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2020年09月29日 イイね!

9月の読書

9月の読書ガンプラにスマホゲームに読書にクルマ。
遊ぶ時間が足りませぬ。←
仕事なんかしてる場合ちゃうで。
こんなことしてる内にジジイになるんやろーなぁ…










 ハラルト・ギルバース『ゲルマニア』 (2013)


こういう事を大声で言うとアレなのかもしれませんが、
どうもワタクシ、ナチスドイツ物が好きなようです。
厨二病にはドイツ語の響きがカッチョイイィィ!←
(というかナチス自体が “集団的厨二病症候群”)


今思えば、大学で社会心理学をあーだこーだやったのも、ナチス時代の集団心理(群衆煽動・結束意識・恐怖支配・選民思考≒自己正当化 等々)に色々と興味・疑問を覚えたのが根底にあったかも?当時は自覚してませんでしたが。


本作は、1944年5~6月のベルリンが舞台。
既に首都ベルリンにも空襲の手が伸び、ノルマンディーのニュースが噂で聞こえてくるも、ナチ党検閲の新聞&ラジオ放送は殆ど伝えず。
「報復兵器1号」(V1ロケット)をイギリスに撃ったニュースでナチ党員は活気付き、“最終勝利” への士気を新たにするも、一般市民レベルでは早く連合軍に勝って欲しいという暗黙の共通認識。

…というような “当時のリアル” を、膨大な資料を漁って裏を取っているのが凄い。


リヒャルト・オッペンハイマーはWW1への従軍経験もある元殺人課刑事。
ユダヤ人なので警察をお払い箱になったが、“アーリア人” の妻と結婚していたお陰で収容所送りにはならずに細々と暮らしている。
そんな彼の所に、深夜突然 親衛隊(SS) の人間が訪れ、猟奇殺人の極秘捜査協力を “頼まれ” る。
協力を断れば即、死。しかし捜査が成功しても命の保証は無い。
仕方なくついていく一方、久しぶりに捜査活動ができるとあって憘びも感じていた。



とにかく、“当時のベルリン” の描写に掛けている手間が凄い。
そうした資料から得た「客観的事実」の磐石の土台があってこそ、空想の部分がより活きてくる。

オッペンハイマーは40代。彼が組んで捜査をするSS大尉フォーグラーは20代。
この2人の世代差はそのままナチ前・ナチ後の世代にもなり、これを活かした描写も出てくる。
ナチが “退廃芸術” に指定した作曲家のレコードを、何も知らないフォーグラーが気に入って口ずさむシーンは印象的。

ユダヤ人は「ユダヤの星」を服に縫い付ける事が義務化されていたが、捜査の支障になる(行く先々で説明するのが面倒だ)として、フォーグラーがオッペンハイマーに星を外させるシーンや、更に話が進むと報道検閲の責任者・国民啓蒙宣伝相ゲッベルスから「捜査に携わっている間、お前はユダヤ人ではない」とまで言われる。
“SSの特権庇護を受けるユダヤ人” という奇妙な存在になったオッペンハイマー。
本音と建前のナチズム。

フォーグラーは元からユダヤ人に対する偏見が殆ど無く、オッペンハイマーと対等な相棒のようなスタンスで接し、むしろ捜査技術等を学ぼうとする。
一方、純粋培養された “ナチ的思想” の権化とも言えるヒトラー・ユーゲントの少年団は、ユダヤ人というだけでオッペンハイマーをリンチしようとする。
このような対比が鮮やかに描かれる。

また、親衛隊(SS)と突撃隊(SA)、更に元々のドイツ国防軍との三竦みの確執も一つのエッセンスとして取り入れられている。

タイトルにあるゲルマニアは、当時ヒトラーが夢想していた、ベルリンを『世界首都ゲルマニア』として改造する計画。
理想と現実を象徴する皮肉に富んだこのタイトルに、英軍爆撃機の写真を合わせたカバーデザインも秀逸。










 『オーディンの末裔』 (2015)


↑から半年後の45年1~3月が舞台の続編。

まぁ…ぶっちゃけ、1作目に比べるとちょっとアレですわw(何)
シナリオ展開のテンポがいまいち乗らないというか、ミステリとしての面白さはやや落ちる。
1が良すぎた。

しかしこのシリーズの魅力・真骨頂は膨大な資料に基づく「当時のベルリンの一般市民の生活描写」にある。
本作では、益々敗色濃厚になってきた中、様々な立場の人々の “戦後” を見据えた行動が色々と見られる。
“SSの刺青” を消す将校、偽造通行許可証を売る者、“ユダヤ人を匿った実績” を作ろうとする者。
一方で、そんな状況でも “民族裁判所” は政治犯の死刑を行い、プロパガンダを続ける。もはや逆効果なのだが。

驚くのは、連日連夜の空襲に晒されながらも、公共交通(路面電車・地下鉄)がまだ一応機能している事。
ガソリンはほぼ手に入らず、電気も一般家庭には日中しか供給されず、水道も止まり人々は井戸を掘る。
そんな中でも “有る所” には食料も水も酒もたっぷりあり、宴の中で終戦を待とうかという者も居る。


次の3作目はいよいよベルリン陥落。










 『終焉』 (2017)


1945年4月、ベルリン防衛軍降伏2週間前から始まる第3作。
東から迫るソ連軍の砲声が日に日に近付く中、多くのベルリン市民は「ナチからの解放」と「新たな支配」の両方を意味するその現実に複雑な心境だった。
前作『オーディンの末裔』もそうだったが、 “戦後” を見据えて画策する者と、新たな環境に順応するしたたかな者が象徴的だ。
主人公オッペンハイマーはそのどちらでもなく、時代に、国家に、完全に翻弄される側。
ユダヤ人としてはナチス崩壊は歓迎だが、ソ連の占領軍はまた新たな問題を持ち込んでくる。
ソ連軍内部にも様々な思惑の者たちがおり、懲罰部隊(犯罪者や軍規違反者で構成された捨て駒部隊)の隊員達が軍に戻らずベルリンでギャング化する。
また、ドイツの原爆研究者がソ連への亡命を計画するが潜伏中に物盗りに襲われ死亡、隠された開発資料を巡ってギャングとソ連正規軍、更に西側エージェントとの間で争奪戦が繰り広げられ、しっかり巻き込まれるオッペンハイマー。

おそらく、著者はこの戦後混乱期を一番書きたかったんではないか。
“ミステリ小説” として完成度が高いのは1作目『ゲルマニア』で、これは広くオススメできるが、
2、3作目、特に本作はドキュメント資料的な側面が強く、世界史的な興味が無いとちょっと退屈かもしれない。“警察モノ” とも “戦争モノ” とも少し違う。
後味こそそう悪くは無いが、最初から最後まで “混沌” の状況である。

しかし、少し評論めいた事を言えば、
『帰ってきたヒトラー』以後、それまでタブーのように萎縮して触れられなかった “ドイツ人作家によるナチス小説” というモノが一気に芽吹いて、ギルバースの本シリーズはその中でも重要な位置を占めるのではないかと思う。

ナチスもソ連も、狙う相手が違うだけで中身は同じ恐怖政治。
今の中華も同じでは。




Posted at 2020/09/29 22:22:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 活字部 | 日記

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