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2020年11月04日

F1は今でも「走る実験室」

F1は今でも「走る実験室」 ホンダは、2021年をもってF1を撤退すると発表しました。

その理由は「2050年までのカーボンニュートラル実現」なんだそうです。

カーボンニュートラルとは?

CO2の排出量と吸収量を同じにして、これ以上CO2が増えない様にする、という考え方です。

例えば、植物由来のものを燃やしたとします。

そこでCO2は発生しますが、そもそも植物はそれまで光合成でCO2を吸収したので、トータルでCO2はプラスマイナスゼロ、という考え方です。

カーボンニュートラルとまでは言わなくても、CO2削減の動きは各所で展開されています。

例えばF1でも、2022年からバイオエタノールをブレンドした燃料を使用することで、CO2の削減を目指しています。

昨今の異常とも言える、気象状況。

温暖化対策等の環境問題は、切迫した状況と言えそうです。

ホンダはそれに対応する為、市販車パワーユニットの低炭素化、電動化に注力するそうです。






環境問題の為に、F1を撤退する。

なんだか、それらしい理由の様にも聞こえます。

では現代のF1は、それほど環境負荷の高いものなのでしょうか。



その指標として、熱効率を見てみます。

熱効率は、使ったエネルギーに対してどれだけの仕事が出来たのか、を表した指標です。

この数値が高い程、エネルギーが有効に活用された事を意味します。

市販のガソリン車では25%ほど。

ディーゼル車は少し良くて30%ほどです。

対して現代のF1は・・・なんと50%近く。

実に約2倍も効率が良いのです。

しかも、そのエンジンが発生する馬力は900ps。

高効率で、しかもとんでもないハイパワーを叩き出すパワーユニット。

F1には未来の市販車を示唆する様な、高いエンジン技術が採用されているのです。


この高効率の秘密。

大きく2つの技術があります。






1つ目は、市販車同様のハイブリッド技術。

F1では、2つのエネルギーを使って発電しています。

まず1つ目は、減速時の運動エネルギー。

エンブレ状態にあるエンジンから動力を取り、モーター(発電機)を駆動して発電しています。

これは市販車と同じです。

このシステムは「MGU-K」と呼ばれています。

「Motor Generator Unit - Kinetic」の略です。

更にF1には、もうひとつ発電方法があります。






MGU-H


「Motor Generator Unit - Heat」です。

モーターの動力源は、排気ガス。

そう、実はターボと同じです。

これは、ターボとモーター(発電機)が一体となった構造なんです。

ターボは、排気側にあるタービンを排気ガスで回し、同軸のコンプレッサーで吸気を過給します。

MGU-Hも同様で、排気側タービンで駆動されます。

そこでの動力はモーター(発電機)へ繋がれ、発電に使われるのです。


ターボと一体化したモーターを持つ、MGU-H。

発電が出来るという事は、モーターとして駆動する事も出来ます。

つまり、電気でターボが動かせるのです。

ターボには、「ターボラグ」という欠点があります。

排圧がある程度上がるまでは、過給出来ないのです。

ですが、その領域でモーターを使えば・・・

アクセルオンから即ブーストアップが、可能となるのです。



市販車のハイブリッドには、現在回生エネルギー(MGU-K)しか使われていません。

MGU-Hは、これからの市販ハイブリッド車に応用されるであろう、未来の技術なんです。


エンジン本体にも、未来の技術があります。






ジェット イグニッション

最近ではプレチャンバー燃焼とも呼ばれています。


以前のブログでも紹介しました、21世紀のCVCCみたいなものです。

従来のプラグによる点火から、プレチャンバーで燃焼させた火炎による高速で強力な点火。

これを使えば、燃焼させにくい直噴リーンバーン(希薄燃焼)も可能になるのです。

マツダが世界初で開発した、プラグ併用によるガソリン圧縮着火、SKYACTIVE X。

ここまでには至らないまでも、このジェット イグニッションで近い性能を出せると言われています。



F1では常識でも市販車へ移行出来ていない技術が、まだまだ沢山あります。

今もF1は「走る実験室」なのです。






環境問題を理由にF1から撤退すると言う、ホンダ。

私にはむしろ逆で、続けていく事で技術開発が進み、むしろメリットありだと思います。



実のところ撤退の理由は、やはりコストではないかと思います。

年間、数百億単位のコストが掛かると言われている、F1 PU開発。

それをレッドブルに対しては、ワークス待遇なので無償提供しています。

やはりこれは、大きな負担になっているのでしょう。

1980年代のF1第2期の頃は、それが理由で販売が伸びていましたが、現在はそうではありません。

莫大なコストを必要とするF1ですが、費用対効果の面では、かなり厳しい状況にあるのでしょう。

かといって、予算削減案のPU開発凍結を受け入れてしまうと、メルセデスには追い付けません。


結局は、コストに見合う様な魅力を、今のホンダはF1に見い出せない、ということなのかと思います。


いずれにしても、撤退は残念ですね。
ブログ一覧 | ホンダ | 日記
Posted at 2020/11/04 10:22:46

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この記事へのコメント

2020年11月4日 12:54
こにゃにゃちわわにゃ(^^)

40年前にはガソリン車27%、ディーゼル42%、F1は32〜35%と言われていたにゃ。
F1の技術革新もさる事ながら、一般市販車は環境問題をクリアさせる為に熱効率自体は下がってしまったと言う皮肉!
何だか考えさせられてしまうにゃ(^_^;)

ただ、当時からレース車の効率の良さは走行環境が良いからと言う話しをよく聞いたにゃ。
まあ、一旦スタートを切ればピットイン以外はほぼ一定速度で止まらず走っているのだから一般車より燃費の伸び率が高いのは当然と言えば当然。
この辺はエコからやっていると実感しますよね?www

内燃機関の隆盛は終焉の時を迎えているのかにゃ?
コメントへの返答
2020年11月4日 13:43
こんにちは。
コメントありがとうございます。

完全燃焼させると、増えるNOx。
NOx吸蔵還元触媒があるとは言え、燃費と環境、実は相いれない領域が今も残っています。
結局は法規もあり、環境に振った設定になっていますね。

初代インサイトの様に、NOx削減よりも燃費世界一を優先し、排ガス認定三ツ星を捨てたなんている例外もありますが。

レース車両の効率、全開使用が多いので、確かに良いのかもしれませんね。
あとプロが乗るクルマですから、市販車の様なガソリン冷却を減らし、熱による安全マージンは少なくしているのかと思います。

もう「乾いた雑巾」とさえ思える、内燃機関。
今後は圧縮着火に向けて、技術開発が続くのでしょうね。
終焉近い印象がありますが、まだまだ可能性はある様です。
2020年11月4日 20:22
こんばんは。

戦争が技術進歩に大きな役割を果たしたのと同じく、F1の様な競技に参加する事に因る技術の進歩は非常に大きいと思います。
また、究極の世界を知る事で、民生レベルの品質向上にも大いに役立っている筈です。
私が仕事で関わる或る部品も、一桁上のオーダに対応できるメーカが作ったものと、その製品が上限のメーカが作った物では、雲泥の差があります。
ブログにあるプレチャンバーの話も、SuperGTに当てはめると・・・・・・

対して、企業価値の向上を目的とする人たちから見れば、年間数百億円もかかるF1の存在意義が理解できないんでしょうね。
それだけのお金があれば、他にあれが出来るぞ だの、自分たちへの配当金をこれだけ増やせるぞ だのと。
まぁ、『二番じゃ駄目なんですか』と同じレベルですね。

そっちに走って見た目は良くなったものの、蓋を開ければグタグタだったのが、プレチャンバーの話と同じ企業・・(以下自粛)

HONDAのF1撤退は本当に残念ですが、二輪やインディーカー等は継続する様ですから、ここからの技術的FBに期待する他ありませんね。
コメントへの返答
2020年11月5日 10:37
こんにちは。
コメントありがとうございます。

ホンダも変わってしまった、そんな印象を持たざるを得ません。
社内における優先事項として、F1はかなり下がってしまったと思います。
F1参戦のメリットを、ホンダ自身が見い出せていないのかと。

確かに80年代は、F1でクルマが売れました。
私の様な世代のホンダユーザーは、ほとんどこのパターンです。
残念ながら、今はモータースポーツと販売は関連付いていませんね。

ところでトヨタは、どうなっているのでしょう?
「ルマンで優勝したから」
「WRCでチャンピオンになったから」
こういう理由でトヨタ車に乗っている人は、いるのでしょうか?

ホンダ以上に不思議なのは、メルセデス。
下手をするとユーザーの中には、F1参戦すら知らない人もいるのでは?
一体、メルセデスにとって、参戦のメリットってあるの?

・・・と思っていたら、今度AMGからMGU-H搭載車が出るそうですね。
2020年11月5日 9:26
まずもって、1ファンとして撤退するHに関しては「何考えとるんや!」と思いました。

前のデコッパチあたりからHの船頭がこれでいいのか?と思っていましたが、「器に非ず」を読ませたいです。

お金のことはわかりませんが、ルノーなんてめちゃめちゃ低迷してても出続けて信頼を勝ち得てきたと思います。
調子がいい時だけ参戦し、都合が悪くなってらはいさよなら。では・・・。

僕がHが好きなのは、純粋にレースが好きで参戦してんじゃないの?って思えるような大いなる中小企業だったからです。
研究所に配属される若手が研修期間に現場に来て「バイクが好きです。」っていうのでキャブの話をしたら「キャブって何ですか?」と言われ唖然としたことがありました。。。

最近、街中でもクラリティーを見かけることもあって、いいなぁとは思いますが(実際追いかけて写真を撮ったりしてますが)内燃機関のなくなったビークルだけになった世界には否定的です。

金勘定だけで去っていくのはあまりにも悲しいです。。。

ブラジルでのガズリーの走りにPTAのやつらは心を動かされなかったのでしょうか。。。

雨のホンダサンクスデーでオーバルコースを全開で回ってくれたバトンに来年こそは!と手を振って応援した数ヶ月後に、撤退発表をして愕然とさせられた二の舞です。

失望させないでほしい。。。

すいません。
コメントへの返答
2020年11月5日 10:56
こんにちは。
コメントありがとうございます。

やっぱり社長の影響は大きいでしょうね。
第3期の頃は、年始の目標に「F1必勝」というのが、いつも入っていた記憶があります。

ホンダとて企業ですから、収支を良くして存続させなければなりません。
その方法として、レース参戦による技術至上主義なところは、かなり薄くなってしまいました。
事実、そういう部分とはかけ離れたクルマが、今のホンダを支えていますので。

第4期F1で、ブラジルでのガスリーもそうですが、復帰初優勝となったオーストリアも忘れられません。

エンジンのライフを削り、次戦以降にエンジン交換ペナルティが発生するかもしれない中、それでも後半でパワー重視へマッピング変更。
年間のポイントなんで、どうでもいい。
ここは絶対勝つ!
そんな気概が感じられた1戦でした。
表彰台でのフェルスタッペン のパフォーマンスからも、それが良く分かりました。

技術開発とか収支とか、いろいろ問題はあります。
でもF1参戦の原動力は、勝ちたい!気持ちなんだと思います。
ですが、情熱や精神論でどうにかなる様な規模の会社ではない。
今のホンダはそう思います。
2020年11月6日 14:01
遅ればせながら
開発自由度がないからだと思ったりします
年間基数制限などが大きいのかと
ルノーも、そうですが、今年はフェラーリも
兎も角、年間を通して開発で戦えない
今年駄目なら、来年しかない・・・
重箱を突くしかない開発って・・・
昔のような自由度がないのが、理由のような気がします
特にタイトルを争うチームと組んでしまうと、窮屈な感じがします
BoPでは有りませんが、勝てるまで自由を与える裁量がFIAやF1に欲しいものです
実際は、その逆に行こうとしてますが・・・
開発凍結なぞ、勝ってるメーカーだけのメリットです

赤い車が上位に来ないのも、そういう話だと思います
それがF1自体の人気低迷になっており、勝てないメーカーが欧州で売れない拍車にもなっているような
ルノーが最たるもの

昔はインターバルごとにワクワクしたものですがね
今は、ほぼ無いです
戦略に期待するだけです
コメントへの返答
2020年11月6日 14:29
こんにちは。
コメントありがとうございます。

開発凍結の影響は大きいと思います。
第2期あたりが顕著ですが、開発力の早さがホンダの強みでしたから。

ただ、あまりにも高額なコストがF1参戦の障害になているのも事実です。
コストを掛けずに戦闘力を上げる、それは無理でしょうね。

開発とコストバランスは、かなり難しいと思います。
2020年11月7日 13:54
2050年の世の中て内燃機関の車て無くなっているのかな?
話がずれますが日産の水野和敏さんの講演で、日産グループCのR92CPは3.5リッターV8ツインターボで予選時1200馬力、レース時800〜1000馬力の車がペースカーモードにするとリッター18キロになると言ってました。逆にペースカーはタイヤを鳴らしながらの全開モードでリッター5キロになるそうです。これは1992年の技術です。そもそもグループCカーは850キロと今の軽自動車より軽いから燃費もいいんでしょ。
当たり前ですけど、今後は車体の剛性アップかつ軽量化に取り組めば内燃機関はまだまだいけると思うんですけどね。
さてホンダが資金不足でF1撤退するのであれば、例えばレッドブルの資金で作ることはできなかったのかな?
1983〜1987年のマクラーレンのように、TAGの資金でポルシェに開発委託した例もあるし。
コメントへの返答
2020年11月8日 1:13
こんばんは。
コメントありがとうございます。

30年先の話ですよね。
世界初のハイブリッドが誕生した、1997年。
当時の試算では、現在の2020年は燃料電池の世界になっていたはずです。
なかなか目論見通りにはいかないものです。

R92CPって、最高燃費が18km/Lですか!
ほとんどブーストを掛けない事でガソリン冷却量を減らし、3.5L NAとして使っているとしても相当な数字ですね。
それにしても凄い技術です。

内燃機関、次の一手は圧縮着火です。
従来のプラグ点火から火炎が広がる燃焼と違い、燃焼室全体で一気に着火します。
その為、ノッキングが起きにくく、また条件さえ揃えば超希薄燃焼も可能です。

やっとプラグ併用でマツダが実用化しました。
次は全域プラグなしが目標です。
内燃機関は、まだ死んでいないと思います。

2022年以降のレッドブル。
ホンダエンジンのバッジ違いで対応の噂もありますね。
ただ前提条件として、2021年からの開発凍結を実施する事を要求しています。
ホンダも撤退後でもレッドブルをサポートするとか言っていますので、このシナリオを想定しているのかもしれませんね。

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「先日の那須ミーティングの復路にて。こんな数字、初めて見ました。普段はカタログ値の25.8km/Lにも全然届かないのに。日光経由の山越ルートとは言え、ゴーストップが少ないとこんなに伸びるものなのか?」
何シテル?   04/26 09:57
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