ヴィクトリア・エイヴヤード 『ガラスの剣』 (2016)
2月に読んだ『レッドクイーン』の “2” 。
細かい所を思い出す為に1も再読。
魔法を使える支配階級 “シルバー” と、労働者階級の “レッド” という二種類の人々が暮らす世界。
レッド出身ながら、とある事件により稲妻を操る力に目覚めた少女メア・バーロウが、その存在を隠そうとする王族に利用され王宮の中で翻弄され、王=父を謀殺した野心家の第二皇子メイヴンにハメられ、王殺しの犯人に仕立て上げられた第一皇子カルと共に復讐を誓う。
というのが “1” 。
J-RPG的な魔法使いバトルが看板ですが、今回の “2” は「仲間集めの旅」。更にRPGっぽい(笑)。
メアは自分がレッドでもシルバーでもない “ニューブラッド” と呼ばれる存在だと知る。そして世界中の同じような人々の仲間探しを始める。
シルバーの能力とニューブラッドの能力は似て非なるもの。
シルバーは “既に存在する物を操る” 力。火を操る、水を操る、植物を操る、全てきっかけの火花や水溜り、草木が必要。
しかしメアの雷は無から発生する。他にも瞬間移動する者や未来を見通す者、驚異の記憶力の者。
「次はどんな能力者が出てくるんだろう」というワクワク感が続く展開は楽しい。
アメコミ的なノリと言う方が近いかも?
ニューブラッドのリーダー的な立場に押し上げられつつ、全ての人々から距離を取られ孤立を深めていくメア。
まだまだ波乱が続きそうな今後。
ご都合主義でツッコミどころも多いけど、RPGだからOKwww
ちなみに、“4” まで続くそうな。
バリントン・J・ベイリー 『カエアンの聖衣』 (1978)
原題『The Garments of Caean』
「服は人なり」という衣装哲学を持つカエアン文明。
カエアンでは、着ている服によってその人物の品格のみならず、人間としての性格まで左右される。
カエアンと敵対するザイオードでも、カエアン製の衣装は高値で闇取引され人々を魅了していた。
ザイオードの密輸業者の一団が入手したスーツはその中でも特別な力を宿していた。
そのスーツに “選ばれた” ペデル・フォーバースは、スーツの力で富と名声を得て成功したかに見えたが、そこからスーツの “魔力” に操られ宇宙を横切る旅に。
旅の果てに明らかになるカエアン衣装の真実とは。
服が人格を作るというのはワタクシ自身も我が事としても結構頷ける興味深いテーマ。
“エエもの” を着ると自信がついて背筋が伸びる。
…それはそれでなんとも軽薄で安っぽい自我だな、とは思いつつw
“警察官の制服” や “医者の白衣” というのもある種、一定の人格を形成する衣装と思う。
…というか、我々の得意分野に例えて、
乗っているクルマが人格形成に影響すると言い替えた方が分かりやすい?
黒のアルファイアとかw でーあーでー的なアレとかw
フェラーリ乗りとランボ乗りとポルシェ乗りも比べたら「あー」って結構納得できる傾向があるじゃないですか(笑)。
元々そういう嗜好・思考・志向だから其れを選ぶのだし、其れを選ぶことでその方向性がより強まる。
今のワタクシの性格形成も、赤ターボの影響が少なくないし。
服もクルマも、自己イメージやアイデンティティを投影する対象であるし、また逆に、“其れに相応しい人物” になろうともする。「服に着られる」ようではカッコ悪い。
…というような事をもっと大胆に大袈裟に膨らませたのが本作のメインテーマ。
(この “自己イメージ” というのが作中終盤で大きな鍵になる)
しかし、本作はそれだけにとどまらぬ多くの魅力が溢れている。
この著者の想像力は凄いなと思うし、心理学や社会学にも造詣が深いのがわかる。
サイボーグ宇宙海賊 ヤクーサ・ボンズのくだりは茶ぁ噴いたけどwww
Red13指定 必読図書
Posted at 2018/08/30 08:00:16 | |
活字部 | 日記