2011年09月30日
タイヤ交換後、ハンドルのセンターがやや右に切れはじめ、先日、専門ショップにて職人の手によるアライメントを3度取り直したにもかかわらず、症状が治まるどころか、センターがさらに右に傾き、車が菅政権よろしく左に流れるようになったしまったうちのM3。
納車以来、足回りに大きなショックを与えたことは皆無、ほぼ平地の車庫で引きこもっていただけで、ハンドルセンターがここまでぶれるとは考えられず、ブッシュ、ジョイント類の経年劣化含めて、診断してもらおうと、昨日、藁にもすがる気持ちでTKさんにM3を持ち込みました。
ここTKさんは、並行車と伝えただけで、店員さんの声のトーンが途端にそっけなくなり、お茶すら出てこなくなるという名門ディーラーの高い敷居を跨ぐことが許されない、私のようなはぐれBMW乗りを温かく迎えてくれる駆け込み寺的存在であり、小石川養生所の赤ひげ先生とも言うべきBMWのプロショップ。
数々の無理難題や難問奇題もお手の物で、もし、ここがだめなら、モルダーとスカリーに極秘依頼するぐらいしか思い当たらない、私にとっては最後の望みの綱なのです。
もともとオイル交換をお願いしていたこともあって、朝一からピットを空けてもらい、所見が開始されました。
サーキット仕様のE92M3、バンパーからインタクーラーが覗くカーボンブラックのE46M3、バリスのフルエアロで武装したアルピンのE46M3などなど、錚々たる猛者たちが所狭しと並べられる敷地内。
そんなHPポイント桁違いのマシン達に囲まれたうちのM3は、ドラクエⅡの最終ダンジョンに間違って入り込んだ、銅の剣の勇者にしか見えない(汗)
さらに、その奥のシートがかぶせられた中で、真のモンスターが育っていたことに、全く気づくよしもなかったという(詳細後ほど)
試運転から戻ったスタッフのけんけんさんが、辻社長に症状を伝え、アライメントを再測定。
しかし、若干、キャンバー角が左右でバラつきがあるもののハンドルのセンターに影響が出る数値でも全くなく4輪ともに基準値内。
再び一回りして、ハンドルのがたつき、直進時のブレを確認するも、異常なし。
ブッシュの破断やジョイント部分の遊びもなく、ここまでで判明した事実といえば、ハンドルを少し右に切った状態でタイヤすべてが前を向いていることと、メカニカルな異常がないこと。
決定的な原因がなかなか出てこないことで気持ちばかりが逸りましたが、邪魔になってはいけないと、後はプロの手に任せて、待合室で作業が終わるのを待つことにいたしました。
雑誌をめくるも頭に入らず、時々響くホーンの音は、今、ハンドルを外しているという経過報告。
そして、作業開始から1時間ほど経過したところで、辻社長から、「終わりました。」との声がかかり、文字だけを事務的に追っていた雑誌から顔を上げて、ピットに案内された私の前にあるのは、ウマから下ろされたM3の姿。
「ど、どうだったんですか?」手術室から出てきた外科医に祈るような気持ちで聞く私。
「センターは出ました。」
「ああ、良かった。。。。」と安堵するも、
「数値にも異常がないものですから、ハンドルを外して、ノッチを左に一こまずらして付け直しました。」
と、ハンドルを付け直したことで、ひとまず、ハンドルセンターは戻ったものの、原因については「う~ん。。。」と首を傾けるばかりとなりました。
それでも、帰路ではハンドルセンター時の直進安定性が蘇り、走りの気持ち良さを取り戻したうちのM3。
以前、ボンネットの裏にマルコビッチの穴が開いていたり、DMEのヒューズがなくても走行していただけのことはあるオカルトマシーンですので、これぐらいのことをいちいち気にしていたら、付き合いきれないよと言った念押しだったのだろうか・・・
とにもかくにもTKさんの手により、センターが出たことには変わりはなく、結果、アライメントもばっちりに。
さて、前述した胸躍るモンスターマシンがこちらです。
幸運にも、オーナーさんがお見えになっていたので、お話を聞かせていただきながら、ボンネットの中も拝見することが出来ました。

以前、こややんさんのブログにも登場していたこともある、一見、前後の赤いARMAキャリパーが目を引くぐらいで、ノーマル然としたE46の330セダンですが、このボンネットの下には、135iの3Lツインターボユニットが移植されており、ミッションも6MTに換装済み。
しかも、エアロは一切つけず、マフラーはノーマルをそのまま使うという、オーナーさんのこだわりとご家族への気遣いが具現化した、まさに「羊の皮をかぶった狼」的な激熱の1台。
とにかく、E46のセダンがお好きでして、M3の4Drが出なかったことに大変がっかりされたそうです。
年内シェイクダウンとのこと、高速でノーマルのE46だと思ってかかると、火傷間違いなしのM3イーターが、このシートの下に潜んでいようとは、「私、脱いだらすごいんです。」どころではないサプライズでした。
それにしても、うちのM3ときたら、いくら私がオカルト好きだからといって、あと一体どれだけ不思議ワールドへと引きずり込めば気が済むのだろう・・・
たまには、奇跡のエンジンで360psのCSLよりパワーが出てましたなんて、うれしいオカルトがあってもいいのに(嘆息)
Posted at 2011/09/30 11:48:47 | |
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E46M3 | 日記
2011年09月27日
「ある晩、風呂から上り、姿見に目をやると、そこに見知らぬ老人が立っていた。」とは、CGの名編集長だった加藤哲也氏が、鏡に映った自分の姿を見て、もらした言葉。
仕事や趣味に没頭し、充実した日々を過ごす反面、いつの間にか老いの影に包まれ、誰にでも来る残酷な現実と対面した瞬間を、見事に言い表した至言です。
先週の頭から、ややこしい案件に巻き込まれ、家族サービスどころか自分のことすら気にする時間もなくなり、ふとトイレの鏡に写った、デスマスクかと思うほどの生気の抜けた自分の顔に、「うわっ・・・」と背筋が寒くなったのと同時に思い出したのがこれでした。
幸い、今週に入り、ようやく仕事も落ち着き始め、まだまだやりたいことだらけの人生を急いで消費することもなくなって参りましたので、先日うちのM3に起きた、私にとって偲び難く、そして、不可解なトラブルについて書き進めたいと思います。
と、その前に、このお題『右曲がりのダンディー』でピンと来た諸兄は、セルシオとNSXが飛ぶように売れ、荒木師匠と一緒にお立ち台でセンスを振り回し、タクシーチケットがバンバン切れた良き時代を過ごされ、そして今では年に1回の健康診断で、バリウム飲んでグルグル回されているお年頃の方ばかりかと(笑)
何のことか見当もつかない20代の方のために簡単に説明いたしますと、バブルの頃に、モーニングに連載されていた漫画で、主人公の一条まさとは、右曲がりの螺旋構造をしていたナニを持ち、それを駆使して世の美女たちを次々と篭絡していくという、『特命係長 只野仁』の遥か斜め上を行く、当時ならではのくだらなくも懐かしい作品なのです。
この漫画の影響で、泌尿器科と形成外科に、この漫画を持ち込む男性患者が殺到したという(嘘)
え~、、、毎度毎度の脱線をお許しいただき、ここから本題。
6月にしたタイヤ交換以来、ハンドルのセンターが若干右に寄っていたうちのM3。
タイヤが馴染めば戻るだろうぐらいの軽い気持ちで、高速ステージはじめ、100km程度を走破してみると、気にならない程度にまで症状は緩和。
この調子なら、その内センターが出てくると楽観視しつつ、さらに100km走り込むも、ほんの気持ち右にズレたまま。
舞妓サンデーでの知多半島道路往復でも、一向にセンターが出てくる気配がなかったため、ズレの程度は僅かとはいえ、アライメント調整を決意し、その足でアライメントのプロショップにM3を持ち込みました。
ここは、過去に2度、M3のアライメントをお願いし、その都度、ドンピシャのセッティングを決めていただいた信頼できる職人の店。
今回お願いしたのも、ハンドルのセンター出しと、いつもの『直線まっすぐ、コーナーじわじわ、出口でドン』
「ああ、このM3ね。まあ、任せてよ。ほれ、これに掛けて待ってな。」との頼もしい一言を頂き、オイル缶に座布団を被せただけのワイルドな椅子に腰掛け、M3の作業を見守る私。

作業中、技術的な薀蓄だけでなく人生の先輩としてのハートフルなお話を聞かせていただき、あっという間に1時間が経過して調整が終了。
モニターの数値もすべて基準値内にあることを一緒に確認すると、
「じゃあ、ちょっと乗ってくるわ。」と手馴れた調子で出て行くM3をお見送りしました。
ほどなくして、乾いたエキゾーストとともに戻ったM3から出てきたのは、なぜか、浮かない顔の職人。
「あれれ、、ごめん、ちょっと乗ってもらえるかな。」と首を捻る職人からキー受けとり、M3のハンドルを握ると、そこには信じがたい光景が。。。。
なんと、ハンドルのセンターが出ているどころか、もっと右に切れてしまっているじゃありませんか(呆然)
ピットに戻り、事実を説明すると、「そうだよな。悪い、もう一度だけ診させてちょー。」と名古屋弁で申し訳なさそうにする職人に、「もとより承知の上です。納得するまでお任せします。」と全てを託すことにいたしました。
確かに数値はすべて基準値内だった。どこで狂ったのだろうか・・・
再びテスターに載せられ、調整を受けるM3。
「うん、こんなところかな。」
そうつぶやくと、再度、テストドライブへ。
数分後、いつもだったら駐車場に置かれ、精算を済まして無事帰宅のはずだったのが、そこにあるのは、ピットの中に入れられたM3と、さらに険しい顔をした職人の姿。
「やっぱり右に切れとるわ。乗ってもらえるかな。」とキーを渡され、M3で一回りすると、症状は変わらず。
いつの間にか、西日が差し込み始めたピット内で、「時間大丈夫?もう一回いいかい?」
「もちろんです。」と言うが早いか、三度目のアライメントチェックに。
実質、これがラストチャンス。
果たして、E46M3のあの一切の曖昧さを排した剛性の塊のようなハンドルセンターは戻るのだろうか。。。。
やがて、テスターからゆっくりと降ろされ、祈るような気持ちで職人とともにテストドライブに向かったM3を見送る頃には、どこかともなく漂ってくる夕食時のカレーの香りに、空腹であることを気づかされる自分。
そして、私の前に戻ってきた職人の表情が、、、、、、全てを語っていたのです。
結局、3度アライメントを取り、職人の手をもってしても戻らなかったM3のハンドルセンターに、頑として、「お代はもらえない。」と言って、勘定を突っぱねる職人。
「申し訳ない。今度、今の数値をデータとして取りたいので、もう一度時間のあるときに来て欲しい。」
そう見送る職人に再来店を約束して、帰路に着きました。
車齢10年とはいえ、僅か35000kmで、右曲がりのダンディーを気取るうちのM3。
そのM3に、「V8もいいかも、、、」と気持ちが離れそうになる自分との葛藤が続くここ数日。
前後違う銘柄のタイヤの特性なのか、ブッシュのヘタリか、それとも、ステアリングのどこかに原因があるのか、いまだ分からないまま、今週、TKさんに持ち込んで診断を仰ぐ予定です。
そういえば、右利きの健全な男子なら、逆に左曲がり、、、、あ、いや、なんでもございません(謎汗)
おまけは、アライメントなんて無関係、旧ソ連製兵器『ZIL-29061』の、ドリルで突き進むハリケンポリマーもびっくりの映像
Posted at 2011/09/27 19:15:18 | |
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