2013年06月23日
※リベンジ 彼女がつけたブラックマーク 第2章 【セリカ編】 その17-18
先のブログでは、沢山の励ましのお言葉やイイね、ありがとうございます。
かの文化大革命で焚書を受けた著者の気持ちがほんの少し垣間見れた、本日の削除通知。
その一部をご紹介しようといたしましたところ、転載または引用を禁ずるとのこと、私信は受け取った時に私の所有物となり、なおかつ、このような事務的な通知を暴露したところで、影響は瑣末に過ぎないにも拘らず、言論統制さながらの四角四面な書き繰りに、最後っ屁でもかまそうかとも思いましたが、私自身、7年と1ヶ月間、ここを利用し、利便を享受していた立場。
反体制こそメタルの真骨頂ながら、敬意を忘れては、人後に落ちるというもの。
『右の頬をぶたれたら、次は左クロスを狙え。』と教え込まれた丹下段平世代につき、このまま引っ込むもの癪ですし、何より楽しみにしていただいた方に応えるべく、みんカラを開くことにいたしました。
かつて、どこかの後進国で、ダビテ像を展示することになり、局所を葉っぱで隠したり、パンツを履かせてはどうかとの議論が真剣に交わされていたと聞きます。そのやり取りを見つめながら、草葉の陰で溜息をつくミケランジェロに思いを馳せつつ、大偉人と比べるべくもありませんが、表現者として忸怩たる思いで割愛した、『その17』と一応の区切りとなる『その18』までを、まとめて掲載しておきます。
おそらくまだ監視中かと思われますので、ここまでかなり言葉と感情を抑えて書き進めておりますことをご承知頂き、戦時中の教科書のごとく、問題箇所はすべて黒塗りにて続編です。
-------------------------------------------------------------------------------
期せずして、セリカのハンドルを握れたことはラッキーだが、目的地がさっぱり分からない。
一旦、路肩に寄せてハザードを点け、
「で、どこ行けばいいの?」
「V君の行きたいところならどこでも。」とつっけんどんな彼女。
「なにそれ?それなら、このまま、あそこの駅まで運転して、地下鉄乗って家に帰ってもいいってことなんだよね。」
「どうぞご自由に。」
「今からディズニーランドとか行っちゃっていいの?」
「別にいいよ。明日の朝までに帰ればね。」
う~んと言って考え込む僕を見る彼女は、相変わらずツンツンしている。
「じゃあ、カラオケかな。」一番無難な提案をした僕を
「やだ。」彼女は一蹴した。
「さっき、どこでもいいって。」半ば呆れる僕に、
「ナオちゃんと一緒は嫌なの。」と膨れる彼女。
「え~、、、、、そうすると、、、、、」
本当に困った僕は、いっそのこと、このまま帰ろうかと思ったその時、彼女の一言に、僕の視床下部は激しく動揺した。
「V君さ、約束忘れたの?」
「約束って、ハワイに行く前にした?」
「そう。」
「え、だって、あれって、無くなったんじゃ。」
「ううん、私は、覚えてるよ。」
「いやいや、ほら、ハワイに彼氏と仲良く行ったすぐ後でしょ。」
「私、ハワイでもアレだったし、全然しなかったんだから。」
嘘か本当か確かめようもないが、約束がまだ生きていることだけは確かだった。
僕は全てを了解した。キーを渡された意味も。
「女の子の運転で、そんなところ入るのって、なんかね。」
彼女は、そう言って、セリカのハンドルを握る僕の肩にもたれかかって来たのだった。
3度目の正直で、やっとそこに着くことができた。
1回目は、彼女が無常にもアレになって行けずじまい、2回目は、その気になったナオちゃんと向かうも会社の急用でアウト、そして3回目の今日、スロープに沿って、セリカを地下駐車場へと進めた。
最近出来たそこは、アーバンホテルのような概観と、お洒落な室内で人気が高く、平日だと言うのに駐車場は車で埋まり、パネルはほぼ満室に近い状態だ。
スイートとはいかないまでも、そこそこいい部屋を選び、エレベーターに乗り込んだ。
エレベーターの中での、なぜか気まずい数十秒が経過し、真新しい廊下を真っ直ぐ言ったところに部屋はあった。
ドアを押し開いて中に入ると、清潔そうな香りとともに、木を基調とした落ち着いた空間が広がった。
ベッドもツインにしては、望外な大きさだ。でっかい鏡が化粧台の上に備え付けられている以外に、それらしい飾りもなく、いかがわしさも微塵も感じさせないシックな室内に、彼女は痛く気に入った様子だ。
ベッドに腰掛け、TVをつける彼女。
「何気に慣れてない?」そのすぐ横に腰掛ける僕。
「ここ来たのは初めてよ。って、私、一体どんなイメージ?」
少しムッとした顔を向ける彼女を、体ごとベッドに押し倒すと、
「キャッ」と十代の女の子みたいな声が上がった。
シーツの上で広がる栗色の髪、少し開き加減のグロスが効いた唇、シースルーのアウターをなだらかに押し上げる張りのある胸、スカートの裾から露になったスレンダーな太もも、その全てが僕を受け入れる準備が整ったことを意味していた。
(色々と事情があって不本意ながらごっそりと削除)
ここまでが再掲載となります。その18も、かなり割愛してのスタートです。
(その18、引き続き途中まで大幅削除)
「もう、力が入らない。」
とようやく僕を解放した彼女は、タオルを巻いて立ち上がると、冷蔵庫からジンジャーエールを取り出し、口に含んだ。
「ねえ、着けなかったし、本当に大丈夫なの??」
彼女に言われたまましたのだが、賢者タイムに突入した途端、不安が押し寄せてくる。
「大丈夫だって、なに心配してるの?なにかあったら、責任取ればいいだけでしょ。」と、まるで人事のように言い放つ彼女。
「だから、それが心配だってこと。」
「ふーん、難しく考えてるのね。」
「いやいや、食べられたのは、こっちだし。無過失だよ、こんなの。」
「分かってて食べたんでしょ~。こういうの何ていうんだっけ、未必の故意じゃなかった?」
「ちょっと違うような気がするけど、そもそも、未必の、、」と言い掛けた僕を、彼女は
「あ、ちょっと、シャワーしてくる。」とさえぎり、腰の辺りを気にしながらタオルを巻いて、そそくさと浴室へと入っていった。
僕はトランクスを履いてベッドに横たわり、頭の中を整理し始めていた。
彼女には婚約者がいる。間違いなく来年結婚し、仕事を辞める可能性が高い。
一方、僕にも恋人はいる。長く付き合った分、僕にはなんらかの責任があるのは否めない。
お互いの事情は、僕も彼女も了解済みだった。
とすれば、今日のことは、割り切った極めて有期的な関係でしかない。
という、えらく都合の良い演算結果が出た頃、
「お待たせ。」とシャワーを終えた彼女が出てきた。
「あ、もう着替えてる。」
「うん、少しクーラー寒いし。どうせ外に出たら、また汗かくんだろうけどさ、シャワーでも浴びてこよっかな。」
「そうね。」彼女は携帯をカバンから取り出し、触り始めた。
シャワーで軽く体を流した後、部屋に出ると彼女はタオル姿のまま、ベッドに寝転んでいた。
その横に腰掛け、飲みかけのコーラを喉に流し込む、温く炭酸が抜けたコーラのえぐい甘味が口中に広がった
「そう言えば、ナオちゃん、V君のこと、面接の時から、いいって言ってたんだよ。」
「マジで?」ということは、この前のナオちゃんの態度は、やっぱりナオちゃんなりのアプローチだったのだ。
良かった、最後までしなくてと一瞬安堵したが、そういう問題じゃない。
そして彼女は、次にとんでもないぶっちゃけを投下したのだ。
「ナオちゃんさ、、、、あのコね、整形しているの。」
「はい?」コーラが本当に鼻から出そうになった。
「最初、会社に入ってきた時、髪をギュッと縛り上げて、眉毛はボーボー、ほっぺたもパンパンで、すっごいイモ臭くて、私がメイクとか教えてあげたんだよ。で、顔のラインをどうしかしたいって聞いてきたから、美容整形でもしたらって冗談で答えたのに、本当にしちゃってた。
ほっぺたの肉をピンセットで摘むんだって、ああ、もう痛い痛い。
会社も休んで、都合2回、ほっぺを削って今のナオちゃんの出来上がり。
あとエステとかも行き出して、結構痩せたんだよ。
そうそう、3年前かな、あのコ、社内じゃないけど不倫もしたんだよね。その相手とランクルで河下りをしていたら、水没しちゃって、それで奥さんにバレたんだって。なんかさ、ナオちゃんて、少しズレてるって言うか、残念なんだよね。そう思わない?」
ナオちゃんのもっとも触れて欲しくないであろう過去を、一気に捲くし立てた彼女は、僕の同意を待った。
「う、うん。僕の知る限りは、無邪気というか、悪いコじゃないと思うけど。」
「悪いコじゃないけど、天然なのよ。」
ナオちゃんとツーカーなのは分かってはいたが、仲良しかどうかは、かなり微妙だ。
彼女がナオちゃんに対抗意識を持っていることは明らかだった。
どちらかの前で、うっかりなにか言ってしまうことだけは避けなくてはならない。
彼女は、ベッドから起き上がり、クローゼット近くに置いたハンティングワールドの大きなバッグを手に持って戻ってきた。
バックから取り出した紙袋を彼女は、「はい、お土産。」と僕に手渡してきたのだ。
紙袋を開けてみると、なんと、中にはエンポリの黒いT-Shirtが入っていた。
「すごい、もしかして特別扱い?」
僕はそのT-Shirtを自分の体の前で広げてみた。
「そうよ。」とシャツの袖をもって僕の体に合わせる彼女。
と、その時、彼女の左手首に、数本の切り傷の跡があるのが目に入った。
そう言えば、彼女が時計を外しているのを見たのは、今日が初めてだ。
明らかに、不慮の事故とかで付いた傷ではなく、静脈を切断するかのように、腱の方向に対して横に何本も入れられていたものだった。
『ちーちゃんには気をつけたほうがいい。』
ナオちゃんの言葉が、冷静さを取り戻した僕の頭の中で、彼女の幾本ものリスカ痕がついた左手首と重なりながら、再びリフレインを始めていた。
(みんカラでは一応ここまで。続編ならびに全文掲載は、また、改めてお知らせいたします。)
ブログ一覧 |
創作シリーズ | 日記
Posted at
2013/06/23 22:30:06
タグ
今、あなたにおすすめ