自分が免許を取ったとき、オヤジのクルマは三台目のマークⅡだった。会社の上司から中古で譲ってもらったそうだ。初心者の自分にはやや大きいサイズだと感じていたが、丁寧な運転を身に付けるには良かったと思う。一度兄貴がぶつけてヘッドライトが壊れているのを見たときは自分のもののようにショックだった。オヤジはクルマが傷がついたまま乗り続けるのが大嫌いで、いつも速攻で修理に出していた。街中でバンパーやドアがへこんだまま乗り続ける人が結構いるが、いつもちょっと悲しく思う。オヤジのクルマを洗車するのは自分の役目だった。いつもは洗車機で済ましているようだが、自分がすすんで申し出ると、とても喜んでくれた。その時に気付いた外装のキズを打ち上げると、いつのまにかに修理されていた。いつもピカピカのクルマがオヤジの自慢だったようだ。
四台目は念願の新車だった。自ら会社を立ち上げて、動き出したころだったがきっと自分へのご褒美か、あるいは仕事への強い決意の表れだったのかもしれない。新車のマークⅡで、2L、5ナンバーサイズだったが十分に大きく、家族旅行の機会が減った時期の我々にもo(^-^)oワクワクさせるものだった。身体が大きくなって後部座席にギュウギュウに積み込まれていた時期から考えるとずいぶん楽チンになった。まぁ、五人で乗る機会はめっきりなくなっていたが。
このクルマを一度だけ、ぶつけたことがある。ブレーキが遅れて、軽く追突してしまった。相手には、その場で謝って被害がなかったので許してもらえたが、父親になんて謝ったらいいか、帰路の間ずっと頭の中を

グルグル回っていた。頭を下げて謝罪するとオヤジはクルマのことより相手のことや身体のことを心配してくれた。クルマのことを切り出すと修理すればいいから、と笑って許してくれた。なんて大きな人なんだ。何をやっても大きく受け止めてくれる偉大なオヤジに敬服する。
オヤジのクルマをぶつけたのは、後にも先にも、この一回だけだ。

Posted at 2015/09/09 09:15:08 | |
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