2026年04月21日
時々、思い出したかのようにUPしてはお騒がせしております、このシリーズ。
彼女たちの愛車への素直な感想、取るに足らない駆け引き、機微な感情の揺らぎ、悪魔の証明に打ち勝つ断固たるアリバイなどなど、日常のありふれた一場面を切り抜いたモノでして、特に他意はなく、そして虚実綯い交ぜになっているモノであることを申し添えておきます。
今回は、グランクーペに少々事情ありげな女子大生を乗せまして、その時のことです。
毎年、この季節には、本業とは別に、生活の糧の一つとして日銭を稼いでおります講師業の傍ら、巣立って行った生徒達の受験勉強の労をねぎらい、結果云々に関わらず、『受験お疲れ様会』を開いておりまして、今年、とある焼き肉店のワンフロアを貸し切り、10代の胃袋のために食べ放題のコースを予約し、盛大に開催した時のこと。
今年の参加者は、珍しく男子よりも女子が多く、そして何故か、数年前に私の下を卒業し、当時、高3の医学部受験講座の際に、課題文として出題した某医学部の過去問である『別れの手紙』を、私が知らないのをいいことに講義に出ていた元カレ本人の前で採点させられ、二人でdisりまくって、元カレを絶望の淵に叩き込むと同時に、まんまと公開処刑の片棒を担がされ、その後、元カレともども重い十字架を背負うこととなった、悪魔すらドン引きするほどの純潔の皮をかぶった冷徹な処刑執行人『リカ』(仮名)が混じっていたのでした。
※その時のブログはこちら
当のリカは、数年前の共通テストで得点率97%の脅威の高得点をひっさげ、全国の超進学校の英才たちを恐れ戦かせた挙句に、某K都大の医学部医学科を蹴って地元の国立大学医学部に進むという信じがたい所業の末、現在、医師の卵として実習中の身なのですが、
どこから嗅ぎつけたのか、「先生、今年の時間と場所教えてください(笑)」と、こちらから誘うまでもなく、シレっと参加し、そこで、家庭教師先の生徒をゲットしたり、件の別れの手紙を授業で使用していることもあってか『本人降臨!!』と生徒達のテンションも爆上がりし、ダメ男ホイホイのトークショーで場を盛り上げてくれるため、とても重宝しているものの、気持ちよく酔っぱらった最後は、合格祝いにおじい様から買ってもらった、とあるタワマンに、私が足変わりとなって送り届けるまでが1セット。
そして、今年も、コースに入っていないミスジやらの希少部位を勝手に追加注文した挙句、ソフトドリンクの私や生徒達を横目に、1人で日本酒、チューハイを細身の体のどこに入っていくのか目を疑うほど飲み干し、その結果、またしても予算を遥かに上回るお会計を済ませ、財布が羽毛のごとく軽くなったところで、
「こんな美少女が夜一人で歩いていると危ないので、送ってくれ、、くださいm(__)m」とのお約束のおねだりに、
「とっくに成人している上に、美少女かどうかは疑義があるけど、いいよ。」
「ええっ、ひっどい!どっからどう見ても、清純でいたいけな美少女でしょ!!」
「美少女というより、ドカ食いダイスキもちづきさんの先輩の、人生に疲れて酒に溺れたOLってとこじゃない。」
「そんなのヤダ、、超絶美少女だもん!!」と、とても予備校時代は常に全国で一桁、今の大学で学部2位の成績を維持している優等生とは思えない、低偏差値トークを楽しく交わしたところで、コインパーキングに到着。

※向かって右側が酒に溺れる先輩。左側は言わずと知れたモチヅキさん。
勿論、本文とは一切関係ございません。
実際、よくナンパされるため、限定的な保護者とは言えども、ほっとけないところもあるのです。もし何かあったら、リカを溺愛してやまない、超資産家のおじい様からどんなお仕置きをされるか分かりませんから(半分冗談)
「ちょっと乗って待ってて。」とグランクーペのドアを開け、駐車料金の支払いへ。
「え~新車ですか、これ!」とリカ。
「違う違う、中古だよ。かれこれ10年目ぐらいになる。」
「全然、綺麗じゃないですか~ドア気を付けなくちゃ。」と支柱に当たらないよう手で押さえながら、スカッフルプレートを跨いでナビシートへ。
「お邪魔しま~す♪なんか、いい匂いする♪」
納車オプションの内装クリーニングのおかげか、上等な石鹸のような香りが漂う車内で、ゆるやかに巻かれた髪をさっと後ろ手にまとめ、スカートから伸びた、長く形の良い足を揃えてシート調整をしている。
「お待たせ、行こうか。」
支払が終わり、F36をコインパーキングから出して、片道2車線の国道へ。
最近の出来事や実習のことなどたわいのない話が続き、サイドウィンドウから断続的に差し込む繁華街の明かりが、ずっと大人っぽくなったリカの黒目がちな横顔を浮かび上がらせては、猫のようにクルクル変わる表情を、張り子の回転灯のごとく照らしている
その間、B48は黒子に徹して、グランクーペの雰囲気に見合った空間を演出し、会話をリードするのはリカの役目、私は、そのウィットに富んだ話題に、相槌を打ちつつ、ほとんど聞き役に徹するのみ。
まもなく、リカのマンションという交差点で信号待ちをしていると、ふいに会話が途切れ、F36の車内に静寂が訪れたのでした。
かすかなコロンと甘い彩を含んだ香りがナビシートからふっと立ち上ったかと思うと、
「先生、ご報告があります。」とこちらを向いて、急に改まった口調になるリカ。
「な、なに、突然?」
こんな真面目な顔をしているのは、仮面浪人をしたいとの切実な相談を受けた時以来。
「ちょっとお伝えするのが、心苦しいんですけど、、、、」
「別に構わないよ、ていうか心苦しいなら敢えて言わなくても良いし。」
「以前、お話しした彼氏のこと覚えてます?」
「うん、知っている。東京の大学の医学科に通う、幼馴染だったよね。」
「はい、その彼とのことなんですが、、、、、」
珍しく歯切れの悪いリカに、
「あのさ、もうすぐ着くけど、言いにくかったら、落ち着いた頃にSMS(事情があってLINEはやっておりません。)とかでもいいからね。」と促すも、
「いえ、報告します!」と酔いが醒めたかのようにキリっとなるリカ。
「おう!」と身構えるも、
「その彼と、、、、」
「うん、、、」
「彼と、、、、」
「と?」
「と、、、、と、、、、、」とのグダダ具合に、
ふぅと一息ついてから、意を決したかのように、口を開いたのでした。
「け、、、結婚しました!!!」
「ふ~ん、そうか、、、って、え、えぇぇぇぇぇぇ!!大学生だよね?学生結婚!?」
あまりの予想外の報告に、うっかり降ろす場所を通り過ぎてしまい、それなら少し遠回りして話を聞くことに。
「彼から、実習に入る前に籍をどうしても入れて欲しいって。それで、流れで。。。」
「マジで?それはおめでとう!いや、びっくりしたよ。おじい様やお母さんも驚いたんじゃない?」
「それが、、、、まだ、友達とか誰にも言ってないんですよ。。。先生が初めてです。」
「そうなん?それはそれで光栄だけど、いや、その、さ、先生が始めてだなんて、誤解しか生まないセリフ、お願いだから他所で使わないでね、、、で、いつか言うんだよね?」
「何て言ったらいいか相談したくて。あと、先生みたいに奥さんのこと、ずっと好きでいられるかどうか不安で。」
だそうでして、今すぐは、ロクなアドバイスが出来なさそうだったため、改めてお祝い兼ねた作戦会議をすることに。
現在も遠距離恋愛、そして卒業後も遠距離が確定していたこともあり、彼氏の不安がピークに達したことで、勢いでプロポーズをし、その勢いに流されたらしく、
「二人とも大人で、彼氏も医者の卵だし、将来性は抜群だから大丈夫だと思うよ。報告するなら、とりま二人でだよね。それにしても愛されているよね~」と振ると、良かったのかどうか、分からないとのこと。
再びマンションの前に着いたところで、
「これで、先生と同じ既婚者ですから、安心ですよね!」と何が安心なのか分からない発言を残してグランクーペを降りた彼女は、
「またこのカッコいいBMW乗せて下さいね♪」とダブルピースで見送ってくれたのでした。
という訳で、少々訳ありな女子大生を乗せてしまい、何やらめんどくさいことに巻き込まれそうな予感がしないわけでもない、グランクーペとの一夜。
マリッジブルーが後から来てしまったのか、それとも、何か秘め事でもあるのか定かではありませんが、果たしてF36のようなスタイリッシュな結末を迎えることが出来るのか、続編がありましたら、また、どこかの機会でも。
Posted at 2026/04/21 10:41:29 | |
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F36 | 日記