「殆どの警官はそれに従い武器を使用している」”アメリカ警察の武器使用に関する基準”に関する話が興味深い
容疑者と見れば即座に銃を抜き、ちょっとでも怪しい動きをしたら即発砲。法なんて関係無ぇ俺が正義だ!
…なんて感じだとアメリカの警察を認識しているのなら、それは映画の観過ぎである。
警察官の武器使用についてはきちんとルールが設けられており、殆どの警官はそれに従い武器を使用している。
ではそのルールとは何か?アメリカンポリスが銃を使う為にはどんな理由が必要なのか?
TVやYoutubeで流れてくる、一見理不尽な行動や行き過ぎた武力行使であるかのように見える警察の映像も、これを読めば違った見方ができると思う。
さて、アメリカ警察の(致死性、非致死性を問わない)武器使用に際しては2つの重要な要件が存在する。
即ち「客観的正当性」と「状況の総合性」である。
「客観的正当性」というのはとある裁判の判例から生み出されたガイドラインで、逮捕、拘束、武器使用の際の必要条件を示したものである。
とりわけ重要な要素として挙げられているのは、
1. 犯罪の重大性
2. その者が警察官や他者に対し直近の脅威であるか?
3. その者が積極的に抵抗しているか?
4. その者が逃亡して逮捕を逃れようとしているか?
の4要素である。この4つの条件のうちどれかを満たしていれば武器の使用は許可される事になる。
だからと言っていきなり丸腰の人間相手に発砲してもOK、という訳ではない。
ここで出てくるのが「状況の総合性」という概念。
犯人と対峙した警官がどの武器(徒手、警棒、催涙スプレー、テイザー、銃)を選ぶべきなのか、そしてそれは適切な選択&使用なのかを判断せよ、という事だ。
これについては「客観的正当性」のような明確な基準は存在せず、その事件の状況によってその都度確認されるものだ。
事件発生時の客観的状況や警官の(武器使用に至った)判断の根拠から、武器の選択、そしてその使用についての妥当性を判断していく事になる。
ジャスティファイとか言ったりする。
「ジャスティス!!」 のことではない。
ジャスティファイ(正当化)のことである。
ここで重要なのは、武器の使用については「必要最小限」ではなく「適切と判断される」武器を選択せよ、となっている点だ。
つまり相手がバットやナイフ等の近接武器を持っていたとしても、必要と判断するなら警棒や体術ではなくテイザーや拳銃を指向する事も出来るという事だ。
武器選択と使用の前提についてはこんな感じだが、銃、つまり致命的武力を行使するにあたっては前述2つに加えてまだ条件が存在する。
・本人の自己防衛権
・他者の防護
・国家安全保障に不可欠な資産の保護
・危険物質の保護
・国の施設の保護
・他者に対する重大犯罪
・逃亡
・逮捕・拘束
「客観的正当性」「状況の総合性」に加えて上記8つの条件のどれかを満たしたと判断される時のみ致死性武器の使用が許可されるのである。
前の例だと「ナイフを持った犯人が自分/他人へ向けてダッシュした為、自分/他人の生命身体に危機が迫った」等の理由が無い限り発砲までは出来ないという事だ。
ボディカム動画で、ナイフを持った犯人相手に銃を向けたまま「武器を捨てろ!」と怒鳴るだけの警官の映像を観た事はあるかい? あれはそういう理由で「射殺」以外の穏当な着地点を必死に目指しているのだ。
以上を踏まえて先日起こったアメリカの警官が黒人を発砲した事件を考察したいと思う。
米中西部ウィスコンシン州ケノーシャで23日夕、警官が黒人男性を背後から複数回、拳銃で撃つ事件があった。男性は病院に運ばれ、重体という。事件の様子を映した動画はソーシャルメディアで拡散しており、地元では抗議活動が起きている。
近隣の住民が撮影したとみられる約20秒の動画では、路上に止まったスポーツ用多目的車(SUV)の周囲を歩く黒人男性が複数の警官に追いかけられ、男性が車に乗り込もうとするタイミングで、警官の1人が後ろから撃つ様子が映されている。銃声は少なくとも7回聞こえ、現場にいる女性が叫ぶ場面もある。
地元警察によると、ドメスティックバイオレンスの通報を受けた警官が現場で発砲した。撃たれた男性は空路で病院に運ばれたが、重体という。撃った警官は、ウィスコンシン州の司法当局が調べている。
地元メディアによると、男性はジェイコブ・ブレークさん(29)。車には男性の子どもたちが乗っていたという。また、女性2人の口論を止めようとしたとする目撃情報があるという。
これだけ読むとまたアメリカで人種差別により黒人が警官から発砲された悲惨な事件と思うだろう。
しかし、このブログを最初から読んでいる人には違う思いを描くのでないだろうか?
動画を観ると明らかに警官は黒人に対して銃を構えて警告しているように見える。
黒人はそれを無視して車の方へ歩きだす。
警官は銃を構えたまま止まるように警告しながら後ろを付いて歩く。
黒人は警告を無視したまま車のドアを開けて体を車内に入れたところで発砲。
私にはこのように見えた。
‥ということは警告を無視する時点で不審者(警戒すべき人物)となり、車内に身体を入れた時点で拳銃を取って撃たれる可能性があると思われても仕方ないと思う。
武器使用の際の必要条件(ガイドライン)で示している
3. その者が積極的に抵抗しているか?
4. その者が逃亡して逮捕を逃れようとしているか?
に該当し、尚且、状況の整合性の 逃亡 の可能性にも該当する。
よって一概に警官が悪いとは言えず、むしろ警告を無視した黒人の方が悪いとさえ思えてくる。
実際に、もしもこの黒人が犯罪者であったなら警官は撃たれていただろう。
銃社会であるアメリカでは充分にありえる話でそのためのガイドラインであり、それを逸脱する行為をするものは撃たれても仕方がないとも思う。
むしろ逆差別的に取られる黒人問題があるから撃たれることはないだろうと高を括っていたのではないかと思うが考えすぎだろうか?
Posted at 2020/08/26 15:03:51 | |
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