2021年11月15日
・ヤマハがV8の水素エンジンつくって馬力がガソリン並とか喜んでるが、そんなんしてる場合かなと思う。いや、水素エンジン自体はいいし、最初採算性とか度外視した宣伝塔でやるのは分かるけど、それで出せるメッセージは「金持ちは今後も内燃機で好き放題やるからヨロシクwwww」って見えてしまうのだ。実際、小型エンジンはEVで、大型のディーゼルがやってる部分を水素でって流れなんだろうけど。
水素は理論空燃比が34だそうで、それだけ薄くて燃えるのはいいんだけど、燃焼速度が速すぎて圧力があがり、そこでNOxが多く発生するのだそうだ。ただ、NOxはEGRで薄められるとかなんとか。ディーゼルみたいにアンモニア水で中和みたいな事はいらんみたい。ただ、そうするとパワーは下がる訳で、フルパワーだとディーゼルノック的な事にもなりそう。
V8が面白いのはインバンク排気な事で、これはNAよりもターボ寄りの技術である。ただ、書いたように水素エンジンは充填効率上げるとすさまじい燃焼圧力になるので、ポンピングロスをターボで解消する方向になるのか分からない。まあNAの大排気量うるさいから、あんなの天使の咆哮とかほざいてるのはごく一部の酔狂な連中だよほんと。本来ならここらへんは重課税されるべきだが、国はそんなんやらないよね。
・テレビで横井庄一氏の未公開インタビュー音声の話をやっていたが、もやもやする内容だった。かいつまんで話すと、グアムの残留日本兵は敗戦時に残置されたため帰国困難になったのであって、敗戦を知らなかった訳ではない。では何故出てこられなかったかと言うと、日本軍が現地民を服従させるために反動的なのを暗殺してたり多分拷問とか虐待もやっていたのだそうだ(恐らく具体的内容にも言及してるが、そこらへんは公開されてない)。だから敗戦後に現地民が落人狩りをして日本兵を100名以上殺しているとある。まあこれは横井が言わないでもある程度分かっていた事だが、なぜ残置したかと言うと上層部は負けると分かったらさっさと逃げてしまったのだそうだ。殿に何も知らない兵士を犠牲に置いていった。だからその具体的な名前をインタビューで言ってるわけだがこれも未公開。
横井は部下とジャングルに隠れ住んだが、部下と仲違いして別れ、後に部下が死亡しているのを見つけて投降したのだそうだ。まあ、そこらへんも疑おうと思えば疑う部分もあるけど、その責任を感じて自分も帰国はしまいと思ったのと、逆に帰国して上の事実を伝えようと葛藤があったようだ。しかし、帰国した横井は戦争の生き残り、わけても兵士を死地に追いやって生き残った将校クラスからは当然疎まれた忘れたい亡霊であり、戦後世代からはマスコミが持ち上げるサバイバルの天才というゴシップであり、持ち上げられてもすぐ忘れられてしまっていた。そして、何より、戦争でなにがあったのか証言をはじめた時、現地民を殺したと言ったら役人からその内容を訂正させられてしまった。そこから横井は口をつぐむようになってしまったそうだ。県の役人と言うが、聞き取りは厚生省が行っており、内容はほぼ不開示なのでもっと上級省庁がもみけしたと見るべきだろう。
当時、これを公開すると今度はインドネシアなどへの賠償とか言う国際問題にもなっただろうし、戦争犯罪人で裁かれてない連中が蒸し返される事を警戒したのもあったろうが、結局横井は帰国した目的を果たせなかったようだ。
ここらへん見ていて思ったのだが、ある程度地位を固めた人間は特権免責を受けているように思われる。日産の不正だってあれ本来役員なんか全員首にされて仕方ないグルだった訳だが、その責任を取らされて仕事を失ったのは下請けと現場の工員で役員なんかほとんどが今ものうのうとしている。そりゃ東條英機やカルロスゴーンって象徴は排除されたけどさ。
・COP26で日本が脱石炭に反対したり、インドや中国も賛同したりでまたも骨抜きになって議長が泣いて謝罪したという。ホント恥ずべき事で、日本の代表団って誰よってなる。誰がお前らを日本の意見の代表に選んだのか、こいつらは別に国民が選んだわけじゃないだろと思ったが、SNSだと御用学者や飛ばし記事を信じた賛同意見があってがっかりした。ああ、こんな程度だったのかと。
まず総論的な話をすると、生存権を持ち出す奴は想像力が足りないというが傲慢だ。誰もが上を見て「インド様にも先進国になる権利がある」「化石燃料を安く使ってる老害がエネルギーシフト出来なくて権利が減るのは許せない」って言い出したら、現在進行形で国土が水没しているツバルの人達の生存はどうなんだ、将来の世代への負担はどうなるんだって。背景には永遠に続く成長という幻想があるんだが、適度な成長と言うだけで反社会的に言われかねない。いやな、経済成長率10%とかは適度じゃないんだよもう。環境的制約考えようよ。って事で「石炭火力が止まったら日本は明日から停電になる!」とか言っても「そりゃ石炭使っちゃダメになるのに頼ってたらそうなるよとしか思わない。省エネと再エネに取り組まなかったツケだ。
日本が石炭火力の脱炭素化などで「世界トップレベルの高い技術力がある」というのは事実だろうが、じゃあ「トップレベルならカーボンニュートラルに出来るか」って言うと出来ない。アンモニア混合燃焼とか言うけど、それで日本の石炭火力を全部カーボンゼロにするには全世界のアンモニア生産取引量を全部ぶちこむ必要があり、およそ現実的ではないそうだ。アンモニア作るのにもエネルギーが必要で、なんのための発電か分からなくなる。ここで再エネとかフレキシブルな電源があれば、じゃあ水素製造とかアンモニア製造とかやって化石燃料のカーボンを減らすとか出来るが、日本はやってこなかった。再エネ推進すると脱原発とか脱石油になるんで、一部の例だけで再エネを悪者にして排除してきた。
省エネも日本はかなり遅れている所がある。特に家庭のエネルギー消費はあきれるほど後進国以下な所がある。ここらへんも住宅メーカーや建材メーカーに押し切られた感じがある。まあいいんだよ、日本は今後も低迷していずれ昭和時代に戻って愚民政治をまたやるんだろうから。
Posted at 2021/11/15 05:42:27 | |
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2021年11月14日
・北海道旅行をしてきました。タイミング的に降雪ギリギリ前というか高い所だと降ってるぐらいでしたが、天気は比較的良くて幸い服装も長野と同じで暑いぐらいでした。
・はじめて国内線の飛行機に乗ったのですが、高度は最高11000フィート(1万メートルらへん)まで上げてたみたいでした。子供の頃読んだ子供向けの航空機の本だと「国際線は1万メートル、国内線は7600mらへん」と読んだ記憶があったのです。実際、日航123便の事故のウィキでも巡航高度は7600とあります。もちろん短距離だと上昇するまえに下降するので無駄で、今回は95分も飛ぶので高く上がったのかも知れませんが。迎え角見てると結構長い事上り続けていて、巡航は30分もあったかな?って感じですぐ降りてしまいますけどね。調べたら今の国際線は2万メートル以上も飛ぶそうでびっくりです。
高く登る事で今回はじめて痛い経験をしました。飛行機頭痛というのです。降下中に激しい痛みが眼球の裏あたりから額にかけて出ました。着陸して10分ぐらいで和らいできたのですが、はじめての経験でした。これは鼻腔の一部が蓄膿で通気が悪くなった状態で降下した気圧変化がいきなり生じて組織が痛むのだそうです。実際、鼻詰まり気味でしたが、ツバ飲んでも鼻かんでもあまり効果がなかったです。帰りは警戒してましたが、降下時は平気でしたが上昇時にちょっとだけ痛かったです。
もう一つ驚いたのは飛行機の飛行速度と時間ですね。運行時刻表だと行きが95分、帰りが110分になってましたが、帰りは20分早くなるって事で実際は同じぐらいでした。これ、最近別の方も言ってましたが、航空機の到着時刻は電車みたいに定刻とはいかないので若干余裕を持って言うのだそうです。それはまあいいとして、基本東に行く方が早くて帰りが遅いみたい。これ、飛んでる時に機長が速度も言うんですが、行きは920km、帰りは650kmとアナウンスしていました(飛んでる場所で違うとは思いますが)。機体スペックは880kmぐらいなんで、ちょっと速いのもアレですし遅いのも謎です。ただ、おそらくこれは対地速度で、自転速度や対地気流(ジェット気流)らへんで西行きと東行きで違うんかなと。
あとは行きはちょっと揺れました。以前乗ったときは客席から悲鳴があがるほどの揺れでエアポケットで10m以上落っこちるような感じだったので、アレに比べればたいした事ではありませんが、やっぱり-Gは不快です。機長はすごい上手で、着陸したのが分からないほどで、エスコンだったら「ナイスランディング!」って言う所ですね。帰りはバタンドスンでしたが、空港の状況が同じではないので辛いのかも(千歳は向かい風で降りられましたが、松本は追い風なのかエンジン出力を上げたり下げたりしてましたし)。
ともかく、住んでる町を高い所から見られるというだけでも楽しかったです。出発時はミニチュアみたいに斜めの光でくっきり見えて、まさにジオラマって感じでした。
・北海道旅行は偶然、今ブームの「渋沢栄一」がらみの話が多かったし、テレビ(久々に見た)でもNHKが全国区でまりもの放送してたり、ローカル線の話で北海道特集してたりと、タイムリーでした。自分の中だと北海道って自然環境の厳しさと自然採掘がなくなって夕張みたいに衰退しているイメージでしたが、札幌などはかなりの活気があり、一つの国みたいでした。ただ、全体としてみると日本の縮図でシャッター街に老人だらけで新しい産業もないという所は同じかも。自然はほんと素晴らしかったので、それがどれだけ貴重か見失う前に保護して欲しい所。極地なので自然再生の速度はとても遅いので、現在ありふれて見える風景は決して簡単には回復しないのです。長くなるので一旦切ります。
Posted at 2021/11/14 21:05:29 | |
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2021年11月08日
・ツイッターで色々済んでしまって書く事がなかなか無い。ツイッターって無線別の情報羅列かと思ったら、閲覧内容で好みをかなり把握されてるみたいで、勝手に農家クラスターが作成されるし。と言ったが、実際は車と銃と戦争(WW2時の日本国内の話)だらけになってる。あれ、ここと変わらないか。
・ピストンバルブの加工を調べていたら、ホンダのS07Aがナトリウム封入バルブを使っていてびっくりしたが、S07Bになって廃止したそうだ。それはより効果的で安い方法が発見されたからで、それはバルブ傘の燃焼室側を鏡面にするという物。ここでの鏡面は工業的表現通り平滑で粗度が低いという事でピカピカに磨いたのとは違う。実際ホンダは粗度だけ下げてみたがアンチノック効果もカーボン堆積も変わらなかったそうだ。
では平面で何か変わるかと言うとバルブ傘が燃焼時に熱を受ける表面積が減るのだそうだ。普通の傘は軽量化と剛性のため中央が凹んだ形をしているで、そこを平面にすると重くなるが排気バルブだから吸気バルブよりは元から軽いし、そんな高回転かはしない。アンチノックと言っても高回転高付加ではなく低回転での対策で昨今の高度な制御をやった時の話だとは思うが勉強になった。ただ、傘を冷やすんならバルブシートへの放熱がこれまでメインにあった訳で、シート接触幅を狭めたりしてる影響も疑える。
・直売所でせんべい売りに来る人がきていて話をしたら、また新作の試作品をもらったりして、原料加工に面白い所を教えてもらえたのでやってみる予定。ブドウの乾燥関係だが熱風乾燥やゆっくり乾燥はちょっと気に入らない点があったので別の方法で何か変わるといいな。ただ、コスト的な問題もあるし、モモやイチゴのサックサクの仕上がりは望めないと思う。
・週末の旅行の計画も立てて飛行機もホテルも予約した。かなりきついけど、まあ旅先にそれなりに観光地もあるようだからいいか。
Posted at 2021/11/08 09:25:14 | |
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2021年10月28日
・まだ出荷、やっと楽な所でペースが上がった。本来この速度で出来る前提での栽培面積だと思う。
・昼間は知り合いが新たな飲食店開拓に連れて行ってくれたが、もう都合閉店やっててダメっぽい。新規オープンで一番大事な時に何やってんだろ。って事で別のラーメン店に行っておいしいワンタン麺をいただいた。ここは自家製ワンタンがおいしい。3日連続ラーメン外食してる。まあスープ飲んでないからセーフ。
・デッドラインが決まって忙しいはずだけど、作業場で気になる点があって発注した物が届いたので夜中まで工事してしまった。物はドアクロージャーで、ちょくちょく開きっぱなしな時があって、寒いとか猫が出るとかの問題があった。一つは開き戸だったので、既製品のリョービのドアマンを使ったが、説明書が親切にまとめてあっても結構複雑で読解ミスが続いて自分が嫌になった。ドアの厚さや枠の仕様で取り付け位置が違う。そしてなんとか取り付けて見たら今度はドア自体が引っかかって閉じなくなるトラブルが発生。そういや、ここは最初から建て付け悪くて苦労したんだっけ。枠が歪んでいて干渉する。あちこち削って最低限は動作するようにしたが、一番重いのは開ける時になってしまった。ドアクロージャーのテンションがドアを持ち上げる方向に働いてその時に干渉する。また時間みつけて削って修正したい。
もう一つのドアは引き戸で、昔一度自動で閉まるようにはしていたのだが、親が勝手に破壊してしまっていた。今回再び取り付けて多少は方式を改めてみたが、やっぱり完全には閉じなかった。錘と滑車でドアを閉じる方式の場合、問題はドアが動くと速度が乗ってしまい、閉じる時に勢いが付きすぎて反発したりする事だ。運動エネルギーが溜まりすぎる。クッション付けても跳ね返るし、錘を軽くすると閉じなくなる。
最後の方で速度を落とせればいいのだが、その方法が上手く行かなかった。一応思いつく方法としては
1:錘を複数吊り下げておき、最後の方で床に先に着くようにしておいて段々軽くする方法
2:なんらかのブレーキを付ける方法
3:滑車の位置を扉の閉じる方向からオフセットして、最後の方で引く角度を変えて力を弱める方法
1の方法は試してないが、一番最後のしっかり閉じたい時に錘が軽くなるとどうなるのか良く分からない。
2の方法は速度だけ殺す装置があればいいが、摩擦抵抗だとまた閉じるのの邪魔になるし、大抵安定しない
3:今回やった方法で、採用例もあって上手く行くと思われたがダメだった。多少軽くなっても運動エネルギーが多すぎるのを殺すほどではない。
ここは設計が悪くてドアに分厚いガラスがはめ込んであるので、運動エネルギーが大きくなりすぎるのだ。軽ければ3の方法で上手く行くのは分かっている。他にはやっぱり全開させたらホールドして欲しい。ここはキャッチを使ってなんとか出来ると思う。
・あとはマキタのバッテリーの電動ドリルが動かなくなってしまって焦って分解したら治った。特にどこか配線が切れてるとか接触悪そうな所もなかったので、どうしてとまってどうして治ったのか不明だが、まあ良かった。とは言え、低温に弱く重いニッカドのドリルはいずれ卒業したい所。かと言って現行マキタの商売っ気の塊みたいな製品は買う気がおきないな。
・子猫は腕白になって困る。トイレまだ憶えてくれないし(場所は近いんだが)。滅多に鳴かないが、この活動性は雄かなぁ?
Posted at 2021/10/29 00:43:43 | |
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2021年10月25日
・選挙が近づいてるが、もうどこも入れる気がしなくて困る。政見放送聞いててもどの政治家も期待出来ない。岸田は金融課税放置するの決めて再分配の社会だとか寒々しい事言ってるし、維新も野党批判してて何でも反対しているような嘘の印象操作してるし、旧民主系は反省が足りない。与党野党含めクソの出来レースだ。選挙なんて入れたい人に入れるんじゃなくて、こいつにはやって欲しくないってのを選ぶ不人気投票だと言うけれど、みんなやって欲しくないよ。ほんと落選投票を導入して欲しい。
そして地方選挙も今回あるのだが、選べない。いつも選ぶ方がいたのだが、ここ2回落選していて明らかにテンションが足りない。選挙する気がないのかな?って感じがするし、手法も政策もやる気が全く感じられない。地元で集会があったらしいが、応援に来ていた人の動画だけアップされてて、その内容がまた酷い。とあるアホしか使わない道路の拡幅とか(地元名士様老害の要求はほんとこればっかり。道路広げるコストを人にかけろや。)、公明とか相乗りで応援してて旧民主系だけど地方だとそういうの無いから!みたいなバカにしてんのかって感じ。実際、ここは政策政党で選んでないのよね。いや、ほんと嫌ならそれをそう言えばいいだけじゃんと。
だから今回は支持しないんだが、じゃあ他はどうか。候補者Aは力はあるのは分かるが、そもそもこの選挙やるのはこの人が他の選挙のため辞任したからで、また信託されようとか厚かましい。道議を通せないのでNG.ところが、残り二人は別の議席を投げ出して出馬していて、こいつらも出世欲の塊すぎて嫌い。もうさ、定数割れのままでいいんじゃないの?こいつらのために選挙開くコストがムダ。そして、こいつらに前の選挙で投票した有権者は反省して?ともかく、選挙ではっきりとこの国が悪い方向へ悪い方向へずり落ちているのを見ていると精神がすり減る。
・日産のとあるエンジンのベルトの取り回しがすごい長いの一本で無理の塊でつくづくセンスないなぁと思った。さすがプラグ交換でインマニからスロットルから外させるだけの事はある。ベルトが長くなってるのは補器類まで一本で無理矢理回そうとした結果で、一本で「オルタ、ウォポン、コンプレッサー、ジェネレーター」まで回すため、取り回しも長くなってアイドラーが5個もつくハメになってる。これ普通にベルトもう一本たしゃいいだろと。クランクプーリーを長くしたくないんだろうが、もうテンション管理やばい事になってるのが分かるし、速度要求から補記のプーリーもでかかったり小さかったり差が激しい。
・北海道へのチケット買った、はじめて地元飛んでる飛行機に乗るので楽しみだ。予定だと初日で小樽まで行って、二日目で札幌泊まって戻る感じになりそう。
・渋沢栄一の話が思ったより面白くてラジオ番組聞いたり本を読んでいるが、この人の本質は起業家ではなくて投資家というか銀行のような印象を持った。500も起業を同時並行で起こせる訳はなく、有望な社会に資する事業に広く集めた資本を投資して社会を良くするというのが理想的な合本主義・資本主義だという感じ。
そこで課題になるが、商業とか企業活動では利益増大というのが至上命題で道徳というのは存在しないため暴走して、昨今の新自由主義的勝者全取りの格差社会になってしまう。そこで渋沢は論語という倫理規範を持ち出して、算術(商業)と相補的なシステムに合本主義を理論付けしようとした。これが一番上手く行ったのが実は戦後の日本の復興期であったのではないかという指摘が面白い。明治大正の日本人の商道徳は欧米から腐ってて中国以下だと見なされていて、実際古い小説だと起業家=山師、香具師みたいな扱いなのはあれ半分は本当な訳だ。たしかに社会インフラに民間投資が進んで植民地化を避けられたという面はあるけれど、やっぱり大半の地方の庶民はその利益の外にいた。戦後の復興が本当の国民への再分配だったと言えるだろう。
もっとも、それはバブル期以降の金融市場の暴走で銀行が調達して庶民の預金を元手に社会活動に投資するより、金融市場でマネーゲームで増やしたり、それを個々の会社が資産運用と称して行って銀行、ひいては庶民の倫理審査を無視できるようになって廃れた。そもそも銀行がそこまで高邁な存在であったのかは疑わしいし、渋沢の理想も後から美化されているんじゃないかという疑いはある。ただ渋沢本人は知行合一というか障害者施設とかに一番金を突っ込んでおり、社会活動家としての側面は間違いない。なんか渋沢家は多数の企業の創立に関わったが、それの株式で得た元手で次の起業に投資する操業をしていたので、相互にグループ化したり利益を継続的にもたらしてはいない。そこが岩崎三菱や三井と言った財閥系と違う所だ。なんなら化学肥料をはじめたのも渋沢の投資あってからだそうだが、そこは日産系でまだ残ってるけど当然渋沢と資本的な繋がりはもう無い。
見ていて思ったのは、論語という倫理だけに甘えず、それを商業活動と結びつけた点はルターの宗教改革に近い物を感じる。カルヴァン派とか世俗勢力の活動を常に聖職者が下に見ていたのは、ちょうど農民や町民が侍に搾取されていた江戸時代と構造が似ている。渋沢は農民生まれで後に幕府に仕える事にはなるのだが、本質的にはえらぶってるだけの士族を嫌悪していたようだし。ただ、士族が新政府に倒されてみれば、結局新政府も官僚制度を使いこなせず内部抗争していたので見限って下野して民間から日本を助けたという形になっている。きっと官僚は「俺は500どころじゃない数の起業に関わった」と思ってるだろうが、渋沢も財務省高官で後に銀行という制度を創設してやってるので、スタートしては似ている。ま、官僚がちゃんと起業に関わる事なんてまずないけどな。
さて、渋沢の功績はいいとして、彼の再評価は新自由主義の暴走をどうにかしないといけないという世界各国政府の思惑の一つの回答であったからだとは思う。しかし、これはかなり危険な感じがする。都合がいい答えのために引用されたり美化されているんじゃないか?って部分と、倫理を持ち出して「美しい国にする」とか先にほざいた奴にロクなのはいないからだ。倫理に従った奴ほど食い物にされるのが現在だし、資本主義が暴走した背景には倫理自体が発達してこなかった面がある。それが過去の論語を取り上げて良くなるとは思えない(もっとも、論語自体が過去の堯瞬政治の焼き直しではある)。渋沢自体も銀行機能と自信の知見で相克したのであって、直で論語を経営者が読めと言っている訳ではない。
そうは言っても今の起業の本で最初に「社会こうあるべしという志からスタートしろ」ってのは無いから、あるいはそういう起業家に期待すべきなのかも知れない。渋沢で面白い話として、貧困者施設を作った話をしたが、彼は事業が成功したから毒抜きとして寄付をした訳ではなく、事業と並行してやっていた点がビルゲイツとは違うと言っていた。結局、ビルゲイツがいくら社会活動に投資しても、それは儲かる構造を作ってえげつない戦略でライバル追い落として社会から資本を搾り取ったのの毒抜き再分配、もっと言うと偽善とか免罪符な訳だ(すごい悪く言ってます)。別にゲイツは社会活動したくて企業した訳じゃないと言われるとその通りで、そういう所が勝つのも自然で、逆に言うとCSR活動とかがいかに重要なインジケーターなのかという所かね。
・あとは日本の高齢化を感じる日々。上は政治家、企業トップから下はそこらへんで危ない運転してるおばあちゃんまで高齢者のしぼんだ脳味噌で社会の変革はおきないなって思う。ぼやきだらけになった。
Posted at 2021/10/26 13:49:59 | |
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