11月6日にJAIA(日本自動車輸入組合)が、2015年10月度の輸入新車登録台数を発表しました。
前年4月以降が消費税引き上げの影響と、直前3月までの駆け込み需要の反動で前年同月比で販売が大きく落ち込んでいたため、
今年の4月以降は2桁増が続いていましたが、7月から回復の勢いが鈍り、9月には前年同月比▲1.8%と減少に転じ、
10月は同▲10.0%と2桁減となってしまいました。
ただ、10月については市場の減少分は、ディーゼル車の不正プログラム問題の
VWが前年同期比▲48.0%とほぼ半減となった影響が市場全体の減少に相当しています。加えて同グループの
AUDIも▲29.4%と足を引っ張っています。
VWはBMWに抜かれて輸入車2位から3位に転落、
AUDIはMINIに抜かれて4位から5位に転落しています。両社とも
日本には問題のディーゼルは平行輸入車しか入って来ていないのに、一旦信頼を失うと影響が大きいですね。VWは5年間メインテナンス費用無料の戦略を打ち出しましたが、どこまで影響が尾を引くのでしょうか。
今考えると突如退任した元VW社長の庄司さんは絶好のタイミングで辞めたことになりますね。
輸入車業界2位転落の懸念が強まって来た事から解任される前に自ら退任したのでしょうが。今回のディーゼル不正問題は把握していなかったと思われますが、
さすがは元商社マン感が冴えていましたね。
そんな環境の中で、
Volvo車の2015年10月の新車登録台数は前年同月比+22.5%の998台でした。
ディーゼル搭載車の一斉投入で一大攻勢を掛け、本格的に登録が始まったと見られることから前年同期比で登録台数は大きく伸びています。
ただ10月は元々登録台数が少ない月で、台数にして前年同月比183台の増加に留まります。
大攻勢を掛けた割にはそれほど登録台数に反映されていない様に思われます。やはりVW問題で
ディーゼル車全体のイメージが悪化してしまっており、水を差されたのではないかと懸念されます。
4月に前年同月比+21.5%と13ヶ月ぶりのプラス転換したものの、5月は同▲4.5%と再びマイナス、6月はプラスには転じたものの微増、7月は前年同期の販売水準がかなり低かった反動で同+40.0%、8月は▲1.8%、9月は+2.5%と一進一退の状況が続いていましたが、
10月+22.5%となった事から、ようやく反転攻勢が始まったものと期待が持たれます。何とかディーゼル問題はガソリン車やPorcheにまで疑念が広がってきていますが、
何とかVWグループ個社の問題に収まって、Volvoは販売回復が強まって欲しいものです。
なお、
同業他社の状況ですが、
MBは4,109台(前年同月比▲4.0%)と、8か月連続首位キープで年間トップはほぼ確実の状況になりましたが、さすがに息切れしてきましたかね。
そして3位から2位に浮上したBMWですが、こちらは3,190台(同+10.0%)と好調。
一方
2位から3位に転落したVWは、2,403台(同▲48.0)と一人負け。
5位から4位に浮上したMINIは1,475台(同+1.0%)と、
モデルチェンジによる勢いは一巡しつつあるものの依然堅調。
4位から5位に転落したAudiは、VW程ではないものの1,403台(同▲29.4%)と大幅減。
Volvo Car Groupのグローバル販売の方も、米国での復調から一時の停滞を脱し回復基調を強めています。5月に前年同月比▲1.3%マイナスとなったものの、6月同+7.9%、7月同+4.6%、8月同+3.2%、9月同+2.4%と着実な伸びとなっていましたが、
10月は同+12.6%の2桁増となりました(@_@)。
米国は長年苦戦を続けていましたが、昨年12月以降相底ばい状態となり、
XC90販売本格化の効果等からか7月に前年同期比+14.7%となったのに続いて、8月同+18.3%、
9月同+18.4%と回復が進んできました。そして10月は比較的登録が少ない月ながら+86.9%の大幅な増加となりました。
高成長を続け最大の市場に成長した中国は3月以降やや反動減が出ていましたが、7月同▲15.0%を底に、8月同▲9.4%、
9月同▲5.2%とマイナス幅が縮小し、10月には同+2.2%と底打ち小幅回復となりました。
欧州も、本国Swedenは6月同+13.0%に続き、7月同+16.6%、8月同+19.2%、9月同+15.4%、
10月同+9.0%と好調継続。
Sweden以外の欧州地域も9月は同▲1.0%と若干減少したものの、6月同+18.7%、7月同+10.5%、8月+6.5%、9月▲1.0%、
10月+3.7%と順調に推移しています。
米国の復活、好調な欧州に加えて、一時調整していた中国も下げ止まり世界全体としては好調な状況になってきています。
米国ではXC90の本格販売に加えて、VWのディーゼル不正プログラム問題の影響で漁夫の利を得ることができたということなのでしょうか、米国の勢いがどこまで維持できるか多いに注目されます。
なお、
V40についは発売後4年目に入りグローバル販売が頭打ちとなっています。2月同▲4.0%、3月同▲2.9%の小幅マイナス。4月は同+1.1%とやや持ち直しましたが、5月には再び同▲2.1%とマイナスに転じ、更に6月同▲6.5%、7月同▲21.2%と縮小均衡に入っています。8月は前年の水準が低かったこともあり同+2.9%の微増となりましたが、9月は同▲7.8%、
10月は同▲15.8%と再び2桁のマイナスでした。
引き続きXC60が12,645台(前年同月比+6.3%)と牽引役ですが、
XC90の新型がようやく本格的に販売開始されてきています。8月は6月の4,638台、7月4,533台に比べると初期出荷一巡で2,787台に留まりましたが、9月は4,183台と順調に販売を伸ばし、
10月には6,430台にまで伸ばしてきました。この勢いが維持できるのか注目されます。
また、V60CCは1,788台に達し、S60CCも7月から販売開始され、10月は147台となっていますが、いずれもV60、S60とカニバリとなっていて押し上げにまでは繋がっていません。
中国の景気減速の影響、欧州の先行きとも楽観はできませんが、米国、中国向けにデカくて偉そうに見える様に作った新型XC90ですが、本格的にデリバリーが開始され、
米国が狙い通り復活しつつありまので、
中国の再成長も期待されます。特に米国では新工場の建設も始まっていることから、
今後の回復継続が期待されます。
なおジーリーの販売動向ですが、9月+8.0%、10月+11.8%と10ヶ月連続で回復が進んでいます。ただ長期の大幅な在庫調整からの底打ちの段階で水準自体は決して高くはないことから、在庫調整の一巡した12月以降も回復基調を維持できるかが注目ポイントになってきます。
【マーケット動向】
2015年10月
外国メーカー車 17,535台(前年同月比▲10.0%)
国内メーカー車 3,533台(同+14.8%)
輸入車総計 21,068台(同▲6.6%)
国産登録車 240,889台(同+0.2%)
国内軽自動車 139,200台(同▲10.8%)
【輸入車シェアの推移】

(出所:JAIAデータより作成)
グローバルの販売データ

(出所:Volvo Car Group)

(出所:Volvo Car Group)
Posted at 2015/11/08 09:44:19 | |
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