■前置き
私もそうですが、アクセラを購入するときに、SKYACTIV-G にするか、SKYACTIV-D にするか、またディーゼルを選ぶにしても 22XD にするか、15XD にするか、皆さん迷いますよね。
私も試乗車を何度か乗り、ときには友人も誘って乗り比べてもらって悩みました。
一般的な感覚だと、排気量が高いほどいい車、同じ車でも排気量が低い車は廉価版(実際安いですけど)という印象だと思いますが、アクセラの場合、1.5L ガソリン車も、1.5L ディーゼル車も、2.2L ディーゼル車も、それぞれ面白さというか、良さがあって、友人も「どれを買っても正解だなぁ」と言い出す始末。
勝手な印象ですが、
SKYACTIV-G 1.5 ・・・ 軽くて回しても楽しい車、必要十分な性能
SKYACTIV-D 1.5 ・・・ 余裕がある低回転域のトルク、普段乗りでは十分な性能
SKYACTIV-D 2.2 ・・・ 大きなトルクで余裕の性能、加速しても楽しい車
という感じでした。
私は以前から「アクセラに1.5Lディーゼルを載せるべきだ、載ったら買うかも」と公言していたぐらいですが、いざ試乗すると本当に悩みました。2.2Lディーゼルも1日試乗し、納得して「馬力のない」15XDを買った訳ですが。
■マツダ技報
自動車メーカー各社、技術的な論文というか、研究開発の成果を公表しています。
その中でもマツダの「
マツダ技報」は、他社と比べてもちょっと踏み込んでいる内容で、面白いものです。
その中でも SKYACTIV-D 1.5、アクセラでいうと 15XD に関するものを少し抜き出して紹介したいと思います。
「2015年マツダ技報」からの抜粋ですが、主にはアクセラではなく、デミオの技術資料からの抜粋になります。
あまり詳しくない人でも分かりやすく紹介できたらいいのですが。
■低い機械抵抗
エンジンの中はピストンが上下運動し、様々な部品を動かしている訳ですから、機械抵抗(摩擦抵抗)は少なくありません。
2.2Lエンジンと比べて1.5Lエンジンは、このピストン等の部品がより小さくなりますから、機械抵抗も少なくなります。
2.2Lディーゼルと比較し、主にオイルポンプとバランスシャフト、そしてピストンの機械抵抗が小さくなっているのが分かるかと思います。
■低い機械抵抗は燃費に好影響
機械抵抗が低いということは、当然ながら燃費にも好影響を与えます。
BSFC とは聞き慣れませんが、簡単にいえば「一定の出力(1kWh)を出すために使った燃料の重量」です。
負荷が高い(アクセルを踏んでいる)状態では、2.2Lも1.5Lも、BSFC は大して変わりありませんが、負荷が低い場合、つまり一定速走行などでアクセルをあまり踏んでいない状態では、1.5Lディーゼルの BSFC は格段に少ないということ。
つまり、2.2Lディーゼルにくらべて、1.5Lディーゼルは、負荷が低い時に、同じ出力を得るために必要な燃料消費量が少ないということです。
図では2000rpmですが、1500rpmでも 2500rpm でも傾向は同じだと考えられます。
■これって・・・過給ダウンサイジングでは?
下記の資料は、SKYACTIV の生みの親とも言える、マツダの人見光夫氏の
講演会資料からの抜粋なのですが、今のマツダは、ヨーロッパメーカーで流行している、エンジンを1.0〜1.2L程度に小型化し、出力不足をターボで補うという「過給ダウンサイジング」に否定的です。
(人見さんの考え方については、こちらの「
マツダ 人見光夫氏 SKYACTIVエンジン講演全再録」も参考になるかと思います)
人見氏の主張を簡単にまとめると下記の通り。
◎過給ダウンサイジングは低負荷時は小排気量エンジンのメリットを生かせる
◎しかしながら、過給器(ターボ)はコスト高
◎しかも、過給器(ターボ)を採用すると圧縮比を高くできないため、高中負荷時はNA(ターボなし)が優位
◎実燃費で見ると、過給ダウンサイジングに負けていない
しかしながら、アクセラ 15XD に関しては、この過給ダウンサイジングをディーゼルエンジンで実現した感があります。
◎低負荷時は小排気量エンジンのメリットを生かせる
◎コスト以前にディーゼルエンジンには過給器(ターボ)は必須
◎ディーゼルエンジンは過給器(ターボ)付きでも圧縮比を高くできる
つまり、意図したものかどうかは分かりませんが、ガソリンエンジン車における過給ダウンサイジングのデメリットを、SKYACTIV-D テクノロジーの採用によって解消したものに見えます。
続きでは、本当に燃費がいいのか、そして 15XDのエンジン性能について書けたらいいなぁと思います。
Posted at 2017/01/15 14:21:18 | |
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