皆さん、こんにちは!
最近ネタ切れで逃避しまくっている?なべっちです。
さて、今日はクルマネタですが、私が今まで見てきて、ハートをキャッチされた
レーシングマシンの1台を書いてみようと思います。
今回紹介するのは、かつて日本のGCレースの前座レースとして
行われていた、「シルエット・フォーミュラ」シリーズ、
通称:「グループ5」レースのマシンで、
大人気を博した、
日産R30スカイライン・RSターボ・シルエットです。
まず、グループ5・シルエット。フォーミュラについてです。
FIA・国際規格で規定されていたカテゴリーの1つで、
市販スポーツカーをベースに作ることが前提で、
ルーフ部分、フロント、リア周りにはベースとなった
市販車のイメージを残すことが義務付けられているのが特徴で
エンジンも当然ベースとなるマシンのもの、または同一メーカーの物で
あることが前提になっているもので、
現在の「スーパー・GT」が最もこのシルエット・フォーミュラに
近いマシンではないかと思います。
海外では1976年ころから主流になり、ル・マン24時間レースや、
各国国内で行われる耐久レースの主役にもなって行くカテゴリーで、
日本でも1979年からこの「グループ5」規定のマシンによる
レースが盛んになって行きました。
もっとも、日本で独自に作られたマシンは少なく、
79年当時は、現トヨタ・チーム・トムスが走らせていた
グループ5仕様の「トヨタ・セリカLBターボ・シルエット」というマシンも
元々は77年にドイツ国内耐久選手権レースでデビューした
シュニッツァーチューンのトヨタ・セリカLBターボを購入したものでしたし、
多くのチームは海外からマシンを購入して参戦していたのが実情でした。
そんな中、日産は81年当時の110型シルビア、ガゼール・ハッチバックを
ベースにした、「シルビア・ターボ・シルエット」、
「ガゼール・ターボ・シルエット」を製作、
シルビアを星野一義選手率いる「インパル」、
ガゼールを柳田春人選手率いる「セントラル20」に託して
マシンを走らせていました。
この2台はマシン設計を由良卓也氏率いる「ムーン・クラフト」に製作を依頼、ルーフ・ヘッド、テール周りに市販車のイメージを残しつつ
ボディはFRP製、シャシーはパイプ、アルミパネルのセミ・モノコックという
レーシング仕様で、エンジンは日産のレース専用エンジン、
LZ20B型DOHC直4・ターボを搭載し、最高出力約570馬力を
誇っていたといわれています。
1982年、さらに日産シルエット軍団に加わったのが、
81年にデビューしたR30スカイラインをベースにした
シルエット・フォーミュラマシン、
「スカイライン・RSターボ・シルエット」です。
実はR30スカイラインに82年初頭、日産としては久々の
DOHCユニットを搭載する、RSがデビューしていました。
GTR以来のDOHCユニットを搭載するFJ20Eエンジンは
直4・ノンターボながら150馬力を絞り出すエンジンで、
まさにライバルのトヨタをも凌ぐスペックを持ち、
GTR復活か?とも言われたものの復活はならず、
しかし、GTとは一線を引くRS・・レーシング・スピリットとか、
レーシング・スポーツとかいろいろな意味を持つ略称としてのRSという
グレードは、明らかにスカイラインのホットモデルとしての存在をアピール、
エンブレムもGTR同様の赤バッジが奢られていました。
そのRSをベースに作られたRSターボシルエットは、1982年に登場、
エンジンは市販車のRSのFJ20Eエンジンベースではなく、
レース用のシルビア、ガゼールと同じLZ20B型・直4ターボでしたが、
遂に10年ぶりにスカイラインがサーキットに戻ってきた、
という事で大きな話題をさらいました。
このスカイラインはスカイラインとなじみの深い、長谷見 昌弘選手に託され、
ハセミモータースポーツからエントリーされていました。
ボディーカラーは赤と黒の2トーンカラーですが、実はこの頃の市販車のRSに
このカラーは設定されておらず、実は翌83年にデビューする、
RSターボのイメージカラーをレース仕様で先行的に採用するという
画期的なもので、これも話題の一つになっていました。
さらに、その83年にデビューする予定のRSターボへの技術の
フィードバックのために先行テスト的な面もこのRSターボ・シルエットは
持っていたともいわれています。
さて、デビューレースでは優勝を逃すも、次のレースでは
予選こそポールポジションの星野選手のシルビアの次の2番手でしたが、
スタート後にシルビアを抜き、
トップで観客のいるスタンド前ストレートに姿を現すと
観客達が総立ちでスカイラインに拍手を送る姿も見られ、
そのレースでは総合優勝を勝ち取りました。
ハンドルを握っていた長谷見さんは
「スタンドのファンの方達がスタンディング・オベーションで
迎えてくれたのはとても感動しました」
とコメントを残したほど、スカイラインの復活を待ち望んでいた
ファンが多かったことを物語っています。
82年当時、シルビア、スカイラインに加え、ガゼールを走らせていた
「セントラル20」は、この年910型ブルーバードベースの
シルエットカーにスイッチ、
マフラーから吹き出るアフターファイヤーから、
「火を吹く日産シルエットトリオ」と言われ、国内シルエット・フォーミュラの
人気を独占していました。
さて、スカイラインは83年にマイナーチェンジを受け、
RSは鉄仮面といわれる独特のフロントマスクに変更されると、
同じくしてRSターボ・シルエットもフロントマスクを鉄仮面に変更するなど
改良を施されていきました。
さて、このスカイラインRSターボシルエットは82年8月に、国内仕様とは
別モノの仕様が製作されていました。
ヘッドライトは丸型4灯式で、ボンネット上のアウトレットインテーク、
リアウィング、ボディも国内仕様とは大きな違いがみられるものでした。
この仕様は日産が南アフリカのディーラーより要請され、
キャラミ9時間耐久レースに出場するために作られた
RSターボシルエット、通称:キャラミ仕様でした。
このマシンも国内仕様のRSターボシルエット同様のカラーリングを
していましたが、一番注目すべきはサスペンションで、
このサスペンションは翌年83年にデビューする市販仕様のRSターボと同じ
ユニットを採用していたことでした。
この後、耐久レースのマシンはFIAのカテゴリー変更で
新たに設けられたグループC、「プロトタイプカー」に移行するため、
グループ5仕様のマシンは姿を消すことになりますが、
このスカイラインRSターボ・キャラミ仕様をベースにCカー規定に
沿って製作されたスカイライン・ターボC、通称キャラミ仕様が
スカイラインの面影を残す最後のシルエットフォーミュラ仕様になりました。
スカイラインと言えばGTRが目立ちますが、GTR不在の期間、
サーキットを盛り上げたこのスカイラインRSターボ・シルエットは
私の思い出に強く残るマシンの1台です。
●83年に投入された、RSターボ・シルエット、
「鉄仮面仕様」です。

●わかりにくいですが、テールライトは市販のスカイラインRSと同じで、
市販車と同じ「RS・DOHC・TURBO」のエンブレムも
トランクに施されています。

●これはプラモデルのパッケージなんですが、
もう1台のRSターボ・シルエット、通称:キャラミ仕様です。