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2017年11月07日

解体新書 Vol.11 ダンロップ DIREZZA 02β 265/35R18

解体新書 Vol.11 ダンロップ DIREZZA 02β 265/35R18 久々の解体新書で恐縮です。

実はタイヤを切るのって、しっかりとした設備がない私の場合なかなかの重労働でして、かなり興味をひかれるタイヤでないと切る気になれないという部分がございます。

今回はYU2さん発信、つかんとさん経由で半強制的に持ち込まれたタイヤですので致し方なく(笑)。

さてまずブランディングから確認しましょう。









工場コード EUですので住友ゴムの名古屋工場になりますね。

続いてビード周辺構造。


RE05DやA050もびっくりのケブラーフリッパーにスチール補強層まで入った、05Dと050を足して二で割らない(笑)構造です。加えてカーカスの巻き返し構造が2(HiHi)-1プライロックという、とてつもなくたくさんカーカス層がある構造です。過去最強。

つまり2層はビードワイヤーの内側から外側に向かって巻き返され、その構造を外側から包み込むように1層は外側からビードを巻き返すことなくビードワイヤー近傍まで配置している感じです。

図を描こうかと思いましたが、スキャンの調子が悪いので割愛。

またダンロップがVEURO VE303で用いているストリップエイペックスという技術も搭載されているようです。
この技術はビードフィラーゴムに用いられる様な高硬度のゴムの薄い層をサイド部の広い範囲に配置して、ゴムの硬さでケーシング剛性を高めようという狙いで用いられ、層間剪断力が働きやすいカーカス層間に配置するとより効果的と考えられますが、まさにその通りの構造になっています。

一方カーカスの配置角度はどうかというと、もちろんこの手のタイヤですので、90度のフルラジアルなんてことはなくて、そうですねぇ大体交差角で19度くらいでしょうか。ヨコハマのA050に近い感じで、05Dほど猛烈ではないです。


総括するとRE-05Dに負けないくらい猛烈にケーシング剛性を高めた構造といえます。
このことだけ見ても、使用空気圧はかなり低め、例えば180Kpaとか場合によっては160KPaとかでも撚れない対応をしてあると言えます。

でもいくらケーシングがしっかりしていて、低圧で使っても剛性が確保できていたとして、トレッド面の張力が落ちてしまい、上手く接地面積を確保できなくなってしまっては元子もありません。

そこで登場するのが先ほどストリップエイペックスの紹介でも出てきたVE303へのもう一つの搭載技術であるハイブリッドコードです。通常はキャップレイヤーにはナイロンの糸をタイヤ回転方向に略平行に巻き付けているのですが、このタイヤやVE303はケブラーとナイロンを撚り合わせた特殊な糸を用いています。断面写真をよく見ると断面が暗い色と明るい色の二種類から成り立っているのが分かると思います。おそらく暗い色がナイロン、明るいのがケブラーですね。


※ハイブリッドベルトとスチールの間のゴム厚み、少なすぎるのがチト気になります。使う人は。。。Good Luck!

骨格となるのはスチールベルトであり、ここは他のタイヤと変わりません。
ケブラーも強い材料なので、ケチらず全部ケブラーで作ったらよさそうに思えますが、実はそんなに簡単な話ではないんですよ。まずケブラーはあまりゴムとの接着がよくないとされている材料です。そこで接着を改善するためにおそらくナイロンを巻き付けたんだと思います。

もう一点、ケブラーと鉄は確かに破断エネルギーは似たようなものかもしれませんが、その時の伸び率に大きな違いがあり、鉄は1%も伸びませんが、ケブラーは3~4%の伸びを持ちます。つまり破れないけれどグダクダな材料な感じで、応答よく、即座に力を伝達するという意味ではよい材料とは言えないのです。

だからコーナリングフォースの発現機構であるベルトにはスチールを使い、穏やかに力がかかる遠心力にはケブラー/ナイロンハイブリッド材を使うというのは適材適所といえるでしょう。
またケブラーは鉄に比較して曲げ剛性が低いですから、低圧で張力分布が偏らず、しなやかに接地を確保することが期待できます。


ここまでが良いところ。気になった点としてはこのタイヤ、トレッドとサイド部が剥離しつつあります。


まあ純競技用のタイヤなので長時間の安全性とか重んじていないのは判りますが、一応公道走ってもよいことになっているので。
そもそも超ハイグリップなトレッドゴムはどうやら単層で、接着やオイル浸潤を防止するバリア層らしきものも見当たりません。おそらくゴム用セメントを塗って成型しているんでしょう。

ここはイマイチでしたね。


というわけで02βもまた、住友渾身の一撃であることが分かった今日の解体新書でした。





しかしこの美的センスのないパターンは何とかしてもらいたい(笑)。
ブログ一覧 | ミセガワ研究室 | クルマ
Posted at 2017/11/07 12:29:13

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この記事へのコメント

2017年11月7日 13:09
ありがとうございました!熱烈ファンからタイヤを託されたので🎶
コメントへの返答
2017年11月7日 13:56
こちらこそ、検体提供ありがとうございました。しかしこんなえげつない構造をやるなら、使い方とかをちゃんとレクチャーしてあげないと、宝の持ち腐れになりかねないですね。
2017年11月7日 21:17
今期の本番タイヤにしようと考えていた奴です!
結局扱いは05Dと同等との考えでいいんですかね?
05Dほどシビアだと躊躇してしまうのですが・・・。
コメントへの返答
2017年11月8日 9:25
勝負タイヤを勝負のたびに用意できるのであればよいかと。

ほぼSタイヤでDKCしてアタックする財力のノリでないと、納得できない減りだと思われます。
超ハイグリップゴム、高剛性ケーシングなので、一度適正空気圧等見いだせれば、毎回ある程度の結果は間違いなく出ると思いますが、何をゴールとするかで選択が変わると思います。
2017年11月8日 7:47
いつも参考になります。
アンダートレッド層がない構造には驚きましたが、となるとトレッドに使用されているゴム部には、余りカーボンなど異物を入れていない=ヒステリシスロスはあまり高くない、となりますか?
それとも混練の容易さは維持しつつも、長期間保たせる思想にないためにアンダートレッド層は設けなかった、と考えられますか?
新品状態での残溝の薄さからも、後者として考えないと辻褄が合わないのですが、ミセガワさんの見解を教えてください。

また、ハイブリッドケブラーベルトとスチールベルトの距離の近さが気になります。ミセガワさんは遠心力発生時・接地面確保のためのケブラー、と書かれていますが、素材の違いはあの距離でも十分発揮されるものなのですか?知識がなく是非しりたいところです。

このタイヤ、構造的にはかなり惜しみない技術の投入がされていることからも、使用ポリマーもDLで入手できるより良いモノを使用しているだろうことは容易に想像できますが、柔らかいゴムで発熱を促し、固い構造で剛性を出す、以外の思想がまったく感じられず、減りはハンパないだろうし、一発タイヤのコンセプトなのかな?と感じています。
コメントへの返答
2017年11月8日 17:25
アンダートレッドがないのはほぼ後者の理由でしょう。

フィラーを多量配合する、そして発熱をよくする意味からもオイルは多量配合されているで省から、長期使用の剥離については要注意です。

遠心力に関しては、ケブラーが外層になりますから、もちろん高強度な分効果は出ると思いますが、そもそも接着が悪いので、そのネガと打ち消しあう可能性はあると思います。

間違いなく一発勝負タイヤです。

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昔は一生懸命タイムを出そうと走っていました。@RX-8 主要サーキットのベストタイム FSW(富士スピードウエイ)レーシングコース Sタイヤ:2′00...
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