
お盆の間1週間、本に触れてなかったんで今月は2冊だけ。( ̄▽ ̄;)
いい加減今シーズンはちゃんとサーキット走れるようにしたいけど、その為にはそろそろメンテし始めないと…
いけないのだが…( ̄  ̄;)…
おきゃね無いw どうしたもんかw
セバスチャン・フィツェック 『乗客ナンバー23の消失』 (2014)
原題『PASSAGIER 23』
これは面白い!(・∀・)
クルーズ船という閉鎖空間で人が消える、というだけならよくあるパターンの話と思いきや、
この作品はそこから話が二層三層掘り下げられてひっくり返って「そーきたか」的な。
序盤で感じるほど陰惨な話ではなく、むしろ終わってみたら爽快…とまではいかなくとも、スッキリとポジティブな気持ちで本を畳める。
警察官のマルティン・シュヴァルツは、5年前に妻と息子をクルーズ船のツアー中の事故で亡くした。
それ以来自暴自棄になり、勤務態度は不真面目ながら、危険な囮捜査にも抵抗なく参加するという点で重宝されていた。
そんな捜査中に、クルーズ船に住んでいるという老婆から「貴方の息子の遺品を見つけた」との電話を受け、不審に思いながらも捜査を放り出して船に向かう。
5年前の事件の裁判で衝突した船長の姿を見つけて殴りかかるマルティン。しかし船長は「今それどころではない。乗客23号が乗船している」と言う。
乗客23号とは、航海中に行方不明になる者を指す隠語だが、2ヶ月前に行方不明になった少女が今になって見つかったのだという。少女は重度の心的外傷を負って何も喋らないという。
心理学の博士号を持つマルティンは、事態を隠蔽したい船の所有者から少女が今までどこで何をしていたのか調べるのに協力して欲しいと言われる。
そんな時に更に別の “乗客23号” が発生したとの報が入る。
妻と息子を呑み込んだ船の中で、マルティンは5年前と、2ヶ月前と、現在の3つの事件の真相を探る。
とまぁ、なかなか複雑なプロットなんですが、
そこまでのややこしさを感じさせずサクサク読ませてくれるのが上手い。
こういう密室系スリラー?ミステリ?だと、当然「犯人は誰だろう、どれがトリックのヒントだろう」とか思いながら読むワケですが、
本作はそれを更に先回りして、先入観をガッチリ作り上げてから裏をかいてきたり、2回3回のひっくり返しもあり、
なかなかすんなり予想できる人は居ないんじゃないかなと。
被害者が復讐する側に立場が逆転し、それでいてスッキリさせてくるという、なかなか出来そうで出来ない絶妙なバランス。
黒幕が最後に義理人情を見せる辺りもニヤリ。
スティーヴン・L・トンプスン 『A-10奪還チーム 出動せよ』 (1980)
原題『RECOVERY』
みんカラ的に面白い!(・∀・)
時は1982年。冷戦下のドイツ。
二次大戦終結後、米ソの間で秘密協定が結ばれ、アメリカ軍・ソ連軍双方が、それぞれ相手側の支配地域内に軍事連絡部を設置していた。
アメリカは東ドイツ領内に、ソ連は西ドイツ領内に “部隊” を置き、しかも基本的に行動の自由が認められていたという。
(これは著者のフィクションではなく事実らしい)
一方の行動を妨害したり文句をつけると、全く同じ事が自分の側にもブーメランで返ってくる為、余程の軍事的政治的事情が絡まない限り積極的な干渉はしない、いわゆる “紳士協定” 。
とはいえ、お互いに相手領内で情報収集活動をしているのは公然の秘密なので、車両を発見された場合はそれなりに追跡は受ける。が、あくまで “事を荒立てない” 範囲。衝突や発砲はご法度。相手が軍事連絡部内に逃げ込んだ時点でゲームオーバー。
(…というのが “史実” も含めた基本情報。
恐らくは以下がフィクションの部分)
そして、この軍事連絡部の役目には情報収集や大使館のようなものに加え、
相手領内に不時着・撃墜された航空機から、味方の乗員や機密装備を敵の手に落ちる前に回収する、というものもあった。
さすがにこれに関しては双方全力で実力行使に踏み切る。
その為に軍事連絡部が使用する車両は高度にチューンアップされたモンスターマシンばかりで、配属されたメンバーもクルマの運転や整備に明るい者ばかり。
…と、なかなか事前説明が長くなりましたが…
邦題だとA-10というタイトルに引っ張られて紛らわしいんですが、
これは
迫真、白熱のカーチェイス小説です。(・∀・)
ちなみに、著者は元レーシングドライバー。
主人公側アメリカの車両は
フォード・
フェアモント。
…と言われてもピンと来ないんですがw

こんなクルマ。
アメ車としてはコンパクトな部類で、パワートレーンは2.3ターボ、3.3直6、4.2V8の3種類?
決してスポーツカーではない。どちらかといえばファミリー向けのお手軽車。に、とりあえずV8も積みましたよ?的なヤツ?
作中ではエンジンを5.0に載せ換えてターボ化し、レーシングパーツ山盛りでカリカリにチューニングしてブースト1.0で500馬力という。
絶対アシが負けて乗りにくいやろ…w( ̄▽ ̄;)
対する東ドイツ警察側は
BMW・
2002の群れとメルセデス・
450SEL。

作中の2002は、エンジンに関する言及が無く(&役回り的に)ターボではなくNAと思われる。
一方450SELはボスキャラ的なポジション。
型式で言うとW116、初代Sクラスですね。
4.5リッターの方なのか6.9リッターの方なのか、作中では特定できないんですが、6.9の方は(シトロエンの)ハイドロサスらしいのでハードなカーチェイスとなると4.5の方?
あと、雑魚というか端役で、ソ連兵の乗るラーダと、東ドイツの自警団が乗るヴァルトブルグなるクルマも出てきます。
ラーダは年式が絞れなかったけどたぶんコレ。↓青い方

ヴァルトブルグ? ナニソレ( ゚д゚)ポカーン…だったので調べましたら…
“高級ファミリーカー” という
なんともニッチなwコンセプトの、東ドイツの小規模メーカー。当然、今は御座いません…
作中に出てるのは恐らく年式的に↑の写真の「353」というモデルなんですが、これのどこに高級要素があるんだ…w
…と思ったら、先代の311というのを見たら納得。
カルマンギアに通ずる流麗なデザインでカッチョイイ!
それがいきなりこんな弁当箱みたいな形になるなんていかにも東っぽい←
こういうマニアックなクルマを登場させてくるあたり、さすが元レーサー。
まー、魔改造フェアモント vs 450SEL というと、
現代的に解釈すると 「マスタングのエンジン積んでターボ化したフォーカス vs S63AMG (orマイバッハ)」ってなもんかしら?
実際はベンツとのガチンコではなく、色んな相手が入れ替わり立ち替わり出てくるので飽きません。
し、ヘリにも追われますw
Posted at 2021/08/30 22:00:26 | |
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