• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

菊菱工廠のブログ一覧

2025年05月25日 イイね!

最終調整と塗装

毎月恒例、サバーバンのレストア報告。
今月も進捗をいただきましたので、載せていきたいと思います。

今回はタイトルの通り、ボデー塗装前の詰めと一歩進んだ所までです。



まずはこちら。
ルーフとe/gフード、ワイパーカウルが完了しているのは以前と同じ。
ですが…よく見るとフロントウィンドウの縁から紐が。

これはウィンドウ脱着の途中でしょう。
ウェザストリップが黒々としているので、新品交換していただけたようです。

スクエアボディ世代(に限らずとは思います)は、フロントウィンドウ下部やAピラー付け根が腐るんです。
なので、予防・点検・補修等々で交換していただいたものと思います。
前車のパジェロもそうでしたが、この時代の車はウェザストリップ(Hゴム)でガラスを嵌め込む仕組みなので、劣化は結構怖い。
動画ですが、同車種で「ゴムの下が朽ちていた」というのを見た事があります。
そうするとダッシュとの間から浸水して…なんて悪夢が。

と、理由はともかく、後から頼むと時間も費用もかかる作業なので有難いです。



続いてフェンダーモール。
オーバーフェンダーを外してナロー戻しをするに当たり、失われていた純正モールを付けたいと希望していました。



そして微調整。
純正モールを着けるにあたっては調整が必要で、結果4か所作り直していただいたとの事。
妥協無しの仕上げ、有難いですね…
車種を問わず錆の出やすい箇所でもあるので、納車後もこまめに洗って奇麗にしておきたいところ。



これは多分右フロント。
既に奇麗に収まっています。
確かに、これらの調整は本塗りの前にやってしまうのがスマートですね。





これで塗装の準備は整いました。
いよいよ変身の時です。





待ちに待ったこの光景。
思い焦がれてここまで来たよ。

「見える所は全部塗る」ためのマスキング。
ドア内張りも外して、トリムの回り込む箇所までしっかり色が付くように。
既にサフは終わっています。

ちなみに、このスクエアボディ世代は全車種そうだと思うのですが、国産車と違って内張りとドアの間にスクリーン(ビニール)がありません。
外すとそのままドアの中、パワーウィンドウやドアロックのメカに触れます。
水滴の侵入はどうなんだろう? とは思うものの、アメリカだって乾燥地帯ばかりじゃないですので、これで大丈夫な造りなんでしょう。
いずれにせよ整備しやすいのは良い事です。



最後はストライプの塗りが完了したところで。
面積の大きい順に塗っていくものとばかり思っていましたが、逆順のようです。

確かに考えてみれば、マスキングテープの巾さえ合えば、細いストライプは先に色を付けてテープの巾で抜く…とする方が簡単に済みます。
今回は純正ストライプの「こんな感じ」という写真でオーダーしております。
細かい巾や位置はお任せしているので、テープ巾を合わせるというよりも、近いものを使う方なんでしょう。

またこの手順だと、ストライプが後から剥げてくるのも防げると思います。



以上、納車日が近づくのを感じられるご報告でした。
次回は恐らく、生まれ変わった(若しくはその途中の)姿をお見せできるかと思います。
Posted at 2025/05/25 21:32:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 車(サバーバン) | クルマ
2025年05月18日 イイね!

大型・逆回しの3FB コロン商会 商館時計 23型 明治25年頃

最近、時計は失敗続きで食傷気味でした。
連休中は久々の洗車やら家の整理やらで気分転換して、改めて取り組んでみました。





今回の個体はこちらです。



コロン商会の六芒星印。
以前、「商館時計なのに裏蓋がコジアケ」という個体を直しましたが、それと同じマークです。

機械は所謂スリーフィンガーブリッジのスタイルで、香箱周辺は鍵巻き兼用タイプ。
確かあっちもそうだった気がします。



今回のと…



以前の。
やはりそうでした。
それにしても…グラスバックがかなり曇っていますね。

年代推測に参りますと、恐らく裏蓋コジアケの方と同じでしょう。
となると明治25年頃かな…

それでは早速分解していきましょう。



機械取出しとダイヤルの取り外し。
修理歴等の記入は特に無し。
ダイヤルは端に欠けがある他は、目立つダメージは無いようです。

やたらと長針がきつく嵌っており、手違いで短針を折るミス。
凡ミス続きで早速やる気が削がれます。



この造りももしかして…



一緒ですね。
同じ工房で作られたサイズ違いなのでしょう。

この機械は(詳しい人曰く)少々珍しいらしく、時合わせの龍頭回しが普通と逆向きなんです。



裏面です。
ブリッジの他、輪列もあまり酸化しておらず奇麗です。
この時点で何とか動く状態(すぐ止まります)。



早速香箱まで飛ばしますが…
到着時に巻き上がっていたので緩めた際、またハジケさせてしまいました。
凡ミスの連続。
巻き上げが空回りするようになり…切ってしまったかと恐々開けてみると…



セーフ。
アーバの巻き付きが外れただけでした。
よく考えれば、テンプとアンクルだけ取ればザラ回しになるじゃないかと後で気づく。

しかもこの凡ミス、その同タイプでもやらかしていました。
学習しなさいと…



地板直径は51.82mm。23型となります。
嬉しい50mm超え。超大型です。



遅れ馳せながらナンバーズマッチ。



からの全バラ。
13石でした。



こちらは超音波洗浄後の濯ぎにて。
結構なゴミが入っていました。



組み立てに入ります。

地板は全面ペルラージュ仕様。
香箱にも一周ペルラージュが入っています。



ザラ回しです。
問題無さそう。



テンプを組んで24時間テストへ。
ガンギ車の回る瞬間を撮れました。

僅かにテンプが傾いて回るのは…もしかして天真曲がり?
しかし元気よく振っているので、そのままにします。
素人が下手に弄ると碌な事が無いとは学習しましたので…



機械が上手く行った感じなのでケースへ。
グラスバックのリムは定番の引っ掛け傷がありました。



適当に消しておきます。


ところで、今回はグラスバックの風防がかなり汚れていました。
機械は結構奇麗でしたが、過去一番位に曇りが酷いです。

これってガラス研磨剤でも全然落ちてくれないのですが…正体はどうも、オイルが長時間をかけてガラスをエッチングするらしいです。
本当かいなと思いますが、汚れじゃなくて凹凸だぞと言われると、硬度の高さ故に中々消えてくれないのも頷けます。
確かに爪も引っ掛かる(抵抗を感じます)し。

一応、磨いてみますが…何処まで消せるでしょうか。






という事で完成しました。
前面風防はかなり奇麗でしたので、特に磨きはしませんでした。

ケース裏面の摩耗も無く、外周の凹みの無し。
大型でありながら奇麗で良い感じです。

根元から折れた短針は鈑金ハンダで接合。
エポキシ系2種など試した結果、やはりこれが一番丈夫。
長針も穴を若干広げて無理なく取り付くようにしました。

それにしてもブレゲ針、カッコいいですよね…





過去に再生の個体と。
同じ六芒星マークのコロン商会で、機械はサイズ違いの同タイプ。
向きまで一緒(偶に左右対称のがあります)なので本当に兄弟機といった感じ。

左の若干大きい方が今回ので、やはり風防の曇りは取り切れませんでした。
もっと根気強く磨けばわかりませんが…これもまた歴史と捉えましょうか。


そろそろまた車の記事更新もしたい所ですが…まだネタがありません。
サバーバンの塗装は大分進んでいると思うので、続報が待ち遠しい限りです。
Posted at 2025/05/18 23:51:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 時計他アンティーク系 | 趣味
2025年05月05日 イイね!

キメラに見えて実は… 三菱電機 400mm(16吋)扇風機 昭和22年?

やって参りました扇風機ネタ。
車のSNSのはずが、すっかり当ブログの持ちネタと化しております。

今回入手しましたのはこちらです。



三菱電機の緑の奴。
戦前型ベースの戦後製造16吋です。
ファンがエトラ扇ではなく、戦前型と同タイプとなっています。

このスタイルは時たま目にするのですが、大抵は「戦後の本体+戦前のファンでオールペンorファン塗装」というものか、「戦前機のガードを戦後製に交換してオールペン」といったキメラ個体。
なので真偽はともかく「疑わしきは敬遠」で買い手が付きづらく、こちらも珍しく入札1件で終了…見た目のコンディションに対して少々値が張ったのもあるでしょうか。

オリジナルでこのスタイルが無かったのかと言えば、それは嘘であります。あれは嘘だ。
芝浦(東芝)であれば睡蓮を戦後も作っていたのでよく見かけますし、ナショナル・KDKでもたまに見かけます。
しかし三菱となると、戦前の時点からエトラ扇があったためか、戦後の個体はほぼエトラ扇の印象があります。
実際、この個体も初めて見たと思います。
一見すると上に書いた通り、ファンだけ戦前から移植したキメラのようですが…



ファンとガードその他が全く同じ色のオリジナル塗装で、しかもファンの素材はアルミ。
P剥げ部分の腐食からもわかります。
戦前型であれば真鍮か鉄、そうでなければベークライト(三菱ではマイカルタと呼称)なので、これが証拠と言えましょう。





更に言えば、戦後製造でありながら電線が布巻きというのが特徴です。
同社製で有名な12吋細目扇(エトラ扇)でもたまに現れますが、これまた他社にも例がありまして…



東芝のC-4706、後の「ひまわり」の原型ではないかと考えている個体です。
ひまわり(ADF-30R-1、ひまわりR-1)より戦前型睡蓮に近い設計で、より終戦直後に近い時期の製品と思われます。

これも今回の三菱と同様、カラー化・ガードのデザイン研究が行われた戦後の製造でありながら、ビニール電線が登場する以前のもの。
袋打ち電線とポニーキャッププラグが使われています。

では、それらの特徴から一体何が分かるのかと言うと…今回の三菱機も戦後直後の製造ではないか、という予想。

度々年代特定の裏付けとしております論文、「我が国における扇風機の機能,形態及び色彩の変遷」を見てみると…
1948年(昭和23年)のアサヒグラフに、同じガード・エンブレムのエトラ扇が広告として載っています。
その上の本文には、1982年発行の三菱電機社史からの引用として、「扇風機では昭和22年に業界にさきがけて若葉色を採用し、涼しさ、軽快さに加えて家電品としての親しみを出すなどその後の躍進への始動となった」という記述もあります。

エトラ扇の広告は「業界にさきがけて若葉色を採用」した翌年ですから、カラー化した際の機種はエトラ扇じゃなかったかもしれません。
知る限り、戦前のエトラ扇は12吋しかありませんでしたから、戦後復興の時期と言う点からも、16吋のエトラ扇はもう少し後の登場だったとも予想できます。
となると、今回入手した個体が正にそれかも…と考えらえれないでしょうか。

もしこの予想が合っているとすれば、三菱電機初のカラー仕上げ扇風機と言う事になります。
戦前にもパールホワイトやブラウンの展開はありましたが、インダストリアルデザインの意味を含むものとしては、各社とも戦後がスタートです。

…ならば、三菱系初の扇風機(三菱造船MKW)・三菱電機初の扇風機(初号扇12吋)に加わる「第三の三菱初」がやってきた事になりますね。

では分解整備していきましょう。
状態は然して悪くないようですので、どこまで奇麗になるかでしょう。



いつものようにファンガードとファンから。
ですが一体型のガードなので、ファンとの分離は知恵の輪状態。
どうせファンの端は塗装が浮いているので、結構ガリガリに擦りながら外しましたが…
本来はどうしていたんだろうか。
先にファンを軸から外すのが正解なのか…

なお、今回の欠品はガード固定金具とビス1セットのみ。
鉄板から適当に作る予定。



配線を外すため裏面へ。
裏蓋は大変奇麗で、フェルト脚も完全に残っています。



碍盤です。
戦後製造らしく、白磁器の無垢にビス類は鉄製。
電線は端末仕上げとカレンダー処理から、オリジナルと見て間違いないでしょう。



取り出しました。
しかしこの個体は細かい塵が多い。



ここは収縮チューブで補修でしょうか。



マイクスタンドになりました。
基台に一本入っている縦線はP剥げ。
結構派手なのでタッチアップしたい所ですが、背面(モートル周辺)もそんな感じなので、いっそ味として受け入れるか悩みどころ。
黒だったら目立たないし、適当に塗ってもあまり間違いないのですが…



戦後製造の証拠の一つ。
戦前型ベースでありながら、脱着式のグリースカップがありません。

前後とも給油口の鉄球が無いのは…ただそうなっただけか。
或いは仕様なのかわかりません。



エンドベルとギアボックス。
油汚れが結構ですね。



モートルの中は意外と奇麗でした。
引き出し線の根元が解れているのはどう補修したものか。
素直に絶縁テープを巻くか、それとも工夫するか。



ネックの軸にはスナップリングが入ってました。
三菱の戦前型には無い特徴です。
その代わりとして、仰角の軸にビスが入れ子になる構造ではありません。
ここだけメッキなのも含めて戦後型によくある設計かと。
見た目をスッキリさせたという事かな。



ギアボックスを開けました。
グリスは少なく、周辺の汚れ具合からしても出て行ってしまった模様。

素材は鋳鉄からアルミダイキャストに代わっています。
基台はバランス保持のためか、引き続き鋳鉄のようです。
エンドベル共々、持つと思いの他軽くて変な感じ。



清掃しました。首振りカムはハンドプレスでピンを抜いて分解。



角度を変えて。



こちらは首振りアームとネックピース。
モートルを受けるベアリングの下には圧縮紙のシムが3枚。
これも戦前機には無いもので、改良点の一つでしょう。



碍盤にも塵が積もっています。
簡単に清掃すると…



驚きの白さ。
次は基台へ。



主に塵の除去でしょうか。
剥げを除けば塗装面自体は良好なようです。



軽く磨くとかなり奇麗になりました。
派手にガリ傷があるのはどうしましょうか…
この個体の塗装、銘板の凹部を含めて弱めのようです。
ちょっと引っ掛けたり圧を掛けるとパリッと行ってしまいます。
この1台が弱くなっているだけなのか、時期やメーカの特徴なのかは何とも言えません。



また、この個体で珍しいのがブッシュ。
色付きゴムブッシュは当時各社よく使っていましたが、今日まで無事なものは極めて稀。
驚く事に弾性が残っています。
電源コードの部分だけは溶けていたので交換しました。



モートル配線を戻します。
電源線は悩みましたが、外装が爪で引っ掻くと破けるレベルだったので交換。
せめてもと思い、東芝用の同色綿打ち(こちらは袋打ち)にしました。







という事で完成です。

P剥げが残念なのと、何となく納得行かない仕上がりになった点が複数あり、どうもやり切った感がありません。
金具も結局作る気が起きず放置。
いつか手を付ける日が来るかなぁ…
珍しい機種である事は確かだと思うので、ゆっくり過ごしてもらいましょうか。
ある日突然やる気が出て、色合わせしてタッチアップしたり…するかもしれません。
Posted at 2025/05/05 23:07:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | アンティーク家電 | 趣味
2025年04月13日 イイね!

待ちに待った本塗装へ

サバーバン再生シリーズ、遂に大きな局面を迎えました。

去る4月7日、進捗状況をいただきました。
年明けから月に一度ペースでいただいており、前回からもほぼひと月。
しかもちょうど、購入見積りをいただいてから1周年の日でした。

前回の3月初頭にはルーフに色が乗ったところでしたが、ここに来て一気に進みました。





ボデーの下地処理が進んだ姿で、春の日の下に出てきました。
ドアハンドルが傾いているのは、「この後外して塗るけど、それまでは開閉できないと困る」という事かと。
つまりは仮付け状態。





更に研いで面出し。
補修不要な部分もペーパー掛けが済んでいます。





からのサフ吹き。
遂に変身が始まりました。



こちらは塗装ブース内での撮影。
e/gフードとワイパーカウルのサフが完了しています。



もう一度車両側へ。
赤っぽいのは薄付けパテでしょうか。
サフを吹いて色が揃わないと見えない微妙な凹凸があるので、本塗装前の最終調整かと思います。



フェンダーの塗りが始まりまったようです。
コアサポートも塗り分けるため、この段階ではサフ状態。





e/gフード&ワイパーカウルは…





一足早く完成。これだけでも笑顔になります。
薄いブルーのメタリック、70年代デビューのアメリカンに塗ると見事に似合います。
正に計画通り。

以前にも書きましたが、この色はeKワゴン純正のウォーターブルーメタリック。
誰もまさかKカーの色だとは思うまい。
eKの中でも3代目eKワゴン・スペースにしか設定の無かった色で、先代・先々代(H81・82W)のライトブルーとは別の色なんです。
そちらはカラーコードD90、コルトやiにもあった色でした。
現行eKのミストブルー(D32)とも違います。

そしてD26はV80・90パジェロにもあったっぽい。
調べても画像が出ないし、中古にも出てこない。
あるとすれば3ウェイ2トーンの帯部分かなぁと思うのですが…元パジェロマニアとしては、分からないのがちょっと悔しい。
眠ってるカタログを漁ればわかるかな。
シルバーとの合わせがあったような記憶が朧気に。





そしてコアサポとカウル下の黒塗装が完了。良い半艶です。
コーションラベルも残していただいて、一気に引き締まりました。
これに新品グリルが合わさる予定なので…思わずニヤけますね。



最後はフードが取りついた状態。
これからボデーサイドの塗装に取り掛かるのでしょう。
既にブラック一色だった面影はありません。
サイドには2トーン+ビニールストライプ再現の塗装も入りますので、次の更新では見違えた姿が拝めるかも。
Posted at 2025/04/13 21:46:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | 車(サバーバン) | クルマ
2025年03月30日 イイね!

サイズ不明で購入も意外と… R.シュミット(ワーゲン商会扱い)23型商館時計(明治23年頃)

積みの消化中に消化した分を増やすという奇行の産物。
良い感じがしたのでつい買ってしまった、2個セット・サイズ未計測で売っていた時計の一つです。





外観はケースに傷みが無く、思った以上に大きい。
短針が失われていますが、それ以外は無事なようです。

ちなみにもう一つはエストマン商会らしい鍵巻きでしたが…テンプの穴石が微妙っぽい?
天真が無事で縦のアガキは然程でもないのに、テンプがガタついてました。
もし直せたら記事にします。
ならなければ察してくだされ。





何故かよく集まってくるR.シュミットの時計です。
扱いはワーゲン商会なので、R.シュミット製の商館時計としては一番古い世代。
これだけで明治10~23年に限られます。
当方3個目のワーゲン商会。

機械は鍵巻き兼用の大型プレートタイプ。
香箱と2番車だけを押えるので、面積的にも3/4プレートと呼んで良いかは微妙…
少なくとも亜種ではあると思います。

石は多くない感じながら、この形で大きいサイズはあまり見ない気がします。
更に3フィンガーブリッジにイングリッシュレバーと、なかなか個性的です。

これらからすると、ダボ押し式の初めの方かなと予想できますね。
ワーゲン商会末期の明治23年頃なのかな。



早速取り出しです。
何故かダイヤルの取り付けビスと地板の固定ビスが奇麗に無くなってました。
分解前には振るとカラカラ言ってましたので、もしかすると中に落ちているかも…?
無ければ何かしらで繕いたいかと。
修理歴等は特に記載なしでした。

そして地板の直径は50.8mmと、嬉しい50mm超え。
都度書いていますが、50mmを超える個体は貴重なんです。
今回はリーニュ換算するとちょっと半端な数字ですが、四捨五入でギリギリ23型になりそうです。
巻き上げ機構はまたしてもシーソータイプでした。



問題無くナンバーズマッチです。
ケースを替えてあるものはそう多くないかもですが、何となくいつも確認してしまいます。



地板裏面。
分解に入ります。
ワーゲン商会のマークとしてWFが刻印されています。



鍵巻き兼用によくある構造らしく、角穴車・コハゼ・コハゼばねが1枚のプレートで押さえてあります。



香箱の下には過去製作されたらしきシムが。
キチ車の箇所にも入っていました。
ガタ取りでしょうね。





シーソー式なので香箱裏にも角穴車が付きます。
中身は…継いであるものの無事。
とりあえず続投してもらいます。
この切り欠きを作るパンチが欲しい…



今回の分解はここまで。
結果13石と、そこそこの数が入ってました。
筒かなはかなり固かったのでこのまま進めます。

他に気になったのは、何故かテンプがスッと抜けてこなかった事。
これが見事にフラグでした。



いつものように部品を洗浄して、アンクル手前まで組んだらザラ回し。
ターボ過給のような音がします。
これってギアノイズなのかなぁ。それともガンギ車の風切り音…は無いか。



テンプとアンクルを付けて、いざ24時間テストへ。
ここで上に書いた気になる点の原因が発覚しました。
地板側の天真が曲がっており、そのせいで抜けが悪かったのです。

切っ掛けは「ちゃんと組んだはずなのにテンプの振りが異常に弱い」事。
アンクルを抜いてテンプだけにすると、一定の角度以上の箇所で急に渋くなる。
そこで天真をよく見れば…"曲がって"いるッ!!
クレイジーダイヤモンドが使えれば天真折れも怖くないのですが。

で、折らないようにとヒヤヒヤしつつ修正すれば、写真の通り元気に振れるようになりました。
文字盤下・上・12時上をサッと確認したところ、特に振りが弱まる事も無いようでした。
これなら実用できる精度になってくれるかな…

ケースには特に損傷は見られないので原因不明ですが、絨毯の床に落としたとかでしょうか。
商館時計は大きく重いが故に、落下のダメージを受けやすいと聞きます。
しかし大型故に天真もある程度太く、曲がる程度で耐えてくれたのかもしれません。
いずれにしても良かった。



最近は作業のルーティンができていて、動作テストで出だしが良さげならケース洗浄に入ってしまいます。
そこで発見したのがこちら。
「カラカラ」の原因はやっぱり失われていたビス類。
裏蓋フック兼跳ね上げバネとケースの間に居てました。

残念ながらダイヤル固定ビスの1本はありませんが、もう2つの不足分が居てくれたのは有難い。
残りはジャンクから見繕います。







完成しました。
精度が良い感じで、緩急針はかなり遅らせましたが日差+1分以下になりました。

ケースも磨いてみれば非常に状態が良く、凹みも摩耗も無し。
裏面のギヨシェも見事なコントラストです。
針はルイの短針が無かったので鏃付きブレゲに。



ビスも揃いました。
やはりテンプの振りが元気なのは安心します。
姿勢差も出にくい筈なので。

これで日常使いがまた1個増えました。
23型以上用のチェーンは電話交換時計用に用意したものを使い回しているので、もう一本増やしたい所です。
Posted at 2025/03/30 21:54:10 | コメント(0) | トラックバック(0) | 時計他アンティーク系 | 趣味

プロフィール

「真下を向く天井扇 三菱電機 CY-30B 昭和39年 http://cvw.jp/b/2115746/48618862/
何シテル?   08/24 23:35
菊菱工廠と申します。 「工廠」なんて言いましても、車いじりは飽くまで素人。 電装系なら結構自前でこなします。 ちょっとした金具作りなんかも。 ナ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

愛車一覧

三菱 エクリプスクロス 三菱 エクリプスクロス
アウトランダーPHEVと迷った結果、偉大な先代、コルトプラスの跡を継ぐこととなりました。 ...
シボレー サバーバン シボレー サバーバン
Super Wagon, Texas Cadillac… それはアメリカで最も長く続くモ ...
三菱 コルトプラス 三菱 コルトプラス
家族の車です。 私が免許を取った際の練習にも活躍しました。よって、免許取得以前からの付き ...
三菱 パジェロ 三菱 パジェロ
荒野の山猫、パジェロの初代後期型でございます。 88年9月MC版、4D56 I/Cター ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation