ノート e-power 試乗してきました。
プリウスはレンタカーでもよく借りたのですが、正直に言うと好きになれず。
現行プリウスは先代プリウスよりもよくなったとは言え、アクセスを踏んでも進まず、進まないからさらに踏み込むと一気に加速するといった感じで、アクセルの微妙な操作に反応しない印象を持っています。
背が高いので頭は振られるし、サスペンションだって決して良い訳ではない。
何でこんな車が(失礼)売れるのかなぁというのが正直な感想でした。
プリウス/アクアに比べたら燃費は全然良くないですが、これだったらFDシビックハイブリッドやBLアクセラの方がいいと心底思っていた訳で。
そんなことで(トヨタの)ハイブリッド車にあまり印象がよくない私も、短距離走行の繰り返しが多い使い方では PHV/EV に期待しています。
①片道2km のお買い物/お迎え車にはガソリン車はもちろん、ハイブリッド車ですら暖気の影響が少なくなく、燃費が極端に悪くなる
②モーターの低速トルクは魅力的
③被災時に100V電源として使える
1週間に1度ぐらい、30分以上走るならディーゼルがいいのですが、短距離繰り返しのみだとDPF再生ができない可能性があり、あまりお勧めできません。
かといって三元触媒を温める必要があるガソリンやハイブリッドも決して燃費がよい訳ではなく、暖気が終わるまでは有害物質などは排出しまくり。
ですから買い物車にはEVがベストソリューションなんでしょうけど、現実にリーフを買うかというと、値段も高いし、長距離には極端に不向きだし、そもそも充電設備を用意できない。
前置きが長くなりましたが、ということで 200万円で買える電気自動車(実際はシリーズハイブリッド)であるノート e-power に試乗してみようと思い立ちました。
【e-power に試乗してみて】
いいところを先に。
◎市街地での加速は、ガソリン車では味わえない力強さとスムースさを味わえます。
◎また、アクセルオン/オフだけで発進/停止できるのは、渋滞の時にとても便利。(ECOモード/Sモード)
(もちろん、ブレーキを踏んでから離すと、クリープも復活します)
みなさんご存知だと思いますが、ノート e-power には D(ドライブ)モードのほか、ECOモードとかSモードとかあって、アクセルを踏み込んだ時の加速とか、アクセルを離した時の減速などが変わってきます。
D(ドライブ)モードが、今までの車に近いということだったのですが、アクセルオフにしたときの減速は強めのように感じます。
多分、回生(ブレーキの代わりの発電)を強めにして、燃費向上を図っているのでしょう。
ラフなアクセル操作に慣れた人がこの車に乗ったら、同乗者は前後に頭を揺すられて、あっという間に気持ち悪くなるだろうとは感じました。
どの車もそうですが、この車は特に「ラフなアクセルワーク」は避けるべき車ですね。
また、この車には「被災時に100V電源として使う」という機能はないそうです。個人的には残念。
【実際の燃費】
試乗車で 13km ぐらいのコースを走って、約18km/L でした。
試乗という特殊な状況を考慮しても、あまり良くない。
何より結構な頻度でエンジンがかかるんですよ。
同情した営業マンに聞いたら、「暖房のためにエンジンの熱が必要なんです」とのこと。
うーん、もし短距離繰り返し走行のたびに暖気が必要なら、電気自動車ではなく、やっぱりシリーズハイブリッドだよなぁと。
リーフやプリウスPHVのようにヒートポンプ式の暖房機能付エアコンを付ければいいのでしょうけど、やはりコスト削減が優先したのでしょうか。
あともう一つ驚いたいたのは「電池を放電するためにもエンジンを動かします」とのこと。
この車は回生ブレーキ(減速時に発電を行う)のが前提なのですが、電池が満タンだと回生ブレーキが効かなくなる。
だから電池に空きを作るために、発電機が電気を使ってエンジンを回して放電させていると。
でもそれって本質的には「無駄な放電」。
冬は暖房のためにエンジンを動かし、そして電池がいっぱいになると発電機がエンジンを動かして放電する。
確かに試乗車をみると、ほぼ満充電状態。
この車を冬に出したのは、営業戦略的には失敗なんじゃないの?!
【e燃費のデータから実燃費を探ってみる】
ということで、
e燃費でのデータを調べてみました。
平均 19.95km/L ということで、JC08モードでの 34.0km/L〜37.2km/L と比べると、えらく乖離している。
ハイブリッド車の実燃費は、他の多くの車種も JC08モードから結構乖離しているんですが、この乖離は結構大きめ。
やはり暖房のために結構な頻度でエンジンがかかるのが燃費を下げているのでしょうか。
燃費データの内訳を見てみましょう。
ピーク(一番背の高い棒)が 17km/L という状況。
それにしても棒の高さがバラバラですね。
一目見て平均値が19.95km/L (登録データの平均は 19.96km/L)にあるとは思えない棒グラフになっています。
これは、まだ登録件数が少なく、全部で59件のデータ(ピークの17km/Lでも9件)しか揃っていないために、誤差が多く含まれて、バラバラなグラフになっています。
競合車種になるであろうアクアと比較してみます。
登録されている
燃費データはこちら。
左右の裾野が広がった、綺麗なグラフになっています。
何しろアクアは登録件数が多く、ピークの22km/Lだけでも1075件のデータが登録されていますからね。
登録されているデータの件数が多いというのことは、誤差が少ないということ。
乗り方で変わる燃費のような「自然に発生するばらつき」は、アクアのグラフの様に裾野が広がった「正規分布」と呼ばれる曲線になることが知られています。
データが少なくてバラバラなノート e-power の燃費も、データ件数が増えたらどういう感じになっていくのでしょうか。
【統計処理をしてみましょう】
統計と聞くと拒否反応を示す人は多いを思います。
実は私もその一人。
ですが、先ほどのノート e-power のグラフから、データ登録件数を抜き出し、平均と標準偏差を計算して正規分布のグラフを加えたのが下記のグラフです。
これから登録件数が増えていくにつれて、中央値(平均値)と裾野の大きさは多少変動するでしょうけど、だんだんこのグラフに近い形になっていくと推測できます。
【これが何の役に立つのか】
新しく車を購入するとき、今の車での程度の燃費なのかを知っていれば、この分布を見て、新しく乗り換える車ではどの程度の燃費になるであろうかを計算し、推測することができます。
もちろんあくまで計算値にしか過ぎないのですが、JC08モードで比較するよりは、より正確性が期待できると考えます。
正規分布の中央値(平均値)は、もっとも平均的な乗り方をする人の燃費。
裾野の広さは、燃費にいい乗り方/悪い乗り方をすると、どの程度燃費が伸びる/落ちるのか、参考になります。
つまり裾野が広いということは、乗り方によって燃費が大きく変わる車ということですし、裾野が狭いということは、乗り方によって燃費が変わりにくいということ。
JC08モードの比較では、そういった違いはわからないですからね。
【e燃費登録データの問題点】
ただ、e燃費の登録データは実走距離がわからないというのが大問題。
実走距離 10kmで 8km/L のデータを 10件登録したら 8km/L のデータが 10件、
実走距離 100km で 16km/L のデータを 1件登録したら 16km/L のデータが 1件、
本当は実走距離 200km で平均燃費が 12km/L なのですが、登録データから計算すると平均 8.7km/L になってしまいます。
この辺りは表示されている平均燃費と、登録データからの平均燃費を比較して、正確性を推理するしかないですね。
e燃費が公開しているグラフは、縦軸を件数ではなく距離にすべきなんです。
e燃費さん、何とか改善してもらえませんか?