
初代フィットの引き渡しの日が来た。昨日からの雪で朝方には10cm近く積もっていた。さすがにこのままでは運転できないし、最後の日くらい綺麗にしてあげようと思う。あらかたの雪を落とし、バケツにぬるま湯を汲んできて屋根から一杯、また一杯と数回に渡って流してあげた。
新車でワガヤの一員になった日を思い出し、半分は嫁のクルマとして家族を運んでくれた。幼稚園の送り迎えから病院、学校の行き来と、子供たちの成長を見守ってくれていたような気がする。五年前に嫁から譲り(?)受け、ワタシの愛車になった。そのときはオデッセイがいたが、もっぱらこちらの方が使用頻度が高かった。なぜかって?それは燃費がいいからだ。それに個人的にCVTが好きなんだ。子供たちも大きくなって通勤以外も独り行動が多くなったので、小さいクルマの方がどこに行くのも便利なんだ。高速通勤にはいろんなことがあった。タイヤのパンク、事故や雪による通行止めのための迂回、ナビがなければどうにもならなかったであろうことも何度もあった。幸せなことに事故による修理はしたことがない。一度嫁が対向車とこすったときは相手の費用で修理したが、ワタシの手に入ってからは事故修理履歴がない。小さな接触はあるが、大きな腹巻のようなバンパーを少しこすれた程度でタッチアップでしのいできた。長い車歴の中で小さな故障は覚えきれない(愛車ログ参照してください)でも、今日まで元気に走ってくれたことを感謝したい。
家族で移動するときはオデッセイがメインだったが、運転席と2列目が遠く、リクライニングして横着な格好で寝てる姿を見ると運転が楽しくない。その後はインサイトが主となった。このフィットでの4人での旅行はまだ子供が小さいときに富士山を観に御殿場に行ったのが最遠距離だった。中央道をかっ飛んで行ったときは、小さいクルマの楽しさを改めて教えてくれた。
引き取りのローダに揚げられた後ろ姿は、なぜか物悲しい。あんなに色あせたミラノレッドが雪の反射光できらめいていた。流れ落ちるしずくがなんだか別れの涙に見えてくる。本当は、綺麗に洗車して記念写真を残そうと考えていたが、作業するオジサンがあまりにも事務的で、ひとりで郷愁にふけるのもみっともないと思ったので、何にもないように見送ることにした。オジサンがあいさつを一言だけを残してローダー動き出すと、思わず手を振ってしまった。交差点を曲がって姿が見えなくなるまで手を振り続ける自分がいた。
Posted at 2016/01/30 11:44:15 | |
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手放すとき | クルマ