桃太郎

俺は桃太郎だ。
悪い鬼が鬼ヶ島にいると聞いたので退治しに行くことにした。

ずんずん進んで大きな山に来ると、草むらの中から「ワン、ワン」と一匹のオオカミがかけて来た。
振り返るとオオカミはていねいにおじぎをして言った。
「桃太郎さん、桃太郎さん。どちらへおいでになりますか？」
「鬼ヶ島へ鬼退治に行くのさ」
「それではわたしもお供させてください」
「よしわかった。それでは日本一のキビ団子をやるからついて来い」
こうしてオオカミはキビ団子を一つもらってお供に加わった。

山を下りてしばらくすると森の中に入った。
すると木の陰から「フンガー、フンガー」と巨人が現れた。
振り向くと巨人はていねいにおじぎをして言った。
「桃太郎さん、桃太郎さん。どちらへおいでになりますか？」
「鬼ヶ島へ鬼退治に行くのさ」
「それではわたしもお供させてください」
「よしわかった。それでは日本一のキビ団子をやるからついて来い」
こうして巨人もキビ団子を一つもらってお供に加わった。

森を抜けてしばらくすると広い野原へ出た。
すると空の上から「キィー、キィー」と一匹の蝙蝠が鳴きながら降りて来た。
振り向くと蝙蝠はていねいにおじぎをして言った。
「桃太郎さん、桃太郎さん。どちらへおいでになりますか？」
「鬼ヶ島へ鬼退治に行くのさ」
「それではわたしもお供させてください」
「よしわかった。それでは日本一のキビ団子をやるからついて来い」
こうして蝙蝠もキビ団子を一つもらってお供に加わった。

俺が家来を連れてずんずん進んで行くと、やがて広い海に出た。
皆で船に乗り込んで進むと鬼ヶ島に着いた。
鬼の城へ入ってまずは蝙蝠が攻撃した。
次にオオカミと巨人が戦ったが、みんな鬼たちに負けてしまった。

「しょうがないなあ」
俺は手をぐんぐん延ばすと片っ端から鬼を殴りつけた。
俺の指先一本で鬼たちはでんぐりがえって降参した。

それを見ていた家来たちは、
「桃太郎さん、強いなあ。なんでそんなに強いのですか？」

当たり前だ。
俺は怪物ランドの王子だぞ。

#ショートショート
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