
備北ハイランドパーク。
岡山県北部に位置するミニサーキットである。
忘れもしない2000年3月21日。
私の備北初走行は、衝撃の出来事であった。
3月21日、あまりにも乗れていなかった。
iRに乗るまで、
AT車ばかりだったことからくるシフト操作のマズさや、
私が慣れているコースには
存在しないキツイコーナーの抜け方など、
自分の足りない点がハッキリと出てしまった。
また、クローズドコースの奥深さと、
公道との走り方の違いにショックを受けた。
当然、タイムも納得いくものではなかった。
というよりは、どこが悪いのか自分でも分かっていたし、
それは普通ではごく基本的なコトだと思ったので、
それさえ改善できれば、
比較的容易にタイムも上がるはずだと考えたのである。
もちろん、その当日には、それを改善する余裕は無かった。
走行終了後、
ショックがおさまると備北の再走行を誓った。
そして、自分なりの実走行での練習と
イメージトレーニングをしながら、
備北第2回目走行の機会を待っていた。
そして、これだけは出しておかないとという
目標タイムを設定した。
そのタイムは初走行でのベストタイムの
2秒アップの**秒台である。
コレが出さえすればイイ。
その上のタイムもどうでもイイ、と考えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、ついにやって来た、
備北再走行の日、11月16日。
当日の朝まで、行くかどうか迷っていた。
雨が降りそうだった。
特に今回は、タイムアタックだけが目的であるため、
雨が降ってしまうと行く意味が無い。
しかし、覚悟を決めて備北に向かった。
8ヶ月ぶりにコースイン。
普段は十分と思っているタイヤが、
いとも簡単に滑りだし、頼りなくなる。
問題のコーナーを考えていたスピードとギアで抜けてみて、
まだ自分でもかなり余裕がある走りで、
前回のベストタイムに近いトコロはすぐに出た。
ならばと、その他のトコロで工夫してみたり、
突っ込んでみるが、滑るだけでタイムアップにつながらない。
そして、この日一回目のコースアウトを経験した。
威勢良く音を出して滑っていては
タイムアップにつながらないと前回に痛感しているので、
今回はそれを抑えていると、
今度は逆にスピードや突っ込みが足りないような気がして、
なんとかしようと頑張ると、とっちらかってしまう。
タイムは上がらないどころか、落ちていく。
「これはもうダメだな。甘く考えていたか。」と思いはじめ、
「目標タイムを出す」と周囲に言っていた自分が恥ずかしくなった。
絶望的な気持ちで、それでも練習しようと走っていると、
ある時、前の車に詰まって普段3速で抜ける複合コーナーを
2速で走るとスムーズに走れることに気が付いた。
また、コース上で私が最も苦手なコーナーは、
下手に突っ張ってアクセルを踏んで曲がるよりも、
十分速度を落として低速で曲がると
イイカンジで曲がれるということが分かった。
(友人にそのことを話すと、
ソコを2速で抜けるのは当然だということだったが)
これはイケルかもと思い、友人に計測を頼んだ。
そして・・・、出た!!
目標タイムの**秒台!
最高にうれしかった。
目的を達成した喜びでいっぱいだった。
しかも、自分でも、まだまだ詰められるトコロはあると感じ、
さらにタイムアップの可能性があると思った。
午後から、ズルズルになったフロントタイヤを
ローテーションし、コースイン。
するとリアが勝手に流れる。
面白いくらいに流れるなと思っているところ、
「ドガッ」と、この日2回目のコースアウト。
しかも、1回目のときよりも、路肩が深く激しいショックだった。
すぐに、コース外へ。
クルマを降りて、下回りをのぞきこみ、
「大丈夫かなー」と言ってたところに、友人が、
「かわは、大事にする用と走り用の
2台を持っとかないといけんなー(苦笑)」と言った。
呆れと哀れみが含まれた冗談だった。
私は、本当にそうだなと思った。
しかし、結局、
私は、走り用のクルマも大事にしてしまうと思うのだが・・・。
少しでも、綺麗で良好な状態でiRを延命させたいのならば、
街乗りだけに使い、大人しく乗ればイイ。
しかし、それでは・・・。
でも、キズ付けたくはない・・・。
幸いダメージは無く、少し走るとタイヤがくうようになり、
乗れてきたという手応えが出て来たので、
コース上のクルマが少なくなるのを見計らって、アタック!
出た!!
ベスト更新。
朝のタイムから2秒以上もアップ。
もう思い残すことはなかった。
しかも、まだ、詰めれるトコロはあるカンジだった。
まだイケるという可能性を残しつつ、
もう後は気持ちよく帰るだけだった。しかし・・・。
3時を過ぎ、そろそろ終了時間が近づき、
最後のアタックを行うことにした。もうすでに、
当初の目的は達成していたはずなのに、
目標以上のタイムは望まないと言っていたはずなのに・・・。
さらに、タイムを更新してやろうと、コースイン。
3速で、もたもた抜けていると、何でもない複合コーナーが、
2速で行くと危険なトコロになる。
アンダーが出てコースアウト!
しかも2回目に落ちた、備北の中でも路肩との段差が
深い危険なところへ・・・。
「ドッ! ガンッ!!」ものすごい衝撃がくる。
2回目と違い、明らかにヤバイ角度で落ちてしまった。
クラッチが踏めない!
と、これは衝撃で落ちた携帯電話が
ペダルの下に入っていただけだったのが、すぐに分かったが、
コース脇にクルマを止めて下回りを見る。
「やってしまった!」
かなりの衝撃の度合いから、
絶対にオイルパンなどが、ヤラレテいると思った。
走行不能だと・・・。
しかし、パッと見では、特に異常は見られない。
エンジンは止まっていたが、キーを捻るとエンジンは掛かった。
走り出してみても、特に問題はないように思える。
コースから出て再びクルマを見るが、異常は見えない。
あの衝撃で、なんともないはずは無い、と思いながらも、
友人の誘いで最後の走りに出る。
タイムアタックではないので気楽に走らせていると・・・。
ステアリングが、ずれている!!
直進状態で、30度ほど左に傾いていた。
「やはり無キズじゃ無かったか」と一気に気分はブルーに。
目標タイムを出した達成感と、
iRを傷つけてしまった後悔とが入り混じった複雑な想いで、
備北をあとにした。
走行中はステアリングの、
ずれやブレ以外は特に気にならないが、どうなのか?
そのまま、ショップに向かい修理を依頼して、
代車で帰ることになった。
自分でやってしまったことだし、
走ってるうえでは覚悟しておかなければイケナイことだから、
しょうがないと思っていたが、
やはりiRをショップに置いて帰る時には、悲しかった。
iRのダメージはどんなものなのか?
いったいいくらかかるのか? いつ帰ってくるのか?
Posted at 2018/11/09 18:55:52 | |
PULSAR GTI-R | クルマ