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イイね!
2018年01月25日

日本初のミッドシップになっていたかも?

日本初のミッドシップになっていたかも? 日本で外車を作っていた会社、いすゞのお話です。

1960年代後半、いすゞ乗用車はまだまだ元気でした。

そんな1968年、後年、日本を代表する流麗なクーペとして名を残す、この車が誕生しています。





117クーペ


60年代スポーツカーの特徴だった、曲面を見事に組み合わせたデザインです。

特に前後フェンダーの処理は、秀逸ですね。

デザインを手掛けたのは、カロッツェリア ギアに在籍していた、ジョルジェット ジウジアーロ。

1966年、出展したジュネーヴショーを皮切りに、数々の賞を獲得します。






その余勢を駆って、いよいよ市販化へ。

ただ、 それには、大きな問題点が・・・

デザインプロトは、あくまでデザイン優先なので、生産性は考慮されていません。

当時の生産技術力では生産不可能、とされる部分も多々ありました。

通常であれば、生産しやすくなる様に、デザインを変更してしまいます。


ですが、いすゞは違いました。

オリジナルデザインを尊重して、作り方を替えたのです。

あの流麗なボディを、プレス型等で可能な限り省力化するのは、普通の量産車と同じ。

117クーペは、その後プレス化出来なかった部分を、手作業で加工することにしたのです。

その為、生産数は月産50台程度。

非常に手間の掛かる方法なので、販売価格は172万円と高額なものとなりました。

当時、クラウン(MS50)が112万円。

117クーペと同じエンジンを搭載した、ベレットGTRでも116万円。

これらのクルマよりも1.5倍も高額だったのです。






ハンドメイドまでしながら、どうにか117クーペを市販化した翌年の1969年。

次なるショーモデルとして、この車を東京モーターショウに出展しました。






いすゞ ベレット MX 1600


今回もデザインを担当したのは、カロツェリア ギア。

しかしデザイナーはジウジアーロではなく、トム ジャーダによるものです。

このトム ジャーダ、あまり聞いたことのない名前ですね。

でも、この方の代表作は、みなさんご存知の超有名なスポーツカーです。





デ・トマソ パンテーラ


言われてみれば、「ああっ」って感じですね。

全体のシルエットが、よく似ています。

1970年代のスーパーカーに多くあった、ウエッジシェイプの代表作です。


このMX1600も、ショーでは大好評。

いすゞはまたしても、市販化に向けての開発を始めます。

この会社のデザインを重視する気風は、この頃から確立していたのですね。

カッコよければ、Everything OK!なんですよ。

他にもこのクルマには、大きな特徴があります。






ミッドシップなのです。

今でこそミッドシップは、市販車にもあります。

ホンダS660の様に、軽自動車でも成立させています。

しかし50年近く前の日本では、ミッドシップといえば一部のレーシングカーのみ・・・

エンジンこそ、117クーペ、ベレットGTRから流用のDOHC 1600ccですが・・・

今回はあまりにも、ハードルが高過ぎます。

それでも、117クーペで得られたハンドメイド技術を生かせば、市販化も夢ではない

そんな果敢な(無謀な?)判断を下したのでした。







今回のベレットMXも、ほとんど量産化は考えられていません。

それどころか、走ることすら考慮されていないのです。

一番の問題は、冷却。

エンジン類を冷やす穴が、ほとんど開いていません。

それにミラー等の保安部品もないので、それらも必要です。

そして翌1970年、より現実的なデザインにリファインされて、再度発表されます。






フロントには、大きなグリルを採用し、そこに丸目4灯のライトを配置。

ここだけ見ると、117クーペ風です。

フェンダーには、ミラーも取り付けました。

ヘッドライトが低過ぎて、本当に保安基準大丈夫なのか?という疑問もありますが・・・


よし、これで量産化だ! となった、その時。

「まさか」というか「やっぱり」というか、量産化は凍結に・・・

理由は「117クーペですら売れていないのに、それ以上に手間、コストが掛かるベレットMXは必要なのか?」


それは、無理もありません。

クラウンより1.5倍も高額な、117クーペ。

その117クーペの数倍になるのでは? とも言われていたみたいでしたから。

もしもベレットMXを市販していたら、いすゞの乗用車撤退が、もっと早くなっていたかもしれませんね。


市場ニーズは関係なしで、自分達のほしい車だけを作る。

比較的それが許されていたいすゞでしたが、今回ばかりは流石にダメで。

結局、日本初のミッドシップスポーツカーは、それから14年後のトヨタMR2まで待たねばなりませんでした。



個人的には、この1970年モデルのベレットMXには、思い入れがあります。






子供の頃、このダイアペットのミニカーを持っていました。

その影響もあってか、こちらの方が好きですね。


もしも、この車が市販化されていたら、間違いなく日本車の歴史は変わっていたでしょうね。
ブログ一覧 | いすゞ | 日記
Posted at 2018/01/25 10:09:02

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この記事へのコメント

2018年1月25日 12:55
いすゞってやっぱり変ですね。オーナーも?自分だけか?
 当時のカーグラフィックに2型の試乗記がありましたから、ホントに市販直前だったのかもしれません。お上の規制のためと記憶してまたが、メーカーサイドだったのですね。残念。ただ、写真で見るとクーペもですが、当時のエルフの部品とか使ってるの見るとやっぱ「いすゞ」だねって思います。
 予断ですが、GTの名を冠した車を最初に販売したのはプリンスですが、公衆の面前に出たのはベレットが最初、ECGIなどもですが、いすゞはいつも抜かれちゃうんですよね。
コメントへの返答
2018年1月25日 19:15
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ここまで市場のことは考えず、自分達の乗りたいクルマを作る会社も、かなり珍しいですね。

そうだから、乗用車から撤・・・(以下自粛)。

2型、ジャーナリスト試乗があったのですか!
外部の評価を参考にしようという姿勢、量産化への覚悟が伺えます。

117クーペはなんとか量産化しましたが、流石にMXは営業からかなり激しい抵抗があったそうですよ。

多少の採算は度外視といえど、それは1度だけで2度はないよ、ってことなんでしょう。
2018年1月25日 12:59
こんにちわ!

リファイン後のMXって、同じくデ・トマソのマングスタに似てません?当時のトレンドなのかな?

しかし、これが登場したとなると…
MAZDAのあれや、日野のあんなのも出てくるのかな?
ちょっとドキドキ(゚∀゚*)(*゚∀゚)
コメントへの返答
2018年1月25日 19:19
こんばんは。
コメントありがとうございます。

デ・トマソ マングスタ、やっぱり似てますよね。

調べてみると、あれもカロツェリア ギアなんです。
ですが、デザイナーがジウジアーロでした。
デ・トマソは、この一連のデザインが気に入って、最終的にはカロツェリア ギアを買収しています。

ただ、ほどなく、ジウジアーロが独立してイタルデザインを立ち上げてしまうのですが・・・
2018年1月25日 15:38
こんにちは

知らなかった面白いストーリーをありがとうございます。

そんな物語も影響して、日本初(もしかしたら世界初)のミッドシップ四輪駆動がホンダアクティになったのか(爆)
コメントへの返答
2018年1月25日 19:25
こんばんは。
コメントありがとうございます。

あの69M コンセプトカーに、フェンダーミラーまで付けて70Mとして出展するところ、いすゞが本気度がわかります。

スポーツカーでなければ、ミッドシップレイアウトのクルマは、結構あったりします。
取り上げられているホンダ アクティは、有名ですね。

例えば、愛知機械のコニーは、シート下に水平対向エンジンを積む、ある意味ミッドシップ軽トラです。
ただ、当時はミッドシップとは呼ばず、「アンダーフロア」とか呼ばれていました。
2018年1月25日 16:21
こにゃにゃちわわにゃ!(^^)

花丸で囲んだ「いすゞ」のマークを初めて見たのは、小4位にフローリアンのプラモデルを買った時だったかな?

ただ、バス以外の実車には装着されたものを見た覚えがないのは何故??(^_^;)

117クーペが角目4灯で再販されたのが高校時代
これはオイラが思う「欲しい車」TOP5に入っていましたにゃ♪

今思えばMXクーペを出せなかった「思い」 を形にしたのがピアッツァだったのかにゃ?
ピアッツァの発表当時にも取りざたされて、開発陣は「違います!」と言ってたみたいですけど、やはり何処と無く似た雰囲気があるのはなぜ?(^^)
コメントへの返答
2018年1月25日 19:28
こんばんは。
コメントありがとうございます。

あのいすゞマーク、「さざなみ型」と呼ばれています。
語源になった五十鈴川から来ているのでしょうね。

私も、さざなみマークは、トラック、バスでしか見たことがありません。
この時代の乗用車は、通称「ブタ鼻マーク」でした。

ただブタ鼻マーク、いすゞマークの歴史には、取り上げられていません。
これって、黒歴史?
2018年1月25日 16:43
 ベレットMX欲しいなっ、と昔から思い続けていたのですが、眺め続けていると69→70で、全体のラインの繋がりを、完全に崩してしまっている気がします。フロントからフロントガラスへの繋がりが悪く、リアがドンっと重ったるい。スポーツカーですから、市販に向けての作業でも、デザインは最優先して欲しかったです。ピアッツァは、元のアッソのデザインを、うまく活かしていると思うのですが……。
コメントへの返答
2018年1月25日 19:33
こんばんは。
コメントありがとうございます。

69Mがオリジナルなので、流麗で美しいですね。
70Mも、きっと車高は同じなのでしょうが、なんだかズングリして見えます。

ご指摘の通り、リアのボリュームが大きくなって、フロントオーバーハングが減ったので、「コロッ」とした印象になりますね。

でも私は、70Mの方が好きなんです。
ボリュームの増えたリアになった為、リアエンドがコーダトロンカみたいになりました。

サイバーCR-Xが、私の中のトップ3に入るので、この手のデザイン処理は大好物です。
2018年1月25日 20:18
こんばんわ

車の名前って想像すると楽しいですね

いすず117クーぺは いいな! 
から命名さらたのかな?
デ・トマソ パンテーラにいたっては
出てまっせ パンチーラからかもしれませんね

ばかばかしいコメントで失礼しました
コメントへの返答
2018年1月26日 4:18
こんばんは。
コメントありがとうございます。

117ですが、クーペもあれば、セダンもありました。
同じショーで「117サルーン」として出展されていたのですが、こちらは市販時「フローリアン」と名付けられました。

「パンチーラ」言ってましたね。
2019年11月10日 22:23
ベレット MX 1600。
初めて知りました。

フォグランプのような位置にヘッドランプって斬新です。
コメントへの返答
2019年11月10日 23:09
こんばんは。
コメントありがとうございます。

当時117クーペでも、かなり尖ったクルマだったのですが、その次に控えていたのは、更に強烈なミッドシップだったのも、強い個性のいすゞらしい話です。

ライトも、69Mはリトラだったのですが、70Mでは固定4灯に。
そもそも日本初のリトラは、トヨタ2000GTで発売済み。
技術的には出来そうだと思うのですが、なぜ固定に変更したのでしょうか。

ただ、固定4灯にしたことで、個性は際立ちましたね。

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「@中島乗り さん 片山さんって、渡米前から有名人だったんですね。」
何シテル?   08/21 21:22
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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