた作品で、
序盤から『プロテウス』への布石になる概念が出てくるので、
……読む順番間違えたかなこれは?(笑)
『未来からのホットライン』→『プロテウス・オペレーション』と読んでいけば、
読解難易度はいくらか下がりそうです。