2016年11月04日
・オーディオ関係もボチボチメンテしているのだが、問題は単純に上に積んでくと崩れる、特にネコが蹴って崩す問題である。他にもコードがバラバラで結線めんどいとか、埃かぶるとか、「横詰み」は最悪な手段の一つである。で、プロがどうしているかと言うと、音響さんは規格化されたラックにボルト固定出来る機材(パソコンの拡張ベイのでっかいの)を使っている訳だが、家庭用とか放熱が大きいアンプには向かない。かと言って既存のラックなんて買う金もなければ使い勝手も悪くて私は好きじゃない。そもそも接続する機材なんてCDとアンプだけみたいな物だ。カセットとチューナーなんて何年も使ってないし、LPもネコが大分こわしてしまったし。で、ハイアマ(オーディオだとあんま言わないね)だと独立ラックというか箱の側面が開いた物を使う人が多いみたい。積み木みたいにスタックして使えるので便利だそうだ。側板は25cmもあればうちはアンプも入るので問題なくて、問題は天板と底板。ここを24㎜ぐらいの合板で仕上げるには12㎜を張り合わせる必要があり、それにはプレスやハタガネを使うので面倒そう。ただ、使い方を見ていて思うのだが、単品ラックをスタックして使う限りにおいては天板の上に底板が来るので、トータルで24㎜の厚さは確保されているような気がする。そもそも、アンプ以外はそれほど大きな振動は出てないし、CDにしても直置きでも鳴ってるっちゃ鳴ってるからなぁ。
オーディオの規格サイズは幅が大体43cmになっているので、それ以上必要。自作系の人はサブロクから60×45の板を6枚採って貼り合わせている。これだと二段ラックを2枚重ねで1個作れる。幅は側板分狭まるから60あっても実質50cmぐらいだろう。奥行き45cmの板(側板)を2×8で取ると4組で180cmになる。もっとも2×8材は取り扱いが少ないが。2×4材を縦に使って作る人もいる。その場合側面全部を潰さないでもいいっちゃいいので柱3本で充分そうだ。これだと高さも任意で出来るので、アンプだけ25cm、残り20cmとかも出来る。ちょっと難しいのは、ビスを脳天止めで打つと、二段ラックが非常に作りづらいって問題がある。単品ラックだったら、もう何も考えず脳天打ちで単板で付くってスタックするだけ、お手軽そうだ。1枚の板から3セット出来る。
・ミライースのアルミテープチューン、残す所はドアミラー、ガラスとステアリングコラムとエンジン系になった。念の為インテークパイプがどう走ってみるのか見て見たが、狭い軽自動車のエンジンルーム内で出来るだけスロットルから後ろを長く出来るように複雑な取り回しをしていた。また、スロットル直後で3分割して平行して流していて、スロットル後ろにサージタンクのような圧力タンクが無い。普通のシングルスロットルのエンジンってのはスロットルがタンクの後ろにあって、サージタンク内部で気筒が勝手に分配して持っていくというタイプが多い。
まあスロットル後流のボリューム増加を嫌ったり、スペース的にもうどうしようもない場合は、スロットルから直でインマニってのもある。性能優先だとバイクの独立キャブになるし、スペースコスト的にはミニキャブなんかもタンクはない。その代わり、キャブの手前側の容量を大きく取って慣性吸気は効くようにしてある。一方ミライースはインマニがこんだけ長く、一方のスロットル手前の吸気の折り曲げはきついので、慣性吸気はあくまでスロットル後ろだろうと思う。
・アニメ業界の搾取っぷり、アニメーターの使い捨てっぷり、そしてクズ脚本家が毎度同じような気持ち悪さを再生産している事に最近耐えられなくなった。だから好きなアニメだけど今後は離れようかと思う。好きだったからこそ、今のアニメは見ちゃいけないと感じる。きっと昔も同じような事を言われていたのだろうけれど、2016年にはアニメ業界が破綻すると言われているし、それは何より消費者が言うしかない事なのだ。もうこういう痛いのは見たくないんだよって。
・伊那ワイナリーでリンゴ農家ごとに原料を分けたリンゴワインを作っていると1年ぐらい前に聞いていたが、その中の一つを購入したという人からお裾分けを頂いて飲んで見た。なんというか魅力と疑問点が混じっていて、素朴な感じがする。これ飲んでいて宮澤賢治の「税務署長の冒険」を思い出した。
ええと魅力としては、すりおろしリンゴのような軽い食感を感じます。実際細かい物質がガラスについているので、フィルターが粗いのでしょう。残糖が自然で、とても飲みやすい甘さに仕上がっています。度数も高くなく、ドライになりがちなシードルとは別の「アップルワイン」の世界が楽しめます。酸味も結構あって、やさしい所にバランスがある。
疑問点というか問題としては、かなり酢酸臭、テルペン臭、フーゼル油のような現代の醸造だと欠点とされる香りや残り味がします。私は林檎酢や葡萄酢を一時期作っていたので、ことさらこの香りについて敏感なのかも知れないので、欠点としない人達もかなり居るのかも知れず、個人的な嗜好かも知れません。原因として考えられるのは「原料の過熟(というか腐敗)」「発酵を進めすぎた」「発酵がクリーンでなかった」「瓶内二次発酵や劣化が発生した」あたりです。原料に関してはヘタが割れたヤツは中が空洞化しますし、ビターピットから腐る事もあるので、選別度合いによっては考えられますが、自作林檎酢の時にも落下果実を手選別でスコップで割って作ったのでさえぜーんぜん問題を感じなかったので(何故知ってるのかは聞かないで)除外していいと思います。林檎収穫は冬になってるので、葡萄みたいには腐らないし。発酵のストップポイントですが、残糖を後から加糖しているか否かで別れるんですが、アルコール度数も低そう(多分5%らへん?)ですから、そこまで進めたとは考えづらい。発酵のクリーン度ですが、先に書いたように林檎の発酵って時期的なもんなのか酵母の量なのか、かなりテキトーになっても腐造しづらい印象があります。これ疑うと色々失礼なので忘れます。で、一番怪しいと思うのは瓶内発酵とか劣化です。実はとあるワイナリーの在庫品の糖度が高いヤツを分けて貰った事があるんですが、そいつもかなりケロシン臭がしました。糖度が高くアルコール度数が低いヤツ、しかもフィルターが粗いという事は、かなり亜硫酸塩(メタカリ)入れないといけない。私はメタカリの有無を舌で即座に判別出来るほどじゃありませんし、メーカーの作り方だと火入れではなく亜硫酸を入れていると書いてあるし、そもそも二次発酵したら発泡感があるでしょうから、短期的に味が変わるかどうか分かりません。
ただ、以前同じワイナリーのナイアガラが少し似た味がした事があるので、醸造コントロールや酵母選択らへんに作り手の拘りというかクセがあって、その一環なのかなぁ・・・って気もします。今年も林檎で仕込んでいるみたいで、その記事や写真を見ると、結構チャレンジャーで目指している所が林檎ワインのスタンダードの確立や普及みたいな印象なので、色々試しているのだろうとも思います。私の好みはもう少しクリーンで後味スッキリ系ではありますが、方向としてはかなりいい所行ってて、サンドイッチあたりに合わせるととても美味しく頂けるんじゃないかと。
宮澤賢治の「税務署長の冒険」という話は生前には刊行されなかった草稿で、イーハトーブの物語の一部であります。ある村で濁密(密造酒)が造られていると疑った税務署長が、スパイを送り込んだり変装して潜入したりして、巧妙に隠された大規模な密造工場を摘発するというストーリーになります。潜入がばれて危機一髪という時に応援が駆けつけ、街ぐるみの密造を処罰する下りは宮澤賢治ファンからかなりの「違和感」が寄せられているのではないでしょうか?それは宮澤賢治の時代直前までは、どぶろく作りは別に悪い事でもなく、政府が徴税のために厳しく取り締まって市民が苦しみ、官吏が偉ぶって終わるというのは、あまりに情け無用に映るからです。まるでプロパガンダみたいな作品の意味する所がなんだったのか、私はいぶかしく、もやもやした物を抱えて眠る事になりました。
賢治作品では官吏の理不尽さ、絶対権力っぷりというのは、唐突に話を終わらせる形で良く登場します。例えば灰猫がいじめられている事務所で、いきなりライオンの上司が「こんなブラック企業ぶっつぶしてやる」と事務所閉鎖するとか、カタストロフィックなデウスウキスマキナ的尻切れトンボ感とかね。一方酒造に関しては、山ブドウを集めてワイン造ってたら、発酵ガスで栓が飛んでワインが吹き出したとか、遠野物語のような牧歌的伝承の世界も感じさせます。それが、この世界だと「官吏が主人公であんまり出来がいい人物でもないけど、最後偉そうになって終わる」「醸造が犯罪になり民草が処罰される」という、全く逆ベクトルになっているのです。
まず一つ考えられるのは、庶民に密造は良く無いという事を知らしめるプロパガンダとして敢えて厳しい事を書いたという事ですね。ただ、こんな大規模な街ぐるみの犯罪を誰がすると言うのか?納屋でせいぜい一斗造っているのが普通だと税務署長も最初疑っているように、ファンタジーなのはむしろ密造側です。それよりは、税務署長が不自然な応援で助かる事の方が取っ手付けたような感があります。注文の多い料理屋という作品でもそうでしたが、あれ最初に猟犬二匹死んじゃうんですよね、何の説明もなく。ところが終盤死んだはずの犬が助けに来るという、まあ小説としてやっちゃいけないだろwwwって事やってる前科がある。むしろ読者としてはあのギリギリ感の先には死を予見・期待する物があり、後付けは「という夢を見たのさ。現実は非情である」という感じがします。ぶっちゃけると読者の期待としては変装した税務署長は袋だたきで殺されて山に埋められるなり川に捨てられるなり(実際そう脅されている)の方です。その「取っ手付けた感」が、賢治作品がドス黒くならない童話的な範囲に収まっている理由でもあります。まあ、そう考えても後味あんまり良く無い。
で、最後に思いつくのは、むしろ密造禁止になったら、農民が合弁会社で酒造を正式にやったらどうかというのを遠回しに提案しているような感じを受けました。近代的な技術を導入して、労働力を広く一般から集め、市場にちゃんと売れる商品として出して、街の活性化になっていく。賢治は基本的には農学者で今の農業普及センター職員みたいな役もやってましたが、特に貧しい小作が農場の協同生活をしている描写がかなりある。農場としては酪農とかが多い印象ですが、酒造というのもあってもいいんじゃないかなと。今で言う六次産業化みたいな話にも感じるのです。「だったら素直に街ぐるみで酒造る話書けばいいじゃん!」。ごもっとも、何故密造になる話を税務署長側から書いちゃうのか?わっかんないですよね。政治的にも商業的にも長くなり専門知識もない六次産業化過程を書くのが難しかったという事は考えられますが、賢治作品って科学的な世界を描きつつも過程はすっ飛ばしているエセ科学が良くあります。当時そうだったのか、当時でも偽っぽかったのか分かりませんが、小説としての方向性がそういうサクセスストーリーみたいなのに向いてないのは感じます。むしろ、当時の小説は最終的に破局に向かう「ニューシネマ」的なペーソスを良しとしていたので、過程はすっとばして破局部分だけ抜き出したら主題がなんだかわかんなくなってしまった、と言うのもありそうだなと。
もっとも、私が北東北の東の方に持つ印象って「悪い事だからやるなと言われると、逆にやりたがる」という、あまのじゃくというよりまっとうに働こうとしないって物です。産業をまともに起こそうと言うより、補助金いかに引っ張ってくるかに腐心して全然成長しないみたいな(あくまで印象です、長野県なんか事実なんで批判なんておこがましい)。なので、敢えて「あー、失敗しちゃった、あそこで税務署署長殺しておけば!」みたいに思わせた方が、読者が産業として酒造をやると感じたんじゃないかなと。中世ヨーロッパや近代中国なんかでも新作物を普及させようと農民に勧めても誰もやらないけれど、塀を作って盗まれないように作付けしておいたら、逆に盗まれて普及したなんて話がありましたが(たしかジャガイモだったか)、あーゆう感じ。
話が大分脱線してますが、リンゴワインにはどこかそういう農民寓話みたいな素朴な感じが残ってます。ブドウのワインの近代化され細分化されヒエラルキーが出来た感じじゃない、理屈じゃなくて人情の味がするどぶろくみたいな感じが。4000年ぐらい続ければブドウのワインみたいになっちゃうかも知れませんが、今はここらへんが心地よいかな。
Posted at 2016/11/05 22:26:35 | |
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