• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

aquablauのブログ一覧

2018年05月17日 イイね!

アンドロイドは EV シフトの夢を見るか

4月21日、22日の両日、マツダの催し物があり、行ってきました。

「サステイナブル“Zoom-Zoom”フォーラム2018 in横浜」をマツダR&Dセンター横浜にて開催
http://www2.mazda.com/ja/publicity/release/2018/201804/180412a.html



一番の目的はマツダ株式会社常務執行役員・シニア技術開発フェローの人見光男氏のセミナーです。

  「エンジン革新が実現するサステイナブル社会」
  常務執行役員・シニア技術開発フェロー 人見光夫

人見さんの主張を一言で言えば、「EVは決してエコではない」ということです。
EV は電気で動くので、CO2 を排出しないと一般的に思われています。
それは嘘ではないのですが、電気を作り出す発電は CO2 を排出する火力発電が多くを占めています。
太陽光も、太陽電池パネルを作る過程で CO2 を排出しています。
そういった一切合切(Well to Wheel)を考慮すれば、EV は決してエコではないという主張です。

 EVならクリーン? マツダのMr.エンジンと考えてみた
 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22335320X11C17A0000000

まあ、これは今に始まったことではなく、2015年にもマツダは同じことを言っています。

 電気よりエンジン マツダが挑むエコカー戦略
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO85760230W5A410C1000000/

しかし VW のディーゼルゲート事件から、ディーゼルへの風向きは一気に逆風となり、ドイツも中国も米国も EV へとまっしぐらに進んでいるように見えます。

 世界で加速“EVシフト”~日本はどうなる?~
 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4046/

 世界で今、ガソリンやディーゼル車から電気自動車に移行する“EVシフト”が加速している。主導しているのはヨーロッパと中国だ。ディーゼル車の不正の後、巻き返しをはかろうと電気自動車に力を入れるドイツのメーカー。大気汚染対策と産業育成のねらいから国を挙げて電気自動車の普及を進める中国。世界で急速に進むこの変化に、多くの雇用を抱える日本の自動車産業はどう対応するのか。欧州、中国、日本の最前線の動きを追う。

しかし、マツダの藤原清志専務は面白いことを言っています。

 えっ、2019年に欧州で、アレが大復活?!
 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/194452/013100167/

 藤:ということで私は、2019年ぐらいに、欧州メーカーはもう1回ディーゼルを復活させると見ています

藤原専務は個人的な予測と断りを入れながらも、2019年までに欧州でディーゼルが復活するのではないかと考えているようです。
その予測を裏切らず、ボッシュはディーゼル復権へと動き出しています。

 ボッシュ、ディーゼル復権へ新技術
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29828430V20C18A4TJ2000/

 ディーゼルの未来を変えるか? ボッシュの革新的なディーゼル技術でNOxを規制値の1/10に
 https://motor-fan.jp/tech/10004025

さて、私個人としては CO2 の排出量なんて考えて車を買いません。
消費者にとってのエコとは、あくまで自分がお金を支払う部分の経済性であって、車両価格や燃費の良さだったりする訳です。
ただし、EV の問題はそれだけではなく、忘れてはいけないのは、電池の劣化と、それによる下取り価格の大幅な下落です。
先程の藤原専務のインタビューでも次のようなやりとりがあります。

 F:端的に言うと、リーフのことですね。日本の中古市場では散々です。中古はもう激安の叩き売り状態。

 藤:具体的な車種名の言及は避けますが……。あのレンジの中古が安いのは、日本に限ったことではありません。米国でも安い。あちらではだいたい3年乗ると、普通のガソリンエンジン車の下取りで40%から45%ぐらいまで落ちるのですが、真ん中あたりのレンジのEVだと、もう10数%まで落ちてしまいます。

ある方から、中古車の登録データをエクセルで集計する方法を教えていただいたので、本日(2018年5月17日)時点のカーセンサーの登録データで検証してみました。

 ・ アクセラ 2.2XD(14年〜16年登録車) 新車価格 298.2万円(税込) 登録83件
 ・ リーフ X (14〜15年登録車) 新車価格 329.3万円(税込) 登録45件
 ・ リーフ 30kWh X (15〜16年登録車) 新車価格 364.8万円(税込) 登録90件



縦軸が車両販売価格、横軸が走行距離です。どの車もそうですが、走行距離の長い車ほど、車両販売価格が下落しています。
しかし、一目見れば分かる通り、新車価格が 330万円〜365万円の EV が、たった 2〜4年で新車価格 300万円のアクセラ 22XD を大きく下回る中古車販売価格まで下落しています。
中古車販売価格が下落しているということは、買取価格もそれに合わせて下落しているということです。

EV の新車価格のほとんどは、「必ず劣化する電池」が占めていますから、電池の劣化の「不安」によりリセールバリューが大きく失われるという訳です。

ということで人見さん、現時点の普及価格帯 EV の問題点としては、CO2 排出量よりもリセールバリューの低下の方が、消費者とっては、ずっとわかりやすいですよ。

Posted at 2018/05/17 23:36:26 | コメント(1) | トラックバック(0) | | 日記
2018年04月17日 イイね!

半年点検を実施しました

そういえば先日(14日)、ちょうど SKYACTIV-D 1.8D の夢を見た日なんですが、半年点検を実施しました。

半年点検の際に DPF 再生間隔を確認してもらったのですが、リコールによる制御プログラムの変更によるものか、過去10回分のDPF再生間隔が確認できるようになっていました。以前は5回ぐらいしか見れなかったはず。

リコールを受けた直後は 300km をコンスタントに超えていて、最大は400kmを超えているにも関わらず、ここ最近で言えば最短は 100km を切っているのが2回。
これについてはディーラーは様子をみてくださいとのこと。

というのも、以前はDPF再生間隔の目安として 200km〜350km という話だったのですが、そのあたりが大分変わっているようなんですね。
マツダによると、現状の目安としては 200km、ただし走行状況によって 140km〜350km 程度の変動はあるとのこと。
当たり前ですが、ずっとアイドリングしていたら「走行状況 0km でも DPF再生」があるのは異常ではない訳ですから、なかなか定義しづらいのはわかります。

 SKYACTIV-D と DPF再生について
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39254520/

 カメラ交換と燃料噴射量補正
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39373567/

以前はコンスタントに 100km を切るようであれば異常ということでインジェクターの交換をしてもらったのですが、ディーラーではなくメーカーの見解としても、今は 100km を切るからすなわち異常とは言えないとのこと。
メーカーも DPF 再生に関しては色々と改善しているらしく、以前記事にしたように単純にDPFに煤が溜まったら必ず初期状態まで再生、という訳でもないようです。

例えば高速道路などでDPF再生をしやすい状況だったら早めに始めるとか、逆にDPF再生中でも渋滞に巻き込まれてDPF再生しにくい状況になったら途中でも打ち切ってしまうとか、色々と賢い判断がされるようで、単純にDPF再生間隔だけで正常・異常を見分けられなくなってきたようです。

私の場合は 100km を 2回切った後、150km 前後で 2回再生しているので、まずは様子をみてくださいという話でした。
とは言え、コンスタントに 100km 前後では燃費も悪くなりますし、オイル希釈も確認しているとは言え気になります。
(今回もオイル交換直前にオイル量をチェックしたのですが、全く問題ありませんでした)

特に 100km を切った2回は高速走行中だったんです。
だから点検を機にDPF再生間隔をチェックしてもらったんですけどね。

まずは様子見ですが、平均DPF再生間隔が短くなっているのは確かですし、コンスタントに 100km を切るようであれば、ディーラーに相談しようかと思います。

あとはやっとスタッドレスを夏タイヤに交換。
交換してもらったあとに、ガソリンスタンドで空気圧を測ったら、250Pa 指定なのに 220Pa しかありませんでした。
前回は 270Pa だったし、いい加減だなぁ。
Posted at 2018/04/17 18:42:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | アクセラ | クルマ
2018年04月14日 イイね!

SKYACTIV-D 1.8 の夢を見ました

今日、SKYACTIV-D 1.8 エンジンの夢をみました。

ボアストローク:79.0×89.6(2.2D や 1.5D と同じボアストローク比 1:1.09)
圧縮比:14.8(1.5D と同様)
最大出力:85kW(116馬力)/4000回転時
最大トルク:270Nm(27.5kmf・m)/1600-2600回転時

特徴:
急速多段燃焼を採用
インジェクタは G4.5S! 18/5/17 追記 ピエゾインジェクタ(G4P)でした!
・可変ジオメトリーターボチャージャーは電動式となりレスポンス向上、大口径化をし、高回転時にも高い加給効率を維持できるなった結果、最大出力も116馬力と向上しました。(1.5D は 105馬力)

270Nm の上限は、トランスミッションの制限によるものだと思います。
多分、アクセラにもこの SKYACTIV-D 1.8 が採用されるでしょうね。
CX-3 のガソリンエンジンの 20S も 10kg ほど増加している様なので、1.8D による重量増は実質的には 20kg でしょうか。
この 20kg ほどの増加で、2.2D との差が小さくなる分、悩む人も増えるかと思います。

ともかく、CX-8、そして CX-5 に採用された急速多段燃焼は、小排気量版の SKYACTIV-D 1.8 にも展開されるようで楽しみです。残念なのは SKYACTIV-D 1.5 が廃止になるであろうという点。
アクセラ 15XD を選んだ理由は、以前に4回に分けて記事にしました。

 アクセラ15XDを選ぶ理由(1)
 アクセラ15XDを選ぶ理由(2)
 アクセラ15XDを選ぶ理由(3)
 アクセラ15XDを選ぶ理由(4)

多くの特長は SKYACTIV-D 1.8 にも引き継がれますが、私としては「ディーゼル版過給ダウンサイジング」とも言える SKYACTIV-D 1.5 に非常に満足しているだけに、1.8L へと大排気量化することについては少し残念です。
ただ、マツダとしては、より短距離走行の繰り返しに強いディーゼルエンジンを実現するためには、やはり燃焼室の容積を大きくしたかったのだろうという点は理解します。

さて、これらは夢の話ですので、正確性について保証しませんので悪しからず。
Posted at 2018/04/14 21:47:53 | コメント(3) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年04月13日 イイね!

初期型 SKYACTIV-D 2.2 のリコールについて

アクセラには関係ありませんが、平成30年4月13日届出の初期型 SKYACTIV-D 2.2 のリコールについて、詳しく話を聞く機会があったので紹介します。

まずは私のリコールに対しての考え方から。

 リコールについて
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39366641/

本題であるマツダのリコール・サービスキャンペーン等情報です。

 CX-5、アテンザのリコールについて
 http://www2.mazda.co.jp/service/recall/ra/20180410002/

基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因

1.ディーゼルエンジン車のバキュームポンプにおいて、ポンプ軸の耐摩耗性が不十分なため、エンジン内部で発生する金属粉により当該軸が摩耗することがあります。そのため、そのまま使用を続けると軸の摩耗が進み、負圧生成能力が低下し、エンジン低回転時にブレーキペダルを短時間に複数回踏むと、一時的にブレーキアシスト力が低下するおそれがあります。
2.ディーゼルエンジン車のターボチャージャにおいて、これまでに実施した点検等の措置が不適切なため、エンジン内部で発生する金属粉で当該ターボチャージャの軸が摩耗することがあります。そのため、そのまま使用を続けると軸の摩耗が進み、加速力の低下及び異音が発生し、最悪の場合、軸が折れて排気経路が閉塞し、エンジンが停止するおそれがあります。
3.ディーゼルエンジン車用のオイルフィルタの使用において、使用者への周知が十分行われていないため、リリーフバルブの開弁圧が不適切なオイルフィルタを使用した場合、エンジン内部で発生する金属粉が十分に捕捉されないことがあります。そのため、1.及び2.の不具合が発生するおそれがあります。

改善措置の内容

1.全車両、バキュームポンプを対策品に交換します。
2.全車両、ターボチャージャを点検し、異常なものは新品に交換します。
3.全車両、オイルフィルタを点検し、不適切なものは対策品に交換します。また、使用者に注意喚起するとともに、エンジンフードに純正外のオイルフィルタを使用しない旨の注意ラベルを貼り付けます。

次に国土交通省のサイトから。

 リコールの届出について(マツダ CX-5 他)
 http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_002943.html

原因と改善処置はマツダからのリリースと同じ。
備考と不具合件数を抜粋。

備考
1 本届出は、平成26年12月4日付け届出番号「453」の改善対策の対策内容が不十分であり、同様の不具合が発生するおそれがあることが判明したため、リコールを実施するものである。
2 本届出は、平成26年12月4日付け届出番号「453」の改善対策の点検が不十分であり、不具合が発生するおそれがあることが判明したため、リコールを実施するものである。
3 本届出は、平成26年12月4日付け届出番号「453」の改善対策の対象車に含まれていない車両があることが判明したため、リコールを実施するものである。

不具合件数(事故は無し)
1 191件 2 142件 3 15件

これに関連する、前回の「改善対策」です。

 CX-5、アテンザの改善対策について
 http://www2.mazda.co.jp/service/recall/ima/20141202106/

今回のリコールを紹介したインターネットの記事です。

 マツダ、CX-5 など6万3000台をリコール「純正外のオイルフィルターを使わないで」
 https://response.jp/article/2018/04/13/308519.html

『不具合の起因となっているのは、オイルフィルター。前回の改善対策では、対策品に交換するとともにエンジンフードに純正外のオイルフィルターを使用しない旨の注意ラベルを貼るとしたが、使用者への周知が十分でなかったため、リリーフバルブの開弁圧が不適切な純正外オイルフィルターの使用が一部で続いていた。』

以下は私がメーカーから詳しく聞いた話です。

 ・ポンプ軸の耐摩耗性が不十分なため、通常のオイル状況(オイル中に大きな金属粉がない状況)でも磨耗する可能性があるため全車交換。
 ・前回の改善対策でのディーラー点検が不十分なため、前回改善対策以前にターボチャージャーに大きな金属粉が入り込んだまま磨耗する事例があったため、再度点検して磨耗をしているターボチャージャーを交換
 ・車両数は増加したが、時期は変わらず2013年9月末頃までに生産された車両が対象、その後の車両には関係なし。

■今回のリコールについて

全車純正のオイルフィルターを使うべきなのですが、現実は今後も様々な理由で社外品を使い続ける人もいると思います。
(いわゆる「言っても聞く耳を持たない人」は一定数います)
車業界ってなぜか「社外品信仰」があるんですよね。

 「純正品はコストを抑えるために品質が悪い、だから高い社外品の方が良い」
 「純正品はボッているから割高だ、だから安い社外品の方が良い」

という2つの矛盾した主張が並存している妙な業界だと思います。
まあ社外品メーカーが都合よくこの2つの理屈を使い分けているんですけど、それに騙される方もちょっと頭悪いかと。
実は社外品の方が「大量生産できないためコストが高く、それ無理やりを抑えるために品質が悪い」なんてことは良くある話なんですけどね。

特にオイルフィルターに使われてる HEPA フィルターというのは、すでに完成された濾過技術で、半導体製造工程などの特別なクリーンルームの空気も HEPAフィルターを通してゴミを取り除いています。
ですからオイルに含まれる金属粉を取り除くのは何も難しい話ではありません。

では社外品のオイルフィルターは何をやって性能向上を謳っているいるかというと、HEPA フィルターの目を荒くしたり(=小さな金属粉は捉えられない)、今回問題になったように開弁圧を低く設定して油圧損失を抑えたりして(=HEPAフィルタが役目を果たしていない)、エンジンが性能向上したかのように見せているケースが少なくない訳です。

そういう人の車両は、今後も不具合を起こすでしょうね。

以前の問題は、残念ながら以前のメーカー純正のオイルフィルターも開圧弁が低く設定されており、金属粉が捉えられずにエンジンルームを回り、バキュームポンプやターボチャージャーを磨耗させてしまい、磨耗したことによって生じた金属粉が磨耗を加速度的に進めるという悪循環に陥った訳です。

それでもなぜ開圧弁の管理がされていない社外品を使おうとするのか、理解に苦しみますが。

■ではなぜ改善対策済みの車両でも不具合が発生したのか

また、国土交通省の備考に「改善対策の対策内容が不十分であり」という記載がありますが、これは

 ⑴バキュームポンプ軸の耐摩耗性が想定していたより低かった
 ⑵前回の改善対策での点検が不十分だったため、ターボチャージャーの磨耗を見逃していた車両があった
 ⑶オイルフィルターは社外品使用不可の周知が十分でなかった(聞く耳を持たない人含め)
 ⑷新たな対象車両が見つかった

という4点を示しているかと思われます。
ターボチャージャー点検の見逃しですが、前回改善対策時は磨耗が小さくて見逃していたとしても、もし大きな金属粉が入り込んでいて磨耗原因となっていれば、3年も経てば大きな磨耗になっているはずです。逆に3年以上経っても磨耗しないのであれば、交換の必要もないということになります。

■ディーゼルエンジンの信頼性について

初期型の SKYACTIV-D 2.2 に比べて、後期型、そして新型がより改善されているのは間違いありません。
しかし初期型であっても、ホンダの iDCD のように同じ不具合に対して何度も何度もリコールを繰り返したというものではありませんし、今回のリコールも初期型の、しかも SKYACTIV-D 2.2 に限定したものですから、SKYACTV-D 全体がそうであるかのように語るのは明らかに間違いです。

例えるなら今になって20系プリウスにリコールがあったことを理由に、ハイブリッドエンジン全体の信頼性を否定するようなものです。

故障しない車はありませんが、初期型についても少なくともバキュームポンプとターボチャージャー起因の故障頻度は大きく減るでしょう。
また故障したとしてもリコール対応ですから永久無償保証ということになりますね。
Posted at 2018/04/17 15:50:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2018年04月02日 イイね!

インジェクタの進化とマツダの関わり

以前に言及した通り、デンソーのインジェクタ開発にマツダが密接に関係していること、そして次世代のインジェクタである G4.5S について紹介したいと思います。

■マツダとデンソーによるコモンレールシステム開発

BOCSH が 1930年に開発したジャーク式と呼ばれる従来式噴射系を、デンソーは長らく生産していましたが、1995年、世界で初めてコモンレールの量産化に成功しました。
しかし、それは日野の中型トラック向けのたった100台の限定生産でしかありませんでした。

その後、欧州では BOSCH が第1世代乗用車用コモンレール(135MPa)を 1997 年に生産開始して、徐々にディーゼル市場を拡大していく中、デンソーが第1世代の乗用車用コモンレールの生産に漕ぎ着けたのは 1999 年、BOSCH 社に遅れること、2年という状況でした。

これも日本市場だけ見れば、ディーゼル乗用車のシェアは 0% に近い状態が続いていたこともあり、デンソーの開発者曰く「我々の意識の中には全くなかった」という状況だった様です。
しかしデンソー社内の営業側からの強い要請で、180MPa の第2世代乗用車用コモンレールの開発が始まりました。

180MPa を実現する技術的ハードルをどうにかクリアし、欧州拡販の準備は整いつつあった中、マツダが 2002 年モデルのディーゼル車にデンソー製コモンレールシステムの搭載を強く要望してきたのが、マツダとデンソーの関係の始まりでした。

デンソーも BOCSH の後塵を拝している身、いきなり欧州メーカー向けで開発をするよりも、日本語が通じる国内メーカー相手に開発をしたいと考えていたところであった様です。
しかもマツダはデンソーに対しての要求が非常に柔軟で、デンソーとしても当初は疑問を持ったとのこと。(その部分を後述のデンソー開発者の資料から抜粋)

『さらに有り難かったのは,「第 2 世代の開発」が「途上」であることを十分考慮して頂いた。つまり,「第 2 世代」を開発状況に応じて,エンジン・クルマでカバーするか, 「第 2 世代」の開発に参画して,アイデアも出すというのであった。加えて生産開始後の他社拡販に対して,何の制限も要求されなかったのである。ただし,その反面「疑問」は残った。何故そこまで,「我々」に一歩譲るのか?欧州市場ならば,何故「BOSCH コモンレール」でエンジン開発を行わないのか?当時欧州メーカーは,2002 年モデル(EURO3 規制対応)でも「インセンティブ(税の軽減措置)」を得るために,「2005 年 EURO4 規制」達成を目指していた。この厳しい「EURO4 規制」に対応するため,高価な後処理「DPF」を装着して「PM」を低減することが「標準」と考えられていた。』

ではなぜマツダは、デンソーに対して高い要求をしながらも、仕様や契約で縛ることをせず、開発途上であることも配慮したのか、その答えがここにあります。

『先ず,メーカーの技術者は「アイドル音をもっと静かにしたい。」とだけ言ってきた。一般には,アイドル時に「パイロット噴射」を適用して燃焼音を低減するが,彼らは多段噴射(5 回分割噴射,ただし生産時には 3 段パイロット噴射,つまり 4 回噴射に変更された)を導入したいという申し入れだっ た。何故それほどまでに「アイドル音」に拘るのか,その時は理解できなかった。ただ,試験車のアイドル音を聞かされた時はさすがに驚いた。「伊藤さん,このエンジン音を聞いて下さい。このディーゼルアイドル音は,世界中どこにもない音色ですよ。これを生産したい」。確かに,これまで聞いてきた「ディーゼルアイドル音」とはまるで次元が違っていた。だが,「問題」はここからである。彼らの微小噴射量の精度要求値を聞いて驚いた。「噴射量精度を”1±0.5mm3/st”にできませんか」。その時の私の答えは,即座に「NO!」であった。噴射量のイメージがない方々には,いつもこの例で説明する。2L のディーゼルエンジンの最高出力点での噴射量は「約 50mm3/st 程度」で,これは「耳かき1杯に相当」する。今回の精度要求値は,その「100 分の 1」というとんでもない「微小量」なのである。インジェクター部品の加工精度,選択嵌合組み付けを駆使しても,当時我々の噴射量精度の実力は,レール圧= 25MPa(アイドル時)で,「2±1mm3/st」程度であった。レール圧が上がれば,さらに拡がる。広島のエンジン実験棟の会議室で,その当時でも珍しい”黒板”に白のチョークで書いて説明した覚えがある。「アイドル時の噴射量精度向上ができれば,実はその結果を”排ガスモード領域の高圧領域まで展開” したいと考えている。」(ちょっと待てよ,”高圧領域への展開”・・・?)「第 2 世代」を欲しがり,「微小噴射量精度の向上」を要求してきた理由が,ここに来てやっと理解できた。「DPF 無しで EURO4 規制をクリア」することを彼らは「研究」ではなく,「開発」のレベルで実証していたのであった。それには 「160MPa より高圧な”第 2 世代 180MPa”と”微小噴射量の精度向上”」がどうしても必要だった。「高圧噴射特性」の適用を拡大して,「DPF 無しで EURO4 規制をクリア」できたとしても,最後に残る大きな問題は,「高圧噴射特性によるエンジン燃焼音の増大」である。その「燃焼音」を和らげるには,微小噴射精度が高い「パイロット(プレ)噴射」が必要となる。広島のエンジン開発者は,「その事」を既に「BOSCH160MPa」「第 2 世代」の両方を駆使して 「データ」として掴んでいたのだ。彼らは従来の「噴射系の呪縛」から解き放たれ,「コモンレール」を面白いように駆使し始めていたのであった。』

そして、その開発努力は結果に表れました。

『生産計画に対して半年程遅れたが,2002 年 3 月広島で生産開始され,5-6 月に欧州で販売開始された。このクルマは欧州のエンジンメーカー,一般顧客にも高い評判を呼んだ。特に,「DPF 無しで EURO4 規制クリア(この精神は今でもこのメーカーには残っている)」は専門家を驚かせた。最大 180MPa とする高噴射圧特性を適用しているのもかかわらず,高精度のパイロット噴射により最近の欧州エンジンよりも静かであること,とりわけアイドル音の静けさは,欧州の一般ユーザーを喜ばせた。広島のエンジンメーカーは 30 を超える”賞”を「エンジン」「クルマ」で頂いたと聞いている。我々も「2002 年度日刊工業新聞十大新製品」の一つに選出された。翌年には「トヨタプリウス」が選ばれるという,非常に名誉ある賞であった。』

これが SKYACTIV-D の前身となる、マツダ初のコモンレールディーゼルエンジン、MRZ-CD エンジンになります。
MRZ-CD エンジンに関しては、2002年のマツダ技報に掲載されています。

2002年以前マツダ技報
http://www.mazda.com/ja/innovation/technology/gihou/2002/

◎排気エミッションは D4(Euro4)相当



◎パイロット予混合

従来よりもパイロット噴射を早め、予混合時間を十分に確保することで、燃料と酸素をよく混ぜ合わせ、PM(煤)の発生を低減




(新型 SKYACTIV-D 2.2 では、インジェクタの性能向上により予混合時間を長く取らなくても燃料と酸素をよく混ぜ合わせることが可能になり、全く逆の発想で急速多段燃焼を実現したのが興味深いですね)

◎4段燃料噴射(1回の燃焼で4回噴射)による多段燃焼




◎そして微少噴射量学習



これらの技術は SKYACTIV-D でも一部改善されながらも採用されています。
ディーゼルエンジン開発に関して、マツダは長い歴史と高い技術力を持っていることがわかります。

■ディーゼル燃料噴射装置の現状と将来

第2世代インジェクタを開発した "私のコモンレール開発物語(1994年-2003年)" の著者である伊藤昇平さんは、ディーゼルの将来性についてはあまり肯定的ではないようです。
しかし、デンソーでは伊藤さん引退後も、しっかりと技術開発を進めています。

第3世代インジェクタ(G3S)では、さらなる高圧化による燃料の微細化を実現し、ノズルの駆動方式をソレノイドからピエゾに変更したピエゾインジェクタ(G3P)も開発しています。2013年からは燃料噴射圧 250MPa、高精度に噴射量を制御できる i-Art を搭載した第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)を量産化し、トヨタだけではなく、ボルボなど欧州メーカーにも採用されました。そして新型 SKYACTIV-D 2.2 では第4世代ピエゾインジェクタ(G4P)が採用され、急速多段燃焼が実用化されました。

この辺りの一連の流れを書いたのが、これらの記事です。

 インジェクターの燃料噴射量補正について
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39497846/

 新型 SKYACTIV-D 2.2 に採用された第4世代インジェクタ
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41132084/

 インジェクタの進化
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41147708/

まずは改めて第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)の特徴を列挙します。

 ◯燃料噴射圧を 200MPa(2000気圧)から 250MPa(2500気圧)に高圧化
 ◯圧力センサをインジェクタに内蔵し、 高精度に噴射量を制御(i-Art)

これらは以前の記事で紹介しましたが、さらに付け加えたいのが、

 ◯燃料ロバスト性を向上
 ◯インジェクタリーク最小化

になります。
燃料ロバスト性とは、多様な燃料に対応するという意味で、地域によって軽油の性状が異なるばかりではなく、欧州ではバイオディーゼル(Bio Diesel Fuel、以下BDF)と呼ばれる、菜種油や廃食用油などをメチルエステル化して製造された、ディーゼルエンジン用のバイオ燃料などもあります。
化石燃料を浪費しないだけではなく、BDF自体には硫黄分酸化物をほとんど含まないため、軽油と比較して硫黄酸化物(SOx)や PM(煤)の排出を減少できるというメリットもあります。
BDFの原料が食料資源とも競合する、水分を含む不純物の除去が不十分、という指摘もあり、賛否両論ありますが、そういった多様な燃料を使っても、デポジットの発生や焼き付きなどを起きにくくしたのが、「燃料ロバスト性を向上」になります。

そして今回、わかりやすく紹介したいのが、インジェクタリークの最小化です。

まず、前述の通り、燃料を噴射するインジェクタには、ソレノイドインジェクタと、ピエゾインジェクタの2種類があります。
SKYACTIV-D 2.2 ではピエゾインジェクタが、SKYACTIV-D 1.5 ではソレノイドインジェクタが採用されており、ソレノイドインジェクタは安価で長寿命で駆動電圧が低いというメリットがありますが、高圧な燃料の噴射をオン/オフするには、駆動力が高いピエゾインジェクタが有利でした。

駆動力が低いソレノイドインジェクタは、噴射口を開け閉めするノズルニードルを閉じる力が不十分で、それを補うために高圧な燃料の圧力を利用しています。この構造のために、ノズルを開閉する度に、微少な燃料が漏れ、噴射量が変動するのをどうしても防げません。この燃料の漏れを静リーク(Static Leakage)と呼びます。

また、ノズルニードル開閉時に発生する燃料の漏れをスイッチングリーク(Switching leakage)と呼びます。

第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)では、この静リークをゼロに、そしてスイッチングリークをピエゾインジェクタと同等まで抑えることに成功しています。



また静リークは摺動部からの漏れなので、時間経過とともにリーク量が増加する問題がありましたが、第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)では、全体のリーク量に経時的変化がなく、リーク量も従来のピエゾインジェクタと同等になっています。



それでは新型 SKYACTIV-D 1.5 (1.8 の噂もありますが)は、この第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)が採用されるのでしょうか。
実はデンソーは、その第4世代ソレノイドインジェクタ(G4S)を進化させた、第4世代ピエゾインジェクタ(G4P)および第4.5世代ソレノイドインジェクタ(G4.5S)を開発しています。

◎高矩形噴射による燃焼速度向上

これらの G4.5S および G4P では、噴射のキレ、つまり噴射開始後、即座に燃料が高圧で噴射できるように改良されています。



G4S にくらべ、G4.5S および G4P では噴射開始後、即座に噴射量(Injection rate)が上昇しているのがわかるかと思います。

◎高速微小量マルチ噴射による着火性能向上

また、噴射と噴射の間に噴射できない時間(無機能期間)が必要でしたが、第3世代ソレノイドインジェクタ(G3S)や G4S の最小噴射インターバル 0.2ms に対し,G4.5S インジェクタでは 0.1ms,G4P インジェクタで は限りなくゼロに近い噴射インターバルを達成しました。



マツダは新型 SKYACTIV-D 2.2 で G4P を採用し、急速多段燃焼を実現しましたが、これは最小噴射インターバル 0.1ms でエンジン設計されているようです。従来の SKYACTIV-D は 0.2ms でエンジン設計されており、第3世代ピエゾインジェクタ(G3P) の噴射インターバル 0.1ms と比べると余裕がありますが、燃焼制御を第3世代ソレノイドインジェクタ(G3S) の性能に合わせたのかもしれません。(コモンアーキテクチャ)

ともかく、G4S の最小噴射インターバル 0.2ms は急速多段燃焼には不十分ですから、マツダからの要求で、デンソーは第4世代ソレノイドインジェクタを、G4S から G4.5S へ進化させたのではないでしょうか。

◎高拡散噴霧による空気利用率の向上

これは以前にも書きましたが、低負荷時の低噴射圧時は噴霧拡散となり、高噴射圧時は従来通りの長い噴霧長となる
Controlled Diffusive Spray Nozzle (CDS Nozzle) のことです。
SKYACTIV-D 1.5 に採用された G3S から採用されていますが、噴霧口の形状が改善されているようです。



長くなりましたが、次世代 SKYACTIV-D 1.5 では、ボルボなどに採用された第4世代ではなく、第4.5世代ソレノイドインジェクタが採用されるのはほぼ間違いないと思っています。

急速多段燃焼によるノイズの低減は CX-8 や CX-5 で明らかなので、小排気量ディーゼルでも是非とも実現してほしいですね。

今回紹介した内容は、

JSAE エンジンレビュー
特集: エンジンの燃料噴射
Vol. 6 No. 4 2016
http://files.jsae.or.jp/engine_rev/docu/enginereview_06_04.pdf

 ◎ 私のコモンレール開発物語(1994年-2003年) p19-
 ◎ ディーゼル燃料噴射装置の現状と将来 p31-

になります。詳細はこれらの資料を是非読んでみてください。
Posted at 2018/04/02 01:46:27 | コメント(4) | トラックバック(0) | | クルマ

プロフィール

「@U&1 人見節でしたね」
何シテル?   04/21 16:57
BL アクセラから BM アクセラに乗り換えました。
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2018/5 >>

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

リンク・クリップ

盗難の被害に遭って、みなさんに知ってほしいこと。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/04/22 10:14:41
ご協力、たくさんありがとうございました。Seyamaxシルビアの結末。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/04/20 23:57:34
シルビア盗難につきまして 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/04/20 15:48:29

お友達

2 人のお友達がいます
だいずぱぱだいずぱぱ ぷんぷんぷ~んぷんぷんぷ~ん

ファン

20 人のファンがいます

愛車一覧

マツダ アクセラスポーツ(ハッチバック) マツダ アクセラスポーツ(ハッチバック)
マツダ アクセラスポーツに乗っています。

過去のブログ

2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
©2018 Carview Corporation All Rights Reserved.