2011年10月31日
病気と闘う大切な家族「ランディ」へ

今から4年前、やわらかい春の日差しが差し込む穏やかな日の午後に、君は我が家の一員となった。
10回目の結婚記念日を迎え、当時、まだ兄弟がいなかった息子へと、嫁と相談して決めたこと。
手の平に乗るほど小さな体を震わせ、おびえた瞳でやってきた君。
ゲージが開いたとき、聞こえたよね。
「ランディ」
それが君が一番最初に呼ばれた言葉、そして、君だけの特別な名前。
僕が急いで帰宅すると、部屋中に溢れていたのは、家族の笑顔、そして、陽だまりのにおい。
「ランディ」
不安そうに顔を上げる君に、僕がそう呼ぶと、尻尾を目一杯振って応えてくれた。
小さな体から、目一杯、陽だまりのにおいを振りまいて。
あれから今日まで、君の周りにはたくさんの変化があった。
引越しをして、君の散歩コースが長くなったこと。
前よりも吼えられる回数が増えたこと。
そして、2年前、君に妹ができたこと。
「ランディ」
最近、一つ増えた君の名前を呼ぶ声。
そう、君の妹が、無邪気に呼ぶ声さ。
変わらなかったこと、それは君が纏っている陽だまりのにおい。
「ランディ」
布団の中から、君を呼んだ時、眠い目をした君は、一体誰の布団にもぐりこんで来るのだろう。
君が伝えてくる体温と鼓動は、家族の安らぎ。
君がいる場所は、暖かいだけじゃない。
目覚めると、陽だまりのにおいで満ち溢れているんだ。
「ランディ」」
病気と闘っている君に、僕らの4つの声が届いているのだろうか。
君が家に来た時、君を一番最初に見送らなくてはならないことは、分かっていた。
でも、たった3歳にしかならない君を前に、その覚悟を今しろというのはあまりにも酷だ。
「ランディ」
今夜のハロウィンパーティは、お化けカボチャをたくさん飾るよ。
君のお父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹が、悪い精霊を家に入れないよう、しっかり守るからね。
絶対に、連れて行かせやしないさ。
陽だまりのにおいがする君を。

Posted at 2011/10/31 15:49:39 | |
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My Life | 日記
2011年10月25日
先週末、嫁の実家に大阪から遊びに来ていた義兄一家。
大のマツダ党でもある義兄は、一時、Sクラスに走ったものの、現在所有する3台は全てマツダ車で、
特にロータリーに対する拘りは尋常ではなく、SA22のターボに始まり、FC、そして現在はRX-8を、それはそれは猫かわいがりしているのです。
この日も、RX-8に家族4人を乗せ、大阪からロータリーサウンドを響かせてやってきた義兄。
私の顔を見るなり、「おう、どうや、ロータリーいく気になったか??」
「そんな甲斐性ないですよ。エイト、調子はどうですか??」
「やっぱオートマとロータリーの相性はあかん。リッター6kmも走らへん。ガソリン税の納税者ランキング、今年もディフェンディング・チャンピオン確定やわ。」
てなやり取りを、毎度、お約束のごとくしております。
義兄のエイトは、発表された2003年に新車で購入したTypeEというラグジュアリーモデル。
6MT、250psのTypeSを予約していたにも関わらず、年下で可愛い奥さん(限定免許)の
「私も運転したい♪」との我侭を聞いて、泣く泣くATにしたという優しさと葛藤がてんこ盛りになった1台。
夕食時、三菱党の義父を巻き込んでの自動車談義になると、『GDI vs ロータリー』の旧世代マニアック技術対決のクチ・プロレスのゴングが鳴り響き、
アルコールが入るにつれ白熱する戦いは、理系同士のあまりにコア過ぎる局地戦に私が入り込む隙はなく、最後は、義兄の「伝統のリコール隠し。」、義父の「な、なにを今更。来年、生産廃止のくせに。」との子供以下のけなしあい反則技が飛び出して、「ぐぬぬぬぬ。。。。。ま、飲むか♪」と、両者酔っ払ってのリングアウトにて終了。
そうやって酔いつぶれた義兄は、「おい、V君、これ、乗っていいぞ。」と何度かエイトのキーを貸してくれたりするのです。
キーを受け取ったからには、ハンドルを握らない手はなく、エイトのコクピットに収まって、この日も近所を1周。
4ATの210psはドノーマルにつき速さ的には大したことないものの、回頭性の軽さとロータリーのデッドスムーズな回転フィール、「ヴィィィィィィィン・・・」と独特の高周波パルスを伴うサウンドは、いつ乗っても琴線に響いてくるというもの。
今から8年前の納車当時に、初めてハンドルを握らせてもらった時、本気で増車を考えたほどでした。
「ありがとうございました。」キーを返す私に、義兄は、
「M3よりロータリーやろ。」と得意そうにニヤリとするのも、お約束。
しかし、この日はちょっと様子が違っていたのでした。
赤ら顔の義兄が、子供達が遊んでいる部屋へ行こうとする私を呼びとめると、背中越しに飛んでくる突拍子のない一言。
「あのな、V君、、、、良かったら、あのエイト、乗ってくれへん?」
「はい??いきなりなんですか?」
「V君さえ良ければ、、譲ろうと思うねん。」
「え、、、だって、宝物じゃないですか。」
あれほど大事にしていたエイトの里親になってくれとの突然の申し出に、一瞬、思考が止まる私。
「ほら、ロータリー、来年終わってしまうやろ。うちの嫁はんも今はアクセラしか乗らんようになって。」
「だから、卒業されるとか?」
「いやいや、そうやない。ちょっと小声になるけど、よく聞いてや。ここだけの話な。」
熟柿のような酒臭い息を吐き出し、背筋をピンと伸ばして真顔になる義兄。
「予約したんや。」
「なにをですか?」
「アール。。。うふふふ」
「GT-Rですか!!」
「このアフォォォォォ、何が悲しくて、あんなぶっさいくな、、ていうか、君、ぶさいくって声大きいがな。失礼も大概にしなあかんよ。」
「は、はあ。ぶさいく言ったの兄さんのほうじゃ、、」
「ああん??いいか、心して聞けよ。アールはな、エイトのスピリットRじゃ♪」
うすうす気がついていたものの、ロータリー生産終了が正式にアナウンスがされ、改めて気が動転した義兄は、勢いあまって、奥さんに内緒で限定バージョンのスピリットRを予約してしまったとか。
それでも、愛着がある今のエイトを私に託して、たまに乗りたいとの魂胆だそうで、酔いも手伝ってえらい勝手なことをのたまわっているのでした。
「でも、嫁が。。。。」
「デモもギリシャもあるかぁ。うぉい、○○!!」と台所で片づけをしていた、私の嫁を呼びつけ、
「エイトな、もう乗らんから、やる言うたら、どうする?ファミリーカーやし、お前も運転できるぞ。」
「え~どうしよう、、、もらえるんだったら、いいかも♪」とまんざらでもない嫁。
「でも、駐車場とか、うちはもう一杯ですから。M3もずっと乗りますし。」と私が断ると、
「ま、気長に考えてな。俺、寝るわ。」
アルコールがまわった体をソファーに横たえ、寝息を立てる義兄。
その後、子供達を連れ帰宅したものの、酔っ払いの言葉とは言え、RX-8のオーナーになるという振って沸いたような話に、一度は断りつつも、反動をつけた振り子のように揺れる気持ち。
Webで中古車サイトやら検索して気を紛らわせること小1時間。
「これなら堂々と乗れるし、家族で旅行にも行ける。もしかしたら、M3の直6NAと同じく、最後のロータリーかもしれないしな。」
と、気持ちが収まるどころか、夢のガレージに次々とストックされる、後期型の6ATモデル達(汗)
もし家に来たとしたら、GTVとの入れ替わりでしか選択肢はない。
「バイエルンもいいけど、ヴァンケルもな♪」
そう破顔する義兄の、してやったりの表情が、今も頭から離れないのでした。。。
Posted at 2011/10/25 18:50:38 | |
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My Life | 日記
2011年10月18日
先週末の土日は、地区の運動会の役員&出場者として駆り出され、その前の3連休は秋祭りの実行委員を仰せつかるなど、うっかり公然の場でピーなことをしちゃって社会奉仕命令を食らったロックスター達よりも、地域貢献著しいアラフォーメタラーこと不肖FlyingVでございまして、その打ち上げでは、妙齢のご婦人達に囲まれ、勧められた稲荷寿司や手巻き寿司を、熱いお茶と一緒に頬張るのも割と満更じゃなかったりと、マーティフリードマンが『演歌のこぶし=メタル』との公式を導き出したのと同じ真理を垣間見ては、豊かなシルバーメタルライフの予感が止まらないここ最近。
その地区対抗運動会では、息子の幼馴染でもあり良きライバルたるT君vs息子、そして、最近、911からパナメーラに乗り換えたと噂のT君パパvs私との、通算3度目となるゲルマンスポーツオーナーの宿命の親子対決があったりした訳ですが、結果は、追々ご報告申し上げるとして(3年前の結果はこちら、消えたMのサイドストーリーはこちら。)、運動会の後片付けと打ち上げを終え、夕方近くに帰宅した私に、先に帰っていた息子が、少しもじもじしながら、
「あのね、たまにはM3に乗りたい。」と言ってくるではありませんか。
今年で11歳になった息子は、声変わりこそまだですが、身長はもう少しで嫁と並ぶぐらいにまで伸び、靴に至っては我が家で2番目に大きく、少しきついことを言うと部屋に閉じこもっては嫁になまいきな口を叩き、誰々のあそこはボーボボだとか、思春期のとば口に片足を踏み入れたややこしい年頃の、そんな息子の泣かせる一言に、M3のボディカバーを取らない手はなく、「今から行くか!!」と二つ返事でOKいたしました。
私自身、M3のハンドルを握るのは、TKさんでハンドルセンターを直してもらって以来。
そろそろエンジンをかけてバッテリーの充電をしておかないと、後々困る季節に入るため、そう分かっていても腰がなかなか上がらない私にとって、息子の言葉はまさに渡りに船。
ナビシートに息子を座らせ、しばしアイドリングの後、可変式のレブカウンターのイエローゾーンが一コマ消えたところで、ギアを入れてそろそろと出発。
車内では、
「なんかすごい久しぶりにM3に乗った気がする。」と息子。
その前が高山へ旅行した時ですので、都合2ヶ月ぶり。
「そうだな。お前が免許取ったら、いつでも貸してやるぞ。そういえば、臭いはもう大丈夫なんだよな?」
実は、E36M3Limoでは何ともなかったBMW特有のなめし皮のような香りが、E46M3に乗り換えた途端、樹脂や皮が発するM3Limoとはまた違った独特の臭いに、息子は時々車酔いしておりました。
フロアマットを全部交換したり、活性炭を投入するなどシックカー対策をし、また、5年の月日が経過することで、かなり希釈されましたが、それでもそう簡単には取れないもの。
まだチャイルドシートが義務化されていた年の頃、シートの上で、血の気の引いた小さな顔をしかめて気持ち悪がっていたことをふと思い出し、念のため確認を。
「うん、慣れたから平気。」
「そりゃ良かった。今日は、名2環で、ほとんど道はまっすぐだから酔うことはないと思うけど。」
と高速の料金所をくぐって、2速全開の加速体制に入るべく、シフトダウンと同時にアクセルを深めに踏み込んだ私の右足が、脚気検査のごとく、一瞬ピーンと跳ね上がってしまいそうになる息子の一言があったのです(汗)
「そうそう、臭いで思い出したけど、お父ちゃん、なにか臭うって、お母ちゃん言ってたよ。」
「うおっ、、おい!!危うくシフトロックしそうになったぞ、、、今、なんて言った!?」
ギクシャク加速するM3をなんとか合流させ、改めて聞きなおして見ると
「お母ちゃんがね、お父ちゃん臭うって。」
「に、臭うってなんだ?それはフィジカルのことなのか、それともアトモスフェアーなことなのか。。。」
「なにそれ分かんない。あれ、エンジンの音、大きいね。かっこいいけど♪」
「お前が変なこと言うから、4速のままじゃねえか。」
汗がにじむ右手でギアを6速に押し込み、しばし巡航しながらのシンキングタイム。
フィジカル(肉体的)なことであれば、デオドラントで対処できるとして、アトモスフェアー(雰囲気)であれば、勘の鋭い嫁のこと、なにか感づいている可能性が高い。。。
前者でもダメージはかなりあるものの、圧倒的に臭くてよろしくないのは後者のほう。
「お母ちゃん、なにが臭いって言ってた?」
「うん??お父ちゃん遅かったり、出掛けたりした時ね。変なドラマの見すぎでしょって俺は言っている。」
「そうか、、、、、ありがとな。で、お前はどう思ってる?」
「ふふふ、お父ちゃんこそ本当はどうなの?内緒にしておくから教えて。」
「馬鹿、そんなものないに決まっているだろう。」と次々浮かび上がる心当たりを頭の中で打ち消しては、なにげなく秘密を聞き出そうとする11歳の息子の諜報手腕に末恐ろしさを感じつつ、名2環~伊勢湾岸ルートへ進み、刈谷PAで帰路に着きました。
帰り道、ナビシートでなにやらブツブツ言いながら、一生懸命、左手を動かす息子。
よく聞いてみると、私がシフトチェンジをしたタイミングにあわせて、「3、、、4、5、、、」とシフトポジションを口に出して、一緒にシフトチェンジの練習をしているではありませんか。
「M3、運転したいから。」
そう言ってなおもコクコクと左手を動かす息子の姿に、グッと来るものを感じてはMT車を作り続けて欲しいと願わずにはいられないのと同時に、恐らく、イタリア娘について、なにか感づいている、もしくは、すでに知っていることを、息子を通じて暗に臭わせているに違いない、嫁の恐るべきシックス・センスに戦慄させられた週末。
いっその事、GTVからファミリーカーとしてS4や156GTAとかの4ドアスポーツに乗り換えて お披露目ついでに開き直ってしまおうかとGOOWORLDを眺めている内に、すっかり現実を忘れ、予算度外視の、完全に妄想と化した検討中リストだけが高速増殖するばかりで、解決するどころか、嫁の嗅覚の餌食になるのはもはや時間の問題に(汗)
さて、気休めに、詰め替え用ファブリースとAXE、嫁の好きなロールケーキでも買って帰ろっと。。。
Posted at 2011/10/18 18:18:38 | |
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